LPI Linux認定試験 クイック リファレンス

LPI Linux認定試験 クイック リファレンス レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

株式会社オライリー・ジャパン 様のご厚意により, 書籍 "LPI Linux認定試験 クイック リファレンス" を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて 公募 を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

株式会社オライリー・ジャパン 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 水野修治 (acqua@ie-tokai.aichi-c.ed.jp) さん

「LPI 認定試験対策だけでなく, つい手が伸びてしまう本」

Linux の使用歴
4 年
UNIX の使用歴
細々としかも断片的に約 10 年
Linux Box の主な用途
ファイルサーバ, Web サーバ, ftp サーバ, DB サーバ, ローカルルータ
Linux 以外に利用している OS
Windows 2000Pro
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux:Win2Kp=3:7

1.はじめに

Linux 関連の書籍は巷に満ち溢れるようになったが, LPI 認定試験の対策本の邦書としては本書が初めてである. そういう意味で興味を持ったのだが, それだけの目的以上に「読める」一冊である. 対象読者は当然のごとく LPI 認定試験を受験しようとする者であるが, 内容や構成を見ると, Linux 初心者から脱した中級者レベルの Linux 管理者にも有用な情報を提供する書籍であると感じた.

2.考察

受験参考書や問題集の形式に慣れ親しんでいる為か, 非常に素直に受け入れられる構成になっている (受験戦争の弊害か?). 各トピックス毎の課題が豊富な使用例と共に解説されてある. 内容も中級管理者が遭遇するであろう実践的なノウハウが盛り込まれている. また, 必要なコマンドに関するコマンドリファレンスやコマンド例などもとても分かりやすく In a Nutshell に相応しい書である. 復習問題と演習では様々な切り口で考えられるように作られており, Linux 初級者を脱する者にとっても Linux の知識を確認する上でも使えると思われる. Linux 入門書としてではなく日頃からシステム管理を行っていて, より実践的なノウハウを求めている人には良い一冊となるであろう.

3.独り言

Linux の知識を認定試験という形で量るのには正直少し抵抗があったのだが, 本書に触れてみて様々なケーススタディでより確実な知識を得るという意味で, 「つい手が伸びてしまう本」と感じた. 特に演習は, ちょっと試してみようかなという実践的な内容も多くこの章だけ読んでみても面白い. ただ, 「クイックリファレンス」と銘打っている割にはオーソドックスな索引なので もう少し工夫が欲しいと感じるのは, 欲張りであろうか.

4.総評

総ページ数 741 ページで内容もヘビーながら価格もこれまたヘビーである (O'REILLY の本にしてはページ単価はお得なのかも). しかし, なかなか Linux 初級者を脱することができない私にとって, 両方に値するだけの情報をもたらしてくれるであろう貴重な一冊である.


Reviewed by 工藤裕史 (alskudo@quartz.ocn.ne.jp) さん

「受験者に止まらず, インストール後の道しるべに」

Linux の使用歴
3 年
UNIX の使用歴
Linux Box の主な用途
各種サーバー
Linux 以外に利用している OS
某社製 Windows シリーズ
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
3 : 7

はじめに

数年前までは, 某社製 OS のシェアは大きなものでした. それ故に, 技術者や管理者の方々は某社製 OS についての技術や情報を大金を支払ってまで, 習得しようと必死に勉強をされていた事でしょう. しかし, "粗悪な品質" や "資本主義を追求する為の独自技術" がもたらした災厄が, 彼らの選択肢を変えていった事は 近年のシェアが大きく変動している事を見れは明らかでしょう.

その選択肢の一つに LINUX があるのですが, オープンソースの土壌で育ってきたこの OS で, 「何をもってスキルの証明とするのか?」 これは難しい問いでもありました. その答の一つに「LPI 認定試験」があるのですが, 今まで, 本試験について日本語で書かれた書籍は見当たりませんでした. 本書はその第 1 号であり, 受験者にとってのバイブルとなるものでしょう.

