技術評論社 様のご厚意により,
書籍 "UNIX コマンド ポケットリファレンス ビギナー編" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて公募を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
技術評論社 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
この本「UNIX コマンドポケットリファレンスビギナー編」の購入を 職場で申請したのですが, 残念ながら予算が無く買ってもらえなかったので, 今回このコーナーをみつけて応募してみました. わたしは, UNIX についてまったくの初心者同然ですので, この本のターゲットとしてはちょうどいいかとは思いますが, みなさんの期待している内容でなかったらスミマセン.
評価に関しては, 以前仕事でやっていたソフトウェアのマニュアル評価の指標に沿って, 以下の項目で行ってみました.
・基礎知識編
コマンドリファレンスのみに徹することなく,
ビギナーがこの一冊で済むことを目的としているようで,
とてもいいと思います.
特にこの本に載っているようなことは人に聞くには基本的すぎて申し訳ないし,
回答してもらうにも手間を掛けてしまいそうだったので,
本当に助かりました.
・ mini 用語辞典
これは, mini すぎてあまり用をなさない感じでした.
特にカーネルについての欄など,
説明が足りずビギナーにはちょっとわからないと思いました.
・付録
特に付録 A のエディタの操作が便利です.
これは説明もわかりやすくて勉強になりました.
・ツメについて
せっかくツメ (ページの端に付けられた目印) がついているのだから,
目次のところにツメに対する見出しがあると,
それをもとにページを開けて検索性が向上すると思います.
・索引について
やりたいことの名前で引けたり, コマンド名でひけたりするのは普通でした.
ただ「現在実行中のプロセスを表示」なんていう項目が「か」のところにあったのは,
なんだかそんな風にひく人もいるのかなぁ? と思いました.
どんな思い付き方でも引けるような項目は難しいと思いますが,
そういうのを期待しますよね.
・大きさはちょうどいいと思います.
・予算の都合があったりして仕方がないかもしれませんが, 本を見ながらパソコンを操作したりする場合には, 開いたページが閉じてしまったりするので, リング綴じだったりすると開きっぱなしにできていいなぁと思います.
・構文, 説明文, 用例, Point, と構成が同じなのでとてもわかりやすいです.
・役に立つことは保証付きだと思います. リファレンスという形態そのものが役立ちますし, この本はよくまとまっていて特にいいと思います.
・ポケットリファレンスシリーズはブランド化していますので, 以前持っていてそれが役に立っていれば, また違うシリーズを購入すると思います. 装丁も同じなので統一感もあるし, シリーズが充実しているので目的のものは大体あるし, 私はよく利用させていただいています.
--------------
コマンドリファレンスでありながら, ビギナー向けの解説も充実していて, とてもいい本だと思いました. 最後になりましたが, 技術評論社様とブックレビュー企画担当の方に, レビューの機会を与えてくださいましたことを感謝申し上げます. どうもありがとうございました.
Perl の勉強を始めた際に, テスト環境を作るため PC-UNIX に興味を持ち, なんとなく Slackware をインストールしたのが Linux を使い始めたきっかけでした. 現在では Vine Linux を利用していますが, やはり Linux を本格的に使いこなすにはコマンドは避けて通れません. コマンドにもっと親しんで, Linux をもっと楽しみたい, という思いから, 今回のレビューに参加させていただきました.
基礎知識編, コマンド編のふたつに大きく分かれ, 基礎知識編では UNIX の一般的な知識, コマンド編では具体的な操作について書かれています. また巻末付録として, エディタの操作方法や UNIX のディレクトリ構成など, コマンドを使用する上で欠かせない知識がまとめられています.
「UNIX コマンドポケットリファレンスビギナー編」
全ページ 2 色刷りで, 各コマンドも構文->説明文->用例といった順番に平易な文章でまとめてあり, 非常に読みやすくわかりやすい印象を受けました. 特にコラムが充実していて, ハングアップしたように見える場合の対処方法など, 単なるリファレンスとしてだけでなく, 参考書として読むにも十分な内容となっています. また, 付録のデバイスファイル一覧やディレクトリ構成は, いわゆるインストール本には断片的にしか書かれていないことが多いので, 改めて全体像を理解することができました.
「TurboLinux, Vine Linux など Red Hat 系 Linux をはじめ, FreeBSD, Solaris にも対応!」 と帯にも明記されているように, UNIX 一般の基礎知識を学べるのもこの本の魅力のひとつです. Linux をもっと使いこなしたい 「初級以上中級未満」のユーザーにふさわしい内容となっています.
ただし, X Window System の設定に関するコマンド, X アプリケーションのコマンドについては省略してあります. プログラム開発のためのコマンド, ツールに関しても, 「ビギナー編」という性格上, 紹介程度にとどめてありますので, 他の書籍やドキュメントを参照する必要があるかもしれません.
余談ですが, 表紙のデザインや本文中のイラストがとても可愛いのも, いつも手元に置いて気軽に読みたい気持ちにさせてくれました.
