こんなにかんたん TurboLinux3 日本語版

こんなにかんたん TurboLinux3 日本語版 レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

インプレス 様のご厚意により, 書籍 "こんなにかんたん TurboLinux3 日本語版 〜 Windows ユーザもやってみよう" を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて公募を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

インプレス 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 生駒 伸一郎 (neonate@yk.rim.or.jp) さん

Linux の使用歴
1 年半
UNIX の使用歴
3 年
Linux Box の主な用途
インターネット端末 (ダイアルアップ), MP3 player, ソフトウェア開発, OS の勉強ネタ
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
最近 Windows98 は立ち上げなくなってしまった...

[総合目次]

第 1 章Linux をインストールする
第 2 章シェルでの暮らし
第 3 章Linux のファイルシステム
第 4 章Linux の便利なコマンド
第 5 章テキストエディタ
第 6 章切ったり貼ったり並べたり
第 7 章X ウィンドウシステム
第 8 章Linux プログラミング入門
第 9 章電子メールを使う
第 10 章圧縮, エンコード, 暗号化
第 11 章インターネットへの接続
第 12 章Linux で DOS, Windows を
第 13 章Linux についてもっと知る
付録 A付属 CD-ROM に含まれる RPM パッケージ
付録 Bコマンドど忘れ大辞典
付録 CGNU General Public License (GNU 一般公有使用許諾書)
付録 DDOS/Windows と UNIX の対比
付録 Eよく尋ねられる質問 (FAQ) とその回答
付録 F動作確認済みハードウェアリスト
用語集
索引

このタイトルから私が想像した内容は, まずむずかしいことは後回しにしてなにはなくとも TurboLinux をインストールし, 立ち上げ, それから Windows でこうやることは TurboLinux ではこうなるうんぬん...と対比をしつつ先に進む, というようなものでした. そういう内容が, Windows ユーザーにやさしいものなのではないかと思いますし, いきなり Unix の文化で話を進められても理解しづらいと思います. しかし, この本の内容はそのようなものではありません.

たしかに Windows との対比的な話が無い訳ではありません. 付録 D に「DOS/ Windows と UNIX の対比」という表もあります. それゆえ先のように断言してしまうと少し語弊があるかもしれません. それにもともと Windows と Linux の比較論がナンセンスであるとも思います. ですが, ほんとに初めて Linux(Unix) を経験する人は Linux でなにが出来るのかさえ知らないわけですから 具体的なアプリケーションの説明を混ぜた "まえふり" だけでもあると良かったと思います.

私の想像とは雰囲気の違う内容でしたが, Linux の入門書としてはツボを押えていると思います. 特にシェルの説明から cat, find, head, tail, sort, uniq, cut, grep, sed, awk 等 Unix の魅力満点の所に全体の 5 分の 1 強のページが割かれているのは 意味があると思います. 私もコマンドの確認に重宝しそうです. しかしいまどきの本でウィンドウシステムの説明に行くまでに 155 ページもあるのも珍しいですね.

残りの部分ですが, 著者もこの本 1 冊ですべてを語る事が出来ないのは十分理解しているようで, 良くも悪くも薄く広く的な紹介になっています. それでも必要最小限のことは簡潔に書いてあると思います. また, それぞれの事に関してもっと深く知りたい時のあしがかりとなる Web site や Mailing list 等の紹介に 1 章割かれています. Linux はインターネットで築かれたコミュニティの財産であることを 紹介してあるのも良い点でしょう.

だだっと私の感想を述べてしまいましたが, 本の内容にしたがって実際に TurboLinux3 をインストールしてみました. 私は Slackware+PJE, Debian GNU/Linux, Plamo Linux, Vine Linux をインストールした経験がありますが, 初心者にとっては, なにはなくとも動作する Linux 環境を得ることが一番大事なので, そういう面から見るとインストーラの出来は一番なのではないでしょうか. Windows98 の領域とパーティションを切るところは 本を参照しながらゆっくりとやって欲しいとは思いますが (難しいと言う意味ではなくて, 間違うと一瞬にしてデータが消えてしまうから), それ以外は, インストーラにしたがえばなにも問題ないでしょう. インストーラがコンソールベースなのはどのディストリビューションも変わりませんが, 見た目も一番きれいな気がします. (ちなみに原著「The No B.S. Guide to Linux」には Linux Pro というディストリビューションの CD-ROM が付属しているそうで, 日本向けに TurboLinux3 に変更したとのこと)

