PC-UNIX 日本語環境+アプリケーション 徹底入門

PC-UNIX 日本語環境+アプリケーション 徹底入門 レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

技術評論社 様のご厚意により, 書籍 "PC-UNIX 日本語環境+アプリケーション 徹底入門" を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて公募を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

技術評論社 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.

また, 技術評論社様による 本書のサポートページでは, 正誤情報なども公開されています. 是非あわせてご覧ください.


Reviewed by 溝口 直樹 (kgh07253@nifty.ne.jp) さん

Linux の使用歴
2 年
UNIX の使用歴
4 年
Linux Box の主な用途
パソコンで行う処理のほとんどすべて (文書作成, 印刷, メール, ...)
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Windows95 = 99 : 1

はじめに

「パソコンを使うこと」=「PC-UNIX を使うこと」, というような生活をしていますが, まだ十分満足のできる環境にはなっていません. ちゃんとマニュアルを読んだりすればいいのでしょうが, なんせ, あの膨大な英文のマニュアル, 日本語ドキュメントを読み通す気力が残っていないので, 多少使いづらいところがあっても, 我慢しながら使っているのが現状です.

どんなことに困っているか.

ちょっと具体的にどんな問題点を今抱えているかを書いてみることにします.

  1. DOS のときのように, ファンクションキーでカナ変換などをしたい.
  2. ファイルマネージャの mc で F1 〜 F4 を使えるようにしたい.
  3. 軽いエディタとして ng を使いたいけれども, カーソルの移動に矢印キーが使いたい.
  4. Window Maker のルートメニューをもっとシンプルにしようと, 手を入れたら, Window Maker が起動しなくなっちゃった. どうしたらいいの.
  5. tgif で作った画像の一部を eps 形式のファイルで保存したいけれど, どうすればいいの.
  6. アプリケーションをインストールする前に, マニュアルを読んでおきたい, と思ったときに, どうすればいいの. MANPATH が通っていないから man は使えないし.

「徹底入門」に解答はあったか.

何年経っても, 努力してマニュアルを読もうとしないので, いつまでもこのレベルに留まっています. が, もしかすると, この「徹底入門」で解決することがあるかもしれない. と, 期待しながら, 読んでみました. 結果は次の通りです.

  1. このことについては, 特別記述は無かった. その代わりに, kinput2 などから日本語を入力する場合に, 入力操作を ATOK 風にしたり, MS-IME 風にするための ".canna" ファイルが用意されていて, これは下の 3 とも関係しているのですが, ng や jed などの使い勝手を良くする上で大変ありがたかった.
  2. mc に関する記述は無し. その代わりに fd が紹介されていました. Vine では残念ながら fd はパッケージ化されておらず, ソースが CD-ROM に収録されていたので, それをコンパイルしようとしたけれども失敗してしまいました. ただし, この問題 は mc 付属の FAQ とネット上の情報で解決しました.
  3. Ng.doc などを読んでも, 矢印キーを使えるようにするための説明が無かったので, p213 のコラム「Ng とカーソルキー」は非常に役立ちました. 後は, DEL キーが delete-char として機能してくれれば文句無しなんですが. (それにしても, jed について一言も触れられていないのがちょっと不思議).
  4. Window Maker のルートメニューの書き方がまずかったようです. ちゃんと設定ユーティリティを使って, メニューを書き換えたのですが. 徹底入門には, この問題を解決するためのヒントは無かったように思います.
  5. 直接の解決策は書いてありませんが, 結構詳しく tgif の解説があったので, これもありがたかったです.
  6. man についても結構詳しい説明はありました. が, 解答となる記述は無かったと思います. まぁ, こういうことにまで解説をしていたら, 百科辞典並の本になってしまうでしょう.

他に, Window Maker や lpr の説明が結構詳しく書いてあったので, 助かりました.

なお, この本の目玉とも言うべき, 「おまかせパック」は, 私の使っているデストリビューションが Vine Linux であるために残念ながら使ってみることはできませんでした. ただし, 上に書いたように収録されていたファイルは便利に利用させてもらいました.

