挑戦! Linux [ネットワーク基礎編]

挑戦! Linux [ネットワーク基礎編] レビュー記事

[ ブックレビューコーナー 目次 ]

エーアイ出版株式会社 様のご厚意により, 書籍 "エーアイムック 226 挑戦! Linux [ネットワーク基礎編]; を ブックレビューコーナー にご献本いただきました. この本のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて公募を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

エーアイ出版 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.

なお, 以下のレビューは初版を対象としています.


Reviewed by 松島 公裕 (まつしま きみひろ, matsusk@coltvox.com) さん (COLT VOX Inc.)

Linux の使用歴
初めて接したのは3年前
UNIX の使用歴
3ヶ月(SUN)
Linux Box の主な用途
Windowsネットワーク用のファイルサーバー(Samba), およびWWWやMailサーバーとしての評価
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
WindowsNT 4.0(WS), Windows98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux :Windows NT : Windows98= 1 : 4 : 5

はじめに

Linux が一種のブームになってしまって, いろいろな解説書籍が存在していますが, これまでに見たものは 「超ビギナー向き」か「エキスパート向き」の内容であることが多かったと思います. 私のような「ふだんネットワーク環境に触れていて, なんとなく広く浅い知識を持ってはいるけれど人に説明ができるほどには知らない」 中級者 (ということにさせてください) にとってちょうど良いレベルの本にはあまり出会ったことがありませんでした.

そんな「恥ずかしくていまさら人に聞けないこと」がたくさんある私ににとって, この本はネットワークに関する知識をおさらいできる良いものでした. この本に書かれていることは 「Linux のインストールは何度か経験はあるけれど だからといって何かに活用できているわけではない」 多くの人にとって次のステップ (ファイルサーバーやウェブサーバーの構築) に進むための 足がかりになるものと思います.

本の構成

この本はムックという形をとっており, 章立てされてはいません 必要な部分を興味のある順番に読むことができます. 主な内容は次のとおりです.

全くのビギナーにも抵抗無く読めるものと, ある程度 Linux に触れてきた人でないとピンとこないものとが 混在している観がありますが, 相互に依存した内容ではないので問題はなさそうです.

Linux でネットワークを組むために

現在, 世の中の主流となっているネットワークは UNIX に基づいているといった感じのことが述べられています. が, ありがちな Linux 賛美系ではなく Windows ネットワークとの関連については 「目的に応じて適材適所に使い分ける」となっておりスタンスに好感が持てます. この部分はイントロなのでページ数も 4 ページと少ないのですが, ここに書かれているような切り口での説明を 企業のネットワーク担当者 (および構成の決定権をもつ人達) に続けて行けば より多くの選択肢を提示できると思います.

サーバー構築講座

ファイルサーバーとして Samba (Windows 用) と Netatalk (Macintosh 用), ウェブサーバーとして Apache を取り上げ, 具体的に設定方法を記しています. ファイル名に関する規則 (UNIX では大文字/小文字を区別する等) や Macintosh 独自のファイル情報の扱いもきちんと解説されているので実際的です. Apache については 肝であるコンフィギュレーションファイルが丁寧に説明されています. 「これを参考にしてサーバーを作ってみよう」と思うに必要十分な簡潔さです.

ネットワークコマンドを使おう

ftp とか ping などの慣れ親しんだコマンドについて 「ユーザーコマンド編」と「ネットワーク管理編」の 2 つに分けて説明しています. こうしたコマンド群の基本は簡単なので 案外見よう見まねで覚えて満足してしまうことが多いのではないでしょうか? (「それは君だけです」と言わないでください :->) この記事を読めばおぼつかないところを確実にし, さらに一歩進んだ使いかたができるようになれると思います.

Linux マシンのためのハード選びと設定

この部分はある程度ハードウェアの知識がないと読みづらいと思います. また, タイトルが期待させるほど ハードウェア選択の指針を与えてくれるわけでもありません. 素人は名指しで「どこそこのメーカーのものが良い」といって欲しいものです. - そういう意味ではグラフィックアクセラレータのところで 「Linux プリインストール機を買うのが間違い無い」とアドバイスしているのは ナンセンスではなく適切だと思います. 30 ページ近くあるので読んでいて「ふむふむ, なるほど」とは思いますが, 一番印象的なのは

パフォーマンスに多少目をつぶれるならば 486 時代のマシンでも Linux は動く.

