著者の 中山房光夫 様ならびに 株式会社シイエム・シイ 様のご厚意により,
書籍 "VAIOノートではじめるTurbolinux" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて
公募
を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
著者の 中山房光夫 様, 株式会社シイエム・シイ 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
Linux 入門書としてはまあまあの出来. 一応 GOOD の部類. \3,000 の価格も, CD が 3 枚付属しているのを考えると納得価格. (CD が無ければ, ちょっと高いと思うけれど・・・)
『VAIO ノートではじめる Turbolinux』の表題の通り, USB やメモリースティック利用, ジョグダイアル利用などの記述があり, VAIO ユーザにとっては嬉しい所. 小生だったらメモリースティックの記述だけでも購入を決めそうな本.
「VAIO ノート」で Linux を行いたい人にはぴったりの本かもしれない. ただし, 付録のインストールで大分手こずったので, 小生のような初心者にはもうちょっと工夫が欲しい所もあり, 初心者にはハードルが高い感じがした.
佐川急便のパッケージを開けると, いきなり「イワトビペンギン」の絵柄の表紙が目に付いた.
本屋に並べると割と目に付きやすいデザインであると思える.
(ペンギンの種類は別にして・・・ (^^;
中身は上質紙で印刷も良く, 読みやすい.
CD-ROM が 3 枚付いているが, 本を開けてもそれほどじゃまにならず,
何とか読めるように工夫されている点も嬉しい.
章節構成や本のコンセプトについては, 割と分かり易い章節構成になっている. UNIX (Linux) 利用の初歩から手ほどきしてあるのは, 好ましい. ADSL など, 最新動向をキャッチアップしている所も評価できる. ただし, アプリ解説が XMMS (MP3 プレーヤー) と GIMP (画像処理ソフト) のみでは, 少し寂しい. せっかく ADSL の説明があるのだから, Mozilla あたりも記述して欲しい. プログラミング環境の話があればもっと良いと思える.
(1) インストールが付録に来ているのは, 小生のような Linux 半年の駆け出しに取っては頂けない. これが書店で本を選択する場合だったら, すぐパスして次の本へと行くだろう. 「VAIO ノートではじめる〜」と言う表題からは, あきらかに初心者を狙って来たものだ (少なくとも小生にはそう思える) から, 初心者としては, インストールをメインストーリに持って来てもらうとありがたい.
(2) BIOS の設定
Plug&Play O/S: 項目を, 「No」に設定している.
これは, Linux の動作上不都合を回避する旨の記述が欄外にあるが,
Windows 側にどう言う影響があるのか記述して欲しい所.
小生の PCG-Z505V/BW では, WindowsMe が立ち上がらなくなった.
モバイルユーザにとっては, 死活問題にもなりかねない.
(3) 初心者に取って一番わかりづらいのが, ディスクのパーティションである (少なくとも小生にとってはそうだった) が, さらっと書かれているので, ちょっと寂しい. 「D:」ドライブ前提だが, これからディスク容量は益々増えて行くし, LILO のブートは, たしか 8GB の制限があったのではなかったかなぁ? と思えたりして, ここの所をどうするかが課題. また, 「D:」ドライブが無い場合は, 「パーティションマジックを使って〜」と言う所も寂しい. 市販ソフトに頼らず, オープンソースを貫いて欲しかった. (添付 CD のこのソフトを使うと OK とか・・・)
(4) 「VAIO ノートではじめる〜」とあるので, USB やメモリースティック, ジョグダイヤルもインストールの一環で記述してたらもっと良いのにと思ってしまう. また, 「VAIO ノートではじめる〜」とあるが, ハイバネーションの記述の無い所が大いに気になる所. モバイルユーザが置いてきぼりにされた感じがした.
(5) 実際にインストール時, CD-RW ドライブでは, CD-RW 装置の底面にある CardBus<->Recovery の切り替えスイッチを, Recovery 側にしておかないと, CD-ROM からの起動ができない. 最近の VAIO ユーザには, CD-ROM 装置でなく CD-RW ドライブユーザも結構いると思うので, この辺りの記述が欲しい.
(6) インストール実行の評価
付録 A のインストール要領の最初,
「STEP1: インストーラの起動」から「STEP6: マウスの設定」までは順調に行えたが,
「STEP7: パーティションの設定」から, 「STEP8: TFDisk の起動」,
「STEP9: 既存のパーティションの削除」, 「STEP10: パーティションの作成」,
「STEP11: /boot パーティションの作成」, 「STEP12: スワップパーティションの作成」,
「STEP13: /パーティションの作成」は初心者にはハードルが高いと思える.