感想

日本語環境について, もう少し詳しい解説があるのかなと期待したのですが, 意外とあっさりした記述で物足りない感じを受けました.

さて, 数年前と比べると, とにかく OS 本体や基本アプリケーションのインストールは楽になりました. このような趨勢では, 今までの多くのインストール本は, 役目を終えているように思います. これからは, この「徹底入門」以上のレベルの解説書が必要になってくるのではないでしょうか. そして, それは HOWTO や FAQ, 過去メール, fj ネットニュースなどを丹念に収集し, namazu などで全文検索できるようにした CD-ROM が主な媒体になるのではないでしょうか.

さいごに

PC-UNIX は敷居が高い. と, 改めて感じました. Windows の世界では, ワープロならワープロで, 表計算なら表計算で閉じた世界を作っているように思います. そして, そこだけを知っていれば, それなりに使える. 一方, UNIX では, OS 本体から, エディタ, TeX, 印刷システム, 言語, ネットワーク,... などがすべて混然一体となって, UNIX というシステムを作っており, これだけ知っていれば何とかなるいると言う境界線が非常に引きにくい. しかも, ユーザーの自由を最大限認める形でシステムが作られているから, なおさらややこしくなっている.

だから, PC-UNIX を使いこなすのはなかなか大変なのもやむを得ないことだと思います. でも, 何でもかんでも効率を追求して, 使いやすくしてしまう代わりに自由を奪われてしまうよりは, 苦労しながら問題を解決して行く自由を楽しむのも なかなか乙なものではないでしょうか.


Reviewed by 北山茂寿 (ki9023ks@ex.ecip.osaka-u.ac.jp) さん

Linux の使用歴
3 か月
UNIX の使用歴
半年
Linux Box の主な用途
プログラミングの学習, ゲーム
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
2:8

1. はじめに

私は今回この本のレビューをすることになったのだが, 使用歴にもある通り, Linux を使い初めて半年に満たない初心者中の初心者である. こんな私が, このような大きな場でレビューをしてもいいのだろうかという気もするが, 初心者には初心者にしかない視点があるだろうということで, とりあえず精一杯やることにした. そんなわけで, 以下よろしくお願いします.

2. 特徴について

ではまず, この本の大まかな構成を示す.

1 章本書のねらい
2 章これなら使える! おまかせパック
3 章もっとあります, アプリケーション!
4 章日本語環境の知識を深める
5 章プリンタ設定と印刷の知識を深める
A付録

題名に「日本語環境+アプリケーション」とある通り, この本で主に扱われるのは, PC-UNIX の日本語環境の説明及びアプリケーションの使い方, そしてプリンタの設定である. ページ比率としては, 2:5:1 というところか. 他の初心者用解説本のように, インストール関連でページを埋めたりせず, アプリケーションの解説を詳しくしていることが大きな特徴だ. 特に XEmacs 関連の情報はかなりのものである. こういう本は, 今までありそうでなかった. もちろん, かなり数多くのアプリケーションについて説明がなされているので, 個々の説明は使いこなすのに十分なものではないが, 多くのソフトで「〜を参照」というコメントがあるので, それを見ることにより, より知識を深めることができるだろう.

もう一つの大きな特長は, 「おまかせパック」という, 一種の自動環境構築ソフトが付属している点である. フリーソフトをまとめた CD ROM が付属する本は普通だが, 環境を丸ごと設定してしまうというダイナミックなものは, 他に例を見ない. もはや, 一つのディストリビューションと呼んでもよい代物である. これを利用することにより, 読者は簡単な手続きで, 本書にあるような環境を構築できる. かなり大きなアドバンテージと言えるだろう.