私は, 「ビギナー」ではなく, 本書の対象読者には当てはまりません. しかし, 今回あえてレビューアにさせて頂いたのは, いままでに購入したり立ち読みしたりした コマンドリファレンス本に対する不満があったからです. 索きにくく, 読みづらく, わかりにくい. 現在では, man コマンドを使えるようになったのですが, しかし, これから Linux を使おうという人に始めから man を使えというのは 少し酷かとも思っています.
そこで, ある程度経験を積んだ者から本書はどううつるか, レビューしたいと思います.
多くのリファレンス本がアルファベット順なのに対し, 本書はその構成が目的順であることが大きな特徴の一つで, それは成功しているようです. 目次が「○○したい」「××をする」といった記述になっているので, 自分のしたい事をするのに何と言うコマンドを使えばいいか知らない時にも 必要な項目にたどりつきやすいと思います. また, インストール後にすべきことがら順にならべているようなので, 前から順番に読んで, そして練習していけば, ひととおり Linux について必要なことを勉強できるかもしれません.
基本的にコマンド一つに 1 〜数ページをあてているので, リファレンス本にありがちな「見ているだけで疲れる」ということはありません. 使用例の中にも注釈が入っているので, 何の例なのか理解しやすいと思います. 解説文もなるべく平易になるように, 気をくばっているようです.
ただし, 使用方法が Solaris/FreeBSD/Linux で異なる場合の記述が十分でないような気がします. また, オプションについて, 必須なものとそうで ないものの違いなどがわかりにくいかもしれません.
本書に挙げられたコマンドの数は 128 個であって, 標準的にも 1000 個を越えるコマンドがインストールされる最近の UNIX システムとしては少ないと言えますが, 最低限必要なコマンドやよく使うコマンドはおさえてあります. また, 解説内容も, 必須なオプションのみに絞ってあって, 山盛りの情報量に潰されがちなビギナー向けとしては良いのではないでしょうか.
付加的な情報として, 前半の「基礎知識編」や付録, コラムがありますが, 量には十分とは言えないものの簡潔に書かれていて, 理解しやすいと思います.
ただ, より詳しい情報を得る為には man の読みこなし方は必須だと思うのですが, 残念ながら本書の解説は十分とはいえません. ぜひ一人で情報を得られるようになるだけの man の読みこなしの解説をいれて欲しいと思います.
また, コマンドの“使いこなし方”については 本書の範囲をこえています. リダイレクション, パイプ, foreach などを駆使した快適な コマンドライン生活の知識は, 本書以外から別途仕入れると 良いでしょう.
たまたま身近に PC を購入し Linux を使い始めた人がいたので, 本書をしばらく渡して感想を聞いてみました. いままでの参考書で呪文として使っていたコマンドの意味がわかってよかった, 読みやすかったと好評でした. また, 私にとって意外だったのですが, 本書前半の「基礎編」によって Linux の仕組みが理解できた, とのことでした. 私は, 内容的に中途半端なのでは, と思っていたのですが, このようなものから段階的に知識を仕入れていく必要があるんだな, と認識をあらたにしました.
まとめると, 本書はインストールと基本的セットアップを行なううえで 最低限必要なことがらをうまくまとめたもので, UNIX 未経験でこれから Linux をインストールしようとしている, もしくはインストールしたばかりという人にとって, 頼りになる一冊になると思います.
情報量の点でリファレンス本の決めの一冊とはいえず, ある程度経験を積んだ人にとっては得るものが多くはないと思いますが, 読者対象を絞ったことで成功した本だ, と感じました.
Solaris をまともに使い始めて 3 年半, Linux を使い始めて 3 年. 経験はあるはずなんですけれど, たまに, コマンドの方言で困る時もあります.
この間も, Solaris7 の共有デスクトップ環境から, 何にも操作できなくなって, リモートから影響のあるプロセスを殺してやろうと, Linux のつもりで ps -aux と打ち込んだらエラーが出てしまい, ただでさえ慌てているのに, さらに慌てたことがありました.
今回の「UNIX コマンドポケットリファレンスビギナー編」は, Linux だけではなく, Solaris や FreeBSD にも対応しているというので, いろんな UNIX を触る機会のある私には, ひょっとして使える本かもしれないと思い, レビューに参加させてもらいました.
紙面は, 2 色刷りで, むやみやたらに強調部分がなく, 落ち着いた雰囲気です. それでいて, 何が言いたいか一目でわかるようになっています.
内容は, 「これだけは押さえとけば大丈夫」ということが, 読みやすく書かれています. たまに, 分かり難そうな用語が出てきた時に登場する, 「mini 用語解説」や「Point」が適度にまとめてあっていいです.
構成は 2 部構成で, 第 1 部が基礎知識編, 第 2 部がコマンド編となっています.
基礎知識編は, 「マルチタスクとはどういう機能か?」や, 「UNIX のファイル構造は?」などといった, ほんとの基礎知識が書かれています.