もう少し工夫しないと, ここで失敗する.
また, 「STEP4: インストールクラスの設定」と「STEP5: キーボードの設定」について,
グラフィックモードでのインストール要領と, テキストモードでのインストール要領が混在して記述されている.
グラフィックモードで実行したとき,
STEP5 の記述通り, キーボード選択ののち [Enter] キーを押したらうまく行かない.
インストール要領の「STEP26: インストール開始の確認」まで行くのに, ひとつずつ, 確認しながら実行したせいか, 2 時間弱掛かる. 特に, 「STEP10: パーティションの作成」で半分程度の時間を費やした.
なお, STEP10 の頁 (221 頁) の最下行に説明がある, 「〜パーティションの追加ボタンをクリックします.」 の所は, 「〜パーティションの追加ボタンをクリックします. (図 A.10) 」として欲しい. (インストール画面の写真が各 STEP に添付されているのだが, STEP10 だけ, 文章の流れと逆の位置に写真が挿入されておりこれが分かり難い原因の 1 つになている).
「STEP26: インストール開始の確認」で, インストールを実際に開始後, パーティションのフォーマットの所でエラーが発生し, 前に進まない. メッセージも簡易にわかるものではなく, 「どこかに連絡して云々」となっており, また, 時間が無いので中断することとする.
誤字・脱字
19 頁 8 行目 | 誤「使用しい場合は, GNOME パネル〜」 |
正「使用したい場合は, GNOME パネル〜」 |
以上
なぜ SONY の VAIO なのか. よく売れているからであろうが NEC, 富士通, 東芝, IBM などを含め 他社のノート PC での利用時にも参考になる情報が書き分けてあるとなおよかった.
第 1 章 なぜ TurboLinux なのか.
日本でのシェアは相対的に高いからであろう.
商用アプリケーションの利用が前提なら RedHat 系なので順当であろう.
またディストリビューション間のディレクトリ構成等も標準化しつつあるが
他の RedHat 系への補足説明が本章にもう少しあればなおよかった.
なぜ 7 Workstation ではなく Server 6.5 なのか.
リリースの時期の問題もあるが微妙なタイミングであったので最新版へのフォローもほしかった.
第 2 章のデスクトップ環境については本書で扱う Server 6.5 では標準が GNOME で, 一方リリースされたばかりでより多くのユーザが利用する可能性の高い 7 Workstation では KDE が標準となっている. どちらも選択はでき, 本章も両方について触れてはいる. デスクトップ環境で Windows 系のリプレースを検討する場合に Office で作られたデータのやり取りが問題になるので Linux で利用できる Office が 2 章の 2 ページだけでは少ないと思われる.
第 3 章は最もよく使うエディタについて vi と Emacs の両方が操作, 文字コード, 日本語入力などコンパクトにまとまっている.
第 4 章のシェルとコマンドは, 基本的な概念やオンラインマニュアルについて述べた後, 付録 D の主なコマンドと連動していて便利である. 初心者には逆引きも可能ならなおよい.
第 5 章のファイルとディレクトリも基本をおさえてコンパクトにまとまっている.
第 6 章のシステムの管理と操作で, デスクトップ環境では必要性が低いかもしれないが 大量ユーザの一括作成・削除やディスク更新による移動などの 本来サーバで必要となることもあるとマルチユーザ環境の管理としていいと思う. OS 自体のアップデートの諸注意についての説明もあるとよい.
第 7 章のネットワークと TCP/IP では 著者も述べてはいるが IPv6 についてせめて付録 B ででも述べてほしかった. また将来のサーバ管理者育成のために bind についても classC 未満の設定例などもあると参考になるのではないか.
第 8 章のダイアルアップと ISDN, ADSL では 急速に普及している ADSL の具体的な設定についての説明があり参考になる.
第 9 章のアプリケーションの利用では MP3 とフォトレタッチの概説があり, 利用のきっかけになると思う.
第 10 章 ノート PC をタイトルに掲げるならば
モデム, サウンド (第 9 章で言及), ビデオなどのノート PC 固有のハードウェア利用のノウハウが
付録 B にでもさらに充実していればよかった.
VAIO 固有のものについては本章で設けてあり非常に便利である.
また CD-R/RW 兼 DVD-ROM ドライブの
ノート PC への搭載も一般的になっているので
これらの利用の章もほしかった.
