株式会社アスキー様の
ご厚意により, 書籍
Networking Linux を
JLUG および JLUG Webmasters あて ご献本いただきました.
本 Web サイトおよび
Linux Users ML
においてレビューアの公募を行ない,
書籍への意見や感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します.
株式会社アスキー様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
今回, JLUGの第3回Book Reviewとして上記の本を読む機会を得ました. 知識, 経験ともに初心者とも言えないほんの駆け出しですので, 的確な批評はできませんが, 志だけは持っている入門者として感想を書かせていただきます.
本書は, まえがきにおいて, その内容や対象読者を明確に謳っています.
中小規模ネットワーク管理の初心者を対象とした内容になっており, UNIX初心者向けには書かれていません. 最低限, 次の事柄を理解していることを前提にしています.
- ファイルのエディット及びコピーや移動などのファイル操作
- 一般的な管理用コマンド(たとえばps, kill, makeなど)の使い方
- ユーザーの登録方法
Linuxそのもののインストール方法については扱っていません・・・
典型的な読者像たとえば, 次のような状況にある人を想定しています.
- ・ケース1
- すでにマシンがたくさんある
- どうせならLANでつなごう
- LANとインターネットをつなぎたいね
- ・ケース2
- マシンが1台ある
- インターネットとつなごう
- またマシンを買った
- ではLANを作ろう
- LANからインターネットへアクセスできないかな
- ・ケース3
- とりあえず自分のマシンにLinuxを入れてみた
- このマシン, 会社のLANにもつなげるかな
- Windowsマシンも使ってるんだけど, それとデータ交換できないかな
いずれの場合もそれほど大規模なネットワークを構築するというのではなく, マシンの台数でいえば数台から十数台, 多くても数十台, ユーザーも多くて数十人程度の中小規模ネットワークを構築する人が対象です.
“中小規模ネットワーク管理の初心者を対象”なんて, 自分のためにあると大喜びしたものの, その直後, “UNIX初心者向けには書かれていません” を見た瞬間にレビュアー不適格を悟り, 大いにあわてました. 事実, 最低限必要とされる項目を満たしておらず, やっとOSが動作するところまでインストールができたものの, makeは未経験です.
しかし, がんばって読み続けられたのは, 自分が典型的な読者像のケース1, ケース3に当てはまるからでした. Linuxそのものに関してはこれから勉強するという条件付きで, 本書の読者に加えてもらおうと自分なりに理由付けをしました.
本書の内容に関係のないことを最初に書いたのは, Linux初心者向きではないと謳いながらも, 私のようなLinux, ネットワーク双方の初心者にも理解しやすく, 大変参考になったということを述べたかったからです. ネットワークに限定してはいるものの, “ネットワーク運用の最初の一歩を後押しする”ため, というスタンスがはっきりとしています. 大切なポイントでは, 具体的に手順を示し, 操作方法などがていねいに書かれています. しかも, よくあるインストール本のような「どうでもいいことはくどいくせに, 肝心のことが書かれていない」ということがなく, 必要最小限の表記の中に核心が盛り込まれています. 少なくとも私には, 知りたいと思うことが自然に示されているという印象でした. プラットフォームは当然Linuxなのですが, Linux/UNIXに限定することなく, ネットワークというとてつもない化け物を相手にするための第1歩として, 考え方が自然に見えてくるのです. 本書を読み終えると, 「ネットワークという化け物」が, 「ネットワークというもの」に変わっている感じです.
ネットワークに関する解説で私が最も嫌う言葉は「管理者に相談してください」です. 自分でネットワークを構築したいと考えているわけですから, 管理者は自分です. 「分からなければ自分に尋ねろ」は哲学的, 教育的には理解もできますが, 納得できるアドバイスではありません. 中級以上をターゲットにした解説の場合はいいかもしれませんが, 初心者向けを謳う場合には, 使ってほしくない表現です. たとえ管理者に相談ができる場合でも, 初心者にとっては, 何が問題になっていて, 何を尋ねればよいのかが分からない場合も少なからずあるからです.
本書の場合, 基本的には上記のような無責任な表現は極力なくし, 何を参照すればよいのか, どのような記述/値が期待できるのか, などをていねいに解説してあります. 偶然ではなく, そういう方針で作られているのではないでしょうか. しかし, 「管理者に〜」という表現が皆無ではありません. もちろん, 適切な表現として書かれている場合もあるのですが, 読んでいて初心者としてお手上げになる場合もありました.