だが, 弱点と呼べる部分もいくつかある. その中でも一番大きいのは, 「おまかせパック」のインストール対象が, Red Hat Linux 6.x 英語版か, もしくは FreeBSD 3.x となるという点であろう. 私は Vine Linux 1.1 を使っていたが, ライブラリが足りないようで, 「おまかせパック」のインストールはもちろん, CD ROM にある RPM ファイルの利用もできなかった. その後, Red Hat Linux 6.0 英語版に 99%ネイティブと言われる, LASER5 Linux にも試してみたが, どうにもうまくいかなかった. この本の対象は Linux を使い始めた初心者なのだから, Red Hat Linux 6.x 英語版を手に入れ, インストールできる人はそうはいないだろう. 要するにこと Linux ユーザーにとっては, この本の「おまかせパック」はかなり本末転倒な代物なのである. もちろん, BSD ユーザーにとってはそれほど問題ではないだろうが, 対象読者をかなり狭めてしまうことは確かだろうと思う. どうせなら OS も付属させるか, もっと一般的な Vine Linux や Turbo Linux に対応させるかしてほしかった.

3. その他, 気になったこと

以下, この本を読んで気になったことを挙げていきたい.

まず, 「おまかせパック」で採用しているウィンドウマネージャ, Window Maker についてだが, 私は大学で本家本元の NextStep を利用しているので, 全く違和感はなかった. (だから同じく, Window Maker を標準で採用している Vine Linux を利用していたのだが...) しかし正直言って, 普通の人間が使う限り, Linux が生まれる前からあった NextStep の方が, GUI 環境としては優れていると思う. この本では, 現在の UNIX の抱える問題, すなわち共通キー操作が存在しないことや, クリップボードが共通とは限らないことについて, 「文化の違いである」と言っているが, 自分としてはどうも納得いかない. 例えば, 「ファイル名の大文字と小文字を区別する」ということならば, 文化の違いとして「ああ, そうなのか」と納得できるが, 前に挙げたことは, これから Linux が広まっていく上で明らかに障害となっていくはずである. それを「文化の違い」などと言い換えるのは何かおかしいのではないか, という気がするのだ. もちろん, こんなことは初心者の私が言うまでもないことで, この問題を解決するために, KDE や GNOME といったプロジェクトが生まれてきたのだと思う. これから Linux がコンシューマで広がっていくには, このような問題をきちんと「欠点」として認識し, 改善する努力が必要であるに違いない.

またこの本には, 本来の目的以外にも, UNIX を使う上での Tips 的な事柄がたくさんある. これらは, UNIX 初心者にとってかなり役に立つものばかりだ. この本をきちんとマスターすれば, 日本語環境やプリンタの設定も, 自分でできるようになるだろう. 私はとてもそこまでいっていないが, 作者の意図としては, 初めは手軽に環境を構築できるようにしておいて, 最終的には自分でそのぐらいの環境が組めるようになってほしい, ということではないだろうか.

4. 最後に

いろいろ書いてきたが, やはりこの本は, アプリケーション解説+環境構築ものとして, 他とは一線を画する良著であると思う. 何より, 著者の意気込みが感じられるのがよい. OS を選ぶという問題さえなければ, ほとんど買って損はないと言えただろう. ただ, UNIX の世界に入って最初に買うべきなのは, この本ではないと思う. 何をさしおいても, コマンドリファレンスを買うべきだ. いくら UNIX の GUI が進化したとは言っても, やはりコマンドを使えなければ意味がない. 私が買ったのは, ソフトバンクの『Linux コマンドスーパーリファレンス』だが, Mule や Vi などの解説もあって, かなりおすすめである. (技術評論社様, すみません!) インストールを終え, コマンドを一通り覚えた後, X アプリケーションをもっと使いこなしたい, という方にお薦めの一冊だ.


