翔泳社 様のご厚意により,
書籍 "MySQL 徹底入門" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて
公募
を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
翔泳社 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
ヘッドラインにかいた通り, 徹底入門というからには本書で最低限のスキルは付けられなければいけないだろう. そこで私は入門書と言われる書籍に必要な要素を考えてみた. それを以下に挙げる.
以上のことを踏まえ, まずざっと書籍を見てみると, まず MySQL の特徴, 歴史, 適用場所, バージョンの見方など, 簡単な紹介がされている.
そして次の章からインストール方法が始まる. Debian のパッケージが無いのが残念だが, ソースからインストールする方法もあり, それも丁寧にかかれているので問題は無いだろう. それに, CD-ROM には無いが Debian の FTP サイトには MySQL の DEB パッケージが置かれている.
本書の説明に沿ってインストールをしてみたところ, 問題なくインストールできた. たまに説明が 1 語足りないだけではまる原因になるような書き方をされている書籍もあるのだが, 本書は本当に丁寧に書かれているのではまるようなことは一つも無かった. これは素晴らしい.
この後に基本的な使い方に入る. ここでは大文字と小文字の区別をするところとしないところや補完機能, さらには UNIX などのシェルでサポートされている パイプやリダイレクトなど, 細かく説明されている. この本を読んでマスターした人は UNIX にもより親しめると思う. パイプやリダイレクトはシェルでも使えるしシェルプログラミングにも頻繁に使われる. 補完機能もほとんどのシェルで使えるが, Linux 等の入門書にも書いていないことが多いようなので, この機会に覚えておくといいだろう. 大文字と小文字の区別に関しても UNIX では非常に重要だ.
さらにこの書籍に関していいと思ったことは, さまざまなプラットフォーム向けのインストール方法 をしっかり説明してあるということだ. これによって読者を UNIX ユーザーに限定することなく, Windows ユーザーも読者層に入れることができ, これによってより多くの人がこれ一冊で入門することができるだろう.
次に, 本書の守備範囲だ. 3200 円分の範囲があるだろうかを見てみた. まず MySQL の概要, インストール, コマンドの入力の仕方 (文法など) がある. こちらはまずちゃんと読まなければならない. 特にコマンドの入力の仕方などは非常に重要だ. 次には簡単なチュートリアルがあり, これに沿って操作していけば最低限のスキルが付くようになっている. 時間が許す限りこの通りに実行していけばかなり良い練習になる. 実際私はこの通りにしてみたら, 非常にここの構成が良いので, 操作に関して疑問を抱くことは無かった.
またこの部分にはインデックスで検索を高速化したり便利な SQL 文の紹介など, ちょっとした便利なことも載っている. 次のプログラマ編では PHP, Ruby, Perl, JDBC や ODBC から MySQL を使う方法が書かれている. 特に ODBC に関しては MSAccess や Delphi から使う方法があるのでかなり便利だ. 後に MySQL の自動起動, サーバー運用, ユーザー管理, そして私達にとってかなり重要な事であろう日本語の扱いが紹介されている. 最後にはトラブルシューティングや情報源, そして関数などのリファレンスがある. 専門用語もみだりに使うことはなく, 用語が分からないだけではまってしまうというような無駄は本書ではまず無いだろう.
私が見る限り, ただの入門書ではなく「徹底入門」と堂々と言えるだけの内容を十分備えていると思う.
私はこの書籍には 3200 円の価値があると考える. これから高速なデータベースサーバーを構築したいという方にとっては是非おすすめしたい良書だ. この一冊で大抵のことはこなせるようになるし, 本書を全て読破してマスターされた後はオンラインドキュメントやどうしても分からないことがあれば本書で紹介されているメーリングリストなどで質問すればほとんどのことはできるだろう. もちろん, メーリングリストに参加される方は質問の前に過去ログを見たり, どこまでは分かってどこが分からないか詳しく質問するなど, マナーを守って参加して頂きたい.
反面, 中級者や上級者の方には本書は丁寧すぎるので全て読むのは退屈かも知れない. と言っても中級以上のスキルがどんなものなのか分からないのではっきりとは言えないので, 中級以上の方も是非一度本屋などで本書を手に取り, 中身を見ていただきたい.
私が自信を持って勧められるのはやはりこれから MySQL を始めようとする方だ. 何らかのプログラムでデータベースを構築しようとされている方も, 是非一度本書を手に取り, 実際に中身を見て欲しい. おそらく買って損したとは思わないはずだ. 私もブックレビューワに当選する直前にもう少しで買ってしまうところだったのだから.
今回のブックレビューの機会を与えて頂いた方々には感謝しております. 本当にありがとうございました.
MySQL を使用した多数のサイト構築・運営を行っていますので, 開発者として, そして運営者としての両面から, この本をどう使っていくのが良いかレビューしたいと思います.
