fml メーリングリスト管理

fml メーリングリスト管理 レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

株式会社 オーム社 様のご厚意により, 書籍 "fml メーリングリスト管理" を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて公募を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

オーム社 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 堂谷内 翔 (shodoya@po2.lunartecs.ne.jp) さん

「初心者でも, 中級者以上でもおすすめ」

Linux の使用歴
1 年
UNIX の使用歴
1 年半
Linux Box の主な用途
趣味
Linux 以外に利用している OS
Windows 2000
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
2:8

この書籍を読む上で

fml は perl でできているので perl の知識が多少なり必要だろう. 特に 4, 6 章はperl を理解できないと読んでも理解できない. カスタマイズをしたくて 4, 6 章を読むにはまず perl の知識をつけておくべきだろう.
また, MTA に必要な DNS の諸設定については少ししか触れられていないので, 細かいことを知りたい場合は本書だけでは足りないだろう.

全体を見て

ML を管理する上で理解しておきたい ML のメリット, 問題点や ML の配信を行う MTA 関連の情報等が 1, 2 章に配置されており, それらを理解していないユーザであっても熟読することで補える. また, よくありそうなトラブルなんかも取り上げられており, 必要になった時に有り難い. 4, 6 章にカスタマイズや改造と fml をさらに使いこなしたい人に便利な情報が載っている. これらを熟読すれば fml をだいぶ使いこなせると思う.

良いと思った点

fml の基本設定の 1 つずつの引数について細かく説明してあるというのは有り難い. 設定とかで迷うことがあっても細かく書いてあるのを読めば問題になることも少なくなると思う.

良くないと思う点

細かいことになるが, CD-ROM に収録されている内容の一覧が明記されていない. 何が入っているか少しは触れて欲しいと思う.

総評

この書籍は読んでみたが, 分かりにくい表現や読みにくいと感じることはなかった.
本書は初めて ML を設置する人の解説書としても, 中級者以上向けリファレンスとしても読める. fml をカスタマイズしたい人にもおすすめできる書籍と言えるだろう.


Reviewed by 野澤 恵 (snozawa@env.sci.ibaraki.ac.jp) さん (HomePage)

「当り前なことかもしれないが, この本はメイリングリストの「管理」のための本である」

Linux の使用歴
約 6 年
UNIX の使用歴
約 9 年
Linux Box の主な用途
研究教育など
Linux 以外に利用している OS
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Linux 以外の OS = 20:1

最初に

上の文は, 興味本位でメイリングリスト (以下 ML) を運営してみようという方には勧めないという意味である. 逆に fml をきちんと使いこなしてみようという人には, 細部まで書かれた良書である.

この本の対象は, fml 自体 WindowsNT をサポートしているが, 基本的には UNIX ユーザーである. 特にこの本では, TurboLinux 4.0 で動作確認をしている.

内容, 装丁

内容は基本編と応用編に分かれていて, 読みやすい. 特に私は qmail+fml で ML を運営しているため, その項は参考になった. 他にも「セキュリティ」だけで章を割いており, 管理者の頭を悩ませる問題を解説してあるのは好感が持てた.

装丁等については, 帯には刺激的なことは書かれていない / カワセミを使った表紙は落ち着いて良い / 紙質も良くわずかではあるが私の好きな香りが漂うなど, お勧めである. 値段もこの内容にしては適当 (どちらかというと安い) である.

附属 CD-ROM

附属する CD-ROM については, 本文ではほとんど触れられていないため, ここで少し解説する. 容量は 73MB ほどで, その中の unix のディレクトリーには

CF MHonArc apache mlm namazu perl procmail qmail sendmail smtpfeed util

が収められている. また fml のディレクトリーの readme.euc.txt には 「release はリリース版ですが, すでに古くなっています. stable の使用をお勧めします.」と書かれた文があり, 好感が持てる.

これらは, あくまで附属の CD-ROM は参考程度であってということで, ここで最初で書いたように「鼓にしていることをうかがわせる. 私としてはこのような位置付けの「附属 CD-ROM」があって良いと思う. ただし, この CD-ROM のトップディレクトリーには link.jis.html という Web コンテンツがあり, fml に関するリンクが集められており, このファイルが附属の CD-ROM の最大の価値だと考えている.

不満な点

蛇足だと思うが, 他の ML ソフトとの比較がないことである. 一応「Majordomo, Listserv 互換インターフェイス」という項があるが, あくまで, コマンドの比較であり, 長所短所 (といっても各 ML 運用ソフトのバージョンが新しくなると, それが逆転してしまうことがあり, 評価を下すことは難しいことであるが) の観点からの他の ML ソフトとの比較が欲しかった.

また, 実際に fml を使用して, 大規模 ML の場合の使用条件や最大数, 速度などの運用の実績について言及して欲しかった. 計測条件の設定が難しく, 書かれた数字が独り歩きしてしまう場合もあるだろう. しかし, 読者としては, fml 以外の ML ソフトの選択も少なからずあるはずなので, 実行環境での fml のメリットの強調があれば良かったと思う.

