Red Hat Linux7.2入門キット

Red Hat Linux7.2入門キット レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

株式会社秀和システム 様のご厚意により, 書籍 "Red Hat Linux7.2入門キット" を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて 公募 を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

株式会社秀和システム 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 竹鼻 友子 (neo36aaa@hotmail.com) さん

「パソコン初心者のための Linux 入門書」

Linux の使用歴
本書を頂く 1 週間程前にインストールだけ試しました.
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
勉強用
Linux 以外に利用している OS
Windows2000, WindowsXP
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
3:7

はじめに

Windows 初心者にとって Linux は難しいものと捉えられがちです. 本書はマウス一つで操作出来ることを謳っており, Linux の断片に触れるには, これほどの近道はないと感じました.

Linux のインストール

Linux のインストールの手順が一場面ずつ丁寧な説明と写真付きで掲載されており, つまずくことなくスムーズにインストール作業を終えることができました. HDD が 1 つしかない場合の方のためにも fdisk を使用してのパーティション設定手順が実にわかりやすく書いており とてもためになりました.

様々な機能の紹介

次に, Linux の様々な X Window System やフリーソフト等の機能が紹介されています. その中から個々ユーザーが使いやすいように選択し, カスタマイズ出来ることを知りました.

テキストエディタでの日本語入力など, 日常頻繁に使用する可能性が高いソフトの説明があり, 取っ付きやすく書かれていると感じました.

メールソフトについて

先ほどの紹介に続き, メールソフトの紹介と設定の方法が載せられています. 最新のバージョンはインターネット上からもダウンロードが出来るようで, 一度試してみましたが, インストールの方法までは記述されていませんでした (P.179). ダウンロードの方法は書かれているのに インストールの方法が書かれていないのは少し初心者には分かり難く, 残念に思います. とりあえずは付属の CD-ROM から旧バージョンをインストールして利用することにしました. しかし, 設定の方法は詳しく載っており, 問題もなくメールを送受信することが出来ました.

気にかかった箇所

丁寧で写真も多く, 分かりやすい反面, マウス操作やゲームの紹介ページが多く, 少し削ってもいいのではないだろうか? と感じた部分がありました.

全体について

そして何よりも, ただインターネットやメール送信等だけで使用する意味では, Linux は Windows と何ら変わりなく使用できることを知った一冊でした (私はなんとなく Linux とはパソコンに精通している人しか使えないのでは? という観念がありましたがそれは間違いだったことに気付かされました).

最後に

本書のお陰で, Linux を使用する時間が Windows よりも増え, とても身近なものと自分自身感じられるようになりました. また, これからも読み返しながら Linux をもっと理解していけたらと考えています. 今回のレビューの機会を下さった関係者の皆様に感謝致します.


Reviewed by 鳥飼 尚子 (naoko@to.email.ne.jp) さん

Linux を初めてインストールする初心者に親切な手引き書, この本から始めましょう

Linux の使用歴
なし : 全くの初心者です.
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
WEB サーバーにしたい, 現在は練習用
Linux 以外に利用している OS
Windows98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
1:99

全くの初心者でも Linux をインストールしインターネット接続できました

40 代後半の主婦でパソコン歴 3 年の私が, 夫に意味不明の用語を教えてもらう事やパソコンハードの調整を手伝ってもらう場面は有りましたが, 1 ヶ月で Linux が何なのかを少し理解し, 古いパソコンを Linux パソコンに仕立て, ゲームと WEB ブラウザを動かすことができました.

皆さんも是非本書で Linux にチャレンジしてください. 書評と言うより, 「入門キット」の利用体験を中心に報告します.

きっかけは ADSL 導入 : 家庭内にホームページのサーバーを構築したい

お友達との長電話もすっかりメールに切り替って, 最近では近況をデジカメで交換するほどになりました. ペットや庭の様子それに旅行の写真など頻繁にやりとりするようになり, メールだけでは満足できなくなりました.

得意のイラストなんかも盛り込んだホームページを作成し, お友達に自慢しようと思ったのですが, プロバイダーが提供してくれるホームページのエリアは娘に占有されています. 夫に相談したら, 「ADSL を導入したこの機会に家庭内サーバーでホームページを公開しよう.」ということになり, 一番学習意欲の高い (または時間がある) 私が Linux を勉強することになりました.

初心者にとってのハードルの高さ : Chapter1 「Linux の基礎知識」における専門用語, 3 文字略語の多用

「Linux の初心者だけではなくパソコンの初心者にもいきなり Linux が体験できる」 というキャッチフレーズでしたが, 本を開いた最初の感想は「何語で書かれた書籍なの?」でした.

できるだけ「夫に頼らずに」と思っていたのですが, 研究社の新英和大辞典にも載っていないような英語 (実はプログラムの名前でした) や略語が多用されており, 読み進むことができませんでした. 夫に聞くと, 「当面は知らなくてもいいことだから読み飛ばせ」と言われましたが, Linux がどんなものかという基礎知識は持っておきたいのです.

専門用語を多用した解説ではなく, 日本語で「Linux の世界ってこんなものだよ」という解説をお願いします.

インストールのあっけない簡単さ : Chapter2 「インストール」のわかりやすい説明

ハードディスクに空きエリアを設定し, パソコン環境の準備の後はあっけないほど簡単に Linux をインストールすることができました. 本書の手順に従って作業すると, 「これで本当にインストールできたのかしら」と思うくらい簡単で, Windows アプリケーションのインストールより楽だと感じたくらいです.

