(株)インプレス 様のご厚意により,
書籍 "こんなにかんたん! Turbolinux 7" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて
公募
を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
(株)インプレス 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
Linux が各種サーバー OS として使用されるだけでなく, 現在標準となって いる Windows 系のクライアントシステムの代わりに使えないだろうかという観 点で本書を読んでみることにした. 家に届いた本書を封筒から出すと, 帯に「初 心者にやさしいゼロから学べる Linux 総合入門書」と書いてあった. 開いてみる と最初に目についたのは, 「さよなら Windows!?」という章タイトルである. この本を手にとる人, 買おうと思う人は, 仕事現場では Windows は使い慣れて いるが UNIX, Linux などまったく使ったことのない人, Linux という単語はよ く聞くがどんな操作環境の OS で仕事に使えるだろうかという人だろう. あくまでも購入者はサーバをたてる目的ではなく, クライアントとし て使用するために読み, 付属の "TurboLinux Workstation 7" CD-ROM でインストー ルするであろう.
本書の面白いところは, 「さよなら Windows!?」と書きながら, インストール は Windows98, 2000, NT と共存するための説明で書かれている点である. 初めて Linux を使おうとしている読者を考慮すれば, Linux 専用に PC を新規購入する ことはまずないだろう. ただし, 共存インストールは Linux 単体のインストー ルよりも難しい. 特にディスクパーティションの知識が要求されるからである. 本書ではディスク構造を絵で示し解説しているのでわかりやすい. そのパーティ ション分割をするためのコマンドである fdisk, FIPS の使用手順が説明されて いる. fdisk に関しては他書籍でも詳しく書かれているが, Windows が既にイン ストールされているパソコンをフォーマットせずにパーティション分割できる FIPS の説明があるのは,リスクは伴うが便利である. 本書はインストールの細か い手順が画面ダンプを伴って説明されているのでほとんどの読者は容易に理解できるだ ろう. インストールができない, ネットワークが使えない, X Window System が起動し ないなどトラブルは付き物である. そのために本書は付録で TurboLinux 社のサ イトにも掲載されている FAQ を提供している. 仮想の質問や問題ではなく実際の ことに対する回答が書かれているため役に立つ.
インストールが無事終われば, 操作環境を体験することができる. 本書では GUI で利用できる KDE の操作が詳細に説明されている. Microsoft Windows を 使用したことがあればだれでも理解できる. ということは本書の購入者はみんな 理解できる. GUI の操作に慣れれば, 実際の仕事で使えるアプリケーションを探 して, インストールして使えばよい. 本書では, ワープロ, 表計算, プレゼン テーション,ソフトウェア開発用のアプリケーションが紹介されており,中でも StarSuite は MSWord, Excel, PowerPoint の代わりに使える.
インターネットでのメール, ネットニュース, ブラウザの設定, 使用方法も よく説明されている. これらの操作に関しては Windows ユーザであれば簡単に 理解できる. インターネットブラウザとファイルマネージャの両方の機能を持つ Konqueror の説明が詳細であり, Windows の Explorer と似ている. 私は Konqueror の存在を知らなかった(ほとんどコマンドラインの作業のため)が, 今 後は使ってみたい. 本書ではメール,ネットニュースを説明した章の後の章でテ キストエディタの説明と日本語入力の説明をしているが, メールやニュースを書 く際に日本語入力を使うのでテキストエディタの章とメール, ニュースの章を入 れ換えた方が理解しやすくなると思う.
いよいよ, コマンド, スクリプトの解説になる. Linux に慣れた人であれば 熟知していておもしろい章(既に理解している)であるが, 初心者にはだんだん 難しくなってくる. いきなりコマンドの説明が始まるが, Linux のファイルシス テムの特徴を説明する章を設けてから, ファイル, ディレクトリの作成, 削除, 変更, ファイル属性, ファイル検索などのコマンドの説明に入ると理解しやす いだろう. シェルスクリプト, perl, sed, awk の説明が簡単である(初心者の ために深入りしないのがよい)が, 興味を持った読者のために, 今後のステップの ための推奨文献を掲載してあげたらよいと思う. ネットワーク用コマンドに関し ては基本的なものが説明されており, ワークステーションとして使うためには十 分である.
全体を通して画面ダンプがよく使われていて, それらが説明文と同期してい るので理解しやすくあきないで読むことができた. 本書はインストール方法, KDE 上の各種ツールの使用方法, 初心者にとっては十分で代表的なコマンド類の 説明, X Window System のカスタマイズ方法, FAQ などが網羅されており, 初心者がクライアントワークステー ションとして使用するのに奥の深い書籍となろう. "さよならWindows" というキー ワードが頭から離れないが, 本書では Linux 上で動く Windows エミュレータ, Samba での Windows とのファイル共有, Windows との共存インストールなど, Windows を敵にするのではなく, 将来, 主となる OS は Linux だというのが著 者の意図ではないだろうか. 全てが Microsoft である必要はないと感じている 人に, 本書を読んでいただき, 会社の管理職に, Linuxクライアントの 導入を提案してみたらどうだろう. 本書にはLinux で動作するアプリケーション も紹介されている. 最後に, Turbolinux 本体価格が 15,800円(サポート付) ということを考慮すると, 本書はかなりお得である.
私はパソコンなどは苦手というか嫌いなほうでした. 約 3 年前にインターネット に興味を持ち, パソコンを購入しました. その後すぐ Linux を知りました. 地域で のユーザー会(青森 Linux ユーザー会 ALUG)の勉強会などに参加しながら, 少しずつネットワークの勉強をしているところです.
