10 分でできる! Linux サーバー レビュー

10 分でできる! Linux サーバー レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

エーアイ出版 様のご厚意により, 書籍 "10 分でできる! Linux サーバー" を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて公募を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

エーアイ出版 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 水谷 浩 (cas07290@pop16.odn.ne.jp) さん (HomePage)

Linux の使用歴
9 ヶ月
UNIX の使用歴
10 数年以前に数年間
Linux Box の主な用途
趣味
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows 98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
3:7

はじめに

Linux 導入後半年以上経ち, 概略のシステムの動きも理解できるようになり, カーネル再構築やパッケージの導入・作成も ML などを参考にしたりあるいは質問して, 何とか操れるようになったのが現状です. ネットワークにはダイヤルアップで接続してきましたが, 昨今の通信の自由化動向に乗ってか, 地区の CATV でも 本年 3 月よりインターネットの常時接続サービスを始めることになりました. Linux 関連の情報は, インターネット経由で収集することが多く, 最新のパッケージファイルのダウンロード等 通信コストが今後増大しそうですので, この際乗り換えようと考えています. 今回の対象は, インターネット常時接続環境を 容易に実現できることを目的にされているようですので, CATV での常時接続移行を前に予習をさせていただけたらと思い, 名乗りをあげさせてもらいました.

概略の内容

第 1 章 コンピュータネットワークとサーバ

サーバ構築に関する用語がわかりやすく説明されています. 本文中の図による解説の他, 欄外にも補足説明があり親切です. 入門的に関連情報を得るには良い教材だと思います.

第 2 章 simple server による LAN サーバ構築

simple server のインストールと LAN を構築するためのクライアント側の設定について書いてあります. インストールはステップごとに画面のハードコピーとその解説がしてあります. クライアント側としては Windows と MacOS について, LAN とメールの設定が書いてあります. サーバの動作確認のための設定ですが, LAN 環境に接続したことのある人なら周知の内容です.

第 3 章 simple server によるインターネットサーバ構築

本書の中心かと思いますが, 画面のハードコピーを多数使用してステップごとに解説があります. 実際に simple server を設定する場合には役に立つでしょう.

第 4 章 simple server の運用, 管理

サーバを運営していく上での, セキュリティ関連の考えかたを中心に分かりやすい説明があります.

第 5 章 トラブルシューティング

想定されるトラブルについての説明です.

全体の印象

『10 分でできる! Linux サーバ』とありますが, Linux サーバとはサークル・ワン社の『simple server』のことであり, 第 3 章, 第 4 章を中心に simple server に特化した説明がされています. 説明は図が豊富で分かり易いとは思いますが, やっている作業の意味とか, 実際に設定しているファイル等の付加的な解説がなく, 『simple server』のインストール作業の手引きとして以外の目的では, 得るものは少ないと思います. また, Windows や Mac の設定についても詳しく説明がありますが, サーバーを導入しようとする人は, おそらくこのあたりのことはご存知ではないでしょうか. 逆に, これらを知らずに本書だけでサーバーを導入・運用していくのは 難しいのではないでしょうか. また, 体験版の CD-ROM が付録についているので, 実際に本書に従ってインストールしてみれば良かったのでしょうが, 残念ながら, あいているマシンが無く作業していないのでわかりませんでした.

説明してある内容からして, 『10 分でできる』とは短時間でできるとか, 間違い無くできるという意味でとっておいたほうが良いでしょう.

付録の CD-ROM は体験版インストールであっても, ディスク全体をフォーマットしてしまうので, 他のシステムとの共存環境を構築している場合は注意が必要です.

こういう人にお勧め

simple server の導入を検討している人. ネットワーク関連の用語をとりあえず知りたい人, サーバー構築の作業はどんなものか知りたい人 (内容は入門的でチョット高い) 辛口に言えば, 『simple server』の評価版を 2500 円で買った, ということでしょうか.


