翔泳社 様のご厚意により,
書籍 "Wnn6 徹底入門" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて公募を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
書籍の著者であるよしだともこさんが, 本ページの各レビュー記事をうけて 記述内容へのサポートページ を用意してくださいました. 是非あわせてご覧ください.
翔泳社 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
本書は, オムロンソフトウエア株式会社から発売されている 「Wnn6 for Linux/BSD Ver2.0」, 「dp/NOTE for Linux/BSD Ver2.0」, 「eWnn for Linux/BSD」という 3 種類の PC-UNIX 用ソフトの公式ガイドブックです. 本書には, それぞれのソフトの試用版が CD-ROM として添付されており, 実際に本書の内容を確かめることができるようになっています. また, 別途オムロンソフトからライセンスを購入すれば, 再インストールすることなくそのままの環境を継続して使用できるようになっています.
なお試用版の有効期限はインストール後 xx 日ではなく 1999 年 5 月 31 日だそうです.
では, 本書の内容に沿って内容を追ってみます.
Wnn6 と dp/NOTE の概要と Ver2 から採用されたライセンスサーバ, Wnn6, dp/NOTE, eWnn のインストール方法について書かれています. 内容は必要なことがまとまっており, 手順通りに実行すれば問題なくインストールができると思います. また dp/NOTE のインストールには ghostscript を使用した場合の印刷設定について説明がありましたが, 入門ガイドというわりに 「自分に適したデバイスを選択して設定して下さい」みたいになっており, 少し不親切です. できれば代表的なプリンタについては, 対応するデバイス一覧を含めてもらえたらと思います.
Wnn6 を使って各種アプリケーションで日本語を入力する方法の説明が書かれています. ここでは Mule からの場合と X 上でのクライアント xwnmo での場合, さらに xwnmo では kterm, Netscape, tgif(これはかなり嬉しいです), Applixware で使用する場合についての説明があり, 通常使う上では必要な内容が網羅されています.
特に mule からの使用方法については 1 章分まるまるあてており, 基本的な使い方 (入力, 変換, 辞書登録) が簡潔にまとめられております.
xwnmo については入力方法, カスタマイズ方法, アプリケーションからの使用方法が書いてあり, tgif にいたってはソースコードの修正箇所まで記載されています. (もっともこの修正箇所の説明はわかりにくく, もう少し工夫が欲しい所です. またもとになったソースのバージョン等も書いていないため, 実際にはどのように作業をしていいのか戸惑いました.)
Mule2.3 上での eWnn の使い方について説明が書かれています. 現在は Mule だけでなく Emacs20.3 用のパッチがあり, Emacs からも使用できるようですが 出版時期との関係で本書にはいっさい記述がありません. このあたりは第 2 版以降で改善されることを望みます.
内容的には実際に英文を入力する手順に沿って具体的に説明がされており, 通常の使い方をする上で必要なことが簡潔にまとめられており, この 20 ページを見るだけで一通り使うことができるようになっています. また後半には, Mule 上からのカスタマイズ方法について説明がありますが, これをデフォルトにするための ~/.emacs ファイルの設定方法について書かれていないため, Mule になれていない方にはかなり不親切な気がします.
前半は dp/NOTE の基本的な使い方の説明があり, 後半はファイル形式の変換方法について, 最後に電子メールの使い方の説明が書かれています.
eWnn では実際に英文を入力する手順に沿って説明がされていましたが, dp/NOTE の説明はそのような書き方ではなく, 機能毎の説明それも単に文書を入力するのではなく, Tips に相当する内容に重点が置かれており, ソフトに付属する取扱説明書にはない使い方が紹介されています.
(もしかするとオンラインマニュアルには書いてあるのかもしれませんが, ほとんどオンラインマニュアルは見なかったので詳しいことはわかりません. ただたとえ同じような内容が書かれていたとしても紙に印刷されていることが 非常に自分にとっては重要だと思います)
第 15 章では電子メールの使い方について十分な説明が書かれていますが, オンラインマニュアル参照となっている項目があったり, 一部説明が不足している内容があったりします.
「はじめに」で著者のよしださん自身も書かれているとおり, 他の公式ガイドブックにはみられない内容で, すごく新鮮味を感じると同時に 普段何気なく使っていたソフトを支える技術の内容が簡単にまとめられており, 非常に勉強になりました.
