(株)毎日コミュニケーションズ 様のご厚意により,
書籍 "Webminオフィシャルガイド" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて
公募
を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
毎日コミュニケーションズ 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
本書は Webmin 経由でなんらかのサーバをセットアップするための How to 本ではない. どちらかと言えばリファレンス本だが, 比較的読みやすい構成となっている. Webmin のモジュールが個々に提供するオプションの解説がメインとなっている. また, 本書の対象読者は中級ユーザとなっているが Linux のインストールと基本設定が出来る程度のユーザでも十分だろう.
3 章から Webmin の各モジュールの解説となっている. 7 章〜 12 章まで http サーバ, DNS サーバと一般的なサーバ設定モジュールの解説となっている. 丁寧な記述と随所に捕捉が入れられており, 読みやすい文章である.
いくつかの章の章末にそれぞれチュートリアルが収録されている. http サーバやメールサーバの設定等のみではなくセキュリティや仮想サーバについての話題がカバーされている. サーバを運用した経験が無くともまずは各章のチュートリアルから読み進めて行けば良い. あくまでも簡単なものであるため熟練ユーザは読み飛ばしてしまって構わない.
Webmin の提供する設定項目が何を指すかを解説しており, サーバの設定オプションの意味が分からなくとも本書を片手に設定することができる. ただ, 本書が個々のサーバについてのドキュメントや man ページの代わりになるわけではない. 場合によってはマニュアルページを参照されたい.
日本 Webmin ユーザ会が原著には解説のないモジュールをいくつか取り上げている. Samba モジュールの解説や各モジュールの機能一覧など有用なものだと思う.
全体の装丁は非常に良いと感じた. 表紙にさりげなく蜘蛛の巣があしらわれているなどなかなか良いと思う. 厚さの割に読みやすくまとまっている. 価格もこの内容からすれば妥当であろう.
入門書の解説にあるような設定では物足りないが, 専門書にはさすがに手が出せないような場合には本書を片手にステップアップを図るのが良いだろう. また, UNIX に不慣れなユーザがシステム管理を引き継いだ場合にも 本書 (と Webmin) は書式の間違いや設定ミスを大幅に減らしてくれるだろう.
本書はすでに Webmin を使っている場合にはリファレンスとして, これから GUI ツールを使おうという場合には良き入門書となるだろう.
Webmin は本書を手に取る前に数回インストールした事があり, 実際に数ヶ月使用した事があります. が, どうも使用感が今ひとつという事でほとんど使わなくなりました. そんな状況な私がこの本を手に取って, また Webmin を使う気になるのか? というのを大きなポイントにしたいと思います.
本を購入する時, 外観を気にする私ですが, 本書はシンプルな装丁でありつつ, 結構目を惹くデザインで非常に好印象でした. パラパラとめくった感じ, 思ったよりもコマンドの説明らしきものが多く, ここは好みが分かれるところでしょう. 更に目次を見てみると, 細かい機能まで網羅されているようで, 入門書としてもなかなかよいものではないか, という印象を受けました.
非常に親切な内容になっていると思います. インストールに始まり, ログインの仕方, Webmin の設定, Usermin の設定などはもちろんですが, Apache など主要サーバアプリケーションに関する説明は非常に細かく記述してあります. しかも, Webmin の設定という範囲ではなく, それぞれのサーバアプリケーションの設定方法の説明, 機能の説明という観点から見ても非常に親切かつ丁寧なものになっています.
個人的に気に入ったのが「メモ」「注意」欄です. 本筋から少し外れそうだけれども, 知っておいた方がいい事が解説されていて, 初心者には非常にためになるのではないでしょうか.
細かい点ですが, メールサーバとして Sendmail と Postfix の 2 つが取り上げられています. なぜこの 2 つを取り上げておきながら qmail を取り上げないのか少し気になりました. 「メモ」には作者の好みで Postfix を取り上げた, と書いてありますが, 出来れば qmail まで取り上げてみた方がよかったのではないでしょうか.
「付録」には Webmin モジュールの日本語対応状況や機能一覧, サードパーティ製モジュールの説明などもあり, これから使っていこうか迷っている人にとっては参考になるでしょう.
全体的に Unix 中級者以上へ向けた内容だと思います. UNIX 初心者には難しい本ではないでしょうか. 本書はあくまで Webmin のオフィシャルガイドですので, Webmin を学びたい人, 今後使っていきたい人には非常に役に立つでしょう. ただ, UNIX 初心者が Webmin を使いたいと思って本書を手にすると非常に難しいと思います.
あくまで Webmin というツールはシステム管理の手間を省くものであり, システム管理そのものを簡単にするものではないでしょう. 実質的にはシステム管理業務の上でやらないといけない事は変わらず, その手法の簡素化を行うために Webmin を導入する, という位置付けだと思うのですが, どうも「簡単に管理が出来る」という記述がところどころに存在するのが気になります.
ただ, Unix 中級者以上が管理の手間を省きたくて Webmin の導入を検討するという事であれば, 本書は非常に役に立つでしょう. 非常に記述が細かく親切な点など, 評価できる事はたくさんあります.
私も本書を見て, もう一度 Webmin を導入してみようかと思っています. その時は Usermin も一緒に導入してみるでしょう. そういう気持ちにさせてくれる一冊です.
最後に, 今回のレビューの機会を与えて下さった株式会社毎日コミュニケーションズ様, 本書を執筆及び翻訳, 監修された皆様, ブックレビュー担当者の皆様, Webmin に携わっている皆様, ありがとうございます.
Webmin を利用して数年経ちますが, 当時は情報収集も容易ではなく手探りの毎日でした. 今日, 初のガイドを目にし, 「うれしい」という感動と「内容はどうかな?」という不安を秘めながら本書をめくる私です.
本ガイドは, 著者のメーリングリストを通したやり取りをまとめた内容で 図解, ポイント, メモ等, 読む人を引き付ける構成と感じました. 特にサーバ機能の設定では, Webmin の域を越えた記述が多く, Webmin を利用する人以外でも, サーバ機能習得に役立つ書籍だと思います.
これまで, 手作業で編集作業を行なってきた管理者, 一般的な構築 (Web/Mail/DNS) を終えた管理者, より詳細な設定を行ないたい管理者は是非, 本書を一読して頂き, Webmin の利益とサーバ機能習得を行なって頂ければと思います.
参考までに, Webmin 利用者から見た感想を下記に記載します.
対象読者の「中級管理者」は曖昧です. 読む側のレベル定義は必要と感じます. 具体的には, 「インターネットサーバ (DNS/Web/Mail) を立ち上げた管理者」の様な定義を行い, 読者自身にてレベル定義を前提とするべきです.
「中級管理者」を前提とした構成となっていますので, ある程度 Webmin を利用した人以外では, 該当機能を利用するのに戸惑いを感じます.
本書の概要説明では, 「大規模システムへも対応」と記載されておりましたが, 本書内では記載が無く残念です. 本書の対象読者である「中級管理者」にて, サーバ機能の詳細を把握し, 大規模向け構築に適用及び対応できるかどうか疑問です.
サーバ機能では, サンプル設定を記載しておりますが, 実用的なサンプルをさらに掲載したほうがよいと感じます. 実用的とは, 「SOHO 向け」サーバ, 「大規模向けメールサーバ」等目的を持ったサンプルです.
サーバ機能については, 詳細まで網羅されており, 十分役立つ内容と思いますが, その他機能については, 内容が薄く, Webmin を理解したい管理者へは物足りない内容です.