Reviewed by 遠藤友規 (iamtomo@nrim.go.jp) さん

Linux の使用歴
4 年
UNIX の使用歴
2 〜 3 年 (HP-UX, Solaris をごくたまに触る程度)
Linux Box の主な用途
文書作製 (LaTex, Emacs, SKK), 画像処理, 表計算
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows 95
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
自宅では 99.9 : 0.1, バイト先では 0 : 100

始めに

NTT の独占体制 (何か Microsoft に似た体質なのでは, と思ってしまうのは私だけでしょうか?) が長く続いたため, 日本の internet への接続環境は高価なままでした. しかし, ここへ来て新たな回線を利用しての常時接続サービスが広まりつつあり, NTT でも既存の電話回線を用いての安価な高速回線の計画があるそうですね. もうしばらくすれば日本全国どこへ行っても, 常時接続月 5000 円, なんてことになるのかも知れません. そうなって初めて単なるブームとしてではなく, mail service や Web service, そして Linux が定着するのでははないでしょうか. やはり, ずっとつなぎっぱなしということになれば Linux の出番でしょう.

本書の紹介

MS の NoTorious (悪名高い) なサーバが, 少なくとも安定性では Linux とは比較にならない, ということはもう多くの人が耳にしていることだと思います. 今まで Linux に触れたこともないがとにかく安定したサーバを立ち上げたい, という人はこれからだいぶ増えるのではないでしょうか. この本は, そういう人にはうってつけの本だと思います. ただし, あくまでも「とりあえず」動かすための本としてです. どの本も同じかも知れませんが, その先のアップデートやクラッカー対策などは, やはりこの本だけでは心許ないです (というかほとんど書いてない).

本書の構成

タイトルからも判る通り, とにかくインストール, セットアップが中心です. 付録の CD-ROM には simple server の試用版 (3 時間) が入っており, 継続して使用する場合には製品版 (39000 円) を購入しなければなりません. ただ, この本に入っている葉書を使えば 30000 円ですむのでそれだけでも「買い」かも知れません.

第 1 章 コンピューターネットワークとサーバ
大体お約束通りに「ネットワークの基礎」の章ですね. 「コンピューターネットワークとは」に始まり, それぞれのサーバの役割, 用語説明や, クライアントについてのこと, OS のことなどが書いてあり, 最後に本書で説明している simple server について述べられています. この章の説明は簡潔ではありますが, 判り易い説明で書かれており, よく理解できると思いました.
第 2 章 simple server で作る LAN サーバ
まず構築しようとするモデルパターンについて述べてあり, その後それに必要な機器, インストール, 設定や動作確認について書かれています. 最初に目的となるモデルパターンを提示する, という方法は後々の理解を助ける上でとてもいい構成です.
第 3 章 simple server で作るインターネットサーバ
インターネット接続への準備や設定などについて書かれていますが, 後半には設定変更についても書かれており, 状況に併せて設定を変える時にインデックス的に用いることが出来ると思います.
第 4 章 simple server の運用管理
simple server を運用して行く上でのセキュリティ保全について, ファイルサーバの置き場所, シェル, FTP の設定などについて書かれています.
第 5 章 トラブルシューティング
インストール, 設定を主眼に置いている本ですから, 内容は「つながらない」場合に終始します. とはいえ, 実際にトラブルとして問題になるような場合は大体この章の内容で対処できるのではないでしょうか.

気になった点

説明がくどい
判りやすさ, ということを考えれば仕方ないことかも知れませんが, 所々「何もそこまで…」, と思う部分もありました. 例えばルータとサーバの接続の所で, ローゼットをルータに「パチンと音がするまで押し込み確実に接続…」 という表現が繰り返し出て来るのはいかがなものかと思います.
アップデートについて書いていない
Linux の最大の利点と言えばやはりセキュリティホールが見つかった時などの対応の素早さでしょう. しかも simple server の元になっているディストリビューションはパッケージ管理の美しいことで知られる Debian です (私も Slink を使っています). セキュリティホールの情報の仕入れかた, パッチのあてかたなどが書いてないことには宝の持ち腐れになってしまうと思うのですが…. 私が「始めに」で, この本だけでは心許ない, と述べたのはそういうことです.
抜けがある
といっても 1 ヶ所だけでしたが. p.226 〜 p.227 の部分で/etc/passwd を (vi で) 書き換えて… ということが書いてあるのですが, ここの記述で入力モードへの入り方が抜けてます. :wq は書いてあるので多分著者の方の書き忘れだと思います. 挙げ足取りみたいですみませんが, 気になる部分でした. 私の気付いた所はそれだけです.
simple server の試用期間が短い
これはこの本の内容ではありませんが, サーバの試用期間が 3 時間というのは少し短かい気がします. どうせ動かしっ放しになるのですから, 1 週間とか長い期間にして安定性を実感してもらえば導入する企業や個人も逆に増えるのではないかと思うのですが. 30000 円 (さっき書き忘れましたが送料, 手数料, 消費税込みです) を節約するために毎週いちいちサーバを落としてインストール, 設定し直し…なんて人もいないでしょう. … それともそういうもんなんですか?素人の浅はかな考えでした.

