エーアイムック214

挑戦! Linux [基本操作&日本語環境構築編] レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

エーアイ出版株式会社様の ご厚意により, 書籍 "エーアイムック214 挑戦! Linux [基本操作&日本語環境構築編]" を, JLUG および JLUG Webmasters あて ご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML において公募を行ない, これにご応募頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します.

エーアイ出版株式会社様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 杉山基広 (motohiro.sugiyama@nifty.ne.jp) さん

Linux の使用歴
3 年半
  • Slackware2.1 からはじめて現在 3.5 を使っています.
    (他のディストリビューションは RedHat, Plamo のインストールまで)
  • Debian の使用歴は残念ながらありません.
UNIX の使用歴
ほんのすこし(会社の CAD で HP-UX を使ったことがある程度)
Linux Box の主な用途
メール, FAX を使って家族, 友人と連絡をとる
趣味でソフトウェア作成
TeX, Tgif による文書作成
video4linux の活用
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux 95%, Windows95 5%

本書「挑戦! Linux [基本操作&日本語環境構築編]」の構成は UNIX コマンドの 使い方, 日本語環境の構築, アプリケーションの活用, X Window の解説, インターネット接続と, かなり広い範囲をあつかっており, それなりに Linux と周辺アプリケーションの知識が要求されているようです.

Windows を使用している方がいきなり「挑戦!」するのではなく, Debian 以外のディストリビューションも含めてある程度 Linux(PC-UNIX) を使った経験ありの方に向いています. 「挑戦! Linux [Debian インストール編]」の続編としてはもちろん, 例えば Linux 再入門の方や FreeBSD などを多少かじった程度の方が Linux に鞍替えするにはちょうど良いのではないでしょうか.

はじめの章の「 Linux はじめの一歩」では昔の MS-DOS の入門書にあるような コマンドの解説があり, はじめの一歩にふさわしく丁寧に説明されています. コラムもポイントを押さえた内容でわかりやすい感じです.

次の章の「日本語環境で Linux!」は少し説明不足ではないだろうか?と感じます. 最初の日本語環境構築の仕組みに関しては最新の状況を混じえながら 丁寧に説明されているのですが, 実際に日本語環境を整える段階で 細かい設定内容の説明が多少省かれているようです.

例えば付録の CD-ROM(Debian 2.0+hamm-jp) を「付録 CD-ROM の使い方」 に沿って, 少なくとも"標準システム"でインストールした場合は Emacs での日本語表示と入力はできない状態です. .emacs と .Xdefaults (または .Xresources など)へ記述するフォントやコーディングシステムなどの 設定は既に emacs/mule を使っている方でないとつまずく原因になってしまうのでは.

「商用パッケージを利用しよう」という章で Wnn6 for Linux/BSD, dp/NOTE Ver.2, VJE-Delta などの解説と Applixware の紹介がされています. 写真を使って使い勝手が解説されているおり, また特徴もうまくまとめられているので, 私のように商用パッケージを ほとんど使ったことのないものにも, よくわかる解説です.

また, 本書の中には記載されていませんが X-TT の X サーバー(少し古いですが) がインストールできる CD-ROM が付録にあるので, コラムなどで説明して欲しかったような気がします. netscape で日本語のページを読む用途に限ったとしても X-TT などのTrueType フォントが使える環境は必須でしょう.

次の「アプリケーション徹底活用」という章ではよく使われている アプリケーションが写真を使ってひと通り解説されており, また付属 CD-ROM に収録されていないツールに関しては入手先が はっきり記述されていて, これからツールを試してみようとしている方には, かなり参考になるのではないでしょうか.

ただしカーネルのコンパイルについては Linux をインストールした方が 最初にやるちょっと難しい作業になるかも知れませんので, 本書の基本操作を解説するという意味ではもう少し詳しく説明した方が 良いのではないでしょうか.
(Xemacs のコンパイルの部分は著者の方も「本来は Configure に付ける オプションを詳細に検討する必要があるが, ダメならやり直せばよいことなので」と 書いているように, ちょっと走り過ぎの感もあります)

次の「 X Window 自由自在」の章は X サーバーの設定以外の X のことが ひと通り解説されています.

本書全体をひと言で言うと, 「あつかっている内容がかなり広い範囲であるにも かかわらずある程度の深さの内容までカバーできている」といった感じです.

Linux の解説本で「これは使える」と個人的に感じるのは, 適当に読んで 本棚に入れておいても, いざというとき引っ張りだして読むと 「あーそうだった」と思える本です. この点, 本書の内容は 本棚に置いておく価値ありです. 続編はネットワーク構築編でしょうか. ぜひお願いします.

Reviewed by 水野雅彦 (mizuno@vdlab.tytlabs.co.jp) さん

Linux の使用歴
3 年半
UNIX の使用歴
12年
Linux Box の主な用途
計算・サーバー
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
1台目 - 他になし
2台目 - Windows98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
1台目 - 10:0
2台目 - 1:9

今回このブックレビューに応募したのは, そもそも Debian のインストールが良く分からないから, そのために手ごろな本がないかということで応募しました. いままでほとんど Slackware あるいは Plamo Linux にて インストールを行っていたからです. また, 半年ぐらい前に一度だけ Debian をインストールしたのですが, どうしても dselect でインストールをし始めたら良く分からなくなってしまってあきらめてしまったので, 今回はそこから始めました.