付録 A のインストールでは, CD-ROM ブートも F2 キーを起動時に押すことで可能であった. しかしモニタとビデオカードの検出はできなかったので X からの起動はできなかった. 一方ブート用フロッピーディスクの作成はできた.
細々と書いた部分もあるがノートパソコンで Linux をはじめるには役立つ本であると思う.
この本の出版元である株式会社シイエム・シイのホームページをみて何の会社かわかる人はいるだろうか? どうも印刷会社のようである. (多分, もとはマイクロフィルムなどを扱っていたデータ分野の印刷会社なのだと思う.)
『UNIX 使いになるための VAIO ノートではじめる Turbolinux』と題された, この本が何の本かわかるだろうか? Turbolinux の Beginner's Manual である. その意味では良くできている. しかし, 「VAIO ノート」と「UNIX 使いになるための」は必ずしも内容を反映しているとは言えない.
奥付に記された紹介からみると著者 2 名は, Turbolinux 社の社員のようだ. 発行人は株式会社シイエム・シイの社長の名前になっている.
この本の著者は Linux がインストールされたコンピュータの使い方を Turbolinux のマニュアルに沿って, 器用にそして淡々と解説している. 実に洗練されている. Turbolinux 社が講座やサポートなどで, これまで培ってきたものの成果がここにある. 付帯の 3 枚の CD は, インストールディスクの他にソースディスク, 追加パッケージまでもが用意されており, 申し分がない. 著者の明晰さと真摯さが感じられる.
インストールも Turbolinux の独自のもので, 自動化されており, 初心者でも簡単にインストールができるよう配慮されている. 使える Linux が紹介されている.
しかし, Turbolinux の商業パッケージのマニュアルと何が違うのだろうかという疑問が生じてくるのも否めない.
一体, 『UNIX 使いになるための VAIO ノートではじめる Turbolinux』と題されたこの本は誰が買うのだろうか.
順は逆になるが,
の 3 点について, 検証してみたいと思う.
この本の著者も, 現在インターネット等での UNIX (Linux) の役割も,
Turbolinux も Sony VAIO も現在もっとも魅力のあるもののひとつであるには間違いがない.
それを集めれば, すばらしいものができるだろうとは誰も考えることだろう.
それがこの本のタイトルになっている.
では, この本は何を目的にしているのだろうか.
すばらしい舞台と魅力のある役者はそろっている.
しかしそこに監督がいなければ映画はできない.
監督にあたるのが編集者であろう.
この本には編集者の顔がない.
コンセプトがないのである.
Sony と Turbolinux という舞台そして著者という役者がそろっているのである.
その名優に何を演じさせるのか.
それは出版社であり, ソリューション・クリエーターを自負する
株式会社シイエム・シイの責任ではないだろうか.
Sony と Turbolinux 社に何を提供してもらい, それを著者にどのように演じさせるのか,
そのコンセプトをもってこの本が作られていたらと残念でならない.
そして株式会社シイエム・シイにはそれができる筈である.
是非, 株式会社シイエム・シイにはこの本の続編を企画してもらいたい.
各章の詳細に関しましては他のレビューアの方々にお任せするとして, 私は本書名が『VAIO ノートではじめる Turbolinux』である...という点に着目して, VAIO ノートならでは!! の部分に焦点を絞り, 気になった部分を挙げていこうと思います.
本書の付録 A 「Turbolinux のインストール」では, 既に, ハードディスクに C, D ドライブが存在している事を前提に話を進めている為, Partition Magic, FIPS といったパーティション分割ツールについて, さらっと触れる程度で, その使用方法については解説されていません. ですが, 各個人の環境によっては必ずしも同条件であるとは限らないので, 各ツールの使用方法を写真つきにて解説してあれば, 親切だと感じました.
こういったパーティション分割ツールは, 下手をすれば既存のパーティション上のデータを飛ばす事になりかねない為, 初めて使用する人にとっては, かなり敷居の高いものと感じるものです. (私自身, 初めて FIPS を使った時は非常にドキドキしました. (^^;) 少なくともフリーで入手できる FIPS に関しては, 付属 CD-ROM に収録の上, 解説して頂ければ, よりユーザーフレンドリーな本となったと思います.