全体的にいえることですが, 著者のよしだともこさんの解説は非常にわかりやすく親切・丁寧に書かれており, よくまとまっていると思います.
特に実行例や画面イメージが非常に多く使われており, はじめて使う人でも十分理解できる内容に仕上っていると感じました. ただ約 250 ページに 3 種類のソフトの インストールから使い方まで説明されているため, 詳細な説明 (例えばカスタマイズ方法やデフォルト設定内容一覧など) という部分が 少し少なく, 「徹底活用」するにはものたりないです (本書は「徹底入門」であるので, この部分は今後 2 冊目以降に期待したいと思います).
なお本書は公式ガイドブックという位置づけのためか, それともソフト側に制限がないのかわかりませんが, 「xxx のような設定はできません.」みたいな禁止事項的な内容が書かれておらず, 初心者が間違って設定してしまっても理由がわからないのではないかと思いました.
最後に本書の章レベルまでの目次一覧を添付しますが, 実際にはさらに項番が細かく分かれており, 全部で 12 ページもある目次をみるだけで どこにどのようなことが書かれているのかがわかり, リファレンス的に使用することができます. さらに各項目とも基本的には独立しており, 必要と思われる項目を拾い読みしても十分理解できるようになっています.
第 1 部 Wnn6 と dp/NOTE の概要とインストール 第 1 章 Wnn6 と dp/NOTE の概要 第 2 章 インストールの概要とライセンスサーバー 第 3 章 Wnn6 のインストール 第 4 章 eWnn のインストール 第 5 章 dp/NOTE のインストール 第 2 部 Wnn6 徹底入門 第 6 章 Wnn6 の基本 第 7 章 Mule から Wnn6 を使う 第 8 章 xwnmo 徹底入門 第 9 章 Wnn6 の便利な機能と使い方 第 3 部 eWnn 徹底入門 第 10 章 eWnn 徹底入門 第 11 章 eWnn の環境設定 第 4 部 dp/NOTE 徹底入門 第 12 章 ワープロとしての dp/NOTE 第 13 章 dp/NOTE の機能と便利な使い方 第 14 章 さまざまなファイル形式と変換:RTF,HTML,PS 第 15 章 dp/NOTE で電子メールの送受信 第 5 部 Wnn6 と dp/NOTE を支える技術 第 16 章 Wnn6 の変換アルゴリズム 第 17 章 Wnn6 のクライアント/サーバ方式 第 18 章 dp/NOTE の画面と GTK+ライブラリ 第 19 章 dp/NOTE とフォント 付録 付録 A Wnn6 参照ドキュメント 付録 B ローマ字表, 記号表, 禁則文字 付録 C Wnn6 で使われる品詞 付録 D コマンド一覧 付録 E Wnn6 のライブラリの公開について 索引
この本のタイトルには, "PC-UNIX 日本語環境" とありますが, 実際には本文中にも書かれている通り, とくに対象を "PC-UNIX" に絞っているわけではありません. ましてや, Linux のみに限定されてはいません. そのため, 汎用的な部分はともかく, OS 依存があるような部分については 自分に関連する部分を拾い読みしていかなければなりません. かなり細かく場合分けされているのは, 丁寧で結構ですが, 逆にちょっとうっとおしい感じがしないでもないです. また, 対象とする読者も初心者からそれなりの方までという 広い層としているためでしょうが, 記述はかなり丁寧ですし, かなりたくさんの図が使われています. 個人的には, それがかえって読みにくいように感じられました.
この本は 5 部構成になっています. 第 1 部はインストールについて, 第 2 部は Wnn6, 第 3 部は eWnn, 第 4 部は dp/NOTE, 第 5 部は技術的なことについて記述されています. 第 1 部については初心者がちゃんとインストールできるように, かなり丁寧に説明されているようです. ただし, 個人的には TurboLinuxPro3 で既にインストールしてあったので, 斜め読みしただけで実際にこれで初心者でも問題ないのかどうかは分かりません. ただ, このパートだけで 80 ページほどあるので, これをきちんとフォローするような方なら多分問題ないのでしょう. 第 2 部と第 4 部については, チュートリアルといった感じで, 「あぁこんなこともできるんだ」ということが分かるようになっていますが, 逆にやりたいことがあるときにどうしたらよいかという 逆引きはしにくいように感じられました. 本文中にある表などを巻末に付録として改めてまとめてあると, より使いやすくなるのではないかと思います. 第 3 部の eWnn に関しては, まだインストールもしていないので, これから読んでみたいと思っています. 第 5 部については, Wnn や dp/NOTE のバックグラウンドを知る取っ掛かりとしては, 大変よい読み物になっていると感じました. ただし, 突っ込んだ話はまったくありません.