全体を通して

乗りとしては Windows 系の「できる! 」シリーズに近いかそれを意識して書かれたんだと思います. 「とりあえず Linux でサーバを立ち上げたい! 」という人にはおすすめですね. スタンスも Windows 寄りだった気がしますし, , . ただ, コンピューター (あるいは Linux Box) を Black box として扱わせるような姿勢が随所に見受けられます. Linux を使ってネットワークを勉強しようとしているような人には残念ながらおすすめできません. まぁ, きっと時代のニーズに応えた本なんでしょうね. もしかしたら来年あたりには「ニッポンで一番売れている! 」 Linux 本になっているのかもしれません. ^_^


Reviewed by 佐藤 雅信 (stx@mascat.nihon-u.ac.jp) さん

Linux の使用歴
1997 年 6 月から現在に至る
UNIX の使用歴
商標登録"UNIX"の使用歴はありません.
Linux Box の主な用途
ファイルサーバなどとして
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
確か, 最初のパーティションに Windows98 が入っているはずだけども, Boot したことナシ (笑)
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
2 対 8 くらい (仕事では Windows なので・・)

[副題] 10 分でできる Linux サーバの試用版は 3 時間で使えなくなる (笑)

ブックレビュー. 僕のもくろみはみごとにハズれました. Slack 育ちの僕が, パッケージ管理の仕組みを持つディストリビューションを使ってみる, と. その比較 (うーん. 管理が容易だ みたいな) をしてみると面白いかなぁ, と思って応募してみたものの, セットアップしてから 3 時間で使えなくなるのでは, 試験運用も何もなくなっちゃったわけです (笑)

と, 愚痴ってても仕方ないので, まず本にしたがって, そのままやってみました.

このディストリビューションが対応するカード類は PCI だけであることが分かったので, ISA の NIC ( NE2000 コンパチ) を PCI の NE2000 コンパチに差し替えて, 同じく ISA の SCSIを取り外しました(SCSIは動作対象外です). うーむ. これじゃ, IRQ とかカーネルオプションをくれてやる必要がなくなって, いまいち面白くないなぁ.

で, BIOS を CD-ROM ブートに切り替えて, インストール開始. なるほどなるほど. 8 倍速 CD-ROM, AMD の P133, 42 MB のメモリ, 古い (今となっては低速の) IBM750MB の HDD でも, ほんとうに 10 分もあればインストールは終わりました. すげぇなあ...

通常の (素の?) ディストリビューション (Red Hat とか Debian/GNU) に比べて自由度 (コンフィグレーションやハードウエア構成) が少ないのと引き換えに, とっつきやすく, ともかく動くサーバが作れちゃうの製品コンセプト. おー. 何かに似ていると思ったら, 本文中にも触れられているプロサーバ for Linux (富士マグネディスク)と同系ですね.

後者は確か, X ベースの管理画面があって (ですからそれなりにグラフィックスカードの問題を抱えちゃうわけだけれども), そこからいじる, と. 前者は, 最初から X をアテにしないで, テキストベースで運営していくと.

後者は, コンソールでの使用をまず考えていて, 前者は, まぁ, telnet でもできますよ と. どっちを選ぶのかは, 諸事情に応じて, ということになるんだろうけれど, 管理ツールならば, /bin/linuxconf とか /usr/sbin/setup とかもかなり強力だと思うし, httpd が動いているのだったら, HDE-WUI なんかもあるし...

