コマンド操作&パッケージ管理 図解でわかる Linux のすべて

図解でわかる Linux のすべて レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

株式会社 日本実業出版社 様のご厚意により, 書籍 "コマンド操作&パッケージ管理 図解でわかる Linux のすべて" を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて公募を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

日本実業出版社 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 橋本 広義 (hasimoto@wao.or.jp) さん

「必携「Linux の歩き方」ガイドブック」

Linux の使用歴
3 年 (実質半年)
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
TeX, 最近は EmacsLisp で「リスト遊び」中
Linux 以外に利用している OS
Windows95/98, BTron
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
会社では Windows98 (95) 100%
家では
3 年前 Linux:Windows:ほか = 40:20:40 (Dos)
1 年前 Linux:Windows:ほか = 10:80:10 (BTron)
現在 Linux:Windows:ほか = 50:40:10 (BTron)

TeX を使いたいと Slackware をインストールしました. 3 年前です. しかし, 世の中 Linux ブームといっても普通の会社では 100% Windows です. 文書は Word で書くオキテもあり, 仕事が忙しくなるにつれて, いつの間にか Windows どっぷりの Computer Life を送っています. が, 長い会社生活にもいよいよ終点が見えてきました. 定年になれば会社支給のソフトは使えません. Word を使う必要もありません.

も一度 Linux をやってみよう! 3 年前, 悪戦苦闘の後, 初めて Login の文字を見た時の感激が蘇ってきました. 決意も新たに新しい Distribution でインストールに再挑戦.

期待に反して (?) あっさりと成功しました. 30 分もかかっていません. なにかピンと来ません. 途方に暮れた感じ? .....居眠りしているうちに見知らぬ外国に 一人置き去りにされていたって感じでしょうか. コトバがわかりません. どっちへ行ったらいいのか. なにをすればいいのか. 分かりやすく親切なガイドブックや地図はないか.......と, ブックレビューに応募しました.

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「図解」だから気楽に読めると読み始めましたが, なかなか濃い内容です. 一気に目を通すというような読み方はできません. 以下は, ぼつぼつ拾い読みの状況と印象です.

最初の 3 章までが全体に必要な基本知識, その後が管理各論といったところでしょうか.

今まで起動する毎に現れ, たちまち流れ去るメッセージを眺めて, いつかこの出所や意味が知りたいなあと思っていました. 1 章に起動の流れが説明されていました. /etc/inittab と/etc/rc.d/ をはじめて覗いてみます. 内容はよく分からないが, あとでゆっくり見るためにとりあえずプリントアウトしておこう. 2 章の shell やコマンドが分かったら意味が読み取れるかも知れません.

プロセスの終了のやり方の説明もありました (2 章). kill とやっても死んでくれなかったり, キイがきかなくなると, Ctrl+Alt+Del や Reset ボタンを押していました. kill -HUP, kill -KILL とやればよかったのか. リモートから login して kill というワザもあった. 成程, Multi User だ. これは一度やっておかなくては..... という具合にボチボチとコマンドを打ち込んだりファイルを覗いたりしています.

4 章の「パッケージ管理」では RPM 系だけでなく, deb 系も丁寧に説明があります. ここでは是非とも, ソースをコンパイルしてインストールする方法を試したい. なにか実用になる練習用のサンプルが欲しいところです.

5 章 X Window System から, 6 章 日本語環境, 7 章 ネットワーク, 8 章 カーネルアップデートまで, 単なるハウツーでなく管理の意味, 背景技術も含めて実行例が丁寧に説明されています. 必要になった時に集中的に読むという形で知識を得, 整理することができます.

本書の素晴らしい点として, インターネットへの道が豊富なリンクにより 適切に指示されていることを挙げることができます. 深く知りたくなったら外部世界へ出て行くことができます. リンクを通じてこの本が Linux Community に開かれていると感じることは感動的です.

コラム, 脚注も拾い読みして目から鱗と随分得した気になります.

すっかりファンになり 「らぶらぶ Linux 「コマンドバージン」のためのシステム管理入門」も買ってきました. 事項の並べ方は「図解」に比べやや並列的な感じがしますが, 初めて通読するにはこちらのほうが適しているかも分かりません. 著者の熱意が感じられる丁寧な労作です.