ということですね.

ハブ & ルーター入門

入門の看板どおり, とてもわかりやすいイラストの多い解説です. 基本的な機能といくつかの具体的な製品の紹介です. 念のために付け加えると 「Linux を稼動させているマシンにルーターの役割を担わせることは可能」 という紹介はしていますがその方法までは解説していません.

インターネットにアクセスしよう!

申し訳ないのですが実際に Debian をインストールしたマシンで この記事にしたがい PPP の設定をしたわけではないので この 5 ページの記事がどのくらい役に立つかは不明です. OS 付属のコンフィギュレーションユーティリティで出てくる 英語のガイドを説明しています.

NIC を制す!

Linux のディストリビューションと NIC の種類別に記述があるので 最低限自分に関係するところだけを見ればわかるように書かれています. 裏を返せば繰り返す記事や表現が多いので 私のように全部読むと激しいデジャヴュに襲われます (←違うって).

以上, あくまでも自分のレベル (くどいようですが中級者と思っています) で接したときの各記事の感想を書いてきました. 少しでもご参考になることがあれば幸いです.

Reviewed by 黒澤 真美 (goma@kk.iij4u.or.jp) さん (PC-LABO)

Linux の使用歴
初心者
UNIX の使用歴
昔 1 年ほど仕事で使用
Linux Box の主な用途
web サーバーとして (勉強中)
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
ありません (マシンを分けているため)
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
1:9 (まだまだ Windws95 や 98 のほうが断然多いです)

はじめに

最初にお断りしますと, 私は今までご参加されているレビュアーの皆様のように Linux をバリバリ使っているわけではなく, 仕事はもちろん, 自宅でももっぱら Windows95 を愛用していて, Linux は最近勉強を始めたばかりという初心者です. それまで WEB サーバーソフトを使って Windows マシン上で各種 CGI などのテストを行っていたのですが, オリジナルドメインを取得したのを機に, 今後は自分で WEB サーバーを立ち上げてみようかなあと画策. そこで WEB サーバーの構築を考えたとき, ぶつかったのが Linux だったのです.

応募動機もいたってシンプルで「ネットワーク基礎編」の名前に惹かれたからです. 今回のレビューは, そんな初心者から見た感想となっており, これから Linux でネットワーク構築を考えている人の参考になればと思います.

ファーストインプレッション

この書籍は, 特集として「サーバー構築講座」と 「 Linux マシンのためのハード選びと設定」の 2 つが組まれている. また INTRODUCTION として LInux ネットワークの基礎知識をも網羅されていて, いたれりつくせりの内容だ. 更に特別企画として Linux でネットワークを構築する際一番のネックとなる NIC について懇切丁寧に解説していることも見逃せない. さて, では実際に各内容について感想を述べてみようと思う.

各項についての感想

INTRODUCTION: Linux でネットワークを組むために... Linux ネットワークの基礎知識

ここでは, ネットワークの概論と各ネットワークについての解説が 明確に述べられている. 現在主流と呼ばれている WindowsNT の利点と欠点を紹介, では Linux では? と Linux でネットワークサーバーを構築をする利点を的確に説明している. 基礎知識では, 接続形態と利用形態の両面から解説されていて, ここを読めばネットワークについてまったく知識がない場合でも 概論を理解することが可能だ. またネットワーク構築で最初のハードルとなる TCP/IP プロトコルについても図解を盛り込みながら 実に判りやすく学べるよう工夫されている.

特集 1 サーバー構築講座

特集 1 では, Linux マシンと他の OS との連携を取り上げ, 主流 OS の Windows, Macintosh とファイルやプリンタを共有する方法を解説している. また, 今自分の中で一番気になる Web サーバーの構築方法について述べてある.

ファイルやプリンタサーバーとの共有についてだが, 設定からユーザ設定, そして共有フォルダの作成といった初期設定部分から, パーミッションの設定やトラぶりがちなファイル名の注意点まで押さえてあり, 既に理解できている人には何でもないことだが, 初めてネットワークの設定に触れる人とって, 実にかゆい所に手が届く内容になっている.

