データベースLinux - InterBase 4.0 for Linux

データベースLinux - InterBase4.0 for Linux レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

株式会社アスキー様の ご厚意により, 書籍 データベース Linux - InterBase4.0 for Linux を JLUG および JLUG Webmasters あて ご献本いただきました. 本 Web サイトおよび Linux Users ML においてレビューアの公募を行ない, 書籍への意見や感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します.

株式会社アスキー様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 中山 健次 さん (k1-nakayama@nri.co.jp)

Linux の使用歴
1年
UNIX の使用歴
1年
Linux Box の主な用途
ネットワークの勉強のため
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95 WindowsNT
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Linux以外のOS = 1:4

「Networking Linux」から約1年, 久々にアスキー出版局から刊行された Linux 本が, この「データベースLinux」である.

内容は, InterBase というリレーショナルデータベースの特徴と基本的な使用方法が前半にあり, 後半は InterBase と連携するデータベースアプリケーション (Delphi, Excel, CGI) の作成となっている.

InterBase のインストール自体は, 非常に簡単である. インストールについては, それ程多く割かれてはいないが, 分かりづらいと感じるところはなかった. 約5分程でインストールは完了できる.

では, 前半の InterBase の使用方法を見ていく. 第2章は,「InterBase の概要」ということで, 特徴が列記されている. 普段は, 他のデータベースを利用しているが InterBase の特徴を知りたい人には有益だと思われる. しかし, 私のような業務経験がまだ豊富ではなく, 特徴を知る以前にデータベースの操作方法を習熟しなければいけない者にとっては, 内容的に高度であると思われた.

第3章は, 「InterBase の使用方法」である. 内容は, 使用方法の説明に留まらず, SQL の基本も Sample 付きで網羅されており, InterBase で SQL を学習したいと考えている者にとっても, この章を熟読すれば十分通用する知識が得られると思う.

第4章は,「ネットワークでの使用方法」である. この章は, これ以降の章のための準備を整える, と言ったところか.

第5章以降は, 「データベースアプリケーションの作成」である. この本の最大の特徴は, この章以降にあると思う. 今まで, データベースの本ならば, 内容は当然データベースだけで, アプリケーションの作成にまでページを割いているものはなかったように思われる. データベースアプリケーションを作成したいと思った者は, プログラミング言語の本を買ってきて, それで学習したはずである. 当然, インプライズ監修だけあって, Delphi(Client/Server 版を持っているユーザー対象 )に1章を当てている. InterBase は, SQL Link ( Client/Server 版のみ付属 )と ODBC ドライバのどちらを使っても接続可能ということなので, professional 版しか持たないユーザーも参考になると思うが, やはりここは, ODBC ドライバの解説で埋めて欲しかったと思うのは, 私だけであろうか?

残りの2章は, Excel マクロと Python も用いた CGI データベースアプリケーションの作成となっている. Python は, 私にとってあまり馴染みのある言語ではなく, 世間的に CGI というと Perl を思い出してしまうのだが, 本著のようにアプリケーションの開発事例を掲載しているのは, 殆どないように思われ, 一読の価値はあるとおもう.

以上, 章ごとに感想を述べてきたが, InterBase の使用方法から, データベースアプリケーションの作成まで非常に内容の濃いものになっており, Linux でデータベースしたいと考えている者はぜひ一読することをお勧めする.


Reviewed by 奈古屋 広昭 さん (nagoya@cc.hit-u.ac.jp)

Linux の使用歴
4年程度です
UNIX の使用歴
6年程度です
Linux Box の主な用途
仕事用(計算機とネットワークの管理)
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : SunOS : Windows3.1/95 : MacOS = 50 : 50 : 1 : 1 程度です

「ブックレビューする」といって本をいただいておいてなんですが, わたしは RDB も SQL も名前しか知らない人間ですので, ちょっと不適な人材だったかなあ, と後悔しています. というわけでこの文章は「Linux は多少使っていて, ちゃちなスクリプトくらいは書ける」RDBの素人が本書を読んでの感想文です.

まず, データベース関係の知識がまったくないひと(たとえばわたし)の場合には, この本一冊だけでは「それなりのきちんとした」データベースは構築できないのではないかと思いました. RDB/SQL を多少なりとも理解するためには別の書籍なりが必要なようです.

それから Linux に特化した内容はほとんどないようですから, 書名で「Linux」を強調する必要があるのかなあ, という気がします. まあ Linux で動くデータベースの話なのだから正しい書名なのですが, 本書を読むのに Linux 特有の知識はほとんどいらないです. 最低限必要なのは一般的なUNIX のユーザとしての知識(コマンドラインでの操作など)ではないかと思います. これがないとつらいでしょう.

といきなり文句をいっていますが, なんだかわからないけどとにかくデータベースを触ってみたいと思う方はこの本を購入するとお得だと思います. 5000円弱で開発環境が親切な解説つきでそっくり手に入るわけですから. あとは図書館にでも行ってデータベース理論の本でも借りれば資料としては十分だと思います.

逆にデータベースに造詣の深い方は, ネットワーク上で InterBase for Linux 4.0 を拾ってくるだけで十分かも知れないなあと推測しています.