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体裁など本づくりへの注文

(1) この本を手元常備のレファレンスとして活用するにはインデックスが重要です. 逆引きも含めて索引はよくできていますが, 文字ポイントが小さく字数が詰め込まれていていかにも窮屈です. 老眼には特に辛いものがあります.

目次と一緒に前の方にまとめられている方が 見たいアイテムへのアクセスが楽になると思います. URL も本文中だけでなく別に一箇所にまとめられていると便利です. また, 章扉の頁には, 章内容の小目次が欲しい.

索引も目次と同様に ホームページ に公開していただくと有難いのですが.

(2) 見開き頁に 3 枚以上大きな図表が嵌め込まれると窮屈な感じがします.

図解も多すぎると読む時に注意が散漫になるような気がします. 版型が小さいからかも知れません. 余白がたくさんあり自分でも書き込めるゆったりした体裁の本が好きです. 注は脚注より左右の欄外注のほうが読みやすいように思います.

(3) 私は本を通勤電車で読むために, 部厚い本は章ごとばらして鞄に入れます. 章が奇数頁はじまりになっているのは便利ですが, 索引だけ偶数頁からはじまっているのは不便です.

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この本に案内されて, 少し周囲の景色を見渡せられるようになった気がします. 地図を片手に自分の足で歩き回れる楽しい日々を思い描いています. これからは Linux による Computer Life が楽しめそうです.


Reviewed by 金田 栄治 (DZF06564@nifty.ne.jp) さん

「Linux をいまから始める方や始めて迷った方はまずこの本から!」

Linux の使用歴
1 年半程度
UNIX の使用歴
学生時代に半年
Linux Box の主な用途
Linux の勉強用 (サーバーとして設定を試す)
Linux 以外に利用している OS
Windows98, MacOS, BeOS (お遊び程度)
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
1:9

まず, この「図解でわかる Linux のすべて」という本をレビューするにあたり, コメントを書いている側のレベルを示しておく. 私は Linux をはじめてインストールしてから 1 年半程度の初心者である. また, 日常では Windows/Macintosh といった OS を主に使っている. Linux に関する知識は本を見ながら, 家で Linux をサーバーとして使用し DHCP や Samba, Netatalk 等を使いなんとか LAN を組める程度である. Linux・UNIX 系の雑誌を読むのに, わかりにくい表現に頭を悩ませている程度の知識を持つ者が 書いているものという事を最初にご了承いただきたい.

「図解でわかる Linux のすべて」は 445 ページに及ぶ書籍で

第 1 章Linux はじめの一歩
第 2 章シェルに親しむ
第 3 章ファイル管理とユーザー管理
第 4 章パッケージ管理のポイント
第 5 章X Window System の使いこなし
第 6 章日本語環境の設定と活用
第 7 章ネットワークとセキュリティの実践知識
第 8 章カーネルとシステムの管理

という構成になっている.

それぞれの章がまたいくつかの小さな節から成っており, それぞれの項目で読みきれるような形をとっている.

構成をみていただけばわかるように, それぞれ知っていて当然の項目を網羅してくれている. それら項目は, それぞれの章・節の内容が本当に基礎的なことなので 避けて通る事が出来ない内容だと考える. それぞれの章でコマンドの説明やそのオプションの動作についてなどが記されており, それらの記述はそれほど深くなく基本を押さえるという目的が感じられる. これらの項目を理解しながら読み進めば Linux における基礎中の基礎についての知識が系統的につくようだ.

この本 1 冊で Linux のすべてをまかなうのには不可能だが (当たり前すぎるコメントで申し訳ない), この本はインストールした後, 次のステップを模索している初心者に 「Linux はこんなことができる, あんなことができる」 といった基礎的な事項を提示している. ファイルの構造にはじまり, Win/Mac といった OS では意識しないで行っているような基本的なコマンド (例えば, cp コマンドなど) とそのコマンドに関するオプションの説明がされている.