第 8 章「ダイアルアップと ISDN, ADSL」にて, コンピュータ内蔵のモデムは「Winmodem」といい, Linux での利用は限られている為 「シリアルポート接続の外付けモデム」か「PCMCIA タイプのモデム (P-in 等, モバイルカード含む)」 を利用する事を前提として解説を続けていますが, 少なくとも今回インストールする, Turbolinux では, 次の Web ページにて「PC-Tel (Winmodem) の使用法」を紹介しています. http://the.turbolinux.co.jp/docs/document/pc-tel.txt
著者の 2 人共, ターボリナックスジャパン株式会社の関係者である事を考慮すると, 本書執筆にあたり, もう少し情報収集/動作確認をして欲しかったと思います.
くどいようですが, 本書名が『VAIO ノートではじめる Turbolinux』なだけに, VAIO ノート内蔵モデムを使用したい...と言うのが「人情」だと思います. また, インストールにあたり使用された機種が Z505 シリーズ...と言う事から考えても, シリアルポートにモデムを接続するにも, 別途「ポートリプリケーター」が必要ですし, 1 つしか無い PCMCIA スロットがモデムにて埋まってしまう事は, 拡張性の面から言っても少し悲しい事です. その辺りを配慮する意味でも「Winmodem」について, もう少し突っ込んだ内容にして欲しかったです.
第 10 章「便利な利用方法」では, USB 関連や, メモリスティック, 更にはジョグダイアルについてまで書かれているにも関わらず, ノートパソコンならでは!! の機能である肝心のサスペンド/ハイバネーション機能について触れられていないのは 少し片手落ちな感じがしました.
パッケージ名が ABC 順に並び解説があるのは便利なのですが, パッケージグループからの逆引きもあれば, より便利に感じました.
172 頁 9 行目 | 誤「http://www.linmodem.org/」 |
正「http://www.linmodems.org/」 |
「VAIO ノートではじめる...」と謳っている割には, VAIO ノートに特化した部分が少なく残念でした.
しかし, Linux 初心者が始めるきっかけ...として本書を見ていきますと, Linux (PC-UNIX) の概要に始まり, RPM によるパッケージのインストール等, 色々と参考になる本だと思います.
特に第 4 章「シェルとコマンド」に関しては, 今後 Linux を活用していくにあたり (最初は難解と感じるかも知れないけれど) 非常に為になる内容が書かれている点は, 巷によくある「インストール本」と本書の一線を画する部分で, とても親切だとは思います. ですが, 上記に記した「痒い所に手の届かない」部分もあり, 少々不親切感が拭えないです.
散々, 辛辣な事を指摘しましたが, それは Linux (PC-UNIX) を多少でもかじった事のある人間の意見で, 本書を片手にまさにこれから Linux 使いになろう...といった人には, 1 冊手元にあっても決して損のない本であると言えると思います.
ただ, この類の Linux 入門本の宿命とも言える「広く, 浅い」情報に関しては否めない事実なので, 本書を読み Linux を使い込んでいくうちに 興味を持った部分 (各章) に特化した本にステップアップしていけば良いと思います.
PS2 が繰り広げるサイバーワールドを自在に駆け巡りたい, との一心で「電子工学」を選んで大学へ進学した. でも「PS2」も「パソコン」も大学受験科目になかったため, 文字通り「コンピュータ」の「コ」の字も知らないも同然だった.
やっと PS2 で遊んだりパソコンでインターネットすることができるようになった. パソコンの OS は Windows が当然と思って使った. でも学校の必須科目に「Linux」があった. 学校の教材は Red Hat Linux だったが, 立上がるのに気の遠くなるような時間がかかり, 機能も Windows に比べてはるかに劣っているように感じられ, どうしてこんなに不自由なものを勉強しなければいけないのか悩み, 苦しみ, まったく身につかないまま半年が過ぎた.
夏に SONY の VAIO (PCG-FX55G/BP) を買った. 9 月の中ごろ, インターネットで「Linux」を検索していて今回のブックレビューアの募集を知り, Linux を勉強し直すチャンスと思って応募した. 9 月末にいきなり本が届き, くじ運の悪い私としては久しぶりにうれしかった.
インストール方法はなぜか本書の最初ではなく, 付録 A に入っていた.
インストールは付録のとおりにしたつもりだった. 私の VAIO には /dev/hda1 に DOS 領域が 10GB 切ってあり, 残り 20GB の /dev/hda2 は DOSfree だった.
Linux 用のパーティションを切るためにはまず hda2 を削除するのだなと思い, /dev/hda2 のところをクリックしたら色が変わった. そのまま自然に下にある「全て削除」のボタンを我知らずマウスが押した. それでもともとあった Windows Me の世界が全部吹っ飛んでしまっていた.