インストール

わたしの環境は Debian 2.0 なので動作確認はされていないようですが, 附属のCD-ROMを用いて説明とおりにすんなり導入できました. 導入先が /usr/interbase に固定なのでほんのちょっとだけDebian と整合性がないですね. なお Interbase を導入したらシステムをリブートせよ, という指示が書いてありますが, これは必要ないと思います(わたしの場合は不要でした). それから interbase.tar の ./ の owner/group が変でした.

    drwxrwxrwx renee/gds         0 1998-04-17 09:18 ./
    ^^^^^^^^^
    
1章 Linux と InterBase について
わずか3ページの章ですが, 本書の主旨についてわかりやすく書いてあって「この本欲しいなあ」という気にさせられました. 湾岸戦争で使われていたとは知りませんでした.
2章 InterBase の概要
概要と製品の構成(附属ユーティリティ?の紹介)です. RDB のことを知らないわたしにとってはなんかすごそうだなあ, と期待をふくらませられた章でした.
3章 Linux版 InterBase の使用法
例題を使った InterBase 使い方の説明が書いてあります. 例題をすべて試したわけではないのですが, わかりやすい説明でした. ただ, どうもイメージがわかないので, わたしはこの章でいったん読むのを中断して RDB の解説書を図書館で借りて眺めてから再読しました. まあ, これはわたしが飲み込みが悪いだけなんですが.
また実例とは違うことを自分でやろうとすると失敗が続き, SQL ってそう甘くはないなあ(あるいは自分のアホさを)と思いしらされましたが, これは新知識を得るためにはしょうがないことですね.
4章 ネットワークでの使用法
5章 アプリケーションの作成: 概要
RDB は素で使うものではなくてアプリケーションから呼び出して使うもののようです. というわけでアプリケーション作成の心得のようなことが書いてあります. いきなり実例に入らずこういう概念的な章があるのはわかりやすかったです.
6章 アプリケーションの作成: Delphi
7章 アプリケーションの作成: Excel
実例にそった解説です. 手元に Delphi も Excel もないのでこの2章については読んだだけですが, Excel を使ってリモートの UNIX(Linux) サーバに接続できるようなのでおもしろいなあと思いました. UNIX と Windows の混在環境は多いでしょうから便利そうです.
8章 アプリケーションの作成: CGI
Python を使っての実例にそった解説です. CGI を使う場合についての注意は他の言語を用いた CGI 作成にも役に立ちそうです. 個人的には Python ではなくて IBPerl の方がうれしかったのになあ, と思いました.
誤殖: P179 上から3行目 「サーバ上あれば」→「サーバ上にあれば」
9章 アプリケーションの作成: さらに使い込むために
アプリケーションではなるべく処理をしないでデータベースにやらせましょう, という話と C 言語を使ったアプリケーション作成のさわりが書いてあります.
10章 トラブルシューティング
Q & A が 14 個あります. 実際にいろいろデータベースを構築しないとここのありがたみってわからないようです.
Appendix リファレンス
コマンドと, InterBase で使用できるSQL言語のリファレンスです.

まとめとしては「お買い得」な本だと思います. 「インストール本」やら「入門書」を何冊も買うよりは, こういう本を購入して使ってみるほうがずっとおもしろいですよね.

追記:

http://iblinux.rios.co.jp/ の紹介が巻末にひっそりとあるので, これはもっと目立つところに書いたほうがよいかと思います. ここに紹介のある InterBase for Linux ユーザーズメーリングリストの説明もひとことあるとより親切かと思います.


Reviewed by 斉藤 まなぶ さん (94m011@stu.hirosaki-u.ac.jp)

Linux の使用歴
RunRun Linux, Networking Linux を読み, RedHat を導入したばかりです.
(サーバー構築するに当たりセキュリティーの点で WinNT に不安を感じたため)
UNIX の使用歴
PC-98でPC-UNIXをちょっと
Linux Box の主な用途
www & mail サーバー
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows 95
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Linux以外 = 1:4
この本に興味を持った理由

Windows 上で DB の開発をしています. この度自前 WWW サーバーを立ち上げるに際して, 当初は WinNT を考えていました. Windows 上の Delphi での開発になれたものにとっては手っ取り早いからです. DB と WWW サーバーの連携開発ツールが揃っていて楽だからです.

しかし, セキュリティーに関して調べている中で Linux に方針転換しました. 「さて Linux での DB の開発をどうしようか」と思っていたとき, タイミング良く当書が目に留まりました.

内容について

DBの構築の経験のない人にとっても非常に分かりやすく, 要点をとらえていると思います. 特に SQL の説明は役に立ちました. 嘗てのdBaseを経験したものとして遅いと言うイメージがありました. そのため DB コンポーネントは TTable のみを使用して開発していました. ネットワークトラフィックも TQuery よりも TTable の方が良いものと思っていましたが, 本書 P141 をみて納得です.

ボーランド(インプライズ)の開発ツールを使用している人は是非目を通して欲しい本です. 筆者の経験が奥深く感じられる本でした.


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