Reviewed by 塚本 民雄 (つかもと たみお, tamio@mb.infoweb.ne.jp) さん (Web Page)

Linux の使用歴
約 3 年
UNIX の使用歴
約 12 年 (ボランティア的システム管理者 兼 エンドユーザ)
Linux Box の主な用途
お仕事 (数値計算, 文書, 資料作成), いわゆる電子的「読み書きソロバン」
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95 (世間のしがらみの為のマシンのみ)
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Windows 95 = 99 : 1

【このレビューの視点】

今までに, SlackWare3.1+JE, 同 3.5+PJE ベース, これに各種アプリケーション (商用含む) を加えて, Linux を使って来ました. そろそろ glibc2.1 + kernel 2.2.X の環境への移行を検討中です. 書籍の CD-ROM の「これなら使える! おまかせパック」がどの程度「即お仕事対応」, すなわちインストールした直後の状態で実用になるか検証して,

という構成でレビューします.

【本書の構成】

本書の構成は, 以下の通りです.

【読後のコメント】

●本書の想定条件を満たすのは結構厳しい!

「はじめに」には, 本書の対象は 「以前に Linux や FreeBSD をインストールしたことはあるが, アプリケーションを使えるようになるまでに挫折した人」 と書かれています. そして, そのような人達の為に

と書かれています. が, 第 1 章「本書のねらい」の注意には,

と書かれています. そして, 本書には明示されていませんが, ネットワークの設定は自力でできなくてはなりません.

第 2 章「これなら使える! おまかせパック」では, OS のインストールについては, 必要な英語版パッケージのリスト, X の設定の注意点が書かれている程度です. おまかせパックのインストールについても, (当然ながら) 細かな設定の話はありません.

●一貫したストーリーのある例題とサンプルファイルが欲しい!

第 2 章のインストールの項の後には, 「おまかせパックの」個々のアプリケーションの解説が 113 ページにわたって続き, 第 3 章「もっとあります, アプリケーション!」では, 164 ページにわたって各種アプリケーションの紹介があります. 使用例は視覚に直接訴える画面が多く, それなりに参考になります. しかし具体的に幾つかのアプリケーションを連係して発展させるような 一貫したサンプルが無いのが残念です.

特に不満が残る部分としては, 文書作成に関するものが挙げられます. 「おまかせパック」に入っている LaTeX については, 「専門書を読んで下さい」と書かれていて,


                  \documentclass{jarticle}
                  \begin{document}
                  ここに本文を書きます. . .
                  \end{document}

という程度の, 最低限の文書を書くための構文のサンプルすらありません.

さらに, ワープロ? として使えるはずの Lyx は「おまかせパック」に入っていなくて, 追加インストールしなくてはなりません. その場合は, 関連ライブラリも予めインストールする必要がありますが, Lyx の説明部分にはその記述がありません (付録の rpm の解説部分にある Lyx をとりあげた囲み記事に気付かないと困るでしょう).

第 4 章「日本語環境の知識を深める」は著者の「おはこ」なので, 特に, X-TT についてはある程度, 具体的に書かれています. この部分は, 後で TrueType フォントを追加・変更する場合に読み直すと良いでしょう.

● 最後まで読んでも, メイルが読めない! 書けない! 文書が印刷できない!

さて, 私は, 「本書に従って」最終章である 第 5 章「プリンタ設定と印刷の知識を深める」まで読み進んだ時には,

という, 日常必要な「電子的読み書きソロバン」ぐらいは できるようになっているはずだと思っていました. しかし, 本書には, ネットワークの設定の記述が全く無く, また, 5 章のプリンタの設定については設定例が誤っている為に, 本書で想定しているはずの 「元 Windows ユーザ」の立場で読み進むというスタンスでは メイルを読み書きしたり, 文書を作成し印刷することは 残念ながらできませんでした.

【インストールと検証 (実際に使うには) 】

「おまかせパック」を実際に使うには, エディタで幾つかの設定ファイルを修正したり, スクリプトファイルを用意する必要がありました. また, 理解しづらい部分や, システムの不具合等にも遭遇しました. それらを全て書くとかなりの量になりますから, 実際に本書を使われる方は, ここ を御覧下さい.

について, 私のメモがあります.

