「デスクトップ環境を見れば, その人が分かる」
これは, 私が常日頃思っていることです. 合理主義の方は, 飾りのない非常にシンプルで機能的なデスクトップに, 私のような遊び好きの人間は, カラフルで遊び心溢れるデスクトップにしているものです.
このコラムではそのデスクトップを大きく左右する 色々な WindowManager を取り上げながら, Linux ではこんなこともできるという例を, 紹介しようと思います.
去年行われた Webmaster の オフラインミーティングにて, Linux の スクリーンショットをページに載せようという話が出ました. しかし Linux のデスクトップというのは, ご存じの通り個人個人の 設定しだいで万華鏡のように姿を変えるものです. Linux のスクリーンショット というものが定義できるのかと言われると, 筆者の答えは NO です (真っ黒なコンソールのログイン画面なら 確かに Linux のスクリーンショット と言えるかもしれませんが、そんなの載せても面白くないですよね). そのかわりということでこのコラムを書くことにしました.
それでは「WindowManager で遊ぼう」のはじまりです.
世の中には沢山の WindowManager がありますが, その中でも群を抜いて多い種族が, このモノマネ系 WindowManager ではないでしょうか (その他の種族には機能系, ビジュアル系, 商用系などが挙げられます).
実際にどのようなものかというと, 巷で良く見る WindowsXX や MacOS などの GUI に似せて作られた WindowManager です.
百聞は一見に如かず. まずはこの画面を見てください.
これは, [qvwm] という WindowManager です. q=9 v=5 と書けば名前の由来が分かりますね. そうです, Windows95 をまねた WindowManager です. 最近は名前とはちょっと違ってきて, Windows98 にそっくりになってきました. 開発なさっているのが日本の方なので, 日本語は当然サポートしています. Windows から Linux に移行したばかりの方や, Windows 以外の OS の 利用に抵抗のある方には最適な WindowManager ではないでしょうか.
デスクトップ上のアイコンたちは飾りではなく, しっかり機能します. 本物の Windows と同じように, マウスでドラッグして デスクトップ上の自分の好きな位置に配置することができます. アイコンの整列だってできちゃいます. タスクバーは画面の一番下に表示されていますが, これも本物と同じように, 画面上・画面下・画面右・画面左 の 好きなところに配置できます.
この画面の上で動いているのは, 日本語化された Netscape Commumicator と Mule です. Netscape の日本語化については, 「Japanized Netscape in Linux」などをご覧下さい. この日本語化 Netscape では, メニュー等が日本語化されているだけではなく, kinput2 を用いた日本語入力もサポートされています.
私は Accelerated-X Version 4.1.2 を利用しているのですが, そこに, X-TT module を追加して, TrueType Font が利用できるようにしています.
お次はこれです.
これもまた見覚えのある画面ですね. これは [mlvwm] という MacOS をまねた WindowManager です. 画面右上の本来ならアップルマークがあるべき部分が ただの赤い丸になっていますが, 設定次第で本物と同じカラフルなアップルマークにすることも可能です. 画面のデコレーションは, MacOS8.x の物とそれ以前の物とから選択できます. メニューバー上のメニューは, アプリケーションごとに設定することができます.
画面上で動いているのは, 日本語化された GIMP-1.0.2 です. GIMP はUNIX 系 OS 上で動くフリーなフォトレタッチソフト(画像編集ソフト)で, Photoshop にも負けない機能を持っています. こういうソフトを動かしていると, 本当に MacOS のようですね. X-TT の誕生により Font 不足も一気に解決されました.
次はこれです.
これは [Window Maker] という NeXTSTEP をまねた WindowManager です. 同じく NeXTSTEP をまねたものに AfterStep というものもあります. とはいえ, NeXTSTEP を実際に触ったことが無い方が多いと思うので, 本当に似ているかどうかは分からないかも知れませんね. (すみません, 筆者自身も実際に動いているところを見たことがありません) 最近のヴァージョンでは KDE や GNOME (の機能) を取り込むことが出来るようです.
特徴は, 簡単に外見を変えられるテーマ・スタイル機能と, リアルタイムで設定を変更できる設定用ツール Window Maker Preferences Utility でしょう. これらを利用することにより各種の設定を初心者でも容易に行うことができます. また gettext がインストールされている環境では, 設定用ツールの国際化 (日本語化) もできるようです.
画面上で動いているのは, kterm と tkdesk, smix, x11amp-0.7 です.
私は Window Maker の Dock 機能は使わずに tkdesk を使っています. tkdesk には FileManager 等の機能もあり, 非常に便利です.
x11amp は, 最近流行りの MP3 File を再生するためのアプリケーションです. Windows 上で動く Winamp の Unix 版だと思って頂ければ良いでしょう. Version 0.9 から Source 配布されるようになり, 今まで利用できなかったグラフィックイコライザ機能などが利用できるようになりました.
この他にも, Windows95 風の fvwm95 や NeXTSTEP 風の Bowman, Amiga 風の amiwn など, 探せば色々あると思います. 皆さんも是非探してみてください.
次回は, fvwm などの人気の高い WindowManager を中心に 紹介していきたいと思います.