GIMP エッセンシャルテクニック

GIMP エッセンシャルテクニック レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

株式会社 オーム社 様のご厚意により, 書籍 "GIMP エッセンシャルテクニック" を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて公募を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

オーム社 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

書籍の著者のお一人である古川泰弘さんが, 「GIMPエッセンシャルテクニック」追加情報 を用意してくださいました. 是非あわせてご覧ください.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 須田恭一郎 (sudakyo@fat.coara.or.jp) さん (HomePage)

「現役の GIMP ユーザーには不要」

Linux の使用歴
3 年
UNIX の使用歴
3 年
Linux Box の主な用途
イラスト製作, パソコン通信, MIDI, MOD, MP3
Linux 以外に利用している OS
Windows95, Towns-OS
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
30 : 1

残念である

これを読んで思ったのは, 理想的であり残念だ, という事. GIMP を使う上で必要な情報を過不足なく取り込もうとして, それはほぼ成功している. その点で理想的だ. どんな初心者でも, この本に従えば ある程度 GIMP が使えるようになるんじゃないか? と想像する. しかし, ただしい知識がここにあるとはいえない. この点で残念だ.

普通に GIMP を使っている人, またはそれでなくともグラフィックに 精通している人であれば, この本を読む事自体が苦痛に思えるのでは ないだろうか. 言っている事がおかしい, という部分が少なくないのだ. 例えば画像をフロート処理させる事の利点は多くの人が答えられるだろう. それは本書の言うように, 画像の一部を移動できる事, ではない.

グラフィックツールの経緯やメモリー, 各アルゴリズムに基づくものから 表記などの細かい所まで, ここまでずれているとそもそも著者らは, この分野に詳しくないのでは? と疑ってしまう.

導入向けである

このように私はこの本が好きになれなかったが, 有用でないわけではない. GIMP の使い方に多くのページを割いていて, 実際の編集作業も紹介してある. また, GIMP 自体を便利に使うための入力デバイスなどの設定方法が, これもまた丁寧に紹介してある. その上, 多数のスクリーンショットにより, 今何をしている所かを把握しやすい. そして付属の CD-ROM には色々入っている. もし私が誰かに GIMP を教えてと頼まれたら, この本を持って行くだろう.

気をつけて欲しいのは, うまい使い方等が紹介されているわけではない ということだ. GIMP が導入できればいい, または実践がたしなめれば それ以上は望まない, という人になら薦める事ができる.

本書の第 1 章で言うような「効率的な操作」は実現されていない. あくまでも, 読者層を初心者と捉えた「限定的な操作」に留まっている. キーボードを使う操作のほとんどは省かれている. また, ツールオプションを 使わずに手入力で解決するような説明は, どこも効率的ではない.

不確かである

内容の多くに違和感を持ちながら, それらを間違いだ, と 言い切る事は出来ない. 私自身, 間違いが多いし, まして意見や 物の見方は他人がとやかく言う事ではない. しかし, 書籍に記する物 としては見識が足りていないように思えるのだがどうだろう.

さて, 意見を排除した部分での誤りもある. PSD セーブは既に可能だ. 出版のサイクルを考慮しても間に合う時期だと思うのだが, これまたどうだろう. あるいは著者らの判断基準からすると, マニアな情報なのかも知れない. 不正確な記述は他にも見られたが, 誤植や勘違いかも知れない.

情報の不足をも考慮に入れれば, これだけではない.

Xnview というツールが Pict をはじめ多くのフォーマットに 対応しているので役立つかも知れません. というようなことは書いてない. ウインドウマネージャの事も書いてない.

このように本書は, 広い範囲の事柄について注意や対処を挙げた上で, それらの内容は正確ではない, あるいは不充分だ.

難しいのである

解説に無駄が多いように感じた. その割に部分々々 をぼかして進めるのでイライラする. 言葉の選び方も妙な具合で, へたに知識があると, それが邪魔をして判ろうとする気力さえ失わせる.

期待していた Script-Fu だが, 会得は出来なかった. 書いてある通りに従えばうまくいくのかも知れないが, リファレンスも無いような状態で, コマンドの挙動を調べながら覚えるのなら, なにもこの本に頼る事もないと思い素直に諦めた.