【まとめ】

◎本書の「おまかせパック」を使うには, OS や, X 環境をインストールする事ができる上に, UNIX の基本コマンドの知識や, 設定ファイルの編集, ネットワーク環境を整えられるだけの技量が必要です. 著者が想定した読者層ならば, 本書の他に, Linux のインストールと設定に関する書籍と UNIX に関する書籍が必要でしょう.

◎本書を, 「(徹底) 入門書」と捉えると不満が多いですが, 「アプリケーションのカタログ」と割り切れば, 美しく, センスの良い, 新しい X 環境のアプリケーションは, 結構楽しめるでしょう. ただし, 使用例のサンプルファイルが無いので, 書籍を手にしながら, すぐに確かめられないのが残念です.

◎現状の完成度では「おまかせパック」そのものの賞味期限は, Plamo Linux や, Vine Linux が glibc2.1/kernel 2.2.X 化するまでかもしれません.


Reviewed by 田辺マミ (ZXC07723@nifty.ne.jp) さん

Linux の使用歴
6 年. (Slackware , Redhat)
UNIX の使用歴
8 年 (2 年のブランク有り). 主に HP-UNIX, SUN.
Linux Box の主な用途
メール, 数値シミュレーション (C, Fortran), Tex.
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
自作 PC と EndeavorNT-100 に Windows98.
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux:Windows98=9:1 (2 年前まで) → 3:7 (現在)

はじめに

私の Linux に対する印象は, 自分で環境設定をカスタマイズできる (というより必要に迫られてカスタマイズする) UNIX ライク OS. 「タダ」だからといって飛びついてインストールしたのはいいが, 設定ファイルをいちいち手書きで修正したり何度もカーネルコンパイルしたり リブートかけたり…んんあぁぁっ! もぉぉぉっ! と腹が立ってくる OS. だけど自分の思うようにカスタマイズできたときにはほおずりしたくなるような OS.

とこんなヤツは私ぐらいか….

と思いきや, この本, 私めのようにカスタマイズすることに耐えられない短気な方や (いや, 私は結局はまってるんですけどね), 「環境設定なんかに時間かけてられないんだよっ」という大変お忙しい方, Windows や Mac のように簡単に操作できると勘違いして Linux をインストールしてしまった方, などを対象に書かれているようです. 「■はじめに」から引用すれば, 付属 CD-ROM の「おまかせパック」を使うことによって 「…『Windows ライクな UNIX』に調整され…」た, 「…一昔前のノート PC を使って簡便なモバイル環境も作れる…」 ユーザーにやさしいラクチン環境を提供しているとのこと. さらに Linux と FreeBSD に「…世界初の『両方に同じ環境を構築できる』…」 らしいので, 「ボクって (アタシって) Linux も FreeBSD もどっちも使えるんだよねぇ…」と (楽して) 自慢したい人にはうってつけ, と思われます.

謎の「おまかせパック」

確かに, 日本語の設定はめんどくさい. Mule で日本語を書き込もうとするだけで, なにやら訳のわからんファイル名を指定されて 呪文のような言葉を書き込めといわれ, タイプミスでもしようものならこれまた 2 度手間 3 度手間の作業になる. エディターごときに何故こんな手間暇かけにゃならんのだ, 多少まぬけっぽくても Windows でさくさく MS-Word でも使ってた方がらくだよなー, と思ったことのある人には, いいらしい. この「おまかせパック」, 名前こそちょっとダサイが, おまかせインストーラー「一発屋」 (!!) に聞かれること (ユーザー情報, メール・ニュースサーバ情報, ハードウェア構成, 等々) を間違えずに入力すれば日本語でワープロが使え, Mew on XEmacs を使ってメイルがやりとりでき, ネットスケープでインターネットも可能. 入力操作は ATOK 風, MS-IME 風好みで選べる (実際は Canna だが). ファイルマネージャには Binder 搭載, ドラッグ&ドロップだってお手のもの. マウンターも入ってるからアンマウントをよくし忘れちゃって, というおバカさん (そりゃ私だ) にも好都合. 私が割と手間取っている PPP 接続の説明は一切なく, おかませパックにまかせろ, といった風なのもたのもしい. 印刷も XEmacs のメニューバーからクリック一発…

あれ? ところで printcap 編集しなくていいの?