全体としてはまじめで, 少し地味な印象でした. Linux を利用したものには, ネットワーク機能を生かした数 GFLOPS の実力を持つ クラスタシステムなんてのもありますし, もっと派手でわくわくするようなプロジェクトが世界中でたくさん行なわれているので, コラム的な, 可能性を紹介するようなページもあってよいんではないでしょうか. (ちょっと余計なお世話ですね. すいません)

結論としては真面目な性格の持ち主である初心者向けといったところでしょうか.

Reviewed by 村本 雅信 (journey@amy.hi-ho.ne.jp) さん

Linux の使用歴
1 ヶ月半
UNIX の使用歴
今回が初めて
Linux Box の主な用途
Linux の勉強および Windows とのネットワークの構築. 今後 Mac ともつないでみる予定.
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
なし
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Windows95 : Mac OS = 4 : 5 : 1

最初に

感覚的に扱える GUI 環境としてこれまで Mac, Windows95 と使ってきました. 基本的に OS は人間にやさしくなければならないというのが私のスタンスなのですが, LAN などのネットワークに興味を持った時から Linux を知り, ちょっと難しそうだけど勉強してみようかな, と思ったのが Linux に触ったきっかけです. 特に仕事でまだ本格的に使うわけではなく, 当面勉強という立場からは付録で手軽に入手できる Linux は魅力的でしたし, これまで買ったパソコンに OS がプリインストールされており, そもそも OS というものを単体で購入したことがない私としては, 低コストで手軽に入手できる Linux という OS の配布形態は 非常に自然で共感できるものに感じました.

この本の印象

この本には TurboLinux が添付されていますが, もともとは Linux Pro というディストリビューションをベースに執筆されています. とは言っても内容は TurboLinux 用にちゃんと書き直されており, 違和感は全くありません. むしろ原作者のこの本に対する姿勢を崩さずにうまくまとめられていると思いました.

この本の基本的なスタンスは一言で言えば Windows は使っているが UNIX を初めて触る UNIX ビギナーを対象とした ガイドツアーのようなところでないかと感じます. Linux の世界を散策しながらいろんなツールを触ってみましょう, という感覚で話が進められています. ただそうした「触る」という姿勢もあってか 突っ込んだ設定やカスタマイズの説明については記述が少ないと感じました. ディズニーランドのジャングルクルーズのようなノリで ガイドが軽いジョークを交えながらあっちこっちを見てまわる, といったところでしょうか. 上陸して探検してみるというところまでは狙っていないように感じます. ただこれはこの本の作者の意図なのでしょう.

個別の内容について

ネットワーク環境の構築

インターネットの設定手順については詳しい記載がありますが, samba, netatalk 等の LAN 環境構築のための説明はほとんどありません. Windows, Mac との LAN 環境を構築するのであれば この本だけで構築するのは難しいと思います. 基本的にインターネットを使ってみるなどスタンドアロンでの使用までが この本の守備範囲として割り切っているのでしょう.

アプリケーションの紹介

アプリについては定番の Mule の他にも pico, exmh, さらに wine, staroffice 等の紹介がされており, どこまでの領域が Linux でできるのか, どんなものが開発されているのか, という風に Linux で実現できる世界の輪郭が おぼろげに感じられるような構成となっています. なおこの本で面白いのは rpm パッケージの一覧表が 各パッケージの説明付きで付いている点で, 説明内容からおもしろそうだなと思ったら 「パッケージをインストールしてみて試してみようか」 という使い方ができますし, あるいは「こんなおもしろそうなパッケージがあるのか, パッケージ名を打ち込んで起動してみよう」という使い方ができます. 実際, 知らなければ恐らく一生使わなかったかもしれないものが使えるようになって 重宝しています.

