インプレス 様のご厚意により,
書籍 "標準 redhat Linux リファレンス" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて公募を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
インプレス 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
私が LINUX に興味を持ち出したのは, 2・3 年前だったのですが, なかなかインストールする機会も無く, 最近自作マシーンにありがちな, 余った部品で家庭内サーバーを構築しようという, 単純な理由から LINUX に触れてみることにしました. 使用しているディストリビューションは Vine Linux なのですが, 元となった, redhat に関しての知識を深める事が, Vine の活用・理解を深めることになればという動機で このレビューを申し込んでみました. 以下, 初心者が感じた点をまとめてみました.
本書は次のパートから構成されています.
このパートは Linux の利点の解説からはじまり, Red Hat の概要説明, インストール手順の解説, LILO, X Window System の解説までが記載されています. 自分が初めてのインストールの時に悩んでいた, 各パーティションの意味や, 参考となる容量の目安が簡単に解説されているのは実際にインストールする際には, 参考になるのではないかと感じました.
このパート以降がタイトルの示す "標準リファレンス" という内容になっていきます. システムの起動プロセス, 各種サーバー (FTP,Apache,DNS,Samba など) の解説が含まれています. このパートは起動プロセスの部分と samba の項目を読んでみました. 後者を読んだのは, 自宅サーバーを Windows ネットワークのサーバーとして使用しているためです. 起動プロセスに関しては初期化スクリプト, ランレベルの意味・スクリプトまで, 解説が行われています. 各サーバーの起動する順序がどのように定義されているのかなどは, 今後自分がサーバー機能を追加する際の 参考・障害発生時の問題切り分けに役立ちそうですが, 現在のスキルレベルでは, すぐに役立つかどうかは ? です.
また, samba に関しては残念ながら, Red Hat 5.2 に含まれている version が 1.9.18p10 と現在良く使われている 2.0.5 より古いものでした. しかし smb.conf の内容の解説に関しては, 基本的な部分として, 各セクションの説明・サービスの提供方法から, 設定のテストまで一通りの内容は網羅されていました. 導入時に悩みやすい, 漢字コードの扱い・大文字小文字の扱いなどの注意書きなどが, 囲み記事といったレベルであるともっと良かったのですが. あと, せっかく日本語化して発行しているのですから, 情報入手先として, 英語サイトのみならず, 日本語で解説しているサイトを付記するべきではないかと感じます.
本パートは新しいディスクの追加・印刷方法・ネットワーク・ RPM ファイルの扱い・ユーザー管理・ バックアップなどの日常の運用を行っていく上での内容となっています. このパートは, 現在の自分のスキルレベルでも 日常のメンテナンス等に大変役立ちそうな内容でした. 特に, RPM パッケージについての操作方法などは, Vine でパッケージをインストールする際でも役立ちそうに思います.
標準リファレンスというタイトルのように, なにか問題が発生した時や 面白そうな機能を探したりする時には役立ちそうに思います. 私のように, 初心者がインストールの次に全体の流れや, 各サーバーのインストール・設定など次の一歩を進めていく際に, 付属ドキュメントを読む前の参考として眺めてみたり, タイトルのようにリファレンスとして, 手元にあると良いと思います.
第 1 章 | Red Hat Linux の概要 |
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第 2 章 | 日本語 Red Hat Linux のインストール |
第 3 章 | LILO |
第 4 章 | X Window System |
第 5 章 | ウィンドウマネージャー |
このパートでは, 初めて Linux を体験する人でも とりあえず自力でインストールできるよう配慮されています. 実際に付録の CD-ROM だけで, 読みながら手順どおりやっていくと X Window System やウィンドウマネージャーが体験できます. そもそも, Red Hat Linux のディストリビューション自体インストールが簡単なために 悩まされる心配はないようです. 実際にやってみると Windows98 WindowsNT などのインストールよりも 短時間でさらりとインストールできるディストリビューションは魅力でした.
しかしながら, このパートでの Linux に関する情報量は少ないわけではありません. 詳しく解説されているので, トラブルが発生してもその原因と対処方法が 明確になり安心です.
第 6 章 | システムの起動とシャットダウン |
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第 7 章 | SMTP と POP |
第 8 章 | FTP |
第 9 章 | Apache サーバー |
第 10 章 | インターネットニュースシステム |
第 11 章 | DNS (ドメインネームシステム) |
第 12 章 | NIS (ネットワークインフォメーションサービス) |
第 13 章 | NFS (ネットワークファイルシステム) |
第 14 章 | Samba |
第 15 章 | ファイルシステム, ディスク, その他のデバイス |
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第 16 章 | Linux での印刷 |
第 17 章 | TCP/IP ネットワーク管理 |
第 18 章 | インターネットへの接続 |
第 19 章 | Red Hat Linux の開始 |
第 20 章 | システム管理の基礎 |
第 21 章 | 高度なシステム管理 |
第 22 章 | GNU プロジェクトユーティリティ |
第 23 章 | バックアップとリストア |
第 24 章 | システムセキュリティ |
第 25 章 | カーネルの設定と構築 |
初めてインターネットやイントラの管理者を経験する人には, 教科書的な内容のように見えました. つまり, その位重要な事柄が詳細に書かれています. ネットワーク環境で提供される様々なサービスのしくみの理解は とても重要であり, かつ, Linux に限られたことではないのはご承知のとおりです.
ネットワーク環境の構築に Windows NT Server を利用している (私もそうですが) 場面も多いようですが, その環境に柔軟に対応していく方法が Samba から次のパートにかけて詳細に解説されていました. Windows でネットワークを管理運用している人に Linux を共存させる道を与えてくれます. ファイルの共有やプリントサービスの提供などは別に Windows でなくてもいいのです. インターネットに関わるサービス提供などは, むしろ Linux の方が管理しやすく, 動作も安定していることを実感しました.