Web サーバーの構築として Apache を用いた場合を例に, インストールから動作確認チェックはもちろん, ブート起動方法や各種コンフィグのカスタマイズまで紹介されている. 英語が苦手な人でも, これを読みながら設定していけば無理なく Web サーバーの構築が可能だ.

ネットワークコマンドを使おう

合間にはネットワークコマンドの解説も付いている. Windows からパソコンに触れた人には, ネットワークコマンドの知識が希薄だ. その点からもこのようなページを用意されているのは嬉しいことだ. 主要コマンドのみの解説だが, 基礎とも言えるコマンド群は紹介されているので, 逆にムダなく必要なコマンドを手っ取り早く覚えることができると言ってもいいだろう.

特集 2 Linux マシンのためのハード選びと設定

まず冒頭で, サーバー用途による押さえるべきハードウエアスペックの説明がある点に好感が持てる. サーバーの機能を十二分に発揮させるには, 用途によって求めるスペックが異なることを案外判っていない人もまだまだ多い. このような説明を入れるか入れないかが 入門書としての価値を左右すると思うのだがいかがなものだろうか. 特集では各パーツ毎に, 実際にテストしたカードを例に取り上げながら設定について丁寧に説明されている. Linux の長所でも短所でもあるのだが, Linux には多くのディストリビューションが存在する. ディストリビューションとハードウエアの選択の 注意点についても記されている点もポイントだ. ただ残念なのが, ノート PC に Linux をインストールする場合の説明ページが簡素化されすぎていて, とりあえず紹介したような印象を受けることだ.

ハブ & ルーター入門

Linux マシンから今度はネットワークに視点を広げ, 必要となってくるハードウエアとして, ハブとルーターを取り上げ解説している. 種類と機能, そのメリットをシンプルだが判りやすく説明している. 最後には Linux をルーターとして利用することも取り上げてあるが, 残念ながらおまけという感想を免れない. こちらをできればもう少し大きく取り上げて欲しかったように思う. 少々残念だ.

特別企画: Linux で NIC を認識させる方法

本書で半分ものスペースを割いて解説されている NIC のページなだけあって, 力作だ. 10 種の主要ディストリビューション毎に NIC の認識テクニックが説明されている. 各 NIC の使用チップやモジュールも明記されており, これは今回取り上げられなかった NIC について考察する手がかりとしても重宝すると思われる.

特記すべきは NIC の複数差しについての認識方法をもカバーしている点だ. 手動認識からブート時の自動認識まで解説されている. このように一歩踏み込んだ説明が随所にあることは見逃せない. 本書を隅々まで読破すれば, 既に Linux でネットワークを構築していた人にとっても, 意外と使いこなしていなかった部分が再発見できるのではないだろうか.

さいごに

本書の姉妹シリーズでは付録として Debian のオフィシャル CD-ROM が付いていたのですが, 今回それを省き求めやすい価格を実現しています. もちろん欲しいユーザーには別途購入できるよう 自由度を持たせているのが好感を持てます. 私も早速購入しました (笑)

Linux は, 現在個人レベルで気軽にネットワークサーバーを構築する OS としては 最も優れた OS だと思います. とっかかりは何であれ Linux に触れる機会を得た人, またこれから始めようと考えている人にとって本書は, Linux の本当の可能性を教えてくれる一冊であると思います. 初心者の典型とも言える私にとって, とても勉強になりました.

最後になりましたが, レビューの機会を与えてくださいました JLA Webmasters ブックレビュー企画担当の方に改めて感謝申し上げます. ありがとうございました.

Reviewed by 三谷 篤 (mitani@csra.co.jp) さん

Linux の使用歴
2 年
UNIX の使用歴
8 年
Linux Box の主な用途
各種サーバの構築と運用
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95, WindowsNT Server
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Win95 : WinNT = 2 : 4 : 1

はじめに

社内で開発に使えなくなった古い PC の部品を寄せ集めて 1 台の PC を組み立てました. このゴミから再生した PC を何に使うか考えて, たまたま手元にあった Linux を入れてから, 早いもので 2 年が経ちました. その間, 新しい PC がどんどん導入され, 古い PC が次々ゴミと化して私の手元にやってきました. これらゴミから再生した PC 達は Linux のおかげで社内のサーバとして余生を送っています.