まとめ

良く出来た本で, fml を使いこなすための座右の書である. 私自身 ML を運営する目的で Linux を使い始めた面があるので, 現在まで使用している fml には思い入れがあり, 読み方には fml 側への贔屓目があるかもしれない. その点を割引いても, fml 以外に ML を管理している人にとっても購入すべき本だと考える.


Reviewed by 内田 博喜 (info@forest.tama.tokyo.jp)さん (web page)

「メーリングリスト管理のノウハウの詰まった専門書」

Linux の使用歴
3 年
UNIX の使用歴
3 年
Linux 以外に使用している OS
Windows2000
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
1:1?
インターネットサーバーとして Linux を運用して,
クライアントとして WindowsNT を使用しています.

はじめに

コンパクトな体裁, シンプルなデザインの外見とは裏腹に内容の濃い書籍でした. カバーしている範囲がメーリングリストだけにとどまらずメール全体に及んでいて, その内容もかなりレベルの高いものでした. 逆にいえば, メーリングリストをとりあえず導入してみようというレベルの入門者は最初はたじろぐかもしれません. しかし, 本書に書かれているメーリングリストの運用ノウハウは メーリングリストを管理し理解を深めるほど有効になっていくものと思われます. 以下に本書のよかったところと気になったところを説明します.

本書のよかった点

fml だけでなくメーリングリストに関連するパッケージについて解説とインストールの説明があります. これらのメール関連のパッケージの解説だけでも価値があると思いました. 次に解説されているパッケージを挙げてみます.

sendmail と CF
標準メールサーバー sendmail とその設定ファイル sendmail.cf を生成するツール CF.
qmail
最近注目されている sendmail 対抗のメールサーバー. 特に高速なメール配信が魅力.
PGP
公開鍵方式を使用したフリーの暗号化ソフトウェア. リモート管理で電子署名による本人認証に使用. メーリングリスト管理でここまで考慮されているのには驚き.
procmail
メールの自動処理を行う. procmail 経由でメーリングリストを動かすこともできる.
smtpfeed
メーリングリストなどでの配信の高速化.
Namazu
フリーの全文検索システム.
MHonArc
受信したメールやファイルなどを HTML 化してアーカイブを作成するツール.

長年メーリングリストの運用にかかわってこられた著者の豊富な運用ノウハウが, 技術的な裏づけを伴って解説されています. 特にいろんな環境でのメーリングリストの構築, 豊富なカスタマイズ手法, メーリングリストの応用例などに注目すべきものがあります. 次に解説されているノウハウを挙げてみます.

POP 利用時の fml の設定
POP でメーリングリストを運用.
プロパイダで fml を動かす
プロパイダで fml を動かす.(リムネットでの例で)
procmail を利用してしてメーリングリストを動かす
root 権限のないユーザでもメーリングリストが運用できる.
MIME とマルチパートメールの処理
添付ファイルを自動的に削除するなど.
HTML 化
過去メールを HTML 化し Web ページで公開する方法. fml 付属機能を使う方法, CGI スクリプトを作成する方法と MHonArc ツールを利用する方法が紹介されている.
コマンドサーバの利用
fml のコマンドサーバの機能を利用して URL が示す内容を取得して返すサーバ, ftpmail サーバを動かす. (このような機能は, はじめてみました)
セキュリティ対応
メール爆弾を防ぐ設定, メールウィルスを防ぐ設定等.
会社組織に合わせたメンバー管理
会社組織のように階層的な組織のメーリングリストのメンバー管理の現実解.
メールマガジンサーバ構築
fml をメールマガジンサーバにする場合の設定.
全文検索
Namazu を利用した過去メールの全文検索システムの設定.

本書の気になった点

一度全体を読んでから実際に fml のインストールを行ってみると少し戸惑いがありました. インストール自体は問題なくすぐにに終わりましたが, 設定とクライアントからのテストが簡単にできないことです. なぜかと考えてみると config.ph の設定とリモートコマンド (管理コマンドでなく) の全体わからなかったためのようです. これらの説明は fml 付属ドキュメントにあるわけですが, この本で全て設定しようとするとこれらの説明が付録としてまとまっていればありがたいと思いました.

おわりに

図表, コンソールログの引用もきれいにまとめられていて, また校正もしっかりしていました. 誤字・脱字の類はほとんど見当たりませんでしたが 数点それらしきものがありました.

52 ページの最下位行「後述する wrapper を使うとき」---> wrapper に相当する記述が見つかりませんでした.
53 ページの 9 行目「パーミッションは 775 にしておく」--->「パーミッションは 755 にしておく」

また, 最近の書籍がほとんど「です, ます調」であるのに対して 本書の言い切りの文章は新鮮な感じを受けました. (でも, 「です, ます調」のほうが読みやすそう)

最後に, ブックレビューの機会を与えて下さいましたオーム社様と www.linux.or.jp 管理グループの皆様に感謝するとともに, 著者梅垣様, 寺村様のいっそうのご活躍をお祈りしブックレビューの報告とさせていただきます.