私にとっては Linux のバイブル的な本になりそうです.
至れり尽せりの付録でした.
こんな本を探していたんです. 見つかりました. これ 1 冊で本当に十分です. これ 1 冊で, WWW サーバを立ち上げられます. ネットワークを基礎から勉強できます. TCP/IP から解説されてるんですから. Linux というより, ネットワークサーバ構築の本でした Linux はあくまでも手段です. Linux を通じてネットワークを勉強する方にもお薦めの 1 冊です. 教科書はこの本, 実験装置は Linux のパソコン.
"RedHat Linux のバイブルはこれだ!" という本でした.
最近「リナックス」なるものが, 新しくコンピュータの世界ではやっていると聞き, これはやってみないと思い立ち, 自己流で, slackware,redhat,debian などインストールしては, 悩んでいます. UNIX は 10 数年前に経験があったので, コマンドラインを駆使してなんとか, かんとかインストールするまではできるのですが, 確実動作するようにカスタマイズするには, 昔の知識に基づく自己流ではいかんともしがたく, いつもタコ壺状態です.
何か適当な参考書はないかと探していたところ, 今回のブックレビュアーの募集が目に付き参加させて頂きました.
インストール方法と LILO, X Window System, ウィンドウマネージャについての解説がされています. インストールについては, 説明はさらっとかいてありますが, 操作手順だけでなく, 関連するパラメータについても一応触れているのが, 初心者向けの解説書とちがうところです. セットアップ上でよくつまずく, X の設定にもかなりのページがさかれています. ウィンドウマネジャーについては, 紹介程度で, カスタマイズに必要な解説までは触れられていません.
本書の中心となる, メール, FTP, Apache, DNS, NIS, NFS, Samba の各種サーバのインストール, 設定, 構築方法について記述してあります. 残念ながら, これらの技術の中心となるネットワーク管理はやったことがないので, 私としては, 消化不良気味なところもありましたが, 今後, 自分のマシンのサーバ化を実施するときに, おおいに参考にしたいと思います.
ファイルシステム, デバイス, ネットワーク等のマシンの環境設定, パッケージ操作, バンクアップ, カーネルのヴァージョンアップ, パッチ操作等, Linux を利用していく上でのシステム関連の操作について記述してあり, 自己流セットアップをしてきた私としてはもっとも興味のある内容です. RedHat のツールの説明は操作の説明におわっているので, 関係するファイルとの関連についてもう少し説明が欲しいと思いました. 特に LinuxConf は項目の紹介程度です. Linux の管理の中心ツールであることを考えると説明がもう少し欲しく感じました.
Linux シェルコマンド, Samba のオプション, 用語集がついています. Linux シェルコマンドは機能概要のみで, 詳細は触れてありません. この本の対象を, Linux の基本機能について分かっている者としているなら, 必要なコマンドを捜すためには十分なのでしょうか. 付録の CD-ROM は私自身, 本書を入手する以前に LASER5-6.0 に移行してしまったので, インストールはしていません.
全体としては, 翻訳本がベースであることから, 日本語の表現としていかにも翻訳的なところもありますが, 解説上は問題はありません. 但し, 内容の範囲と物理的紙面の関係から, 省略された詳細については, 別途 HOW-TO とか, man を参照するように書かれています. また, 難しい (英文はもちろん和訳も) 文章を読まねばと思うと, もう少し紙面を増やしてでも解説して欲しいところです.
また, Linux (RedHat) システムのマニュアルの位置付けのためか, アプリケーションの解説はありません. たとえば, 入門書にあるエディタの操作, 特定のブラウザ (Netscape), WindowManager 操作に関する説明もありません.
解説は, 文章による説明が主で, 挿入されている図も, 出力リストと, 画面のウインドウのコピーそのままです. 同じハードコピーやリストについても, 図中で関連する内容についてコメントを付記する等の解説があれば, もう少し親切で分かりやすいかと思います. また, コンピュータの内部のデータの係り結びとか, ハードウェアとのかかわりとかについて, グラフィカルである必要はないですが, 説明用の図は欲しいものです. 日本語版への対応にあたって, 必要な情報, 解説の追記がかなりなされているので, もともと翻訳本であることからするとこれで良しとすべきかもしれません. ただ, Linux の日本語化についての記述がないのは不満が残ります.
いずれにせよ, 一冊の中に, Linux の機能を詰め込んだ解説書であり, その範囲の広さから, 解説が不親切な部分もありますが, 本のサイズと中身のバランスからいたしかたないところかもしれません.
最近の linux ブームにのって, 多数の書籍が出版されています. 入門本というかインストール方法がのっている書籍は, CD-ROM のおまけまでついて (本書もついていますが) 多数出版されていますが, 半分以上がインストール手順書で, それ以降の, 解説, 根底となる考え方を解説して, 応用問題にも対応できるような参考書はなかなか, 見つかりません. さて, 今回の『標準 redhat Linux リファレンス』は, インストール解説本に留まらず, それ以降のシステム管理, ブートプロセス, 各種サーバーの設定等が, ひと通り記されており, RedHat を使用するしないにかかわらず, Linux を使用していくうえで, システム関係の全体の概要の把握, Linux の機能の再確認, 手元において疑問点が発生した場合の解決のためのとっかかりとして, ほぼ, 期待した内容だったと思いました.
RedHat が 6.x にバージョンされた今, 今後増刷するのであれば, 6.x の変更点についての追補も期待したいと思います.