これまでに色々苦労した設定やハードウェアとの相性について興味がありましたので, この本は大変面白く読めました. 特にグラフィックカードの章はページ数は少ないですが 凝縮されたノウハウに読んでいて感動しました. 特別企画の NIC についても 10 種類のディストリビューションで 23 枚のネットワークカードを試すという, ちょっと個人ではできない (やりたくない?) ことがレポートされており, 面白く読めました.


各章の感想

ネットワークの基礎知識

ネットワークの基礎的な用語やネットワークの概念が 分かりやすく解説されています. Linux でネットワーク環境を構築してみようという人が読むイントロダクションとして よく書けていると思います.

特集 1 サーバ構築講座

ここでは samba や netatalk を使ったファイルサーバの構築手順が 詳しく書かれています. Linux は Windows 9x や NT が混在する環境で使用されることが多いと思いますので, ユーザ認証を NT に代行させるやり方やファイルのアクセス権の設定方法, 全角ファイル名の処理の仕方など, 実際に必要となりそうな機能の設定方法について書かれており, 興味を持って読むことができました.

プリンタの共有についても書かれていますが, 非常に簡単に書かれているのが, 少し残念に思いました. プリンタを共有する場合, Linux にローカルプリンタを接続して共有する場合と ネットワークプリンタを共有する場合が考えられますが, ローカルプリンタを共有する場合しか書かれていませんでした. ネットワークプリンタの共有についても触れて欲しいと思いました.

もうひとつ, Web サーバの構築方法として Apache が取り上げられています. Web サーバのカスタマイズ方法が分かり易く書かれていますので, 初めて Apache をコンパイルした人でもそれなりに Web サーバが構築できると思います. ただ, LAN 環境上のローカルな Web サーバの構築を想定して書かれている為, インターネット用の Web サーバの構築をしようと思っている人が, この章の推奨設定でサーバを構築する時には注意が必要です (本文にも書かれていますが). できれば Web サーバの管理方法やログ解析ツールにも触れて欲しいと思いました.

特集 2 Linux マシンのためのハード選びと設定

Linux をネットワークで利用する為に必要なマシンスペック

「Windows98 が快適に動作するものであれば 快適に使えるというのが一般的な目安になる」と書かれていますが, 本当にこれが目安になるのでしょうか? 私の少ない経験でも,Windows95 が動かせないようなマシンで Linux がストレスなく動作することもありましたいし, 反対に Windows98 が動いていたのに Linux を入れようとしたら CD-ROM が認識されなくなってインストールすらできなかったこともありました. また, サーバ機として電源を入れたまま動かしっぱなしにしている為か, 新品の IDE ハードディスクが 2 年くらいで次々壊れていったりと, Linux では CPU パワーやメモリ以外のスペックで 重要な要素になることがあるように思いました.

失敗しないグラフィックアクセラレータ選び

もっと早くこの章を読むことができていたら, 今までインストールや設定に四苦八苦した時間を どれだけ減らすことができたことでしょう・・・. わずか 17 ページの本文に主要なグラフィックチップと X サーバの対応表がびっしり書かれ, 各項目の設定方法が書かれています. 簡単に書かれていますが, この設定例はノウハウ満載です. 自力でこの設定にたどり着くまでどれだけ時間がかかったことか・・・.

サウンドカードで音を鳴らす

ここでもトラブル体験の報告や設定ノウハウが書かれています. が, 申し訳無いことに Linux で MIDI 演奏をさせようとか 音楽 CD を聴きたいと思ったことが無く (ポートが勿体無いのでサウンドカードを外してます), あまりピンときませんでした.

ノート PC に Linux をインストールする場合の注意

ノート PC に Linux を入れたことはありませんが, 中を開けてチップの確認が出来ないとか, カードを差換えたり出来ず選択肢が少ない為, 事前の調査が大事だそうです. 機会があれば挑戦してみたいです.

ハブ & ルーター入門

これは「ネットワークの基礎知識」と同様, 基本的な事が分かり易く書かれています. 具体的なルータの設定方法やフィルタリングの設定例についても 触れて欲しいと思いました.