この本をお勧めする読者層は, 初心者から中級者で, Wnn6 や dp/NOTE を使いこなせるようになりたい方です. 既に使いこなしている方には不要の本です. その意味で, タイトルにある「徹底入門」の語句は この本を的確に表現していると思います.
この本には読みやすいというより使いやすい工夫がされています. CHAPTER が細かく区切ってあり, 内容が一目でわかります. とても簡潔に書かれていてすぐに操作手順がわかります.
しかも, 開発の目的, 経過なども, 読みやすくまとまっています. それが, 各ソフトの特徴 (使用手順, 操作方法) に生きているでしょうから, 良いことだと思います. その配置も, (類書によくあるように) 操作手順と混ぜて書かれているのではなく, 独立した章に書かれていて, 操作手順を知りたいときに邪魔にならず, 使いやすい構成になっています.
ですから, 読みながら操作手順のところだけアンダーラインを引くということも ありません. 理論とこれまでの経過, 実際の手順が同じセクションに書かれている本ではないのです. この本に読者が求めていることが生かされていると言って良いでしょう.
そして内容は, はじめて触る人にも, また, 結構慣れたものの機能を使いこなしていない人にも便利に出来ています. 例えば dp/NOTE の使い方は, 添付のマニュアルは詳しすぎて, とりあえず慣れることには, 不向きのようです. そういう場合にこの本が役立ちます. さらに, 一応一通り使えるようになった段階でも, Wnn6 と Emacs と dp/NOTE の相互の連結を使いやすく構築していく方法などが 簡潔に説明されていて, 使い方のヒントがわいてきます.
私にとっては, tgif や Netscape の日本語入力に xwnmo (Wnn6 に搭載) を使う方法が役立ちそうです. なぜなら, 日本語入力 ON/OFF 切り替えの段階から Wnn6/mule と共通のキー操作 (C-\) で使えるからです. あちこちからの寄せ集めの環境だとキー操作がばらばらになりがちで, 慣れていない人には煩雑になりますし, カスタマイズができると言っても初心者には必ずしもそうではありません. 馴染んだキー操作で共通化できると, 楽になると思います. そういった意味で, ユーザに配慮した嬉しい情報だと思いました.
惜しいことに, もう少し INDEX が充実していたらよかったのではないかとも思いました. 例えば, 前述の tgif に xwnmo を使うのも, 「tgif に日本語を入力したい」と思っている人が, "tgif" と引くこともあると思います. やりたいことを表現する言葉は, 人によって違うので難しい面もあるでしょうが, INDEX の固有名詞を充実させることなら出来たのではないかなと思いました.
流れ図も分かりやすく, 関数も多すぎず, 記憶力に自信のない私にもこれなら大丈夫, そんな気にさせてくれました.
巷では Linux のインストールや, ディストリビューションと その最新情報についての書籍は多いようです. 聞くところでは, Linux を使う人のほとんどが インストールと設定ばかりやっているという統計まであるのだとか. でも私はそのようなことはしたくありません. 自分の仕事に役立つ頼れる道具としてコンピュータを使いたいし, その目的に Windows では不安だから Linux を選んだのです. そんな私にとって, この本のように実用に重きをおいた出版物は頼りになります. 今後も, この Wnn6 徹底本や, UNIX 上のツール (例えば gnuplot など) に関する解説書などを読み, 自分にあった環境を充実させていきたいと, 考えます.
本書には Wnn6, eWnn(*1), dp/NOTE(*2) を PC-UNIX 上で利用するためのインストールの方法と使用時の操作説明が書かれています. この 3 つのソフトは本書の 3 本の柱になっており 基本的には独立した構成になっていますので, 3 つのうちどれか 1 つだけについて知りたい場合でも問題なく読むことができます. 対象とする OS は Linux と FreeBSD ですが, Wnn6 と eWnn の使用法の説明は一般的なものなので, UNIX 上でこれらのソフトを利用している方も参照できます.
(*1) 英和/和英辞書を用いた Mule 上での英語読み書き支援ソフト.
(*2) UNIX 上の日本語ワープロ.
