エーアイ出版 様のご厚意により, 書籍
"10 分でできる! Linux サーバー" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて公募を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
エーアイ出版 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
Linux 導入後半年以上経ち, 概略のシステムの動きも理解できるようになり, カーネル再構築やパッケージの導入・作成も ML などを参考にしたりあるいは質問して, 何とか操れるようになったのが現状です. ネットワークにはダイヤルアップで接続してきましたが, 昨今の通信の自由化動向に乗ってか, 地区の CATV でも 本年 3 月よりインターネットの常時接続サービスを始めることになりました. Linux 関連の情報は, インターネット経由で収集することが多く, 最新のパッケージファイルのダウンロード等 通信コストが今後増大しそうですので, この際乗り換えようと考えています. 今回の対象は, インターネット常時接続環境を 容易に実現できることを目的にされているようですので, CATV での常時接続移行を前に予習をさせていただけたらと思い, 名乗りをあげさせてもらいました.
サーバ構築に関する用語がわかりやすく説明されています. 本文中の図による解説の他, 欄外にも補足説明があり親切です. 入門的に関連情報を得るには良い教材だと思います.
simple server のインストールと LAN を構築するためのクライアント側の設定について書いてあります. インストールはステップごとに画面のハードコピーとその解説がしてあります. クライアント側としては Windows と MacOS について, LAN とメールの設定が書いてあります. サーバの動作確認のための設定ですが, LAN 環境に接続したことのある人なら周知の内容です.
本書の中心かと思いますが, 画面のハードコピーを多数使用してステップごとに解説があります. 実際に simple server を設定する場合には役に立つでしょう.
サーバを運営していく上での, セキュリティ関連の考えかたを中心に分かりやすい説明があります.
想定されるトラブルについての説明です.
『10 分でできる! Linux サーバ』とありますが, Linux サーバとはサークル・ワン社の『simple server』のことであり, 第 3 章, 第 4 章を中心に simple server に特化した説明がされています. 説明は図が豊富で分かり易いとは思いますが, やっている作業の意味とか, 実際に設定しているファイル等の付加的な解説がなく, 『simple server』のインストール作業の手引きとして以外の目的では, 得るものは少ないと思います. また, Windows や Mac の設定についても詳しく説明がありますが, サーバーを導入しようとする人は, おそらくこのあたりのことはご存知ではないでしょうか. 逆に, これらを知らずに本書だけでサーバーを導入・運用していくのは 難しいのではないでしょうか. また, 体験版の CD-ROM が付録についているので, 実際に本書に従ってインストールしてみれば良かったのでしょうが, 残念ながら, あいているマシンが無く作業していないのでわかりませんでした.
説明してある内容からして, 『10 分でできる』とは短時間でできるとか, 間違い無くできるという意味でとっておいたほうが良いでしょう.
付録の CD-ROM は体験版インストールであっても, ディスク全体をフォーマットしてしまうので, 他のシステムとの共存環境を構築している場合は注意が必要です.
simple server の導入を検討している人. ネットワーク関連の用語をとりあえず知りたい人, サーバー構築の作業はどんなものか知りたい人 (内容は入門的でチョット高い) 辛口に言えば, 『simple server』の評価版を 2500 円で買った, ということでしょうか.
NTT の独占体制 (何か Microsoft に似た体質なのでは, と思ってしまうのは私だけでしょうか?) が長く続いたため, 日本の internet への接続環境は高価なままでした. しかし, ここへ来て新たな回線を利用しての常時接続サービスが広まりつつあり, NTT でも既存の電話回線を用いての安価な高速回線の計画があるそうですね. もうしばらくすれば日本全国どこへ行っても, 常時接続月 5000 円, なんてことになるのかも知れません. そうなって初めて単なるブームとしてではなく, mail service や Web service, そして Linux が定着するのでははないでしょうか. やはり, ずっとつなぎっぱなしということになれば Linux の出番でしょう.
MS の NoTorious (悪名高い) なサーバが, 少なくとも安定性では Linux とは比較にならない, ということはもう多くの人が耳にしていることだと思います. 今まで Linux に触れたこともないがとにかく安定したサーバを立ち上げたい, という人はこれからだいぶ増えるのではないでしょうか. この本は, そういう人にはうってつけの本だと思います. ただし, あくまでも「とりあえず」動かすための本としてです. どの本も同じかも知れませんが, その先のアップデートやクラッカー対策などは, やはりこの本だけでは心許ないです (というかほとんど書いてない).
タイトルからも判る通り, とにかくインストール, セットアップが中心です. 付録の CD-ROM には simple server の試用版 (3 時間) が入っており, 継続して使用する場合には製品版 (39000 円) を購入しなければなりません. ただ, この本に入っている葉書を使えば 30000 円ですむのでそれだけでも「買い」かも知れません.