この本では, 説明が比較的平易な文章を使用してあるので, 私のような「初心者」でもじっくり読めば内容がわかるようになった. 無論, すべての項目ではないが, すくなくとも他の書籍と読み比べてわかりやすい部分が多かったのは事実である. 実際, 雑誌などで使われている表現よりは, 通常の生活で使用されている言葉を選んでくれている配慮が ところどころに見受けられる.

また, 欄外の豆知識や関連事項が載っているページが表示されているので, 関連記事をペラペラと本の中を探さなくてすむ事はありがたいことであるし, 結構役に立つ. この点は, 著者である西村めぐみさんの別著 「らぶらぶ Linux コマンドバージンのためのシステム管理入門」 からひきついだとてもいい点であると感じている. 特に初心者にはどんな小さなことでも解説してもらえるとうれしいものだから.

この本は初心者の方や, やや自信のない中級者の方が, 随時開き読み, コマンドや設定を試し, Linux の基礎を確認していくにはもってこいの書籍と感じる. 実際の細かい設定は他のそれ相応の書籍を準備する必要はあるが… 「Linux をインストールしたけど, 何ができるんだ?」 「雑誌にはこんな事ができると書いてあったが意味がわからん」 という方にはとりあえず所有しておいて, なにかのときにマメに読み込むのにはもってこいの一冊ではなかろうか?


Reviewed by 水谷 浩 (h-miz@kctv.ne.jp) さん

「Linux が判ってきたら, 知識の再確認のために読んでおきたい」

Linux の使用歴
1 年 3 ヶ月
UNIX の使用歴
10 数年以前に数年間
Linux Box の主な用途
趣味 (メール, ネットサーフィン, Linux の勉強, TV の代わり)
Linux 以外に利用している OS
Windows98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
7:3

この本の第 1 印象

今回のレビュー対象は書籍紹介をみると, 私のような個人ユーザーが初級者を脱皮し, 中級者をめざして使い込むための内容であるとの印象を受け, 本が着くのを楽しみにしていました.

さて, 本書を手にした第一印象は, 表題の「図解でわかる〜」にあるように図表が随所に挿入され, また目次をみると「シェル」「ファイル」「ユーザー」 「パッケージ」「ネットワーク」「日本語」「カーネル」といった単語が並び, Linux 全体を網羅して解説の範囲の広さも期待でき, Linux を使い込むための知識を習得するのに これ 1 冊で何とかなると期待できそうです.

本書を読んでみて

全体について

文章は, 翻訳書のシステム解説書にあるような不自然さもなく, 安心して読めます.

また, 図表は, 画面のハードコピーやスクリプトのコピーの他に 内容に応じて解説用の図が挿入されています. 画面のハードコピーも只単にコピーを載せるのでなく, 解説がハードコピーに付記され内容の理解を助けてくれます. また本文の他にコラムと称する囲み記事に チョットしたノウハウ的記述があって, プラスアルファの知識を得ることができます. さらに, ほとんどのページに脚注が付き, 本文で消化しきれなかった内容を補っています.

内容について

「第 1 章 Linux のはじめの一歩」としてインストール関連の内容からはじまり, 第 2 章, 第 3 章と章を追ってシェル関連やファイル管理,ユーザー管理へと, Linux システムの基本的な操作内容がならびます. インストールといっても具体的な作業や操作内容はなく ディストリビューションの違いやインストール環境, 注意事項について書かれ, 初心者用のインストール本との違いが表れています. ここでは, 主にコマンドによる操作について, 表と説明文を用いて解説されています. 体系だった教育を受けた人は, コマンドおよび関連した操作について十分理解されていると思いますが, 適当に過去の知識とやってみて覚えたコマンド操作に頼っている自分としては, 関連操作やよくわからずに適当に自分勝手な解釈をして使っていた操作に対して, 色々な付加機能を知ることができ, これは実はそういうことだったのかと コマンドについて再認識する部分も多々ありました. 例えば, man の全文検索機能についてなどは, 恥ずかしながらこの本でみるまでは知りませんでした.

さらに, パッケージ管理では, ディストリビューションの差異も考慮され, redhat 系, slackware 系, debian 系毎の解説がされています. この本は Vine1.1 をベースに書かれているとのことですが, 他の章でもディストリビューション毎の相違は解説されているので, 特に Vine に特化しているとの印象はありませんでした.