一通りの説明が終わって, イーサネット接続を実際に構築しながら考えよう, という, いよいよ第1歩を踏み出す場面があります. 説明のために簡略化し, 2台のマシンをイーサネット接続しただけという場面設定で, マシンの設定を解説した後, ・・・
IP アドレスを指定してのテストがうまくいったら, 続いてホスト名を指定し, かつ -n オプションを指定せずに ping コマンドを実行してみましょう.
root# ping poco.lxvillage.or.jp動作が異常に遅くなったり, いっこうに動作する気配がないようであれば, /etc/resolv.conf の記述が間違っているかもしれません. あるいは, /etc/resolv.conf で指定しているネームサーバーの動作に問題があるのかもしれません. /etc/resolv.conf の内容をもう一度確認した上で, 正しく記述されているようであればネームサーバーの管理者に相談してください.
とあります. 前後の説明でも順を追って, 具体的に説明がされているので, 全体としては分かりやすく, 記述ミス以外では失敗しないように思えるものの, いざ, うまくいかなかった場合には, 「管理者に〜」では解決できないのが, 初心者ではないでしょうか. これに先立ってnetconfigの設定を説明する中で, “ネームサーバーがある場合にはyesとこたえます”としかないのも, 説明不足だと思います. このような場合, ネームサーバーの設定をnoにさせて基本動作を体験させてから, 「今度はネームサーバーを導入しましょう〜」として, よけいな混乱は起こさせず, しかも, 発展的にシステムを学ばせるという流れを示してもらえた方がありがたいと思います. 分かっている人には気にならない, このようなポイントをきちんと押さえて解説していくことで, 初心者の必読書となりうるのではないでしょうか. 上記の例も, 前後にわたってかなりていねいに書かれているだけに, 残念でなりません. このような場面で相談を受けるべき, 将来の管理者を育てようというのであれば, ページ数や労力を惜しまず, とことん解説してほしいと思います.
かなり経験を積んできたかな, という人にとって本書がどのように映るか, 私には想像もできません. そのようなレビューは他の方にお願いすることにします. 繰り返しますが, 私はlogin後にshutdown -h nowができるだけの本当の初心者です(初心者以下ですね). 雑誌やインストール本の読みかじりでpingでのネットワーク接続確認はできていましたが, 意味も分からないままでした. そういう私が読んで, 何とか内容についていくことができるという点で, 本当に初心者のために書かれた本だと思います. Linux/UNIX初心者を(かなり努力は必要でしょうが)含めて, ネットワークに関しての初心者にとっては大変参考になると思います. 帯に書かれている, “本書だけあれば, 他にネットワークの参考書は必要ありません”という表現がどこまで正しいか, 私には分かりませんが, 他の参考書を読む前に本書を読むことをお薦めすることはできます.
TCP/IPとは何かにはじまり, 基本的なネットワーク設定, PPPによるインターネット接続, FTPやtelnetといったネットワークツールの活用そして応用, とネットワークの設定/活用に必要なTipsが満載の一冊です.
『RunRun Linux』のネットワーク設定の解説がPPPでISPへ接続しWWWを使う, 電子メールを送受信するといったいわばISP側のサーバ機能を利用するためのLinux側のクライアント設定方法であったのに対し, 本書ではクライアントの設定に加えてLInuxをサーバとして使うための設定方法を解説しています. もちろん『Run Run Linux』では簡単にしか触れられていない事項についても判りやすく解説されています.
この手の解説書は, 内容が詳細だが範囲が狭かったり, 網羅する範囲が広すぎて内容が薄かったりとなかなか「これで決まり!」という本がないのですが, 本書は, 適度にテーマを絞り込んでいるため, 『linuxのネットワーク機能を活用したいがどんな参考書を見て良いかわからない』, 『HOWTOの内容がいまいち理解できない』と言うネットワーク初心者に最適の内容となっています. 使い方によってはリファレンス的にも使えると思います. ディストリビューションに依存しないよう配慮はされていますがSlackware3.1をベースにしていますので, 最新ディストリビューション環境や最近人気のTurboLinuxなどを使用しているユーザは本書の通りに設定をしてみようと思うと戸惑うかもしれません.
全体の構成は大きく5つのパートと付録とから成っています.
本書は, 解説を読むだけでもTCP/IPネットワークやLinuxでのネットワークについての知識が深まること請け合いですが, やはり実際に設定・試行してみてその知識がより確かになります.
本書を手にするとマシンを前にして設定をしてみたくなるはずです.
はじめに, この本が届いたのが思っていた時期よりかなり遅く, しかも仕事がちょうど忙しくなって来たため, すべて読むことができませんでした.