Wnn6 は変換効率が高いという評判なのですが, インストール時に設定する項目が多く, 面倒に思われる方も多いと思います. Wnn6 等をこれからインストールして使っていく上でまとまった説明がほしい人, また Wnn6 等で使える機能をいろいろと理解して使いこなしたい人に 本書はおすすめできると思います. また後のライセンス購入のところで書きますが, Wnn6 等のソフトを購入しようと考えている方にもおすすめです.
全体が 5 部と付録に分れています. 第 1 部がインストールの説明, 第 2 部〜第 4 部がそれぞれ 3 つのソフトの使用法の説明, 第 5 部が背景となる技術の説明です. 付録にはコマンド等が一覧できるようにまとめられています.
Mule 以外の X 上のアプリケーションに Wnn6 を用いて日本語を入力する方法として, 本書では xwnmo (Wnn6 バージョン 2 に含まれます) を用いた方法を説明しています. xwnmo の使用方法についても詳しく説明されています. 一方, kinput2 を用いる方法の説明は割愛されています. アプリケーションの具体例として kterm ・ Netscape ・ tgif ・ Applixware を取りあげ, xwnmo を用いて日本語入力をする際の設定がまとめられています.
付属の CD-ROM を用いれば Wnn6, eWnn, dp/NOTE が試用できますが, これはシェアウェアの形態に近いものです. これらのソフトはライセンスパスワードがなければ動作させることができず, 付属 CD-ROM には期間限定のライセンスのパスワードが収められています.
ここで特筆すべきなのは, 正式ライセンスを購入すればインストールしたソフトはそのまま使えることです. 普通の体験版と異なり, 体験版をアンインストールする作業は必要ありません. また, この本を購入して後は正式ライセンスを購入するだけという人は, ソフトの正式ライセンスを各 4,000 円で購入でき, ちょっとお得です. マニュアル等の付属した製品パッケージは各 6,000 円で購入できるとのことです. 詳しくは CD-ROM のライセンス説明ファイルに書かれています.
著者は Wnn についてのドキュメントを数多く書かれており, 逆に言えば Wnn について書かれた本となると 著者のもの以外に選択肢がないというのも事実です. しかし一般にコンピュータ関係の本として見て, この本はよく書かれていると思います. 書かれている内容を必要としているならば, 読んでみて不満を持つことはないと思います.
この文書を書くにあたって, 本をていねいに読んだため「ブックレビューをするための読み方」になってしまい, 自分でも普通の読み方と違っているなと感じました. 読み方の違いは評価の違いにどう影響するのでしょうか?
全般的に, 「Linux/FreeBSD 日本語環境の構築と活用」とあわせて読むと 非常にいい本だなぁ, という印象です. そのせいか, 細かいところに対する要望が多くなってしまいました.
また, この本以外の所から得た情報や知識も使ってしまっているので, この本のみのブックレビューとしては少しずれてしまう面もあるかもしれません.
普通の本や雑誌の付録 CD-ROM では, 厚紙に CD-ROM が挟まれていて, そのままでは読むのに苦労するし, 保存にも気を使わなければなりません.
ところが, この本では, CD-ROM が紙製のトレイに載っていて, そのトレイがビニールの袋に納められていました. これなら, 読むときはトレイをはずしておけば読みやすいし, 保管時にもなくす心配がありません.
ただ, 開け方が分からなくてちょっと悩みました. 見開きの向かい側にでも, 開け方の説明が入っていれば親切だったと思います.
インストールに関する記述が, 本の前半部分にまとめられていて, なかなかいい構成だな, と感じました. p.32 に dp/NOTE の インストーラについての注意があるので, 私は
という順序でインストールしました. xwnmo については, glibc2 対応版が新たにリリースされたので, http://www.omronsoft.co.jp/SP/pcunix/wnn/wnn201.html を見ながらアップグレードしました.
ただ, 「この本に収録されている xwnmo では glibc2 に対応していない」 ということが書いてなかったので, 知らなかった人は戸惑ったかもしれません.
「これから何をすればいいのか」についての手順が, 基本的にあらかじめ示されているのはうれしい所ですね. 『意味の良くわからない作業』をしなくて済みますから.