その他

巻末には FAQ が付いており, ここでトラブル対処や脱出のための設定が記載されていたりするのですが, ちょっと残念なのはここでのキーワード類が 巻末の索引に載っていないことが多く使いづらいと感じました. FAQ にかなりのページを割いておりせっかくの情報がもったいない. この点が索引や目次などで改良されればさらに使いやすいものになると思います.

終わりに

「X Window System その他, 細かい設定をしてみたい, LAN 環境を構築してみたい」という方には物足りない面があるでしょうが, それはもともとこの本の狙っている範囲ではないのだと思います. Windows ユーザーを UNIX の世界に案内するガイド役として, Linux の世界のアウトラインを知ってもらうこと, 特に Windows ユーザーに対し敷居を低くする, と言う点で肩のこらない気軽に読める一冊だと思います.

Reviewed by 三沢和彦 (kazu@misawa.cc) さん

Linux の使用歴
今回が始めて
UNIX の使用歴
6 〜 7 年
Linux Box の主な用途
サーバ実験用
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows NT
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
ほとんど Linux 専用

この本の対象

本書のねらいは, はじめにある通り, 「Linux を PC に問題なくインストールし, うまく使うノウハウ」を学ぶことだという. 特に, Windows の GUI しか知らない一般読者が Unix のコマンドラインが使えるようになることを目的としている. 現在では, パソコンがブラックボックスになってしまい, パソコンを使っているというよりは, パソコンに使われてしまっている人の方が多いぐらいである. 本書には, Linux を題材に, コンピュータを自ら操ることの楽しさを一般読者が知る機会を増やそうという 意図が感じ取れる. この主旨自体は評価すべきものであるが, 逆にいうと, 本書の記述内容はこれまでにも多数出版されてきた Unix 入門書とあまり変わらない, とも言える.

インストール

Unix 初心者が最初にぶつかる関門はインストールであろう. Unix をつかってみましょう, といっても, まずどうしたら実際に使える環境をつくるかが最大の問題である. 本書が一般の Unix 入門書と違うとすれば, このインストール手順をどれだけ簡潔にわかりやすく, 読者に伝えるかがキーポイントになるであろう. 本書では, 添付の CD を使って PC にインストールする手順が 比較的ていねいに記述されているので, 誰でも問題なくインストールできるように思える. それでも, まず, ディスクパーティションの再設定のところで つまづく読者も多いかもしれないので, FDISK の使い方をもう少していねいに説明してもよかったのではないかと思う. 本文中には, 「FDISK の使い方は, DOS のマニュアルを参照してください」 の一言で片付けられていたので, 本書は DOS を最低限使える人が対象のように思える. しかし, 本書は Windows しか知らない読者にも, Unix を啓蒙することが目的のひとつではなかったか. GUI しかさわったことがない人でも, 恐怖心なくインストールを進めてもらうには, パーティション再設定の部分に必要以上の注意を払ってもよいではないかと思った.

とはいうものの, 私自身は何の問題もなくインストールできた. もともと TurboLinux のインストーラが対話式でわかりやすい上, 選択画面で何を選択すればよいかの説明が本書で補われているのがよかった.

コマンドベースの扱い

本書の大部分は, テキストベースのコマンドの操作方法に当てられている. この部分は正直なところ, 無味乾燥である. 私は Unix(HP-UX) の管理経験があったので, ほとんど新しい情報はなかったといってよい. では, Unix 初心者が本書を手にして, Unix のコマンドを習おうとした場合, どうなるであろうか. 次のようなケースが想定できる.

1. 自分自身は何かをしたいという目的はないが, 世間が Linux と騒いでいるので, なんとなく使ってみたい.

本書の解説を最初からひとつずつ順番に試してみる, ということは, 簡単にできる. 実際試した結果が書かれているとおりになることもわかるであろう. しかし, これらの操作を覚えると, 将来的に何ができるようになるか, という見通しが明確に記述されていないように思う. もっとも, 本書の立場は, 必要最低限のことだけ慣れてもらうということなので, 突っ込んだ説明はあえて避けたところもあるようだ.

個人的には, 従来の入門書も, 機械的な操作方法の羅列だけで, それらが何に役立つかという視野を広げるのに役立つ本は少なかったと思っている. 本書の解説がわかりやすいだけに, もうひと工夫できないかとも思うのである.