……ぅぅうおおおおーっ!!
友達からもらったあのソフトも, インターネットで手に入れていたあの jpeg ファイルも, … 何もかも消えてしまった. くそっ!!
… 数 時 間 ボ ー ゼ ン と し て い た …….
気がついたら日が暮れて, 腹が減っていた.
晩ご飯をはさんで, 泣く泣く VAIO のシステムリカバリをした.
その日はそれっきり何もしないで, 風呂に入って寝た.
何がまずかったのか考えてみた.
STEP9 「既存のパーティションの削除」のところで, 「すべて削除」のボタンが目立ちすぎるのが良くない. これは本書のせいではなく Turbolinux の責任だが, これをクリックしたら, 例えば 「すべてのハードディスクのすべての内容が消えます. 気は確かですか?」 とかの確認窓を出すべきだ. またはこのボタン自体, 表示窓の左隅っこに小さな赤いドクロのマークで表示させ, それをクリックしたら「全て削除. 気は確か?」の確認窓を出すべきだ.
また, 本書としては, 「パーティション /dev/hdb (D:ドライブ) を選択し, 削除ボタンをクリックします (図 A.9).」と, シレッと済ませず, 続けて 「『すべて削除』をクリックすると既存の Windows の領域も削除されるので, 絶対にクリックしないこと.」 と注意を書いていてほしかった.
一方, STEP8 で「IDE/ATAPI 接続のハードディスク」や「SCSI 接続のハードディスク」が出てきたが, VAIO を使っている限りハードディスクを区別して認識する必要はないと思う (特に初心者は) ので, これらの記載は不要と思う.
悪夢にうなされた.
次の週, 我慢して再度 Turbolinux をインストールすることにした.
やっと STEP11 に来た. 「/boot パーティションの推奨」ではパーティション作成画面で 「パーティションタイプ」として「Linux ext2」が選ばれているが, STEP13 の一般的なパーティションでは「Linux ext3」を推奨している. /boot ドライブのパーティションを切る時はそのあたりのことは明示されてなかった. 一応表示されている「Linux ext2」を選択したが, 「ext3」が良いのか, もとのままでよいのか, はっきり指示してほしかった.
STEP12, STEP13, STEP14 および STEP15 まではスムースに終了した.
STEP16 の「ブートローダの設定」には, 「LILO をインストールする場所として『/dev/had マスタブートレコード (MBR) 』を選択します.」 と書いてある. 「日経 Linux 2001 年 6 月号」の特集「安全で快適なマルチ OS 環境を実現する」には, 「LILO を MBR に導入するのは危険. 起動不能になりやすく復旧も面倒」と書いてあったので, 本書の指示にかなり不安を感じた. この Turbolinux6.5 を未来永劫にわたって VAIO に入れておくつもりはないので, Linux が Windows の世界を侵襲するのはあまり気持ちの良いものではないと思った. 選択肢として, LILO を「起動フロッピーディスク」に入れ, それから Linux を立ち上げる方法も紹介して欲しかった. そこで私は本書の記載に従わず, /dev/hda2 ブートパーティションの最初のセクタに LILO を入れることにした.
STEP17 の「ブートローダの詳細」では, 書いてあることは良く分からなかったが, デフォルトのチェックを /dev/hda1 の Dos/Windows にした. これで, 電源オンで何もしなければ, いつもの Windows Me が立上がるだろうと考えた.
STEP18 から 22 まで本書のとおりに進んだ. STEP23 「X Window System の設定」でウィンドウマネージャとして「GNOME」ではなく, 「KDE」を選択した. なぜかというと, 誰かにどこかで 「KDE には KDevelop という名前の C/C++ プログラミング開発環境がある.」と聞いていたからだ. Windows では Borland 社の J Builder や C/C++ Builder があり, Linux にも Kylix や J Builder の開発環境があるが, オブジェクト Pascal はちょっとマイナーであり, 一足飛びに Java をするのも手に負えないので, 学校で教えてくれている C 言語からマスターし, C++, それから Java へと進みたいと考えている. そのためにはテキストモードでの C 言語のプログラミングより, やはり何らかの開発環境が欲しいと思った.
それはさておき, インストールを先に進めよう.
STEP24 「X Window System のテスト」ではうまく画面表示した.
やっと, STEP25 「インストール準備の完了」にたどり着いた. 「詳細情報」タブをクリックしてインストールに関する設定情報を再確認することができるが, 間違いがあったとしても, とんでもない間違いでない限り設定状況を見て分かるわけでもないし, 自動修正されるわけでもないので, 一瞥しただけで「→次」をクリックした.