ちょっぴり自信が…

インストールでつまずいたのはハードウェアの説明の部分です. 「不適切な機器があるとインストールできない, 事前に調べること」と言う趣旨の前置きで, CPU からプリンターまで各機器の説明があります. ビデオカードやハードディスクの解説などパソコン初心者の私には目から鱗の話も多かったのですが, Linux インストールとの関連では「適応リスト」が不十分なこともあり 我家のパソコンはどうすればいいのかとうとうわかりませんでした.

実際にインストール作業中にマウス (エレコム社製の光学マウス) が正常に動作せず先へ進めなくなったのですが, インストール中断方法など当面の対処方法も記述がなく, インストール途中でパソコンをリセットすることになりました.

私の今回の体験から言うとここでは,

といったインストールに最低限必要な準備事項を具体的に解説することに重点をおいてほしいところです.

ハードディスクのパーティション設定は説明が理解できなかったので, 全て夫に頼むことになりました. 本書のコラム解説には, 上級者向けとして 「Linux ネイティブ領域と SWAP 領域を, 適切な容量を判断して手動で設定する」方法が記載されています. しかしながら今回は DOS の fdisk で拡張領域に空きエリアを作るだけで問題なくインストールできました. 本書にはこちらが合っていると思います.

操作解説の親切さと使い勝手の良さ : Chapter3 「Linux の基本」, Chapter4 「X Window System」

「X Window System」なのか「Red Hat」特有の画面なのかまだ良く理解できていませんが, Linux 画面の操作性は大変良く, Windows98 ともそれほど違和感ありません. 問題なく X Window System にログインし, デスクトップが表示されました. 見慣れないウィンドウやアイコンが表示されましたが, 本書を読みながら操作すると簡単にゲームで遊ぶことはできました.

おなじみの「上海」も Windows98 とは多少表示が違いますが, 多少の違いは「まさしく Linux を使用しているのだ」という満足感を感じさせる程度で, むしろ有って当然の差異です.

インターネットにつなぐのは難しい設定が必要なのかと思ったのですが, 本書の手順に従ってノーチラスというブラウザを起動すると難なくインターネットに接続できました. このブラウザの操作も単純で効率的, これが Linux だなと勝手に感心しています.

ただし, ここでも用語の壁は厚く 「ファイルとディレクトリ」や「デバイスとマウント」などは何のための解説か理解できません. 操作が必要な項目なら, 初心者にも「どのような操作か」がわかるように書いて欲しいのですが, 今のところ必要な場面にはぶつかっていません.

まとめ : 身近にヘルパーがいる初心者におすすめ

本を開いてからインストールまでに約 3 週間かかりましたが, インストール開始からインターネットにたどり着くまでは半日でした. 解説書として読もうとするとハードルの高い内容がありますが, インストール及び操作の手引き書として利用するのであれば大変わかりやすい書籍です.

上級者はディストリビューターのサポートを受けながら高度な利用をなさるのでしょうが, 初心者には本書のような入門書の解説 (+ 先輩の助言) の方が役に立ちます. 主婦の感覚では 1 万円近いパッケージを購入するより, 1,980 円の本書で手軽に Linux を導入するのが大変お得と思います.

パソコン初心者の私にも Linux が利用できるようになりました, 皆さんも本書を利用して Linux にチャレンジすることをおすすめします. 私は 1 年計画で Linux ホームページサーバーを構築するつもりです. 皆さんも目標を持って Linux の世界に仲間入りしてください.


Reviewed by 小倉英樹 (ej20@capella.freemail.ne.jp) さん

この本は, 1 章は Linux の結構しらない雑学的な周辺知識, 2 章は一般には無視されやすいハードウェアの部品の丁寧な説明にはじまり, インストールを写真つきで丁寧に説明している. 3 章はさらっと OS の基本や管理方法, 4 章は X Window System の自身の説明から始まって, ログインの仕方からウィンドウに表示される細かいアイテムや使い方まで丹念に図を使いながら説明している. 特に MS Windows ではエクスプローラにあたるソフトの Nautilus の使い方の説明や Gnome のデスクトップ, X Window System のソフトの使い方が図入りで本当に丁寧に解説してある. 5 章はインターネットへ接続するためのモデムの設定から始まって, インターネット関係のソフトの説明. 6 章はプリンターの接続方法と samba というソフトで Windows とファイルとプリンターの共有, そして Linux のアップデートの仕方など.

全体的には図や写真も多く, 難しい技術用語も少なく読みやすく, 一つ一つのトピックが短く簡潔に書かれている. また, 本の指示にしたがっているだけではコンピュータがブラックボックスに感じられて拒否感がでてくるが, 簡単ではあるけどどういう仕組みになっているのかという原理的なことも書いてあり仕組みがわかった感じもでてきて, 息切れせずに読みやすい.が 240 ページというコンパクトもあいまって最初から順番に読んだ通りに行って行けば, Linux の一般的なことはできるようになると思う. 今は多くの人は MS Windows だけは触ったことがあるので, 特に CUI (コマンドライン) のソフトはばっさりきって, GUI のソフトだけに徹した点は潔くよかったと思う.

しかし, 自分ごとであるが 最後に一言だけ付け加えれば, MS Windows は捨てられないし, ひとつのマシンに共存はちょっと怖いので, MS Windows では使いにくい 3 〜 4 年前のマシンに入れて試すことが少なくないと思うが, そうすると必ずしも本の通りにはいかず多少混乱することもあるので, それについての記述ももう少しほしかった. また ADSL についても多少記述がほしかったと思う.


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