むしろ止めません

ここまで来て, よし買おう, 等と考え始めたのなら驚きだが, 歓迎もする. この本は GIMP を始めようという人に足りる内容だと思う. GIMP の入手手段に問題がある人でもいい. または情報を集めるための時間が無い人, 英語を読みたくない人…. 心の広い人ならなお良い.


Reviewed by 福崎 昭伸 (akinobu@fukuzaki.net) さん

「きちんと Gimp を使いたい人なら買いの一冊. しかしこの一冊だけでは足りない.」

Linux の使用歴
4 年
UNIX の使用歴
4 年
Linux Box の主な用途
Mail, 文章, Web 作成, 研究実験
Linux 以外に利用している OS
Windows, Mac
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
8 : 2

丁寧に作られた良書. しかし...

本書は読みやすい文章とスクリーンショットの多用により 読んでいて非常に気持ちがよい良書である. 著者が丁寧に作り込んだことが感じられる. しかしその一方で物足りない本でもある. カラーページでは Script-Fu やフィルターなどの適用例がひとつひとつ掲載され, Gimp でどのようなことが出来るのかを把握することが出来る. しかし本編を読んでも個々のフィルターなどの解説が少なすぎる. なんとなくどんな効果があるか分かっても見ためには区別がつきにくく, 使い分けが難しいフィルターがあるが, その違い等を説明してほしかった. また実際につかってみようということで, チュートリアル的にフォトレタッチとWeb のパーツ作りの例が掲載されている. これは非常に分かりやすいが, 入門者以外には新しく得るものが全く無いように思われる. しかし後半に入ってスキャナ, タブレット, デジカメ等の周辺機器の具体的な設定のしかたと Script-Fu の入門になるとこれは大変役にたった. この後半の項目を知ることで Gimp 利用時の作業効率は, ぐっと向上する. 特に今まで興味を持てなかった Script-Fu をやってみる気にさせてくれ, これは誘導がうまかった.

中級者向け?

私が感じた本書の対象者は次の 3 種類である.

先に述べたとおり本書の中で特に良かった部分は Gimp の Gimp たる所以を解説した部分である. よって, 他のグラフィックソフトから乗り換えた人はそこそこ Gimp を使っていたであろうが, 本書を読むことによって間違い無くパフォーマンスが向上するだろう. また, CD-ROM には Windows 版が入っているので Windows 上で使えるグラフィックソフトが欲しいユーザーにもお勧めできる. 後は入門書を読み終えた人が対象であろう.

内容以外について

こういった, 対象となるソフトを操作しながら読むべき本でいつも感じることだが, 本書の版型をもっと横長にして欲しかった. 何故なら操作をするときには両手が本から離れるわけだが, そうすると本が勝手に閉じてしまうのである. その一方で本書の章構成はリファレンスとしては利用しにくい. すっきりした構成で流れを重視したことによって読みやすいが使いにくいのである. 構成は読みもの的だが情報としては時おり参照したいものを扱っているのだから, 後から欲しい情報の場所を探しやすくする工夫が欲しい. また余談であるが, 本書の帯をしおりがわりに使ったらページにインクが写ってしまった.

総評

今まで Gimp をなんとなく使っていたが, きちんと使いたくなった人には役に立つ本である. しかし入門者には読むことはできても理解しにくい内容が多いので難しい本であるし, 上級者にとっては詳細情報が足りない本である. おそらく他の入門書や上級向けの本と組み合わせて利用するとよいであろう. そういった意味でエッセンシャルテクニック (欠かさざる基礎的な技術) という本書の題名は正しい. これ一冊では不満ものこるが是非購入しておくべき一冊である.


Reviewed by 中本卓志 (nakamoto@yo.rim.or.jp) さん (HomePage)

「良くも悪くも,Linux 的じゃない本」

Linux の使用歴
約 2 年
UNIX の使用歴
約 3 年
Linux Box の主な用途
メール, テキスト入力
Linux 以外に利用している OS
MacOS, Windows98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
6:4

■グラフィックによる解説が豊富

Linux 関係の解説書では,たいてい冒頭にプロジェクトの紹介ありきで, WEB ページのキャプチャーから始まるもの (??). ところが本書では, 口絵に約 30 ページにわたって, 作例およびフィルターの効果が豊富に掲載されている. 中面にも, 操作画面のキャプチャーがふんだんに掲載されている. このあたり, なるほど「グラフィック」の解説書だ. 直観的に GIMP を把握できるというメリットは大きい. (GIMP のユーザーズマニュアル自体, 画像が豊富で文章も簡潔で, 直観的に判りやすいのはもちろんだとして.)