ただ, この姿勢が貫かれていないところがあり, 残念です. 例えば, 124 ページでは, kterm + xwnmo で快適に日本語入力を行える環境を整えるために, 設定ファイルを編集する方法について述べています. しかし, ここでは, 編集すべきファイルと, 記述すべき内容が列挙されているだけで,
については, 何も解説がありませんでした. とくに, .inputrc については, 索引にも載っておらず, また設定内容が /mnt/cdrom/man/wnn6/man01.html とも異なり, 混乱しました. さらに, 変更した設定を有効にするには, どのようなコマンドが必要なのかも分からず, 結局再起動して試してみました. ところが, 本文の記述に従っても, /usr/local/OMRONWnn6/doc/man01.html の記述に従っても kterm & では core dump が発生してしまいました.
結局私は Window Manager で, kterm -xim で起動するように設定し, 問題なく動いてはいますが, この点について解説が欲しかったと思います.
インストールの話に戻りますと….
5 月 31 日までの使用ライセンスが付いているのは結構嬉しいですね.
普通の試用版では 10 分しか使えないので, ためらってしまう所なのですが,
このような制限であれば安心して試用できます.
あと, 多分 Vine に限った話だと思いますが, 単純に
# Stating xwnmo if [ -x /usr/local/bin/Wnn6/xwnmo ] ; then /usr/local/bin/Wnn6/xwnmo & export XMODIFIERS="@im=_XWNMO" fi
という起動スクリプトを ~/.xinitrc に記述しただけでは xwnmo の自動起動が出来ませんでした.
結局, /usr/X11R6/bin/startx を参考にして kinput2 の起動個所を探し, cp /etc/X11/xinit/Xclients ~/.Xclients として, ~/.Xclients に記述しました.
Wnn6 + mule(egg) に関して言えば, Wnn4 + mule(egg) をずっと使ってきていたので, とくに戸惑いはありませんでした. 逆を言えば, この点ではあまり得るところはなかったのかもしれません. 機能キーの割り付け一覧表があるので, あまり使い慣れていない人には便利だと思います.
一つだけ不満に思ったことがあります. xwnmo で ; を使えば, "computer" と入力して「コンピュータ (ー)」に変換できる という説明があったのですが, mule 上で同じ機能を実現する方法が書かれていませんでした.
その後 egg-mix を試しに使ってみて, C-w を押してみたところ, 実現できました. 確かに, egg-mix については, 関連ページから行けますし, インストール・設定も容易です. ただ, この点についても, ひとこと書かれていれば, 読む側としては便利だろうと思います.
eWnn については, あまり使っていないのですが, 英文ドキュメントを読むときに, いちいち英和辞典を引く手間が省けて, なかなかよさげでした.
dp/NOTE については…. ごめんなさい. 殆んど使っていないので, 何とも言えません. HTML や LaTeX ファイルは mule で編集しますし, e-mail についても, Subject のスレッド表示が必須だと感じているので, 使う気になれませんでした.
ただ, 普通にメールの送受信を可能にするには, 本にある記述だけで十分ですし, インストールされる文書へのリンクもきちんとついており, 試しに導入してみるには十分な説明があったと思います.
dp/NOTE については, 一つ気になることがありました. 起動する度に,
TrueType フォント /usr/local/lib/dp/font/truetype/hgrmlpsj.ttf の読み込みに失敗しました. TrueType フォント /usr/local/lib/dp/font/truetype/hgrgbpsj.ttf の読み込みに失敗しました. TrueType フォントの初期化に失敗しました. 外字登録用フォント取り出しと, 拡大縮小文字の表示ができません.
というエラーが常に出てきます. 試用版なので, 商用フォントが同梱されないのは仕方ないと思いますが, この点についても一言解説が欲しかったと思います.
巻末資料が豊富で, 特に記号入力に関する部分とコマンドリファレンスは, 役に立ちそうですね.
ただ, 索引が貧弱だと感じました. ~/.Xdefaults, ~/.inputrc, ~/.dprc などの設定ファイルの項目がないのは不便だと思います. 読者の側で, 設定ファイルの修正時に参照ページをコメントに入れたり, 付箋紙や余白を活用すればいいのですが, もっと索引を充実させて欲しかったと思います.
Wnn をこれまで使い続けてきた人で, Wnn6 を買おうかどうか迷っている人は, とりあえずこの本を買ってしまうといいでしょう. 色々オマケがつきますし, パッケージを買うよりもこの本とライセンスを購入した方が安いですから.
「Linux を使っているときに英語の辞書を引くのは億劫だな」という人や, 「(La)TeX はよく分からないけど Linux で文書を作成したい」 という人などにも悪くないと思います.