後半では, X Window System を設定するための操作が ウインドウマネジャーの代表的な設定を含めて書かれているのに続いて, 日本語環境の設定, ネットワーク関連, カーネルの再構築とブートローダ関連の内容について書かれ, システム関連の操作については, ほぼ 100% の範囲を包括しています.

不満なところ

操作方法に関しては, パラメータの表も充実して良く解説されていると思うのですが, 逆に操作中心で, 表を多用することにより, 通り一辺の説明に終っている点です.

2, 3 気づいた例をあげると, パッケージ管理について, 操作方法はありますが, パッケージの書き方の詳細説明がありません. ダウンロードまたは雑誌の付録についている CD-ROM から パッケージのインストール / アップデートはできますが, パッケージ作成ができません.

ネットワーク設定では, 設定用のファイル (/etc/hosts, resolv.conf, ...) の説明がありません. ネットワーク設定は色々つまずくことも多い部分であるので, 各使用者別の状況に対応できるような解説が欲しいところです. また, Windows のネットワークカード設定の説明をするくらいなら, むしろ RedHat 系の標準ネットワーク設定ツールである netcfg について説明すべきでしょう.

また, IP マスカレード ipchain についても 紹介概要説明程度で詳細な説明までされるに至っていません. このへんは, 別途ネットワークサーバ関連の本を参照しろということでしょうか.

LILO についても, 設定の説明は一応ありますが, 具体的な動きについての説明がないので, これではマルチブートや 2 段 LILO のパラメータの書き方はわからないのでは無いでしょうか.

あと, kon については数行しか書かれていないのは, GUI を多用する操作の趨勢の結果でしょうか.

最後に

この本を改めて見直してみると, 図表により, コマンド操作がよくまとめられており, 関連 URL も多く記載されています. 多少 Linux の知識をもった中級の人に, コマンドの使い方の範囲を広げる, 摘み食いした知識を補完するためのきっかけを得るために一度読んでみる, また手元に置いて参考書にするために, 推薦できる本だと思います.

よくこうした本には, CD-ROM が付属しているのですが, 雑誌と異なり年単位で書店に置かれる一般書では, バージョンアップに対応できずに, 古いものが同梱されているのを見かけます. 何か無駄な感がしていたのですが本書ではそれがなく, 代わりにダウンロードサイトの URL が記載されている点が, その分、価格に反映できていればという条件が付きますが好感が持てます.

願わくは, 改廃の多い URL を 改訂版のある場合は必ずフォローして欲しいものです.


Reviewed by 室園 真一郎 (sinm@land.linkclub.or.jp) さん

「Linux を独習するための最初の一冊としてお勧め」

Linux の使用歴
約 4 ヵ月
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
Linux およびプログラミングの学習
その他 PC 上での日常作業 (Windows から移行中)
Linux 以外に利用している OS
Windows 98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux (Vine 2.0) : Windows98 = 7 : 3
両方ともクライアント OS として使用しています

結論から

筆者は「はじめに」で, 「自分自身のために運用する "プチ管理者" のための本」 というコンセプトを掲げられており, 本書はそのコンセプトが十分に達成されている本だと思います.

また, 本書の性格はどちらかといえば, 読み物的な面白さよりも, 一種のマニュアル的な性格の方が強いように思います. ですから基本的には自分の必要な箇所だけ読むのが本書の読み方になるでしょう. しかしその一方で, 一通り読むことのできる構成のうまさも持ち合わせています. このことについては次の「本書の特徴」で後述します.

本書の特徴

マニュアル的性格が強いと前述しましたが, それは裏を返せばそれだけマニュアルとして 丁寧に作られていると感じたからでもあります. 以下にそう感じた部分も含めて本書の特徴を列記していきます.

余談ですが「らぶらぶ Linux」のブックレビューを見た限りでは, 西村氏のスタイルが本書にも良く反映されているように感じました. もちろん良い意味で, です.

こんな方に

1) 初めて Linux に触れるという方に

これまで Linux はおろか Unix 系 OS も触ったことのない人が, 自宅の PC で Linux を独習するための参考書としてお勧めです (例えば私など).