STEP26 「インストール開始の確認」で, 「! インストールに必要な情報が全て設定されました。…」と, 再確認の表示が出た. 本当はよく読まないといけないのだが, 面倒くさいのですぐ「OK」をクリックした. (そういうクセが「命取り」なのは重々分かってはいるのだが…)
STEP27 からシステムのインストールが始まった. ずいぶん時間がかかった. 2 時間くらいかかったろうか. 追加パッケージをインストールし, ブートディスクを作成した.
最後に「インストールが完了しました.」が表示された. フロッピーを抜き出した後, 追加パッケージの CD-ROM を出そうとしたが, 出て来なかった. 「完了」ボタンを押して再起動させた. Windows Me が立上がった. そこでやっと CD-ROM を取り出すことができた. 後で知ったのだが, Linux で立上がった後, KDE の画面の右上にある CD-ROM のアイコンを開いてディスクを出せばよい. 本書の STEP36 あたりにそのことを書いておいて欲しかった.
Windows Me を Shut Down し, Turbolinux の起動ディスクを入れて電源ボタンを押した.
立上がって「LILO Boot Menu」が表示されたので, 「Linux」を選んだ.
ごちゃごちゃメッセージが表示され, やけに長い約 1 分後, STEP38 「ログイン画面」とは違う, 「Turbolinux release 6.5 Server (Jupiter) [localhost]」のウィンドウが表示された.
イヤダーーーーッ! 「LoginName」とか「PassWord」とか多分「選択デスクトップ」と表示されるタイトルであろう, それらがすべて「????? ???」と表示されているではないか!! ボタンの名前もすべて「???」である. 赤塚マンガの「レレレのオジサン」を思い出して, 「レレレのレーッ」って呼ぶことにした. 適当に, インストール時に登録したユーザー名, パスワードを入力し, 本書の第 2 章に従い, GNOME を選択して「??! (O)」 (多分「O.K.」) をクリックした.
第 1 章の「Linux について」はどこかで聞いた話だからパラパラとめくり, 第 2 章の「デスクトップ環境」から読むことにした. 「ジーノメ (GNOME)」 (私は以前からそう呼んでいるが, 正しくは「グノーム」だそうだ. その辺の「読み方」の説明がこの本にはない. Red Hat Linux の入門書には書いてあったが.) には興味なかったが, 本書に従って実行してみた. GNOME はログイン画面から選択できた.
GNOME のデスクトップが表示された. 「GNOME ヒント」ウィンドウが表示されたが, 日本語が正しく表示されているのでホッと胸をなでおろした.
「sawfish ウィンドウマネージャの機能」と「sawfish の設定と変更」も読み飛ばした. 「テーマの変更」の冒頭には 「テーマはデスクトップに表示されるアプリケーションのフレームの外観を決めるものです.」と書いてあった. 意味が良く分からなかったが, デフォルトの窓枠が暗くて見にくかったので, 「デフォルトフレームスタイル」を別の「テーマ」 (って呼ぶんですね.) に変えてみた. 変わり映えしなかったので, 元の「Helix-Sweetpill-Turbolinux」に戻したが, この段落では, 「・・・プルダウンメニューから好みのテーマを選択します. 別のテーマを使用することも可能です.」 の次に, インターネットで別テーマを入手することが書いてあり, その次にまた 「GUI からテーマを選択したい場合には [Sawfish 設定ツール] を起動して [外観 (Appearance)] で選びたいテーマをデフォルトテーマに指定します.」 って, また同じことが繰り返し書いてあった. 文章を整理した方が良いと思った.
次の「ショートカットキーの設定」ってどんな意味があるのだろう? Windows ではマウスで操作する「ショートカット」を簡単に作り, デスクトップに置いておくことができるが, この「ショートカットキー」は, [Ctrl]-[Alt]-[→] って 3 回キーを押さなければいけない. 以前, 「マウスを使わないことに慣れるとパソコン操作がもっと速くなる. それが達人.」 という話をどこかで読んだことがあるが, Windows に慣れ, これから Linux をしようという読者にいきなり 「キーを 3 つ押せば画面が変わる (「隣のワークスペースへ移動できる」)」なんてことを言ったって, Linux への興味をそぐだけだと思う.
次の「ワークスペースの変更」は, 具体的に記載されていないから試してみることはできなかった.