2. 自分でやってみたいということがあるが, どこから手を付けていいかわからない.

本書はこのタイプの人に最も適しているかと思われる. Linux の最低限を最も早く習得できる本に仕上がっている. この意味で, 筆者の当初の目的はほぼ達成されているといってよいだろう. 最低限の操作を習熟すれば, あとは覚えたことを使って, 実際に自分のやりたいことに向かって, 一歩一歩試していけばよいからである. そのあたりのガイドも第 13 章にまとめてある.

また, 付録の FAQ もトラブル回避に十分役立つものと思われる. 特に初心者は, やりたいことに到達する前に諸々のトラブルで先に進めなくなることが, よく陥る事態であろう. もっとも, この FAQ は TurboLinux を提供するパシフィックハイテック社の貢献によるところのもので, 本書はそれを編集し直したものにすぎない, という指摘もあろう. しかしながら, 初心者には, 散らばっている情報を整理することも至難の技である. 私個人としては, 本書一冊にある程度の情報が集約されているというのは, 価値が十分あると思っている.

3. 自分では何かをしたい, あるいはしなければならないという目的意識がはっきりしているので, いち早く具体的な使い方を覚えたい.

このタイプの人には, はっきりいって物足りない本である. しかし, そういう人は, もともと本書の対象ではないわけだから, しかたがない. TurboLinux インストール CD と手順書を 2800 円で購入すると思えば, まんざら悪くもないような気がする.

また, すでに Linux にある程度の経験があって, いろいろなディストリビューションを試してみたいという人にも, いいかもしれない. 実は私自身も, Unix そのものはすでに経験があるが, PC-Unix は未経験で, TurboLinux のインストールはどんなものか試してみたいと 思っていたところだったので, ちょうどよい本であった.

インターネット接続

Unix マシンはネットワーク接続をしなければ, ほとんど意味がないといっても過言ではないだろう. 特に自宅からプロバイダ経由でインターネット接続する読者のために, モデムによる PPP 接続をセットアップするための 1 章が設けられている. インターネットツールの解説も ftp や telnet などの コマンドベースの基本的なものから始められている. Unix のネットワーキングに慣れてくると, 単にブラウザでネットサーフィンするよりも, 本書で取り上げられている基本的なインターネットツールの方がどれだけ有用かわかる. この点でも, 本書は, 「初心者がとにかく Linux マシンの最低限の使い方を覚えて, 次のステップに進めるようにする」という主旨を貫いているといえよう.

さらに, インターネットの章 (第 11 章) に関して好感を持てたのは, ネチケットや不正侵入についてのコメントがあったことである. きわめて短い記述ではあったものの, メーリングリストなどでの感情的なトラブルを避ける方法や, 不特定ホストに不注意に telnet を仕掛けることへの忠告など, 特に初心者の読者には述べておくべきものである.

ただ, インターネットセキュリティについては, 別に章を設けるなどして, もっと突っ込んで書くべきであったと思う. 特に, 個人でサーバを運営することを奨励するような記述が見受けられたので, 安易にサーバを立てると, Linux はクラッカーに狙われやすいことをもっと強調すべきである.

総評

全般として, よい本だと思った. 私が感じ取った著者の意図は, GUI ベースのコンピュータ操作しか知らない読者に, コマンドを使ってコンピュータを使いこなす方法を知ってもらう, ということであり, それには, PC-Unix が最も適していると著者は考えているということである. 著者が意図した目的を達したという点では, 本書はよくバランスが取れており, 満足な出来だと思う. 私は, たまたま, これから Unix の使い方を覚えたいという学生の指導に当たる立場にいるので, 本書を最初のテキストに使ってみようとも思っている.