本通りに作業を進めようと手元のマシンに入れてみました. 手元のマシンは "C" "D" "/" "swap" で構成されていまして (本通りではないですが) この構成で TFDisk でパーティションを作成すると本に解説されている "/boot" "swap" "/" と は切れなくなります. ここで少し TFDisk の説明があったほうがいいかと思いました.
ここの章では, コマンドの説明だけではなく, その由来なども書いていてくれて 大変勉強になりました. vi の説明は今まで自分で買ったどの Linux 入門書よりもわ かりやすく感じました.
ここでの説明ですが, 自分自身でも今一番覚えたいところでもありました. ただ, sort コマンドの説明で, ハムスターの種類, 出身地, リンクという例が英語での説 明なんですが, これははっきりいって違うものにして欲しかったです. なんというか 読み進めるにあたり, ぎこちない感じを受けました.
uniq コマンドの説明のように, 日本語(文字)での例のほうが私にはわかりやすい です. 日本語をあつかうことで出て来る問題もあるかも知れませんが, そこは注釈を 入れてもらって出来るだけ身近な(リンゴ, バナナ的な ^^)例だと 私にはわかりやすいです.
この本の一番うれしいところは 12, 13章でした. シェルスクリプトの説明はとて も具体的でネットワークコマンドの説明は大変わかりやすい感じでした.
用語の説明にふりがなを付けてくれているのは親切でいいと思いました.
訳者まえがきにもあるように「Windowsをちょっとかじった程度だが, Linuxにも 興味を持っている」「Linuxを使っている人にとっても, 新しい環境やカスタマイズ のための知識を提供できる」という, この本の目的が書かれていますが, 内容もそれ にあったものだと感じました.
はじめにでの「UNIX は Windows より難しいなんてことはありません. ただちょっ と違うだけなのです.」という言葉は, たいへん励まされます.
これから Linuxをはじめられる方, インストールして使いはじめたけど楽しくな いかな. と, もし(万が一)感じてる方にもお勧めかと思います. Linux を探険し始め るために必要なことがまとめられていると感じました.
本書は Linux 初心者向けの入門書であり, インストールから主な機能について広 く浅く解説されてる. FDISK や FIPS の使い方から解説されており, Linux を初 めてインストールする人向けにしっかりとした配慮がなされている. 表紙は爽やか な水色を背景にお約束のペンギンというデザイン. 小難しい雰囲気は無く比較的 目につきやすい表紙だと思う.
各章の構成は初心者向けと言うことでインストールから始まり KDE デスクトップ の使い方, 基本的なコマンド解説, プログラミング, rpm, カスタマイズと段階的に 学習できるようになっている.
第 1 章: Windows98/Me との共存方法, WindowsNT/2000 の OS ローダーを使う方 法の二通りが紹介されている. 画面写真等を用いてFDISK, FIPS, パーティションの 再設定について解説されている. 少し構成的に読みづらい感じを受けた. パーティショ ン設定の流れを図で示すようにしてはどうか.
Linux 自体のインストールは GUI ベー スのインストーラ「Mangoose」により何の問題もなく完了した. 本書を参考にしてイ ンストールすれば何の問題もない.
第 5 章: 各種 GUI テキストエディタについての解説. vi エディタについては 8 章に記されていた.
第 6 章: GUI によるファイル操作(Konqueror). ファイルシステムから解説され ている. この章に限らず画面写真 (スクリーンショット) が多用され分かりやすいが内容がページ数の割に少 ない. 画面写真のサイズが大きすぎるためにページを無駄にしている.
第 7 章: KDE の各設定の変更方法について. これほどページをさく必要はないと思う.
何故か本書には GNOME デスクトップについての解説が無い. Turbolinux の標準 は KDE とはいえ残念だ.
第 8, 9, 10 章: vi エディタ, ls, less 等の基本コマンドについて分かりやす く解説されている. 難解なコマンドには多くのページが割かれており好感が持てる. パイプ, リダイレクトによるコマンドの組合せも丁寧に解説されている.
第 11 章: シェルについて. ジョブコントロール, 各基本機能が詳細に解説され ている.
第 14 章: gzip, tar に代表される圧縮関連のコマンド解説. 分かりやすくまと められている. 非常に参考になる章である.
第 15 章: Windows のファイルを扱うための解説. パーティションのマウント方法 が解説されている. 参考として samba, VMware 等の紹介あり. MTOOLS の解説がされ ており, 非常に役にたった.
第 16 章: GUI によるパッケージ管理, RPM について. 丁重に解説されている為 とくに不満無し. 付録の CD の収録パッケージリストがディスク別のために参照しに くいのが難点か.
第 17 章: Turbolinux のカスタマイズについて. ログイン画面設定, ユーザー管 理 (GUI) の説明. ターミナルからの各種周辺機器設定が重点的に解説されている.
全体的に見れば, 初心者向け入門書としては良くまとまっている. 付録のなかに FAQ が収録されており, とても参考になった. インストールに関する情報を FAQ か らピックアップし 1 章に整理して追加したほうが良いと思う.
なぜか CD-R/RW について記述がないのが不思議だ. KDE にライティングソフトが あるのに名前の紹介程度で終っている. FAQ に DVD に関する Tips があるだけに残 念だ.
インターネット, エディタについては詳細な解説があるが Gimp 等の代表的なプ ログラムの解説が無く寂しい感じを受けた. 全体的に GUI に関する部分が多いので もう少し設定ファイルの書き換えについても解説があるといいのでは.
いろいろと文句をつけていますが, 初心者が Linux を始めるには良い本です. Turbolinux に触れた事の無い人やタコの人にもお勧めです. 書店で目にしたら一 度は手にとって見てください.
このような企画に参加するきっかけを下さったK田さん, K本さんありがとうご さいました. この場を借りてお礼申しあげます.