初心者向けと言うことならば, なるべく選択肢の幅を狭くして, 初期段階で悩まないようにすることが必要そうに見えるけれど, でも, 実際に設定させる内容が, どうしても TCP/IP の基礎知識とか, usr 管理のポリシーなんか 初めての人にとっての難解さが顔を出してきてしまうように思えます.

切れないナイフほど危ないものはない みたいなコトバがあって, それは, ナイフが切れないと余計な力をかけねばならないから, かえって事故が起きる. 逆に切れるナイフは危ないように思えるけれど, 軽く切ることができるから, ケガをしない. そういう意味では, 最初から, Linux は, めちゃめちゃ切れるナイフなんだと思って接してもらうことも, 必要なんじゃないかしら.

で, 商品の感想文みたいになってしまったけれど, この本自体は, よく出来ていると思います. ただ, 傍注が, 同一ページに複数のマークがある場合, どれがどれに対応しているのかが分からなくなってしまうところが, ちょっと難儀かな.

その他にも, 不必要な daemon は立ち上げるな, とか , samba のクライアントから WindowsNT を抜いてあるところなど, 非常に注意深く書かれたものであることが分かりました.

最後に, この機会を与えていただいた皆様に感謝いたします. けっこう, 楽しめました. ありがとうございました.


Reviewed by 堀 正人 (dasuto@on.rim.or.jp) さん

Linux の使用歴
2 年 (自宅使用歴 1 年)
UNIX の使用歴
3 年 (主にクライアント用途)
Linux Box の主な用途
サーバ用途 CGI 練習
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
WindowsNT4.0 server
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : other OS = 1 : 9

始めに

私は, 今まで Linux と言うと Slackware というディストリビューションしか使用した事がなく, 10 分で出来る Linux サーバと聞いた瞬間どんなものかとわくわくしました. 実際, レビューの本が届いて驚いたのは Linux 系の本にありがちな分厚いものではなく, 全 255 ページという薄い本だったことでした.

本の構成

本の構成は, タイトルが Linux サーバという点だけあって, 第 1 章ではクライアントとサーバ及びその他必要となる一般知識を説明しています. この部分は, ネットワークの仕組みやクライアント・サーバのシステムについて基礎的な事項が簡潔に説明してあります. 特に, この本のターゲット層が常時接続線を引く予定だがなにをしたらいいか分からないという方々だろうと思われるので, 所々の説明がくどかったり, 飽きてきたりする部分もありますが, 必要最低限の基礎知識が記述されているのでターゲット層に関してはかなり有用な情報ではないでしょうか. 2 章では, この本の付属であり, 題材としている Debian GNU/Linux をベースにした simple server のインストールとプライベート LAN の設定を紹介しています. 3 章では, 常時接続の際の設定例とサーバの設定のカスタマイズの仕方が紹介されています. 4 章になると, 最近話題に上がっていますがセキュリティ関係の話で, 5 章は陥り易いネットワークのトラブルの解決法が説明されています.

本構成のポイント

実際にインストールしてみて (アクシデント発生)

私は自宅に 3 台パソコンを所持していますので, その 1 台であるメーカー製の DynaBook Satellite2520 に始めに試してみました. とりあえず, 本の通りにインストールを進めていくと, 何故か lilo の立ち上がりの部分で途中停止・リブートの憂き目に会い, 時間もないので自作タワー PC の方でインストールする事としました. タワー PC の方では, トラブルも無くさすがに10 分とは行きませんでしたが, 非常に作業が簡単ですぐにネットワーク経由で WWW 閲覧や SAMBA 共用が出来るようになりました.

終わりに (お勧めの対象)

あまりにあっけなく, インストール及び設定が終わったのでかなり拍子抜けな感じでしたが, 初めて Linux を使ってみる方には, Windowsをインストールする感覚で扱えるのでかなり楽ではないかと思います.

又, 会社や家庭で常時接続線を検討しているが自前でサーバを立てるのは難しそう, 又は, 知識が足りなくて大変そうと言った方がとりあえずその場しのぎで使うにはいいかと思います. もちろん, 知識を蓄えた後でもそのまま使い続けるのもいいでしょう. 開発会社のサイトを少し見た感じでは, かなりまめにバグの修正や更新情報等が記載されておりましたので安心出来るかと思います.