そればかりはそうは問屋がおろさないらしい. あるある, 後の章に "やはり" 堂々たるプリンタ設定の説明が. これまで何度も見てきた PS ファイルの説明や, PS 対応プリンタがびんぼーで買えない人のための Ghostscript 関連の記述が. しかし私としては, この設定を GUI 操作でできたらえーなー, と密かに期待していたのだが, 残念. しかし, 設定すべきファイルの中の呪文のような言葉の説明がわかりやすく書かれているので, 訳のわからん状況はまぬがれそう...

この, 「おまかせパック」でインストールする以外にも沢山のアプリケーションが CD-ROM に入っており, その説明がまたとても丁寧です. ドロー系ツール tgif の説明だけで 23 ページも費やしている! もちろん中級者以上の方々が見ると 「んなこといちいち言われんでも知っとるわぃ」といった記述が大半ですが, ここまで丁寧だと私には新鮮.

また, 私が気に入ったのが, Column や注意書きが多いので雑学が得られること. 例えば Tex 関連メーリングリストに 「fj 野鳥の会」てのがあるそうですが, この本で初めて知りました. いやはや, 動物愛護団体と Tex に何の関係が!? Column を見れば一目瞭然, おぃおぃ...

総じて

この本はとにかく初心者に アプリケーションを充実して使わせることに力を入れており, CD-ROM も本の内容も目的に即していると思います. アプリも箱に入れただけで使われずにいるのがオチだったりするのを, 「こんなこともできるんだからちょっと使ってやってよ」 と催促されてる気分になりました. しかし, これでも取捨選択された精鋭ソフトばかりなんでしょうけど, 多い. 初心者には大変わかりやすく書いてあって, そこここに関連ホームページへのポインタが示されているので 内容的にはお薦めですが, まじめに一字一句読み込んでしまう人には情報が多すぎてつらいかも. また, この本に沿って X 上でアプリを充実させようと思うと 「Pentium200MHz, メモリ 64MB, ディスク 2GB」 以上のスペックが必要だそうで, 要注意. ただコンソール用おまかせパックも付いてるので 低スペックにも道があるのが○ですが. ベース保証が Red Hat6.X, 又は FreeBSD3.x というのも注意! TurboLinux や Vine Linux ではおまかせパック使えないのかなぁ, と気になるところであります.


Reviewed by 吉田 亨 (yoshida@kcs-inc.co.jp) さん (HomePage)

Linux の使用歴
3 年
UNIX の使用歴
12 年
Linux Box の主な用途
Web, メールサーバ, ファイルサーバ
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
なし
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
3:7

「はじめに」

この本は PC-UNIX (Linux,FreeBSD) 上で 日本語環境を初心者でも簡単に行えるものです.

私は UNIX を利用したシステム構築やアプリケーション開発, セミナーを行っており, 最近 Linux で日本語環境の作成方法を教えてほしい等の質問が 多いと感じておりました.

UNIX によるシステムを提案, 構築する側から見て, 個人ユースや新規導入企業での日本語環境構築には判りやすい本です. (ご自分で XEmacs 等をカスタマイズされている方には不向きではありますが)

また, 初めて Linux (UNIX) を利用される方に多いのが半角カタカナの問題や, Win モデム Win プリンタの設定がわかりませんという質問が多い. これは Win 文化になれきったための現象ではあるが, 本書を読むことで多少は理解してもらえるだろうとの期待はある.

「全体の感想」

この本は Linux (RedHat6.0) と FreeBSD を対象としていますが, Linux の対象をもう少し広げて解説したほうがよいのではないかと思います.

Linux の環境は Kondara MNU/Linux で提供されている SRPM をベースにしている部分がありますので, Kondara のサイトを参照して最新版を利用されたほうがいいかと思います.

Kondara のサイトは http://kondara.sdri.co.jp/ です.