以前は, 高価なデータベースエンジンを利用してきましたが, 今では MySQL などの安価なデータベースを頻繁に使用するようになり, 運営次第によっては高価なデータベースエンジン並に利用していくことができます.
このため, ソフト開発からデータベース運用までのある程度広範囲に記述された技術本が必要になっています.
インストール手順がいろいろな OS を想定して記述されていて, はじめて MySQL をインストールしようとする人にとって便利な情報です. まとめ方も良くできています.
ただ 1 点, インストール後の問題解決手法としての FAQ 集がもう少し多いとデータベース設定初心者の方にも解りやすくなったのではないかと思います.
SQL そのものに関しては, 残念ながら触れている程度にとどまっており, 開発時に手元に置くといった内容ではないので, SQL の解説本が必要になります.
しかしながら, 高速検索する為のキーやインデクッスの作成方法など, 一度は読んでおくとためになる内容があり, 開発者・運用者の両者にとって有益な情報となることは間違いないでしょう.
PHP,Ruby,Perl,JDBC,ODBC に関する MySQL を使用した作成方法が記述されていますが, 意外に JDBC, ODBC に関しても多くのページを割いて記述されているので, イントラネット系のコンテンツやアプリケーション構築にも役立ちます. PHP, Ruby, Perl に関しての情報量は多く, 実務に近い内容が多々あります. JDBC に関しては,上記 3 言語よりも多くのページを使い紹介されています. ODBC に関しては, Access,Delphi からの使用例がいくつか載っています. VC や VB に関しても簡単なサンプルが欲しいところです.
本の後半は, MySQL サーバーの運用ということに重点を置いて, インストール・設定・実行までの手順を紹介しています. 簡単な FAQ 集はありますが, インターネット上でも十分に取得できる内容でしたので, この本ならではの内容も欲しかったです.
全体を通してこの本をどのように使っていくかと考えると, 初心者から中級者向けの技術本として, はじめてデータベースを運用する人や新しい言語を使い MySQL のインターフェースを作成しようとする人達に向いていると思います. 2 分冊になっても良いかと思うような内容がありますが, この本を利用する側のことを考えて各章が分かれているので, 探したいページをスムーズ検索することができます. 一度は読んでおいて損はない本だと思います.
最後に, この機会を与えていただいた, 翔泳社, および www.linux.or.jp Web masters ブックレビュー担当の方々に感謝します.
私はパソコン通信のホスト局を個人的に運営していますが, ネットワークとの 親和性, 保守管理の点でデータベースを使った掲示板システムを構築するという考えに至り, 大量のデータを高速に扱うことが得意という MySQL の存在を知りました. ところが MySQL に関しては参考図書もなく, いまひとつ実際に試すことを躊躇していました. このような状況で今回『MySQL 徹底入門』のブックレビューという機会に恵まれました.
ブックレビューにあたり, 以下の観点から評価することにしました. まず, MySQL の特徴が得失も含めて明確に記載されているか, 次いで, データベースの運用に関して全くの素人である私が導入, 運用を開始するに足る情報量があるかどうか, そして, 実際の運用 (応用) 事例のサンプルの多寡について, です.
本書に興味を持つ人は (私も含めて) 何がしかの理由があって MySQL の導入を検討 (少なくとも選択肢のひとつに) していると思います. そのような場合, 単に利点だけでなく, 不得手とする点についても記述があれば, 自分の目的に MySQL が適しているかどうかの判断が楽になります.
本書では最初の 1 章約 10 ページが MySQL の紹介に充てられており, その中で日本語対応・非対応部分, 現在のバージョンの MySQL に不足している機能についても簡潔明確に記載されています. 通常, こうした非対応の点などは, 具体的な使用例の中で触れられることが多いのですが, こうした形で最初に「できること, できないこと」 を明確にしておく構成に好感が持てました.
SQL の簡易チュートリアルについては, 文字通り簡易版で, 物足りなさを感じたことは事実です. しかし, SQL 文の何をどう扱うか, 何が必要かということは, 目的によって大きく異なるので, 限り在る紙面では簡単に触れるに止めるという選択も理解できます. , また, 「簡易」とはいうものの, MySQL 独自の SQL 文についての説明は含まれています.
いかに便利なものであっても, 導入や設定の方法が不明瞭であれば, 試しに使ってみるのは勿論の事, 実際に利用するにあたって不安材料になります.
本書では導入に関しては簡易インストールと, インストールの詳細を別立てで 2 章に分けて解説がされています. これはこれで便利だとは思うのですが, 両者には内容的に重複する部分が多く, それでいてソースコードからインストールする場合, に必要な開発環境の記載や, バイナリパッケージ利用についての注意事項は後者にしかありません. 私見ですが, MySQL は要求されるライブラリやコンパイラのバージョンについての制限がやや厳しいように感じただけに, この点は少々残念に思われました.