Reviewed by 池田 智子 (webmaster@office-ikeda.com)さん (HomePage)

「ついに出た! "最強" 純日本製メーリングリスト・fml の本! さて内容は?」

Linux の使用歴
1 年
UNIX の使用歴
使用歴は学生時代から, と言っても卒業後は, 最近になるまで全く使用していなかった
Linux Box の主な用途
仕事
Linux 以外に利用している OS
Windows95/98 WindowsNT4.0 Solaris
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux:Windows=8:2
→開発は Windows で行い, telnet にて Linux に接続し動作確認を行っています

はじめに

ついに純日本製メーリングリスト fml の本が発売された. この本の発売を待っていた人は私も含め非常に多いだろう. 大概の日本のメーリングリストではこのソフトウエアを使用して運営を行っている, といっても言い過ぎでは無いような気がする. すっかりメーリングリスト作成の標準となったこの fml, しかし多機能過ぎて, 早 1 年以上使っている私でさえ, 一体どのような機能が搭載されているのかは, 半分以上不明という状態なのだ.

そして, この本を手にとって本当に舐めるように読んだ. オーム社さんありがとう!

構成について

1-3 章は基本的なインストール方法から, ちょっとしたトラブルシューティングまで, 4-6 章は更に使い込むためのカスタマイズ法や拡張法などが記載されている. 実際その通りにインストール, 設定等を行ってみたが, 非常に丁寧に書かれていて分かりやすかった.

内容について

1-3 章が fml 初心者向けであるのに対し, 4-6 章は中級者から上級者向けという印象を受けた. fml をインストールして使いたいと言う人は 1-3 章を, 更に使いこなしたいと言う人は 4-6 章を参照にする と良いと思う. しかし, どちらかと言うとこの本は fml 中級者向けの本であると思う. 初心者が購入しても内容的にはかなりハードルが高い物であると思う. 値段的にはパソコンの本としては非常に安い 2,800 円であるため, 損をしたという気にはあまりならないであろうが, ちょっと内容的には難しいかなと思う.

気になったこと & もっと書いて欲しかった事

メーリングリストを構築する上で, まず困ったのはエラーメールの処理である. この本でも 3-7-2 においてエラーメールについて取りあげているが, 実際 fml には 5 回エラーとして返ってきた場合は自動的にリストから削除を行う Mead という機能がある. エラーメールの内容についての説明よりも, こういった fml 特有の処理について書いて欲しかった様な気がする.

「4-8 WWW インターフェイス:CGI におけるメーリングリスト管理」においては,

"CGI 機能を使用するのであれば, fml-current シリーズを使用してインストールをすると良いだろう, "

と記載されているが, 実際 fml の HP を参照したり, インストールしてみると, CGI 版 は current のみが対応している事が分かる. 実際誤解をして stable をインストールしていた私は試行錯誤してしまった.

おわりに

色々と辛辣な事も書いてしまったが, 私にとってこの本は非常に勉強になり, 分からなかったこと, 書き留めていた事などが整理されており, メール関連の仕事をしている私にとっては教科書の様な存在になりそうである. これからも版を重ね, より充実した内容となっていくことを心からお祈りしています. ありがとうございました.


Reviewed by 川上 武宏 (take@acc.ne.jp) さん

「決して初心者向けではない. そして常に手元に置きたい本でもない.」

Linux の使用歴
2 年
UNIX の使用歴
0 年
Linux 以外に利用している OS
Windows 98 & 2000, BeOS

まず, 日頃使用している MTA が qmail という事もあり, qmail+fml の記事に期待を寄せていたのだが, 内容は余り多くなく少々期待はずれの気はした. 触れられているのは最初のインストール時ぐらいで, その後の部分が qmail ではどうなのだろうか? という疑問が, 常につきまとう羽目になった. 内容の紹介部分で, qmail 環境での利用という記述があったが, 騙されたという気がする.

全体の内容としては fml の多くの機能やそれに関連する内容を, 352 ページという決して多くない分量に詰め込んでみたという感じがする. よく分かっていないユーザが, この本を参考に ML を構築しようにも何が必要で何が不必要なのか, 戸惑ってしまうのではないだろうか? そしてある部分について突っ込んだ事を知りたいと思っても情報不足な感じが否めない. 内容の取捨選択がうまく行われていない気がする.

何よりも残念な事は, 管理者としての情報しか記述されていないという点につきると思う. 管理者といえども動作確認や運営にあたっては, 利用側としての情報が必要なわけだし, そういう情報が見つからないし見つけにくい. 巻末にリファレンス的なページを用意してもらえば, 現状よりはずっと読みやすく, そして使いやすくなったのではないだろうか?

決してこの本は悪い本ではないと思う. しかし, fml について詳しくない人が, この本だけでスラスラと運用できるほど分かりやすい本でもないし, 何かトラブルや不明点があった時に, 真っ先に見てみたいと思えるような本でもない. それでも, fml でこんな事までできるという内容が広く記載されており, こういう事ができないかな? と思ったときに, 開いてみたい本ではある.


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