対象読者について

受験者は勿論ですが, LINUX インストール後から先に進めないで立ち往生しているユーザーにも 本書を御薦めします. 本書は LPIC レベル 1 の 101, 102 テストについて取り上げられています. それは初心者から中級者への過程で, 必須な情報が含まれている事を意味しています. 説明は手を抜かずに丁寧に書かれており, 初心者にとっても理解しやすい内容になっています. また中級者にとっても各トピックが的確にまとめられているので, 自身の進捗状況を知る事が出来, 学習計画を建てやすくなっています.

気になった点

1. 総仕上げの充実度

試験対策として, 本書のまとめとして, 以上 3 種類が各レベルの最後に掲載されていますが, 復習問題と演習に関しては, 解答や説明が掲載されていません. 基本的な内容ですので, 各トピックに戻れば良いのですが, 解答に対して今一つ自信が持てなかったりする場合もありましたので, この辺りは改善して欲しい点です. (読者の性格しだいですが) 模擬試験に関しても, 量としては十分には思われませんでしたので, 受験者各自が問題に関する情報を更に集める必要があるでしょう. 欲を言えば, これら 3 種類の内容は別冊にて, 量と内容の両面を充実させた物が欲しいと思いました.

2. 重量

本書を利用する方の大半は通勤,通学されているでしょうし, その際は列車内で立たれている事でしょう. その時間を貴重な学習時間に充てている方も少なく無いと思われます. 本書のサイズは辞書並であることから, 片手で読むにはかなりの筋力を必要とする事が予想されますし, 鞄の中に押し込むにはかなりのスペースを要求されます. この問題に関しては各自の工夫が必要とされることでしょう.

最後に

LPI 試験の出題範囲は, 例え最初のレベル 1 であっても広範であり, ある程度の応用力を必要としていますので 少々自信を持っている方でも合格は難しいと思われます. 本書は, その広範な内容をこれだけのスペースにまとめ, 収めきる事に成功した事は驚くべき事です. これだけ LINUX の世界について描ききった書籍は希少と言えるでしょう.

LPI 試験受験を考えておられる方, これから LINUX を学ぼうとされる方, 最近伸び悩みを感じている方, それら全ての LINUX ユーザーの方々に 是非本書を手にとって頂く事を御薦め致します.


Reviewed by 道向 新 (みちむこ しん) (smitimko@ca2.so-net.ne.jp) さん (HomePage)

「過去問題集ではなく, 構成もバラバラだけど, 模擬試験と各項目は使える.」

Linux の使用歴
約 9 年
UNIX の使用歴
約 15 年
Linux Box の主な用途
メール, ウェブブラウズ, プログラミング環境
Linux 以外に利用している OS
お客様の要望に応じて触る程度.
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
9:1

全体の印象

全体の感想としては, 「もうちょっと問題集に近い感じのものがあったほうがよい」 というのが第一印象です.

Linux をある程度長く使っている者にとっては, コマンドのオプションを再び一から読まされるのは苦痛です. つい飛ばし読みしてしまい, 演習問題, 模擬試験などから入ることになってしまいます. そうすると, 全体としてのありがた味が少し薄れて感じられます. 日本国内で一般的な試験対策本や過去問題集を期待すると 「ちょっと違う」感じになってしまうと思います. いわゆる教科書や参考書に, 模擬試験もついているという感じです. 試験の歴史が浅いので過去問題集になりえなかったのかも知れませんし, 試験内容は非公開なのが理由でしょうが, 一夜漬け対策本としては工夫の余地があります.

第二の印象としては, LPI 試験自体への感想になるかも知れませんが, 「こんなことをいちいち憶えておく必要はないかも知れない」 (だってほとんどの場合オンラインマニュアルなどがあるから) というものでした. 私はまだレベル 1 の一つ目の試験 (101 の英語版) をパスしたところですが, LPI の試験はかなり細かい内容について質問してきます. 例えば本書で紹介されている split コマンドは, フロッピーを使ってた頃, メールで添付する文書を分割していた頃は良く使いましたけれども, 最近ではほとんど使うことはないでしょう. これに類することを細かく知っていることを試験は要求していますし, 結果的に本書もそういう解説が掲載されています. しかし, 実際に業務として Linux に携わる人が全て 本書に書かれていることを暗記すべきとまでは言えないと思われました.