次の「Note: sawfish の設定」って, Linux のファイル構造も理解していないのに, そんなの出していいのだろうか?
「その他のウィンドウマネージャ」も何種類か表示されているだけで, 当面不要と思われる.
次の「ウィンドウマネージャの新規登録」は, 新しいウィンドウマネージャをダウンロードしたわけではないので, パスした.
で, やっと「2.2 ターミナルウィンドウの基本操作」へ来た.
「…されています.」, 「…できます.」, 「…があります.」, 「…(関連サイトを) ぜひご覧ください.」で, 具体的にどうすればどうなるのか書いてないのは, 意味がないと感じた.
「2.3 GNOME」の章にきた. 14 頁の「さまざまなウィンドウマネージャ」で, 「実際にデスクトップ上で, マウスやキーボードにイベントを管理するための X ウィンドウマネージャが別に存在します.」 というところは, まったく意味不明だった.
誤字を見つけた. 19 頁「Note: 端末エミュレータ rxvt」 4 行目の「るので, 使用しい場合は」, は, 正しくは「るので, 使用したい場合は」, だろう.
以降, 主に画面や操作の説明の羅列である. KDE に至っても同じパターンであり, まったく深みがなく, 本書の一番初めの「本書について」で批判してある 「現在出版されている Linux 関係の書籍の中には, 初心者だけを対象にしたインストールのみの解説や, 外観と操作性だけに着目した内容になっていて」 , という記述に, 自ら陥っているのではないかと思った.
本書を無料でもらってから言うのも心苦しいのだが, 本書は大変不幸なケースと言わざるを得ないと思う. 本書が発行されてからたった 2 ヶ月余りで Turbolinux7 (FTP 版) がリリースされ, いろいろな月刊雑誌や書籍に添付されるようになった.
こういう状況や, さらに 11 月 16 日から Windows XP が出る中で, 本書によってどうしたら儲かるかを考えてみたい.
本書を改訂するとして, 以下に, 本書の改善すべき点を列挙する.
本書発刊の時期が悪かった. 2 人の著者は, いずれもターボリナックスジャパン株式会社の関係者であったことから, Turbolinux7 (FTP 版) がリリースされる時期は分かっていたのではないだろうか? できればもう 2 ヶ月待って, 新版の linux を添付して発刊した方が, 本書の寿命はもっと長かったのではないかと考えられる. 本書以外にもソフトを CD-ROM で添付した書籍が最近多くなったが, 特に栄枯盛衰の激しいソフトを添付した書籍を発刊する場合は, タイミングを良く見計らって出すべきと思う.
本のタイトルに問題がある. Linux に関する類書では, 恐れ多くも「UNIX」を冠したタイトルの書籍はそうザラにはない. 「UNIX 使いになるための」は余計な枕詞であり, 人を惑わす元である. 本書の中では, 「UNIX」を索引で引くと, 2 頁の 1 箇所出てくるだけだ. 実際にはもともと UNIX のエディタである vi や Emacs の解説部分とか, 「シェルとコマンド」の章などでもほんの少し言及されているが, 本のタイトルに書く資格があると言えるほど「UNIX」を扱っているとは思えない. 本書を改訂するときには消した方が良い.
本の構成に疑問がある. 「本書について」で, 著者も認識しているように, 「読者の多く」は Linux 初心者であろう. 最近の初心者は, 私もそうだが, 「習うより慣れろ」ではないだろうか. だったら, 一番大事なことは, なにはともあれ Linux をとりあえずインストールして動かしてみることだ. 第 1 章の「Linux って何?」はたった 4 頁のお題目だから許せるが, その次には「インストール方法」が来るのが常識的な章立てと思う. ちなみに『Red Hat Linux オフィシャルマニュアル』を立ち読みしたら, 本の最初から「インストールガイド」であった. でも本書でのインストール方法の扱いは, 奇を衒っているのか, 「付録 A」でしかない. これはオーソドックスに, 少なくとも「第 2 章」に持ってくるべきだと思う. また, 本書は「VAIO ノートではじめる」と銘打っているが, 「SONY VAIO」ならばこその「メモリースティック」や「ジョグダイアル」の利用方法は, なぜか本書の最後 (付録の前) で「第 10 章 便利な利用方法」として説明してある. そこまで本書を読まないと, これらの機能は使っちゃいけないということだろうか. これは VAIO ユーザーにとって屈辱的というか, 著者は何を考えているのか分からなくなるところである. これらの VAIO 機能はハードウェアなのだから, Linux のインストール方法の解説のすぐ次の章で説明すべきだと思う. なお, そのためにはテキストモードでコマンドを叩き込まなくてはならないらしいが, そのためにコマンド入力を知っておかなければならないと言うなら, 適宜「シェルとコマンド」の章を参照するように脚注ないし引用すればよい.