ただ, 口絵のフィルターについては, 一見してどういう意味を持つのか判りづらいものもあり, それぞれの写真に, せめて一行コメントを添えて欲しかった (GIMP のプラグインの詳細を見れば判る, というのだろうが…).

■実践的な例題をもとに解説されている

本書は, 一般的な画像処理ではなく, WEB で用いる画像の制作にポイントを絞っている. 例題もページのヘッダーを作るといった, 極めて実践的なものだ. しかもガイドの使い方や, 文字にドロップシャドウを付けたり発光させるような効果など, まさしくグラフィックソフトのコツが紹介されている. 全て本書どおりトレースしながら GIMP を操作してみたわけではないが, 「なるほど,そういうことか」と, 納得したり役立つところが多かった.

■オープンソース, Linux 関連の記述が不正確・不充分

本書はグラフィックの解説書として, とても有益だと思う. 一方, オープンソースソフトウェアの解説書としては, ものたりない部分がある. p2 〜 p5 で, GIMP の特徴について述べられているのだが, まず ライセンスについての記述が全くない. "GPL" という単語すら出て来ない. 「無保証である」ということ, 自己責任で利用すべきであることについても触れられていない. そして「オープンソースであることの結果として, 無償で入手・使用が可能です」 (p3) という, 間違った表現がなされている. GPL がどういったものであるか理解している読者ならいいが, そうでなければ誤解を招くのではないだろうか.

Linux 関連の記述についても, ともすれば危うい. p7 で, インストール方法が紹介されているが, 紹介されているのは RPM パッケージのみ. Debian や Slackware でもパッケージが用意されているのに. 依存する環境やインストール方法自体の記述がないままに 「インストール方法」としては意味をなさないのではないか. また,デジタルカメラのデータをコンパクトフラッシュを介してやりとりする方法について述べられているが, 下記の p214 の記述はおかしいのではないか.

「必要なファイル操作を行ったら, アンマウントします. (中略) 機種によっては PC カードを取り出すとマシンが動かなくなる場合がありま す. その場合は, PC カードを取り出す前にシステムをシャットダウンしてから PC カー ドを取り出してください.」

これは, アンマウントしないで PC カードを抜くとハングアップしますよ, と書くべきだろう. さらには, 設定によってはカードの抜き差しを PC に教えてやる必要があること, そのための管理ツールもあることについて, 記述すべきではないだろうか. 以上, 全くの間違いとまでは言えないまでも, ひっかかる.

■おわりに

GIMP には, とても素晴らしい日本語訳のマニュアルをはじめとして, オンラインリソースがふんだんにあり, GIMP のメニューからもアクセスできる. これらを活用しない手はないのに, なぜきちんと紹介しないのだろう (英文のマニュアルは付録の CD-ROM に収録されているが…). これらのリソースは, オープンソースならではの築かれてきた財産だ. 確かに本書は, GIMP のグラフィックテクニックの解説書として, 非常にわかりやすい. 私自身, 本書を契機として, 今まで敷居が高いと感じていたものが取り除けた. だがそれは, 私がオンラインリソースと書籍と双方にらめっこしながら, 悪戦苦闘しているからだ, ともいえる. 一例として, 私がずっと理解できなかった, ピクセル数と解像度と画像表示サイズの関係については, 上記ユーザーズマニュアルで謎が解けたのだ.

もし, Adobe Photoshop などの商用ソフトのみを日頃使用して, オープンソースのコミュニティや文化を理解していない読者が本書を読んだとすれば, GIMP について, ひいては Linux について誤解を招くかもしれない. もちろん, 全く記述されていないことはないのだが, 一般の「Linux 的な (と私が感じている) 本」のように, オープンソースのソフトとは何ぞや, ということを強く語りかけてくるものがない. そこが, ひっかかるところだ. しかし, それゆえに, グラフィックのテクニックを語る本として, すっきりしているのかもしれない, などと考えてしまうのだ.

最後に, レビューの機会を与えていただき, GIMP およびグラフィックそのもの についても理解を深めることができた. 切に感謝する.