第三の印象としては, 上記二つの不満はあるものの, 「参考書として一定の質は保っている」という気がしました. 模擬試験にある項目は, ほぼ確実に本文に解説があります. 学校のテキストなら模擬試験自体を載せないことがほとんどでしょうけれども 本書にはありますし, 随所に「試験対策ポイント」が示されています. 実はこの試験対策ポイントを拾い読みしていけば, 良い試験対策 (短期集中型) になるわけです. 本書は過去問・一夜漬け対策の類ではないですし, 一夜漬け対策をどちらかというと否定しているのかも知れませんが, 復習・解説型の参考書としてはなかなか良いです. 本書の内容を習得し, レベル 1 テストもパスしたとすれば, 新米管理者としては使えるレベルになっていることでしょう. 単なる試験対策というより, そのような一定の質を保とうとしている印象を受けました.

本書の構成

先に英語版を見ていたので, まず外観が気になったのですが, 英語版よりも厚くて重い感じがしました. 1 ページの行数が違うからでしょう. 内容的には例題も含めてほぼ同じでした.

構成の順序としては, 「どのトピックから学習を初めてもかまわない」 (p.8) と書かれているとおり, どちらかというとバラバラです. これが一般の入門書などとはかなり異なり, 書籍としての評価を分けるのではないかと思われました. 試験勉強をする場合には一定期間を設けて順番に進めていくものでしょう. このようなバラバラな構成では, 授業形式で流れを作って復習しつつ進めたり, 受験者が自分のスキルの向上に喜びを感じるなどの工夫がしづらいように感じられます.

従って, 本書の読み方としては, まずは模擬試験問題から参照し, それからわからない点を本文に戻りながら確認すると良いでしょう. そうしてレベルが確認できたら, 「試験対策のポイント」と「要点のまとめ」などを順番にチェックしましょう. 「リファレンス」と称するだけのことはあって, そういう読み方をしないと, 基礎的なコマンドが多くて退屈するでしょうし, ページ数が多いこともあって, 一通り目を通すことも難しいのではないでしょうか.

これが LPI とは別の『Sair Linux and GNU Certification』という試験対策本 (英語ですが) の場合は, 内容も絞り込まれてますし, インストールからログイン, コマンド操作と X の設定, 各種アプリケーションとシステム管理, という風に伝統的な教科書に近い形で順序だてられているので, 読みやすいです. また, インストール画面などのサンプルも比較的多く使われていると言えます. 本書は, それに比べて実際の画面が少ないです. 全体としてコマンド文法などをバラバラに詳しく勉強しなければならなくなっています.

各章の感想

I 部. 101 テストの各トピックについて

1.3 でいきなり cut や expand, pr や nl が紹介されているのには笑ってしまいました. 教養として知っていても, これら全てのコマンドを使ったことがあるユーザはそれほど多くないはずです. 私は join コマンドは試しに実行したことがあるくらいでしたし, nl なんて初めて見ました. LPI のテストは否定しないのですが, たぶん今後も私は使うことはないでしょう. 複雑なことは perl などを使用しますから.

その他役に立つのは quota の解説と, 意外に細かい設問の多い, ユーザ管理, ログ管理, バックアップの分野などでしょうか. 既にどこかで読んだ話ですけれども, 試験に出るぞと言われている部分がまとまっているので, 再確認のために読みなおすくらいには使えます. それ以外は, 一般の入門書でも書かれている内容ですし, 本書の記述は網羅的な分, 個別の内容について深く書かれているわけではないと言えましょう.

演習問題, 模擬試験, 要点のまとめについて

ある程度基礎が出来ている人にとっては, ここが結局, 本書の価値ということになります. 正解も紹介されていますので, 受験前にここだけでも読みましょう. 私の経験ではこれと似たような問題が出題されますので, 雰囲気が掴めます.