次に挙げるべき内容は「インターネットへの接続」である. 本書では「第 8 章 ダイアルアップと ISDN, ADSL」に相当する. とにかくインターネットにつながれば良いのだ. 「第 7 章 ネットワークと TCP/IP」のようなお題目はもっとずっと後にして, 「ヒマがあれば読む」程度の扱いで十分ではないだろうか.
その次は「ミュージックプレーヤーとグラフィックエディタ」を持ってくるべきである. 本書では「第 9 章 アプリケーションの利用」の「9.1 XMMS (MP3 プレーヤー)」と「9.2 GIMP」が相当する. ただ, それらのアプリケーションの説明としてははなはだ簡単すぎる.
また, 「第 3 章 エディタの操作」では, 文書作成にもっぱら Windows 上の Word やワードパッドを使ってきた Linux 初心者が, 多分ほとんど積極的に使わないであろう (必要に応じて使わざるを得ない場合は自分で勝手に勉強するはずの, 時代錯誤の) vi や Emacs を クドクドと解説しているが, これはアンバランスである. これらはもっと簡単で良い. その分だけ, 「アプリケーションの利用」の章を充実させてほしい.
順番としては, 次にコマンドを叩けるようにすべく「シェルとコマンド」の章であろう. ただし, 本書の第 4 章「シェルとコマンド」は中途半端で, 古典である『最適環境実現のための Linux アプリケーションガイド』 (山本芳人著, 工学図書株式会社, 2000) の丁寧さを期待すべくもない. だったら, VAIO で利用できるすべての機能 (メモリースティックやジョグダイアル等) のドライバを理解しながら導入できるだけの説明に特化したファイル操作やコマンドについてのみに限定し, 詳説してもよかったと思う.
本書では第 2 章で GNOME や KDE といった GUI を使うことを説明し, 次に第 3 章で「vi」のしょっぱなから 「それでは早速 vi を起動してみましょう. 起動方法はコマンドの後にファイル名を指定します.」と, テキストモードでのコマンド入力を要求しているが, どうやったらコマンド入力画面が出てくるのか解説されていない. 以降のすべてのアプリケーションの起動も, コマンドを叩いて立ち上げるように書かれているが, GNOME でも KDE でも, メニュー選択で各種アプリが利用できるのではないのだろうか? そのあたりの, 章ごとの連携についてもっと充実させるべきだと思う.
付録 C の「収録ソフトウェア」って, 何のために付いているのだろう. 『Red Hat Linux オフィシャルマニュアル』にもそんなものは付いていない. そう言えば本書のいたるところに, さして利用できるわけでもない掲載意義不明の表が散在している. 表示すれば良いというものではない. Linux 初心者にとって, 本書は単なる「VAIO で Linux が使えるようになる導入本」にすぎない. しかし, それだけでも VAIO ユーザーに対しては大きな貢献である. Linux についてもっと勉強したいと思えば, さらにもっと適切な書籍が豊富にある. そのあたりの本書の「身分相応」をよく考え, 構成, 内容を検討すべきだと思う.
付録 D の「主なコマンド」の表はほとんど何の役にも立たない. 探すにもアルファベット順に並んでいないし, 機能別に分類されているわけでもない. 無意味である. 改訂時には削除してよいと思う.
本書でまあまあ良かったのは「付録 B 様々なオンライン情報」であろう. これでいろいろインターネットで探す手間が省けた.
本書が今後類書に負けず, 生き残って行くためには, もっと Linux 初心者を大切にし, 「VAIO」指向に特化すべきであり, 「習うより慣れろ」の初心者にとってさしあたり不要なことは極力削除する必要がある. 著者の自己満足で本を著すべきではない. 出版社も, 本書の身分相応性と発刊のタイミングをよく考えるべきである.
以上, 本書を改訂するならどのように改善すべきかを提案した. しかし, たいていのコンピュータ関係の書籍は, カーニハン & リッチーの『プログラミング言語 C』 (共立出版) などの, よほどの名著でないかぎり, 初版どまりである. 本書も同様な運命なら, できるだけ早く本書で儲けることを断念し, 次のより良い手を考える方が得策と思われる.
以 上