PPP 接続と DNS インターネットにアクセスしよう!

Debian の設定ツールの使用方法を中心に書かれています. もう少し基礎的な事柄についても触れて欲しいと思いました. 私は Debian を入れていないので, Debian の設定ツールに依存しない設定方法についても書いて欲しいと思いました.

特別企画 Linux ネットワークの鬼門 NIC を制す

10 種類のディストリビューションに 23 種類の NIC をそれぞれ試すという企画です. 試されたディストリビューションは以下の通り.

  1. Red Hat 5.2
  2. Slackware 3.6
  3. Debian2.0
  4. Turbo Linux 3.0
  5. Red Hat 日本語版 5.2
  6. Plamo 1.3
  7. Vine 0.9 beta7
  8. Caldera OpenLinux 1.3
  9. S.u.S.E 5.3
  10. Mandrake 5.3

各ディストリビューションの特徴を紹介しながら, 23 種類の NIC を認識させる設定方法とその結果が 123 ページ (表紙を含む) に渡って書かれています. NIC の設定に苦しんでいる人にはヒントになるかもしれません.

ただ, のべ 230 種類の評価をされたのですから これだけのページ数になってしまうのも分かりますが, せめて結果をまとめた表が 1 枚欲しいと思いました. また NIC の特徴や説明がまったくコピー & ペーストで書かれていたり, 後のページになる程省略が激しかったりと, 読んでいて苦痛を感じるところもありました.

自分なりにまとめると, ディストリビューションの違いによって設定方法はそれぞれ異なりますが, 認識しない NIC は どのディストリビューションでも認識しないというところでしょうか. 結局認識しない NIC は,

動作が不安定な NIC は,

ということのようです.

「この頃の RealTek 社の製品は怪しいものが多く, 人には勧められない. 冗談で買うジャンクの類である」. とのことですので, NIC の設定に苦しみたくない人は, カニさんマークのチップには気をつけましょう.あと, VT86C100A 以前の VIA 社製チップも怪しさ満点だそうです.(^^);


さいごに

昔のように, UNIX をワークステーションで動かしていた頃は, グラフィックアクセラレータのチップと X の相性とか, NIC のチップがどうのという問題で悩むことはありませんでした. それはワークステーション・メーカのオプション部品を使うしか 選択肢がなかったからです.

自作 (組み立て) PC では安くて性能の良いハードウェアが沢山あり, 選択肢が広がりました. その反面, 様々な条件に注意して選択しないと 安定稼動どころかインストールすらできなくなってしまいました.

これからハードウェアは益々種類が増え, 更に短期間で性能が向上していくと思われます. メーカ製の OS ではハードウェアの開発速度に追付くのは困難ですが, オープンソースで開発されている Linux の場合, ハードウェアの開発速度に追付く為に 更に早いスピードでバージョンアップが繰り返されることになるでしょう. 追いかける, 追いかけないは別にして, これからこのような本がもっと必要になってくると思いました.

Reviewed by 中本卓志 (nakamoto@yo.rim.or.jp) さん (Web page)

Linux の使用歴
3カ月
UNIX の使用歴
約1年
Linux Box の主な用途
エディター
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95、FreeBSD
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
2:7:1

私は Linux を使い始めたばかりで, まさに, 今, ネットワークと格闘中, というところです. 早くメールを Linux で読み書きできるようになりたいのですが…. 以下, 初心者なりに, 感じたところを書きつづってみます.

「Linux ネットワークの基礎知識」

まさに, 基礎知識が, とてもわかりやすく記述されていると感じました. ネットワークの形態である「ピア・ツー・ピア」と 「クライアント・サーバ」のそれぞれの違いや特徴など, 私自身漠然としか理解していなかったことが, 簡潔明快に述べられていたので, とてもためになりました. p.26 のネットワークの基本機能についての記述も, まさしくエッセンシャル.

「特集 1: サーバー構築講座」

samba の設定について, 順を追って, わかやすく記述されていると感じました. dos のファイルシステムとのやりとりの際に留意すべき ファイル名の扱いについても「なるほど」と納得できます. Debian への Apache のインストールでは, 「dselect で Lynx を同時に選ばないように」 との注意書きどおりインストールしたところ, 無事に立ち上がりました. 読んでなかったら, この本を読んでいなかったらエラーに悩んでいたかも知れませんね.