II 部. 102 テストの各トピックについて

102 はまだ受験していないので, 本書がどれくらい役に立つのか分からないですが, やはり「試験対策ポイント」が試験勉強には良い指針となっている気がします.

ただ, サーバ設定やネットワーク設定などは 102 のテストの範囲だけでは実践レベルとしては十分とは言えません. まずは最低限, これくらいは知っておかなくてはいけないレベルなのだということを 入門者は覚悟しなければなりません.

また, inetd と tcpwrapper の設定が述べられていますが, 最近は xinetd が使用される場面が増えています. また, sendmail についても解説されていますが, sendmail 自体は m4 スクリプトで管理すれば決して難しくないですし, 最近は postfix のほうが人気を博しつつあるようです. このような時代の変遷もあるので, 選択問題を増やすなど, LPI 自体の変更が必要になりつつある場合もある気がしました.

演習問題, 模擬試験, 要点のまとめについて

ここも 101 同様, 本書で最も価値のある部分でしょう. 良く見るとわかるとおり, 選択問題の中にも, 「必要なものは全て選べ」などという, 悩ましい設問があることがわかります. 大抵, それ以前のページで「試験対策のポイント」に挙げられていると思いますので, 真面目に読んでいた人や日々正確なコマンドの解釈を行なうことに慣れている人には 恐れるに足りない内容でしょう.

個人的に, 101 で合格できれば, それほど難しくないようだとわかったところがありがたかったです.

まとめ

全体的に, 試験をきっかけに Linux 管理者を目指す人にとっての基礎的なリファレンスマニュアルとして 活用できる書籍であると思われました.

いくつかの Linux 関連の試験の中で, 中立の立場を貫く LPI は, 多くの支持を集めつつありますし, 実際に息の長い活動が出来ている点が評価できます. その試験対策としてはまずまず使える本になっていると言えるでしょう. 本の厚さの分, 逆に内容が薄くなっている気がしますが, 演習問題, 模擬試験, 要点のまとめがあるだけでも, 試験対策には使えると思われます.

また, 本書が対応しているのはレベル 1 についてのみです. 同じ厚さで (できれば同じ価格で), 問題集としてレベル 2 やレベル 3 まで対応していれば, 力だめしとして, あるいは企業内研修用として使われていくことになるでしょうが, それは今後の課題ということでしょう. 現状では各問題の流れが出来ておらず, そのまま教科書として研修などに使うのは難しいのではないかと思われました.

謝辞

近々 102 の試験も受けようとしているタイミングで, 本書のレビュー機会を下さいましたブックレビュー担当者の皆様, そして本書を無料でご提供いただきましたオライリー・ジャパン様に感謝申し上げます.


Reviewed by 内海 雅俊 (uchimi@kawatetsu-systems.com) さん

「新人 Linux ユーザ必須の 1 冊」

Linux の使用歴
3 年
UNIX の使用歴
10 年
Linux Box の主な用途
メールクライアント (自宅)
各種サーバ (職場)
Linux 以外に利用している OS
Windows9x, WindowsNT
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux 20% : その他 80%

はじめに

LPI 試験に限らずLinux の検定試験では, 日本語の参考書がない (私が知らないだけ?) ため, 参考書が欲しい場合には英語版を購入するしかなく, 一般に企業で認められているような資格/検定試験に比較して受験しにくいと感じていました. その意味で, 本書日本語訳の出版を待っていました.

また, 企業内での技術者育成ということでは, 評価基準として資格試験や検定試験の合格というものは目に見える評価基準となっています. LPI 試験は, Linux 技術者の育成において良い評価基準となるのではないかと考えています.

今回は, 検定試験の参考書という見方と Linux 技術者の育成テキストという見方の 2 つで読んでみました.

試験の参考書として

この本が対象としているのは, LPI 認定試験のレベル 1 試験です. レベル 1 試験は, どういう基準で分けたのかはわかりませんが 101 試験と 102 試験に分かれており, 試験範囲については, トピックとそれに含まれる課題で構成されています.