乗りとしては Windows 系の「できる! 」シリーズに近いかそれを意識して書かれたんだと思います. 「とりあえず Linux でサーバを立ち上げたい! 」という人にはおすすめですね. スタンスも Windows 寄りだった気がしますし, , . ただ, コンピューター (あるいは Linux Box) を Black box として扱わせるような姿勢が随所に見受けられます. Linux を使ってネットワークを勉強しようとしているような人には残念ながらおすすめできません. まぁ, きっと時代のニーズに応えた本なんでしょうね. もしかしたら来年あたりには「ニッポンで一番売れている! 」 Linux 本になっているのかもしれません. ^_^
ブックレビュー. 僕のもくろみはみごとにハズれました. Slack 育ちの僕が, パッケージ管理の仕組みを持つディストリビューションを使ってみる, と. その比較 (うーん. 管理が容易だ みたいな) をしてみると面白いかなぁ, と思って応募してみたものの, セットアップしてから 3 時間で使えなくなるのでは, 試験運用も何もなくなっちゃったわけです (笑)
と, 愚痴ってても仕方ないので, まず本にしたがって, そのままやってみました.
このディストリビューションが対応するカード類は PCI だけであることが分かったので, ISA の NIC ( NE2000 コンパチ) を PCI の NE2000 コンパチに差し替えて, 同じく ISA の SCSIを取り外しました(SCSIは動作対象外です). うーむ. これじゃ, IRQ とかカーネルオプションをくれてやる必要がなくなって, いまいち面白くないなぁ.
で, BIOS を CD-ROM ブートに切り替えて, インストール開始. なるほどなるほど. 8 倍速 CD-ROM, AMD の P133, 42 MB のメモリ, 古い (今となっては低速の) IBM750MB の HDD でも, ほんとうに 10 分もあればインストールは終わりました. すげぇなあ...
通常の (素の?) ディストリビューション (Red Hat とか Debian/GNU) に比べて自由度 (コンフィグレーションやハードウエア構成) が少ないのと引き換えに, とっつきやすく, ともかく動くサーバが作れちゃうの製品コンセプト. おー. 何かに似ていると思ったら, 本文中にも触れられているプロサーバ for Linux (富士マグネディスク)と同系ですね.
後者は確か, X ベースの管理画面があって (ですからそれなりにグラフィックスカードの問題を抱えちゃうわけだけれども), そこからいじる, と. 前者は, 最初から X をアテにしないで, テキストベースで運営していくと.
後者は, コンソールでの使用をまず考えていて, 前者は, まぁ, telnet でもできますよ と. どっちを選ぶのかは, 諸事情に応じて, ということになるんだろうけれど, 管理ツールならば, /bin/linuxconf とか /usr/sbin/setup とかもかなり強力だと思うし, httpd が動いているのだったら, HDE-WUI なんかもあるし...
初心者向けと言うことならば, なるべく選択肢の幅を狭くして, 初期段階で悩まないようにすることが必要そうに見えるけれど, でも, 実際に設定させる内容が, どうしても TCP/IP の基礎知識とか, usr 管理のポリシーなんか 初めての人にとっての難解さが顔を出してきてしまうように思えます.
切れないナイフほど危ないものはない みたいなコトバがあって, それは, ナイフが切れないと余計な力をかけねばならないから, かえって事故が起きる. 逆に切れるナイフは危ないように思えるけれど, 軽く切ることができるから, ケガをしない. そういう意味では, 最初から, Linux は, めちゃめちゃ切れるナイフなんだと思って接してもらうことも, 必要なんじゃないかしら.
で, 商品の感想文みたいになってしまったけれど, この本自体は, よく出来ていると思います. ただ, 傍注が, 同一ページに複数のマークがある場合, どれがどれに対応しているのかが分からなくなってしまうところが, ちょっと難儀かな.
その他にも, 不必要な daemon は立ち上げるな, とか , samba のクライアントから WindowsNT を抜いてあるところなど, 非常に注意深く書かれたものであることが分かりました.
最後に, この機会を与えていただいた皆様に感謝いたします. けっこう, 楽しめました. ありがとうございました.
私は, 今まで Linux と言うと Slackware というディストリビューションしか使用した事がなく, 10 分で出来る Linux サーバと聞いた瞬間どんなものかとわくわくしました. 実際, レビューの本が届いて驚いたのは Linux 系の本にありがちな分厚いものではなく, 全 255 ページという薄い本だったことでした.
本の構成は, タイトルが Linux サーバという点だけあって, 第 1 章ではクライアントとサーバ及びその他必要となる一般知識を説明しています. この部分は, ネットワークの仕組みやクライアント・サーバのシステムについて基礎的な事項が簡潔に説明してあります. 特に, この本のターゲット層が常時接続線を引く予定だがなにをしたらいいか分からないという方々だろうと思われるので, 所々の説明がくどかったり, 飽きてきたりする部分もありますが, 必要最低限の基礎知識が記述されているのでターゲット層に関してはかなり有用な情報ではないでしょうか. 2 章では, この本の付属であり, 題材としている Debian GNU/Linux をベースにした simple server のインストールとプライベート LAN の設定を紹介しています. 3 章では, 常時接続の際の設定例とサーバの設定のカスタマイズの仕方が紹介されています. 4 章になると, 最近話題に上がっていますがセキュリティ関係の話で, 5 章は陥り易いネットワークのトラブルの解決法が説明されています.