「ネットワークコマンドを使おう」

rlogin とか rsh とか, 耳にはしていたのですが 「 telnet を使えばいいや」と, あまり関心がありませんでした. ところが, 本書を読んで納得. さっそく使ってみました.

「特集 2: Linux マシンのためのハード選びと設定」

ハードについての記述が豊富で, ビデオカードの対応状況や選定のポイントについて分かりやすく書かれています. が, ここは, やはりネットワーク関係にこだわってほしかったところです. たとえば, ノート PC に関しては, Ether カードの対応状況や設定方法についての記述があればと思います.

特別企画「 Linux ネットワークの鬼門 NIC を制す!」

いや, まさにタイトルどおり, NIC は鬼門でしょうね. せっかく持っている NIC が認識しなかったり, 対応しているはずのカードもインストール時では認識してくれなくて困ったり. かねがね悩んでいたところへ, この特別企画. 本書の約半分にわたるボリューム. ネットワークカード 23 種, 10 のディストリビューションに付いて動作確認を行ったという, 極めて魅力的な企画です. 期待に胸が膨らみます. さあ, テスト対象の全てのカードとチップの写真がずらりと並んでいて, なかなか壮観です. 「あ, この前買って来た RTL8029 もある!」なんて, うれしくなりました. …しかし, この期待は, 読み進むにつれて, とてつもなく大きな失望と怒りに変わって行きました. 以下に, なぜ私が失望したかを述べます.

その 1: ディストリビューションのくだらない感想文が目障りだ!
ホームページなどで個人的に, どのディストリビューションが好きだとか使いづらいとか, 書くのは別に構わないと思います. しかし, Slackware3.4 の「gcc が出荷時から腐ってた」 (p.145) とか, たとえ伝聞とはいえ, 本に書いてもいいのでしょうか. Debian については, 何も見ないでインストールしようとして, できず, それで「Redhat や Slackware のインストールの簡単さに飽き足らない人が 最後に挑むディストリビューション」 (p.181) と, まるでキワモノ扱いです. 正当な理由があって「ここが良くない」と改善を提案するのは, いいことだと思います. しかし, インストールの方法も読まずに「できなかった」は, ないでしょうに. Debian プロジェクトの人々を侮辱しています. くだらない, しかも読む人の誤解を招くような文章は, 迷惑です.
その 2:記事の編集が悪い
NIC のボードやチップの同じ写真が繰り返し出て来るのですが, 何のため再掲しているのかわかりません. ページの無駄としか, 言いようがありません. なおかつ, NIC の紹介文と設定の話が ディストリビューションにまたがってごちゃごちゃに入っているので, 理解するのに骨が折れます. まあ, これだけのテストを記事にするとなると大変でしょうけど, 売り物として読ませるなら, それなりの仕上げをするのが礼儀というものでしょう.
その 3:文章や図が無意味あるいは不明瞭
p.114 のテスト環境の図は, どういう意味があるのかわかりません. このページに載っている「テストマシンのハードウエア」のリストも, CPU とマウス以外のスペックは, 何を使っているのかわかりません. また, ところどころに「信頼できる」とか「デキが悪い」とか, NIC の評価が記されているのですが, どういう根拠なのかつかめません.

以上, この特集記事の著者流に言えば 「デキの悪い, ジャンク同然」の記事であると, 私は感じました. 数ページの記事であれば, ここまで言いませんが, なにしろ本書の半分を占めるボリュームです. もちろん, ためになる部分も多々あります. それぞれの NIC, ディストリビューションの設定についてのデータは貴重です. しかし, これとて無駄な感想文を削除して編集的に整理すれば, 20〜30 ページに収まるのではないでしょうか. そのほうが, リファレンスとしても使えるし. 減らしたページは, メールの設定方法など, 有益な記事が掲載できるとか, あるいはページを減らして安い価格で販売できるとか, できたのではないでしょうか.

本書の前半半分が, 私にとってとてもうれしい記事が多かっただけに, 後半部分が残念です.

Reviewed by 勝野 秀樹 (hkatsuno@venus.dti.ne.jp) さん

原稿未着です


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