Reviewed by 黒澤 真美 (goma@kk.iij4u.or.jp) さん (PC-LABO)

Linux の使用歴
初心者
UNIX の使用歴
昔 1 年ほど仕事で使用
Linux Box の主な用途
web サーバーとして (勉強中)
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
ありません (マシンを分けているため)
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
1 : 9 (まだまだ Windows95 や 98 のほうが断然多いです)

■はじめに

私は今までご参加されているレビュアーの皆様のように Linux をバリバリ使っているわけではなく, まだまだ Windows98 の使用頻度が高い Linux 初心者です. しかし今回,「10 分でできる」の文字に惹かれ, 本当に苦労しないでもサーバーが簡単に構築できるものなのだろうか? と半信半疑で応募しました. あくまでも初心者の視点であることをお断りしておきます.

■本書の構成

第 1 章 コンピューターネットワークとサーバ

とにかく丁寧に「ネットワークの基礎」について述べられています. ネットワーク入門者には最適な内容です.

第 2 章 simple server で作る LAN サーバ

構築するモデルパターンの紹介に,必要な機器などが述べられています. その後, ステップごとに画面のハードコピーを持ちながら インストールの解説がなされています. 設定や動作確認について判りやすい構成になっています.

第 3 章 simple server で作るインターネットサーバ

2 章と同じく, ステップごとに画面のハードコピーを持ちながら インターネットへの接続準備や各種設定などが解説されています. 設定変更についてもきちんと書かれているのが好感を持てました.

第 4 章 simple server の運用管理

simple server を運用して行く上での セキュリティ保全についての設定などが, 詳しく述べられています.

第 5 章 トラブルシューティング

サーバーとして動作しない場合のトラブルシューティングで, 全般的に「サービスがつながらない」場合を中心に構成されています. トラブル解決フローチャートは便利です.

■全体の感想

この書籍は, Linux に触れたことはあるが, まだ各種サーバーの構築などは行ったことがない, または難しいのではないかと避けている. というような方々を対象としているようです. その点, 私には最適な書籍だったわけですが・・・・.

サーバーの構築には, 機能を絞り込んだ安定度の高いディストリビューションである Debian をベースに, サークル・ワン社の simple server の試用版 (3 時間) をセットにした "サーバー自動構築 CD-ROM" を用いることにより, わずか 10 分間という時間でサーバーの構築を実現しています. はっきり言うと, 書籍というよりも 『解説本付き simple server 評価版 CD-ROM』といった感じです.

私も自宅の自作機に早速インストールしてみましたが, 確かに問題も起こらず 10 分強でインストールすることができました. これにはちょっと感動してしまいました. しかし注意すべきは, 簡便性の点からこの自動インストールは, PC のハードディスクに対して上書き状態でシステムを構築するため, 試用版とはいえ, インストールした PC は その後 OS を再インストールしないと使えなくなるという点です. また, インストール形式を選ぶことができないため, 他の OS と併用できないのもちょっと物足りないところかもしれません. また, 構築が 10 分という点からか, 試用時間が 3 時間とかなり短時間である点もかなり驚きました. 内容から言って 3 時間というのはしょうがないのでしょうか. ですから, インストールをした後でゆっくりと本を読みながら勉強, という方法はちょっと避けたほうが良いかもしれません.

本の内容で気になった点としましては, サーバーの構築までを簡単に行える! というのを前面に出しているからか, ディストリビューションのアップデート等が 発生した場合についての対応方法の記載がありません. これは意図的なのでしょうか? ちょっとひっかかりました.

とはいえ Linux サーバーの構築が, こんなに簡単にできるとは思ってもみませんでした. この書籍は, 私のような不精派や, Linux サーバーを気軽に試してみたい, または勉強してみたいという方はもちろん, simple server の導入を検討している方にも, simple server の 5000 円割り引き優待購入権付きなので, 2,500 円を払っても損はない一冊だと思います.

最後になりましたが, レビューの機会を与えてくださいました「エーアイ出版」 ブックレビュー企画担当の方に改めて感謝申し上げます. ありがとうございました.


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