Reviewed by 武田信和 (takeda_nobukazu@nifty.com) さん (web page)

「GIMP で何ができるか一目瞭然! Web ページの作成にも役立つ.」

Linux の使用歴
約 1 年半
UNIX の使用歴
9 年半
Linux Box の主な用途
  • ファイルサーバ, ftp サーバ
  • メール, NetNews の利用
  • Tcl/Tk を用いたプログラミング (滅多にやらない)
  • ゲーム
Linux 以外に利用している OS
Mac OS 8.0, Windows 98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
1 : 2

1. はじめに

ソフトウェアの解説本を購入する際, 一番気になるのは 「そのソフトウェアで何ができるのか? この本はどういう機能について 紹介しているのか?」ということであろう. 本書の場合, GIMP が画像処理ソフトであることもあり, GIMP で処理した画像例がカラーページで巻頭に掲載されている. これを見れば前述した疑問に対する回答が得られるため, 読者にとって本を選択する際の助けになるであろう. また, ソフトウェアの機能を利用したい場合, 索引を参照して「色調の補正」と 言われても何だか良くわからないことが多いが, 実際に色調補正された 画像を見れば「おお! これこそがやりたかったことなのじゃ!」と 読者も納得, という感じであろう. 画像には対応する章番号も付記されている ため, 巻頭カラーページは GIMP の機能索引としても有効に働いていると言える. (しかし, 部分的に章番号が誤っているところがある).

筆者がこの巻頭カラーページを見て知ったことは, 「どうやら自分が Photoshop で行っている操作は大抵できるらしい」ということと 「Web ページに使うタイトルやボタンなども作れるらしい」という ことであった. これは筆者の持っていた「GIMP は Photoshop の機能を かなり縮小したものなのであろう」という予想をいい意味で裏切ってくれた. 以下では筆者が具体的に使ってみた機能について述べたい.

2. 画像処理

筆者はダイビングをやっており, 最近デジカメで水中写真を 撮り始めたところなのである. 水中では赤い光が吸収されて しまうため, 写真も 青みがかったもの になってしまう. これをもとの色調に戻すためにはどうするか. 巻頭のカラーページを見ると, 「色相・彩度・明度の補正」を 行えばよいらしい (ちなみに, 巻頭ページによれば 3.1.3 節が対応する節 ということになっているが, 実際には 3.1.4 節である). 本文中を参照すると, 実際の GUI 画面とともに操作方法が記載されているので 簡単に 処理が行えた.

その他, GIMP にはフィルタが組み込まれているが, これらの適用結果も 巻頭のカラーページに記載されているので, 使いたいフィルタを簡単に 見つけることができるだろう.

3. Web 用の画像作成

実は GIMP では Web 用の画像を作れるのである. ここで Web 用の画像と 言っているのは, Web ページに掲載する通常の画像だけではなく, 背景やタイトルロゴ, クリッカブルマップなどである.

背景の作り方としては, フィルタを使った方法やパターンを 使った方法を紹介している. 例えば, 私の Web ページ の背景はパターンを使って作成してみた. 背景が文字のじゃまに ならないようにトーンを弱くする方法も述べられており, 簡単に作ることができた. クリッカブルなナビゲーションバーの作り方についても 9 ページを 割いて記述してあり, 簡単にできそうである.

とにかくこの本を読んでいると Web ページを いろいろと飾り立てたくなってしまう. 困ったことだ.

4. Script-Fu

GIMP では Web ページ用のタイトルロゴやボタンを作ることが できるが, これらの機能は「Script-Fu」と呼ばれるスクリプトで 実現されている. つまり, 自分で機能を追加することもできるのだ. このスクリプトに関しては 1 章を使って説明しており, 付属の CD-ROM にサンプルプログラムも収録されている. まだ使ってみてはいないが, 使いこなせると楽しそうである.

5. おわりに

「はじめに」でも述べたが, とにかく一度手にとって巻頭カラーページを 見てほしい. あなたも自分のやりたかったことが GIMP でできることに きっと気が付くだろう.