Reviewed by 渡邊恒文 (WATANAT@jp.ibm.com) さん

Linux の使用歴
今回はじめて使用. じつは, 今回のレビュー前に雑誌の付録の CD を知人から借りて導入しようとしたのですが, ドライバーの設定時に問題があってうまく導入できませんでした. Web を検索中に, ブックレビューの紹介があったのでこれ幸いに応募した次第です. 導入だけだと 0.5 日?
UNIX の使用歴
ほとんどなし. 職場には, Solaris, HP-UX, AIX があるので さわったことは何回かあります. 基本的なコマンド, 使用方法は知っているつもり. でも, 本格的には使用していません.
Linux Box の主な用途
とりあえず, Linux で遊んでいます. 近い将来, ftp server, http server にする予定です.
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
なし
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Windows NT 4.0(45%), Windows 98(45%), Linux(5%), その他 (5%)

翻訳本! でも日本語版

この本は翻訳本です. 翻訳は, 翻訳者によって当たりはずれが多いのです. 変な日本語であったり, 日本語が完璧であっても, 内容的に「日本ではこれはないだろう」という箇所がよくあるものです.

びくびくしながら読みはじめましたが, 最初の懸念は何のその, 良くできた本であることがわかりました. すなわち, 第 1 章の「Linux をインストールする」は完全に, 日本語版 TurboLinux3 を元に書き直しています. また, 随所に現れる, Web のアドレスは完全に日本のそれを示していますので, 安心して読み進めることができました.

さて, 原書は, 「The No B.S. guide to Linux」です. No B.S.はノービスと読みます. これは, novice すなわち初心者の意味です. B.S. が何を意味しているのかわかりませんが (Bill of Sales?, Business Software??) いずれにしても, ジョークのある題名です. これは, 本文を読んでいるうち, 題名だけではないことに気づきます. 翻訳されることのない, コマンド例や画面の中のテキストをみてください. たとえば, cat コマンドの例に"cat food","cat scratch fever", "cat eats bird"などとかかれています. これから想像できるように隅々まで楽しい本です.

DOS ユーザー向き?

副題に -Windows ユーザーもやってみよう- とあるのですが, 内容的に DOS ユーザー向きではないかと感じました. すなわち, いろいろな操作に対して, 「このコマンドを使用して, こう入力するのですよ」の説明だらけだからです. また, ファイルシステムについても, 最近の Windows からパソコンを始めて, Explorer でファイル操作をしているような人には, ちょっと難しいかもしれません. また, エディタも何でこんな不便なものを使うの? というのが 印象として残るかもしれません (もっとも, Unix 自体が Windows のような GUI だけでほとんどすんでしまうようなものではなく, コマンドベースであることを考えればそれも仕方がないことなのでしょうか.)

本書の半分は, Linux に関するコマンドの説明になっています. これは, Linux というよりも Unix のコマンドです. 記述の指示に従って一通り Linux 上で実行することをおすすめします. このあたりは, 本を読んでフンフンと納得するものではなく, 実際に使って「体」で覚える必要があるからです. もし, Unix を以前に使用したことがない (この本を読む人は 99% これに当たるのでしょうが...) 場合には, 理解を深めるために, 別の Unix の入門書も読んでもいいかもしれません. オーム社の「UNIX 体験記」が読みやすくてお勧めです.

付録

付録には, 「付録 E よく尋ねられる質問 (FAQ) とその回答」 「付録 F 動作確認済みハードウェアリスト」などがありますが, これらは, 本書に書かれている内容より, そこに記載されている Web ページのアドレスが重要です. とりあえずの内容は印刷物である本書でえられるので便利ですが, それから先は, 最新情報を Web で確認するということになります. いずれにせよ, 入門書である本書には, 日本での Web サイトが記載されているため, 十分であるといえます. (これがもし, 原書のまま英語のサイトのアドレスが書いてあったら, せっかくの情報も読むのに後込みしませんか?)

この本の次は?

これは, 自分自身への質問であるとともに, どなたか返事をいただけることを期待して... 本書が本当の初心者向きであるため, 次のステップにあがるためにどんな本が用意されているのか? が疑問になると思います. でもその前に, 次のステップって何があるのか, 何をしたいのかを明確にする必要があるのでしょうね. 次にあげるリストは, 私なりにこんなものがあるのかなと考えたものです.

過去のブックレビューの対象となった書籍, あるいはそれ以外の書籍をグルーピングして, かつロードマップみたいなものがあると Linux を勉強する人にとって大変参考になるのではないかと考えています.


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