この本の構成についてですが, 101 試験を I 部, 102 試験を II 部として,

となっています.

スタディガイドや各トピックの最初に重要度 (試験に出やすさ) が書かれていますので, 試験の参考書としては, どれぐらいの熱心さで読めばいいかがわかり時間配分もしやすいと思います. 実際に読んでみると, 本のページ数も多いのですが内容はそれ以上に多いように感じますので, 受験 1 ヶ月ぐらい前に読んで勉強しようという時には, 重要度によって時間配分しないと時間が足りなくなります.

各トピックについては, まず説明があって, 次に試験対象となるコマンドの解説と使用例が書かれています.

コマンド解説は, man コマンドで表示されるレベルですが, 使用例で説明されているのでわかりやすいです. ただ, 全てのオプションの使用例がある訳ではないので, 試験を受ける場合には, 実際にマシンでコマンドを入力して試す必要はあると思います.

演習については, 試験に含まれるトピックの説明が終わった後で, I 部 (101 試験) と II 部 (102 試験) の終わりにあります. 復習という意味では, 忘れたころに演習になるので試験対策としてはいいのですが, 各トピックの終わりにもマシンでの実習を行うような演習問題があると理解が深められてもっと良かったと思います.

要点のまとめについては, 最後の一夜漬け用としてありがたいと思います.

試験の参考書としての評価については, 実際にLPICを受験していないため実際に受験してどうかという評価はできません。 この本を読んだ感想に限定すると, 1 ヶ月で全部を読む (実際にマシンで試してみることも含む) つもりで, 2 〜 3 回読めば, 試験に合格できる力はつくのではないかと思います.

Linux (UNIX) 管理要員の入門書として

この本は, Linux の試験用参考書ですが, Linux のシステムを使う上で必要なことは網羅されています. また, 必要なコマンドについても初心者でもわかるように使用例付きで解説されていますので, 受験を考えていない場合でも, Linux の入門書として使えると思います.

Linux の入門書として考えると, よくある 1 冊ものの入門書にはあまり書かれていない sed や quota 設定の解説もあり, この 1 冊を読んで理解できれば Linux ユーザとして十分な知識がつくと思います.

個人的には, Linux のインストールについて, 通常の入門書ではディスク容量が小さい場合のパーティション設定の説明はありますが, 最近の PC のようにディスクが 20GB 〜 40GB ぐらいある時の説明がないため, いつもパーティション設定時に悩んでいました。 この本にはディスク容量が大きい場合の設定も書かれていましたので, 「この本を探していた」と感じました.

私は, UNIX のシステム管理を 10 年やってきましたが, この本を読んでみて知らないままできたことが色々と見つかって, 不勉強を自覚しました. 逆に言うと, 新入社員を Linux (UNIX) のシステム管理者に育てるときに, 「自分で PC を買って, 半年間でこの本を読んで勉強しろ!」という指導をすれば, システム管理者育成でよくある徒弟制度に頼らずにシステム管理者の育成が出来るのではないかと感じました.

まとめ

全体の感想についてですが, まず, この厚さ (目次と索引を除いて 730 ページ) に, よくこれだけの内容を凝縮したなと思います. 試験の参考書としても, 初心者を中級者にまで教育できる Linux 入門書としても, これ 1 冊あればという本になっているので, 4,900 円という価格は, 内容を考えると安いと思います.

ただ, 読んでいて本が厚すぎで読みにくいとも感じました. 英語版の訳本ということで難しいのかも知れませんが, 101 試験と 102 試験で, 1 冊 3,000 円ぐらいで 2 冊に分けたほうが読みやすいと思いました.

まとめとしては, 前述したように, これから Linux (UNIX) のシステム管理者になる人に, 「この本を半年間で読んで, 勉強しろ!」と渡したい本です. また, LPI 受験については, 今回はレビューの期限があったため, 試験に合格するように理解するまで読むような読み方をしなかったのですが, 3 ヶ月ぐらい時間を取って何度も読み返したら合格するような知識が付くのではないかと思います.


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