設定方法に関しても同様です. ただ, インストール/設定に関しては, 様々な環境で個別に解説があるので作業そのものは安心して進めることができます.
いずれにしても, 本書の記述に従うことで, 私の場合は特に問題無く MySQL を導入することができました.
実際の運用に関しても独立した 1 章が解説に充てられており, バックアップやログの管理についても触れられていて, 単に試しに使うだけでなく, 本格的に使う向きにも対応できる内容となっているのが心強く思われました.
本書では PHP, Ruby, Perl, JDBC, ODBC を通して MySQL を利用する方法が解説されています. 実際に広く使われたり, 注目されているもの (インターフェイス) は大体カバーしているのではないでしょうか (個人的にはお気に入りの言語である Python と Tcl からの利用例も読んでみたい気はしましたが).
収録されている応用例は, どれも興味深く, データベースに関心と興味を持つ直接の契機となった電子掲示板への利用という点に関連して, Perl や Ruby と MySQL を組み合わせての Web 掲示板の例は実に参考になりました.
freshmeat で検索して出てくるデータベースと連携するツールしかり, また, SourceForge で提供されるサービスしかり, 国外では実に広く MySQL が使われているようですが, 翻って日本国内ではというと, 知名度と情報量に関しては (私の知る範囲では) 限られたもののようです. 本書は, そうしたギャップを埋め, 多くの人が気軽に MySQL を試してみる為の良い道標と思われました. また, 収録されている実例は, MySQL との連携だけでなく, データベースそのものをいかに応用するかという事例集としても示唆に富んでいます.
文章的, 内容的にも, 私のような SQL 入門者にも充分に理解の及ぶものでした. この「MySQL 徹底入門」は, MySQL には興味があるものの, 情報量の少なさから躊躇していた人にとっては有意義な一冊, というのが偽らざる感想です.
最後に, 今回ブックレビューの機会を与えて下さった関係者の方々に感謝致します.
MySQL の入門に最適と思う. また, PHP, Ruby, Perl, JDBC, ODBC と, 豊富なインターフェースを利用した事例が紹介されているので, 導入を検討する際に参考にするのも良いだろう.
本書は Part1 〜 3 まで分かれている.
Part1 は, MySQL の紹介である. ここで, MySQL の歴史と沿革がわかる.
Part2 のユーザ編では, 簡単なインストールの仕方と, SQL の使い方が説明されている. 今までデータベースにふれたことがない人でも, ここを読むことによって, 最低限の知識を得られる. SQL の説明はなかなか的を得ており, 初心者は必読だろう. ただし, 全くの初心者で, 本格的に始めたい場合は, 別の SQL 入門書も見た方がいいかもしれない.
Part2 のプログラマ編では, もっとも多くのページが割かれている. PHP, Ruby, Perl, JDBC, ODBC が章に分かれて紹介されていて, それぞれ掲示板などのサンプルが付いており, 実践的で役に立つ.
各章の最初には入門的な紹介があり, これを見て, 自分が行おうとしていることに最も合う言語を選ぶと良いだろう. 特に Ruby の紹介に力が入っているように感じた.
Part3 は, 管理者編で, 詳しいインストールの仕方と, 設定, 運用の仕方が説明されている. 実際に MySQL を使ったシステムを開発したときに絶対に必要になる, バックアップ, ユーザ管理などが説明されている. 初歩的な運用はこれで十分だろう. FAQ もあるが, やや使いにくいように感じた.
また, 付録として, リンク集, 簡易 MySQL リファレンス, MySQL/Ruby リファレンスがある. インターネットにつなげる環境にあれば不要かもしれないが, より役に立つ本を作ろうとする著者の意欲は感じる.
プログラマ編で, チュートリアルのような内容が無いのが残念だ. いきなりサンプルに入らずに, 入門者が手軽に試せるチュートリアルがあれば, 敷居が低くなって良いと思う. 各章の最初には入門的内容があるが, 帯に短したすきに長しといった感じで, 中途半端である.
入門〜中級におすすめする本である.
データベースに関して全くの初心者でも, この本だけで MySQL の世界に入ることができる.
また, 他のデータベースを知っている人は, MySQL の導入方法や管理の方法, プログラミングの解説が丁寧にされているので, すぐにシステムを作れるようになる.
さらに上級者になってきても役に立つように, リンク集やリファレンスが用意されている.
MySQL は, 今まで日本語での情報が少なく, 普及の足かせとなっていた. 実際, 私もデータベースを構築する際, 開発期間が短かったために, 日本語での情報が多い, PostgreSQL を選択した. そのときに本書があれば, MySQL を選択していたように思う.
本書は, 初心者を対象にかかれているが, MySQL 導入を検討している中級以上の人にもお勧めできる, 良書である.
原稿未着