ちなみにインストールに関しては 10 ページ程度でさらっと述べているだけです. しかし, 知っておくべきポイントは簡潔かつ分かりやすくまとめられていますし, 私が Linux を始めた頃に比べて インストール作業自体かなり簡単になっているので問題ないと思います.

2) 初心者で, 情報収集を一人でしている方に

周りに詳しい人がいない場合, 情報収集は主にインターネットですることになると思います (私がそうでした). 本書には, 前述した通り各項目に JF などのより深く知るための文書への URL が示されています. Linux はオンラインドキュメントが本当に豊富で内容も有益なものばかりなので, 自分の欲しい情報へより少ないステップで到達できると思います.

気になった点

最後に

ヘッドラインに "最初の" と書いたのにはちょっとした意味があります. 実は私にとって本書の内容は, 大半が既知の情報でやや新鮮味に欠けていたのですが, そこまで知るのに結構苦労した覚えがあります. Linux を始めた頃, 「最初に」本書があったら もっとスキルアップも簡単だったろうなと思うと…… そういう個人的な悔しさも込めてヘッドラインに "最初の" と入れました.

そんなわけで, Linux をこれから始められる方は本書も一緒に購入して, 本書を片手にいろいろと試行錯誤してみることをお勧めします.

最後に, 今回のレビューの機会を下さった関係者の皆様に感謝致します.


Reviewed by 雑賀 巌 (iwaosaika@mail.goo.ne.jp) さん

「一通りインストールできるようになった後で, 一度は読んでおくべき」

Linux の使用歴
約 8 ヶ月
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
イントラネットサーバー
Linux 以外に利用している OS
Windows, MacOS
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Windows : MacOS = 5:3:2

○はじめに

盛りだくさんな内容で 2600 円. これは, Linux 系の月刊誌 2 〜 3 冊分の値段ということを考えると, 十分に安い. どんな人が買うべきか, どんな人は買うべきでないか, 考えてみたい.

○読む前の私について

Linux 自身のインストールは数十回以上. とりあえず, 入門書 (インプレス社 できる Linux シリーズ 3 冊) や雑誌等を読んで, 勤務先のイントラネットの DHCP サーバー, ファイル・プリントサーバー (Samba), Web サーバー (Apache) を何とか動かすことはできるようになっている. しかし, 細かな点でつまづき, なかなか退社できない日々が続いている.

○この本のよい点

解説が特定のディストリビューションに限定されていない. これは, 自分の使いたいソフトのインストール方法などの解説が, いつも自分の使っているのではないディストリビューションでされているとき, 他のディストリビューションについての知識があると読みすすめやすい.

コラムとして, Linux の雑学がのっている. これは, 雑誌の記事などでさらっと流されるが, 実際に使いこなす上で知っていなければ汗と涙を流すことになる事項である.

○役立った項目について

などなど.

○書いてほしかった項目について

・NIS について
NFS についての解説で, 「両マシンのユーザー名とユーザー ID をそろえておきましょう」とあったが, そんな中途半端なことをいわずに, NIS の設定方法について説明してほしかった.
・もっと具体的なシェルスクリプトの書き方
コマンド一覧表が掲載されているのはよいが, 初心者が「シェルを書けるようになった!」という実感を感じることはできなかった. 本当に簡単ではあるが何か実用的なスクリプトを載せるとか, 例題形式で説明するなどもうひと工夫がほしかった.

○期待はずれの点

「図解でわかる」というタイトルであったが, これは疑問. この内容では図解は少し無理か? と思う.

○この本を買ってはいけない人

まだ, 一度も Linux をインストールしたことがない人. このような人は, もっと基本的な入門書を読むべきである.

○この本を買わなければいけない人

私のような人. 言い換えると, 小規模のにわかサーバー管理者ではあるが, 自分の周りに Linux に関する相談相手がいない人. この本は, よい相談者・先生になってくれると思います.

○最後に

内容量は, 雑誌十数冊分くらいの記事に相当する. 小規模のにわかサーバー管理者など, Linux を使いこなす上で, 1 冊は持っておきたい本だ.

ただ, シェルスクリプトを書けるようになりたいと思ってはいるが, この本を 2 週間くらい読んだ今でも, まだ「書こう!」という気力が起きるところまではなっていない.


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