さて, 到着した本を徐に開けて, 目次も見ずに「インストールは…」と本の初めの方を探したのですが, 載っていない!! 仕方がないので, 目次を見ると, 後ろの方に少しだけ載っていました. 以前一度でもインストールを行った人間にとっては多分必要ないのかも知れませんが, この本が Debian 初挑戦(に近い)私にとっては非常にとまどいを感じました.

さて, インストールを済ませてもう一度この本を眺めてみると, 結構色々書いてあるなと思ってしまいました. 改めて目次を載せてみると,

IntroductionLinux の世界を楽しもう
基礎知識とコマンド操作Linux 初めの一歩
特集1 日本語環境を構築する日本語環境で Linux!
Linux アプリの成り立ちから理解するアプリケーション徹底活用
特集2 好みのユーザーインターフェイスにカスタマイズX Window 自由自在
Linux でインターネット接続!
付録CD-ROMの使い方

となっています. 中身についてふれると,
『Linuxの世界を楽しもう』 では, Linux がどういうものか, 何が出来るかなどを紹介しています.
『Linux初めの一歩』では, ディレクトリ構造についてと, GUI主体の OS(Windows**)の人が戸惑ってしまうCUIベースのコマンドを解説しています. 後者については, DOSとの比較をしているコマンドもいくつかあり, 過去に DOS を触ったことのある人ならある程度分かり易く書かれています. 私のように古くからの UNIX 使いの人間からすると, 今更 UNIX のコマンドなんてと思ってしまったのですが, 最近 Linux を使い始めた方には重要なことかも知れません.
『日本語環境でLinux!』は, Linuxの日本語環境の仕組み(glib6ベース), Debian 日本語環境のインストールから始まって, それの使い方と市販の日本語ツール(Wnn6とかVJEなど)についての使い勝手などを 記述してあります (但し, どれがいいとか悪いとかはふれてありませんのであしからず).
『アプリケーション徹底活用』では, アプリケーションの入手方法からインストール(コンパイル)方法まで 一連の作業として書かれているため, 初心者でも分かり易くなっています. ただ, Debian の決まりである /usr/local 以下に入れるものは (パッケージ以外で)自分でインストールしたものであると言うことを はっきり示してないような気がします. ちなみに, 例題として入れたのは Netscape でしたが.
『X Window 自由自在』に関しては, X Window System と Windows の比較, X Window System のカスタマイズなど結構色々な内容が書かれていて, 薄目の本にしてはボリュームがあると思いました.
『Linuxでインターネット接続!』はPPxPに関する内容で, 非常に分かり易く書かれていました.

このボリュームが書かれていて本自体は200ページちょっと, まあ読み応えがあるしちゃんと使えれば結構色々出来るなと思いました.

欲を言うなら, 私がインストールしたマシン(NeoMagic128ZX使用のノートパソコン)では X Window System は立ち上がらないので, それに対応した X Server ソフトを添付しておき, そのソフトを入れる方法などを示して欲しかったです (実際に私はServer部分をXBFから持ってきましたが).

最初2600円の割にちょっと内容薄くないかと思ったのですが, 意外や意外, 結構ボリュームがあったのには驚かされました. ただ, 最近出てきた Debian 2.0 の参考書の中では インストール部分が意外と端折ってあるので, 初めて入れる人はつらいかも知れません. しかし, 全体としては勘所をつかんだ内容であるので, 私にとっては使いやすい本の一つと感じました.

Reviewed by 黒川 清 (kurokawa@sums.shiga-med.ac.jp) さん

Linux の使用歴
3年ほど
UNIX の使用歴
5年ほど
(UNIX magazine の購読はついに6年目になったかな)
Linux Box の主な用途
DBのお勉強
ほとんど趣味
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
WinNT Workstation ver. 4.0
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
仕事ではほとんどWinNT, Mac

Microsoftの極秘社内文書がネットワークに漏れでて以来, Linuxブームで, とうとう日経の1面にまで記事が載るようになってしまった. もともと, 日本ではLinux:FreeBSD=6:4ぐらいだという話で, 米国の9:1にくらべ劣勢です. 日本におけるLinuxのシェア拡大の好機なのかもしれません. 多くの商用DBがLinuxへの対応を決定しましたし. こんな諸般の状況下において, Linux関係の書籍や雑誌が巷にあふれている昨今, Linux・基本操作&日本語環境構築という内容のMOOKを企画することに関して, 疑問である. (私はこんな本は買わない. )