私は自宅に 3 台パソコンを所持していますので, その 1 台であるメーカー製の DynaBook Satellite2520 に始めに試してみました. とりあえず, 本の通りにインストールを進めていくと, 何故か lilo の立ち上がりの部分で途中停止・リブートの憂き目に会い, 時間もないので自作タワー PC の方でインストールする事としました. タワー PC の方では, トラブルも無くさすがに10 分とは行きませんでしたが, 非常に作業が簡単ですぐにネットワーク経由で WWW 閲覧や SAMBA 共用が出来るようになりました.
あまりにあっけなく, インストール及び設定が終わったのでかなり拍子抜けな感じでしたが, 初めて Linux を使ってみる方には, Windowsをインストールする感覚で扱えるのでかなり楽ではないかと思います.
又, 会社や家庭で常時接続線を検討しているが自前でサーバを立てるのは難しそう, 又は, 知識が足りなくて大変そうと言った方がとりあえずその場しのぎで使うにはいいかと思います. もちろん, 知識を蓄えた後でもそのまま使い続けるのもいいでしょう. 開発会社のサイトを少し見た感じでは, かなりまめにバグの修正や更新情報等が記載されておりましたので安心出来るかと思います.
私は今までご参加されているレビュアーの皆様のように Linux をバリバリ使っているわけではなく, まだまだ Windows98 の使用頻度が高い Linux 初心者です. しかし今回,「10 分でできる」の文字に惹かれ, 本当に苦労しないでもサーバーが簡単に構築できるものなのだろうか? と半信半疑で応募しました. あくまでも初心者の視点であることをお断りしておきます.
とにかく丁寧に「ネットワークの基礎」について述べられています. ネットワーク入門者には最適な内容です.
構築するモデルパターンの紹介に,必要な機器などが述べられています. その後, ステップごとに画面のハードコピーを持ちながら インストールの解説がなされています. 設定や動作確認について判りやすい構成になっています.
2 章と同じく, ステップごとに画面のハードコピーを持ちながら インターネットへの接続準備や各種設定などが解説されています. 設定変更についてもきちんと書かれているのが好感を持てました.
simple server を運用して行く上での セキュリティ保全についての設定などが, 詳しく述べられています.
サーバーとして動作しない場合のトラブルシューティングで, 全般的に「サービスがつながらない」場合を中心に構成されています. トラブル解決フローチャートは便利です.
この書籍は, Linux に触れたことはあるが, まだ各種サーバーの構築などは行ったことがない, または難しいのではないかと避けている. というような方々を対象としているようです. その点, 私には最適な書籍だったわけですが・・・・.
サーバーの構築には, 機能を絞り込んだ安定度の高いディストリビューションである Debian をベースに, サークル・ワン社の simple server の試用版 (3 時間) をセットにした "サーバー自動構築 CD-ROM" を用いることにより, わずか 10 分間という時間でサーバーの構築を実現しています. はっきり言うと, 書籍というよりも 『解説本付き simple server 評価版 CD-ROM』といった感じです.
私も自宅の自作機に早速インストールしてみましたが, 確かに問題も起こらず 10 分強でインストールすることができました. これにはちょっと感動してしまいました. しかし注意すべきは, 簡便性の点からこの自動インストールは, PC のハードディスクに対して上書き状態でシステムを構築するため, 試用版とはいえ, インストールした PC は その後 OS を再インストールしないと使えなくなるという点です. また, インストール形式を選ぶことができないため, 他の OS と併用できないのもちょっと物足りないところかもしれません. また, 構築が 10 分という点からか, 試用時間が 3 時間とかなり短時間である点もかなり驚きました. 内容から言って 3 時間というのはしょうがないのでしょうか. ですから, インストールをした後でゆっくりと本を読みながら勉強, という方法はちょっと避けたほうが良いかもしれません.
本の内容で気になった点としましては, サーバーの構築までを簡単に行える! というのを前面に出しているからか, ディストリビューションのアップデート等が 発生した場合についての対応方法の記載がありません. これは意図的なのでしょうか? ちょっとひっかかりました.
とはいえ Linux サーバーの構築が, こんなに簡単にできるとは思ってもみませんでした. この書籍は, 私のような不精派や, Linux サーバーを気軽に試してみたい, または勉強してみたいという方はもちろん, simple server の導入を検討している方にも, simple server の 5000 円割り引き優待購入権付きなので, 2,500 円を払っても損はない一冊だと思います.
最後になりましたが, レビューの機会を与えてくださいました「エーアイ出版」 ブックレビュー企画担当の方に改めて感謝申し上げます. ありがとうございました.