さらに, コマンド編では,
のように, 機能別にコマンドを分けて説明しています. (括弧内数はその節で扱っているコマンド数)
よって, 最初のページから読んでいけば, UNIX の知識の下地が, ある程度出来ると思います.
有り難かったのは, オプションが, UNIX によって違うコマンドの解説が, ちゃんとその UNIX 名で分けてあることです.
というのは, いわゆる本当の UNIX 解説本を読んでいると, 「これは SystemV 互換の話」「これは BSD 系の話」というのが出てきて, 「そうしたら, 私の使っている UNIX はどっちを読めばいいんだ?」 ということがあったんです.
その点, この本では, 例えば ps のように Linux と Solaris とでオプションが違う場合, ちゃんと Linux と Solaris と書いてくれているのは有り難かったです.
次に, コマンドオプションを必要最低限しか挙げていないことです. 逆にこのことが, そのコマンドにとって, 必要なのはどれかということを分かりやすくしてくれています. もし他のオプションを探したければ, UNIX には通常, man コマンドという便利なものがあります. 英語で書かれていても, そんなに難しいものではないし, FreeBSD や Linux には, 最近は日本語訳のマニュアルがありますから, そちらで補完すればいいと思います.
不満は, 日本語入力についてちゃんと触れていないことです. 日本語変換の節で, 扱っているコマンドが, kinput2 と nkf しかないです. しかも, nkf は, 文字コードフィルタなので, 実質, 日本語入力に関連あるのが, kinput2 のみなのは, ちょっと問題があると思います.
今だと, X 立ち上げて, kterm や rxvt を立ち上げて, そこからコマンド入力するのが一般的だと思います. でも, コンソールやテキスト端末から, 日本語入力しなければならない場合もあります. せっかく kinput2 の説明で Wnn サーバや Canna サーバに触れたのですから, せめて最低限, これらのフロントエンドプロセッサである, uum や canuum について触れておくべきだったと思います.
本書は, 必要なことはまとまっているので, Linux に限らず, これから UNIX を始める方には, いい参考資料の一つだと思います. ただ, ほんとに必要最低限のことしか書いてないですから, 例えば, この本でわざと触れていない X 関連や, 日本語関連など, より詳しい事を知りたい場合には, 他の資料を参照する必要があります.
ま, 鞄に入れて邪魔にならないサイズですので, 外出先で, 適当な UNIX 関係の資料がない時に, 役に立つと思います.
一読して, 「これは使いやすそうだ. いい本だな」という印象を受けた.
まず, 巻頭の目次と巻末の索引が引きやすい. 「ファイルをコピーしたい」「ネットワークの状態を知りたい」 という場合には目次, 「このコマンドにはどんなオプションがあったかな」というときには索引, といった形で使い分けできる. また, 目次の分類も, UNIX の起動・シャットダウンから シェルスクリプトを書くまで, といったように, 使う順序に沿って整理されているのも良かった. 私のように, 他の UNIX をほとんど知らず, 興味から出発して Linux を使い始めた人でも, 知りたい情報にすぐにたどり着けると思う.
次に, ディストリビューションの違いについて説明されているのがありがたい. この本では Solaris2.6, FreeBSD 2.2.8R, TurboLinux4.0, RedHat5.2J, VineLinux 1.1CR について触れており, コマンドがそのディストリビューション間で異なる場合も明記してある. また, ログインなどの画面表示の違いも, 実例を示しながら説明しているので読者が戸惑うことが少ないのではないだろうか. 各ページの脚注には関連ページが書いてあるので, 分からない言葉をすぐに参照できる形式になっている. さらに, vi や mule などのエディタの使い方も載っていて, ファイルの編集をしたいときも, この一冊で間に合いそうだ.
それぞれのコマンド説明も 1 ページか見開きに収められ, 一覧しやすくなっている. 私がすでに持っている姉妹本 「UNIX コマンドポケットリファレンス」 (技術評論社) と比べても, かなり初心者に親切な構成になっていると思う. 姉妹本と比較しながら, 内容を紹介したい.
123 コマンド
124 コマンド
大きな項目だけを列挙してみた. 2 冊を比べると, 姉妹本の方がシェルの操作に比重を置いているのに対し, ビギナー編がコマンドの説明に徹して 8 割強のページを割いていることが分かる. コマンドはよく使うものだけに絞り込んであるが, 数をみると, 上級編の姉妹本と遜色なく, 充実している.
関連ページの索引が文中に入っているところと脚注にあるところが混在している, といった細かい不統一はあるものの, 全体に気配りが行き届いたいい本だといえそうだ. 今後, 同僚や友人にぜひ紹介したいと思っている.
最後に, 今回の機会を与えてくださった 「日本の Linux 情報」ブックレビュー企画担当と 技術評論社の方々に感謝したいと思います. また, 期限を大幅に遅れてしまいご迷惑をかけたブックレビュー担当者や 他のレビューアの皆様にもお詫びいたします.