私は, 初心者ほど分厚い本を読むべきであると日ごろから考える. 基本操作を覚えることが第1歩ではない, ポリシーを, 考え方を理解することが第1歩だと考える, コマンドだけを知った似非中級者を作っても意味はない. 似非中級者に振り回されて, 自分の仕事が滞ってしまっている諸兄も多いことと思う. (この記事を読まれる方々にも多いのではないでしょうか?) 極論を言えば, コマンドは man XXXX と打てて, 出てくる内容が理解できれば事足りると思うのです. だからコマンドの最初に man コマンドを教えるべきだと思うのですが, このMOOKでは, かなり後ろで man コマンドを扱っている. (やっぱり, こんな本は買わない. そして薦めない) man コマンドで見て理解できる最低のUNIXの知識と英語の知識があればいい. Linuxを身近なものにという意図はわかる. しかし, そのことが本人にもその周囲の人にも本当に幸福なことなのでしょうか, 疑問です. 冷たい言い方をすれば, 必要とする人, 好きな人はどんなことがあってもするのであるから, ある程度最初の敷居は高くした方がいいと思ったりもする.

日本語環境構築編に関しては, codeの話とかをきちんと書くべきであると思う. サーバ・クライアントシステムのお話とか, まあまあ書かれていて, UNIXらしいのに いつの間にやら商用アプリの話ではスタンドアローンのマシンのお話になって, なんか統一性がない, サーバ・クライアントシステムでやるなら最後までそれでやるべきだ.

X Window自由自在に関しては, たとえばp174ページの右カラム

「・・・・・・それ以外の項目を下手に触れると, X Windowが正しく作動しなくなる場合がある. 」
何寝ぼけたこと書くの, そうならんためにどうしたらいいか書かんかい. xf86config ファイルの書き方をきちんと手抜きせずに記載せよ. また, 人は失敗して覚えるのであるから, X Windowが暴走しても高が知れている. logをとって一行づついじってどうなるか実験する方がいい勉強になる.

最後に, 私はこんな本は買わない. そして薦めない. 出版は文化である. 切り売りではない.

Reviewed by 三浦浩造 (km@oka.urban.ne.jp)さん

Linux の使用歴
2 年 5 ヶ月
UNIX の使用歴
3 年
Linux Box の主な用途
UNIXシステム管理の練習,インターネット接続
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95 FreeBSD
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
4:2:1(Linux:FreeBSD:WINDOWS95)

挑戦! Linux [Debian インストール編]のReviewとしての感想,要望を述べさせて いただきます.

1 索引が無い

まず最初に感じたのは,索引が無い事. このようなマニュアル本の系統の本は, 何かあった時に何度も見たりするものだと思います. その様な時に索引の無いのは結構不便です, 確かに目次にコマンド毎の見出しは有りますが, ぜひ索引を付けて欲しかったです.

2 前編が無くても大丈夫

挑戦! Linux [Debian インストール編]の続編として本書はつくられている事でしたが, 本書の末尾の方にある"付属CDーROMの使い方"を見れば, Debian以外のパッケージをインストールした経験の有る人なら, 大きな問題に当たる事は無いと思います.

3 順番が変です

全体の流れですが,

1Linuxの世界を楽しもうintroduction
2Linuxはじめの1歩基礎知識とコマンド
3日本語環境でLinux日本語環境を構築する
4アプリケーション徹底活用Linuxアプリの成立ちから理解する
5X Window 自由自在好みのユーザーインターフェースにカスタマイズ
6Linuxでインターネット接続!
7付属CDーROMの使い方

となっていますが "日本語環境を構築する" の所で, X Window systemの国際化やインプットメソッド, フォント事などを記述しておきながら, その後の "X Window 自由自在" で, "Xサーバーとは" と説明が有るのは何か妙な気がしました. 日本語環境の各アプリケーションは大体 X Window 上で利用される事がほとんどだと思うので, X Window の説明を先にした方が良かったとおもいます.

"アプリケーション徹底活用" ではアプリケーションのインストール用の知識としてコンパイルから始まり, makeやカーネルの再構築の仕方など盛りだくさんな内容と丁寧な解説でそれはそれで良いのですが, はたして "コンパイルとは" から説明する必要があるのか疑問に思えます. その分もっとカーネルの再構築のconfigについての説明とかに重点を置いた方が良いと思います.

サウンドカードを例に取った再構築の例はそれで良いと思いますが, たとえばconfigの項目の良く使用する様な項目について簡単な説明が有ると, インストールを何とかこなしたレベルの人には便利なのではないでしょうか.

カーネルのバージョンにより項目は変わったり, JFにこの辺の参考になるドキュメントが有ったりしますが, カーネルの再構築はバージョンアップだけで無く, 何かしようとする時に割と良く行われます. メーリングリストでもカーネルの再構築に関連した質問とか良く出てくるのでその辺を考慮した内容にされていたらと思います.

"6 Linuxでインターネット接続!" ではroot以外のユーザーがppxpを行う場合は, dialoutグループに所属しておく必要があったと思うのですが, その辺の記述が何も有りません, 時間的な余裕が無かったので確認していませんが.

以上注文ばかり書きましたが, 見た目は雑誌サイズの本ですが内容もしっかりしており, 見やすく他の同価格の本に劣っているとは思えません. むしろインストールの内容はいらない, その後の日本語設定等について知りたいと言う方はこの本を選ぶ方が良いと思います.


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