Reviewed by 杉山 基広 (motohiro.sugiyama@nifty.ne.jp) さん

「目前に画像処理の世界が拓ける」

Linux の使用歴
約 5 年 (昔は Slackware 今は Debian, Kondara)
UNIX の使用歴
少々
Linux Box の主な用途
趣味で C プログラミング, メール, Web で情報収集, ネットワークの勉強
Linux 以外に利用している OS
Windows98, WindowsNT
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
9 : 1 (自宅)

本書を読むにあたって

GIMP は画像処理という馴染みのないソフトウェアであるためか直観的に操作がわかりにくく, また使う用途も少なかったため手が出せないでいました. しかし, 最近デジタルカメラを買ったこともあって, 撮影した画像の編集やホームページの作成に本格的に挑戦してみようと思い, GIMP を使ってみることにしました. Photoshop などの他の画像処理ソフトは全く使ったことがありませんので全くの入門者の見方で, 本書および GIMP をレビューしてみたいと思います.

大まかな内容から具体例へとわかりやすくまとまっている

GIMP のインターフェースの説明から, 基本的な編集方法の説明とそれらを組み立てた具体的な応用操作まで順を追って説明されていて非常にわかりやすくまとまっています. 特に第 3 章 「とにかく使ってみよう」では写真の画像編集, Web 用の画像作成について具体的な例を取り上げているのでとても参考になります.

カラー写真が入っていてわかりやすい

巻頭に画像編集後のカラー写真が入っているので本書片手に GIMP で画像を編集して結果の見栄えを確認しながら読み進むことができます. これがモノクロのサンプル画像ばかりでは編集後の細かな効果がわかりにくく, 巻頭のカラー写真は読者にとって非常に大きな助けになりますね.

画像の取り込み方の説明がされている

SCSI 接続のスキャナ (SANE), フィルムスキャナ, タブレット, シリアルポートからの画像の取り込み (gPhoto) の設定方法が丁寧に説明されています. これらを使っている方には参考になります.
※本書とは関係ありませんが, 私の使用しているデジカメ (SONY DSC-F55V) は USB 接続です. 今のところパッチ (Backport of 2.3 USB code to 2.2 kernels) で USB ケーブルの脱着は認識するものの Memory Stick の中のファイルを読み込むことはできないようです. 画像の読み込みも Linux からできるといいんですが...

具体的な画像編集例でわかりやすく説明されている

本書の大きな特徴のひとつは実用的な操作例がわかりやすく説明されている点であると思います. 本書の例にしたがって自前の画像を実際に編集してみて, 次のように感じました.

Web で使う画像について
少し凝ったデザインの Web ページを見ると, 「こんなデザインの絵を作るには, きっとある程度の経験と時間をかけてやってんだろなー, どっちにしても俺には無理だな〜」なんて思うことがあると思いますが, GIMP を使うとデザインさえできあがっていれば意外と簡単に作成できてしまうことは驚きです.
写真の編集について
本書に紹介されている内容をもとに自前で撮影した夜景を編集してみました. 生の写真では真暗な闇の中にイルミネーションやビルの明かりが点や線でしか見えないのですが, 編集後はかなりきれいな画像に仕上りました. 私の撮影した夜景の場合, 単にメニューの [画像]-[色]-[明るさ-コントラスト...] の調整だけでは画像全体が白っぽくなりすぎたり, ノイズが目立ったりしていましたが, [画像]-[色]-[カーブ] を使うことで夜の暗さと街の灯のバランスが取れた美しい写真になりました. このようなことは GIMP というよりも画像処理ソフト全般の機能に言えることかもしれませんが驚きです.

全体的に見て

内容の構成, 記述順がよく整理されていて読みやすく, 本の内容に沿って GIMP を操作していくことで入門者でも簡単に見栄えのする画像が作成, 編集できるようになっています. GIMP 入門者の私でも「Linux の画像処理はここまでできるのか!」と GIMP の画像編集機能に驚きました (画像処理マニアになってしまいそうです ^^;).

ただ GIMP 自体の階層メニューが多少重複していたり, 似た選択項目があるためか, 目的のメニュー項目にたどり着くまで, はじめのうちは試行錯誤する場合がありました. 本書の中では処理内容ごとに文章の中で "[画像]-[色]-[反転]" のようにメニューの選択順が記述されていますが, 章の頭やタイトルの近くに目立つようにメニューの選択順が記述されていると, 読み終わった後実際に GIMP を使う際のマニュアルとしても使いやすくなるのではないかと思います.


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