ネットワークの基礎知識
プロトコル階層の話は, もうちょっと簡略して, TCP/IPの話をもっと具体的に書かれた方が, 使い手にとっては役に立つのではないかと思われる.
実際のネットワークの組み方をもっと, 具体的に書かれていると, 参考になるのではないかと思われる. たとえば, OCNエコノミーとか, 個人でもなんとか専用線をひけるぐらいの値段の場合の設定の仕方とかがあればと思う.
その他のネットワークでは, 主にSAMBAが中心に使われるのではないかと思うが, その割には説明が一般的すぎてとてもつまらない. もっと, 具体的な設定を書いてほしい. たとえば, Linuxをサーバにして, Window95などで, その環境を使用したい場合, どうすれば, 漢字のコードとかプリンタ, ファイルを思ったようにアクセスできるとかが, より詳しく書かれていれば, いいのではないかと思う.
この本は, 初心者を対象にして書かれているとは思えないので, 簡単なことは, もっと簡潔にかいて, 応用例を, より詳しく書かれた方がいいように思われた.
読んだ感想としては, なかなか良く書かれているとは思うが, 実際にこの本だけをみて, ネットワークを組みことはできるとは思うが, かゆいとこに手が届かないと思うところが多々あると思われる.
最近では, 会社などでも小さな規模のLANを構築しているところが多いと思います. ネットワークもWinows95/NTの普及のおかげでコストが下がり手軽になったことで導入しているところが多いでしょう. 会社や学校などでの共同作業を効率よくしていく上では個々のアプリケーションに精通しているだけでなく, ネットワークをうまく使ったリソースの共有が大切だと感じています. また, 一般にも多く普及しているWindowsとうまくやっていくためにもLinuxユーザーには必要でないかと感じています.
さて, この本についてですが表紙についている帯(なんて呼ぶのか知りません, 知っている方がいたら教えてください. )に書いてある内容に"本書だけあれば, 他にネットワークの参考書は必要ありません." と書かれています. 確かに全部を読んでみてそうに感じました. しかし, いろいろな部分に突っ込んだことになると, やっぱりそれなりの技術書が必要になるでしょう.
本書の内容ですが, 最初に, プロトコル階層などの説明を例を出してわかりやすく説明しています. これで, 大体のイメージが頭の中に描けるでしょう. TCP/IPってなんだろう?って思ってそれ関連の書物を読んでもわからなかった人も頭の中にイメージが出来て理解しやすくなると思います.
次にpppでの接続を詳しく紹介しています. 他の本を読んでやってみてもうまくいかなかったひとはこの本でppp接続にチャレンジしてみてください. Slackware 3.1を例に取り上げています. muleでのmewやGNUSの設定や活用の仕方や, ネットワークを探るコマンドの使いかたも説明しているので助かります.
TELNETやFTPのところをざっと説明して, それから, 複雑になってしまったsendmailをどうに使い分けるかなどを説明しています.
sambaについても書かれていますが, 実際に運用するとなるともっと突っ込んだ内容が書かれている書物が必要ではないかと思います. まあ, どんな内容のものか知っておくには理解できると思います. Windowsとネットワークを組むには必要になるのではと思います. Windows側の設定も説明してあります.
全体を通しての感想ですが, 各項目にわたって設定例や絵などが盛り込んであり, どういう仕組みになっているのかなどを詳しく説明してあります. 最初にこの本でネットワークというものはどういうものかを勉強してから, 更に詳しい分野ごとの書物で理解を深めていけばよいと思います. また, ネットワークを使っていくうえではこの本で取り上げていることは理解していたほうがよいと思います. ネットワークをいじることが多い方は側に置いておいて損はないと思います.
以下に目次を載せておきます.
Part 1 ネットワークの基礎知識 Chapter 1 プロトコル階層の話 Chapter 2 TCP/IPの基礎知識 Part 2 TCP/IPネットワークのセットアップ Chapter 3 イーサネット接続 Chapter 4 PPPでインターネットへ Chapter 5 少し進んだPPP接続 Chapter 6 インターネットへのゲートウェイ Part 3 TCP/IPネットワークの基本サービス Chapter 7 TELNETとFTP Chapter 8 ファイルシステムの共有 Chapter 9 プリンタの共有 Chapter 10 インターネットスーパーサーバー Part 4 TCP/IPネットワークの少し進んだ利用方法 Chapter 11 電子メールの利用 Chapter 12 ネットニュース Part 5 その他のネットワーク Chapter 13 UUCP接続環境の構築 Chapter 14 sambaの利用 Appendix A 回線経由の接続を受け付ける A.1 接続を受け付けるということ A.2 mgettyの特徴 A.3 インストール A.4 動作確認