この本に添付されている CD-ROM を利用することにより, 初心者でも簡単に日本語環境が構築できる点は評価できます.

「各章の感想」

1. 本書の狙い

PC-UNIX 初心者を取り巻く環境として, 内容は的を射たもので, Linux をサポートする側から見て, 何回も説明している内容である. この基本を知らないと「Linux は使えない」といった誤った誤解を生むであろう. 本書を購入される方は, しっかり理解してほしい部分である.

本書の狙いには「Win 利用者が使える PC-UNIX システムを構築する」 と明確な目的が書いてある. 本書をじっくり理解すれば取り合えずの日本語環境は構築できることがわかる.

2. これなら使える! おまかせパック

本章は X Window System 系とコンソール系の 2 部構成であり, 最低限の日本語環境を構築できる. また, 添付されている CD-ROM で簡単に環境を構築でき, 記載されているインストール手順を踏めばよいというのは初心者には便利であろう. 実際に X Window System の環境を自身で行うとなれば, X Window System のリソースから勉強しなくてはならず, 初心者には手ごわいものであると感じている. 本書にそった構築を行えば, 日本語環境は利用できるようになる. というのは初心者にとっては便利なものである.

しかしながら, 設定内容が著者の好みに影響されているかのように思える. 利用者が利用しやすい環境を構築するためにも もう少し設定方法について解説してあると便利である.

本書の構成上やむを得なかったのであろうが, インストールされるツールの種類や設定はかなり偏ったものと思える.

3. もっとありますアプリケーション

ドロー系, イメージ処理, プレゼンテーション, 文書作成, 日本語ドキュメント, ファイル管理, ターミナルといった通常利用されるであろう分類で記載されている. 本書を読めば, PC-UNIX 上で行える処理の一部が理解できるであろう. 本書に記載されているツールは一般的であり, 最低限利用できる環境ではあるが, 最新版を入手するための情報が少ないかと思う. 最低限ツールを入手するために必要な情報 (Web サイト URL 等) は記載しておいたほうがいい. 自身で最新版をインストールする場合の情報が極端に少ない. (初心者が自身でアップデートするかは別であるが)

4. 日本語環境の知識を深める

この内容は現在主流である Win 利用者にぜひ理解してほしい内容である. セミナー等で Win でできるのになぜ Linux でできないのか? (特に日本語処理) を聞かれることがしばしあるが, コードから全て理解させるには多くの時間を要する. 本書が発刊されたことで, さらに説明しやすくなる.

5. プリンタ設定と印刷の知識を深める

この内容も Win 利用者にぜひ理解して頂きたい内容である. しかし GS に関する部分の説明が少ないように感じる. 現在主流のプリンタを利用する機会は大変多いので, GS を利用することが多い. GS で利用できるプリンタの種類や利用方法, GS 利用時の printcap 設定については, もう少し説明があったほうが理解しやすいのではないか.

A. 付録

この付録でぜひ初心者に読んで頂きたい部分がある. それは「質問の仕方」である. 最近 Linux 利用者が増加していることはうれしいことであるが, メーリングリストへの質問の仕方が「教えてもらって当然」, 「解決したお礼はない」といったことが多くなっている. 特になにも調べずに「わかりません, 教えてください」は避けてほしい. 本付録の「A-3」をぜひ読んで頂きたい.

「最後に」

最近 Linux 本は各社から出版されているが, 日本語環境に特化したものが少なかったので本書は初心者には有用であろう. Linux 利用者が増加することは大変うれしいことではあるが, Windows に慣れ親しんでいる方がいきなり Linux を導入すると日本語環境で戸惑うと思っている. 本書はその日本語環境に一石を投じたものであろう. しかし, 内容がかなり特化しており, 他のバージョン利用者や他のディストリビューション利用者には 物足りないものであろう.

最後に, 今回私は初めてブックレビューを行い, レビュー内容が雑になっているかと思います. 本内容が皆さんの少しでもお役に立てれば幸いです.


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