HHK Professional

Happy Hacking Keyboard Professional レビュー記事

[ ハードウェアレビューコーナー 目次 ]

株式会社 PFU 様のご厚意により, "Happy Hacking Keyboard Professional" を 本レビューコーナー にご寄贈いただきました. この製品のレビューをして頂くべく, Linux Users ML や本サイトにおいて 公募 を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)

PFU 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.


Reviewed by 高田佳仁 (takada@mbf.nifty.com) さん

レビューしていただいたモデル: 無刻印モデル (墨)

「とっつきにくいが楽しいキーボード」

Linux の使用歴
1 年
UNIX の使用歴
3 年
Linux Box の主な用途
文章作成, プログラミング, Web 閲覧
Linux 以外に利用している OS
Windows XP, FreeBSD
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux 1 : その他 1

私は普段日本語配列キーボードでかな入力をしています. そのせいか見慣れない (無刻印なので見えませんが) レイアウトにとっつきにくさを感じますが, 心地よい打鍵もあって慣れると手放せません.

見た目

今回使用させていただいたのはキートップに文字が印字されていない 「墨 / 無刻印タイプ」です. 真っ黒, と言うほど黒くはなくシックな色合いです. 刻印もメーカロゴも何もありません. 梱包も丁寧で Lite2 との格の違いを感じました.

配列

まずは Linux を動かしているパソコンに接続してみました. このパソコンは普段 X を立ち上げているので多少の不都合は xmodmap でキーの割り当てを変えてしまえば解決できるだろうと期待してのことです. XkbModel を jp106 にしたまま接続してみたところ, 左の Meta キーは日本語キーボードで言う無変換キー, 右の Meta キーは変換キーになっていました. もともと IM の起動キーには変換キーを割り当てていたので今までに近い感覚で日本語入力を ON/OFF できます. 位置には若干の問題があり, 日本語キーボードでは親指を少し動かせば IM の ON/OFF に割り当てていた変換キーが押せたのに対し, 少し手を動かさないと◇キーを押せません. DIP スイッチで◇と Alt を入れ換えられるので小指で IM を ON/OFF するように設定しました.

右側に Control が欲しいのですが残念ながら余っているキーがありません. できることなら Control に割り当てられるようにもう一つキーが欲しいところです.

かな入力を行うぶんには配列には不満があります. まず, 「む」「ろ」の二文字が遠くて戸惑います. 106 キーボードでは右下にあった文字ですが, これが右上に移動したということも理由の一つだと思います. 長音 (ー) も割り当てるべきキーが無いので戸惑いました. PFU 様のカナ配置表に倣って Shift + ほ に割り当ててみました. 右上の BackSlash よりも近くなったせいか意外と入力しやすくすぐに慣れました.

と言うわけで, 「む」「ろ」, そして IM の切替キーと右側の Control キーに多少の難がありますがそれ以外は普通に 106 日本語キーボードのように使えます. Emacs でのカーソル移動には今までカーソルキーを使用していましたが HHK を使いはじめてからは C-n C-p を多く使うようになりました. どうせ Fn とのコンビネーションキーになるならカーソルキーは vi に合わせて Fn + [hjkl] とした方が判りやすいかもしれません.

キータッチ

キートップの手ざわりはさらさらとして心地よいものです. Lite2 は梨地の荒い仕上げになっていますが Pro はきめの細かい仕上げになっています.

押した感じは Realforce と比較するとメリハリの利いた切れの良い打鍵です. Realforce は緩急はあるもののほぼ抵抗に変化がないキータッチですが HHK Pro のキータッチは押下圧のピークが最初にあり, そこを越えると大変軽くなります. Realforce と比較すると押さえ始めは若干重いものの, 押さえ続けるのは軽く感じます.

HHK Lite2 と比較すると別次元の打鍵感覚になります. Lite2 は押さえ始めが結構重いのでキーを押すときにテイクバックを付けてしまいますし, 押し切った後も反発が強いので押さえ続けるにも割と力が必要です. また押し切ったところでキーが ON になる Lite2 と異なり, Pro なら途中で ON になるので底打ちさせる必要もありません. Lite2 をお使いで指が疲れるようなら Pro はお薦めです.

難点としてはキーボード全体が厚いことです. 別途パームレストを用意すると打ちやすくなりますが, せっかくの省スペース性が台無しになります.

私は机の上を広く使うためキーボードをひざの上に乗せて使うことがあります. こうするとキーボードに腕を伸ばさずに済むため前かがみにならず机の面積以外にもメリットを感じます. HHK をひざに乗せてみての感想ですが, この横幅はひざの上に乗せて使う時にちょうど良いサイズです. 一般的なテンキーつきのキーボードですと右側に大きくはみ出してしまい重心が右に寄ってしまうのですが, HHK ではそんなことはありません. Realforce 89U と比較して圧倒的に軽いのも好印象です. Realforce をひざの上に載せると結構ずっしりしますが, HHK であれば重さを感じません.

些細なところですが, 最上段の押し込み角度に違和感があります. キートップの角度と軸の角度に差異があるような感じです. 一度気になりだすと Realforce の最上段キーも気になってきました.

Happy Hacking Keyboard Professional は大変押し心地の良いキーボードです. 余計なキーは付けないという姿勢も好ましいです. しかしながら,日本語入力に必要なキーまで省かれているような気がしてなりません. このポリシーのままで, かな入力による日本語入力を快適にすることを考えたバージョンがあればぜひ使ってみたいと思います.

大変短いレビュー期間でしたが, それでもいつまでも使っていたいキーボードだと感じました. それだけに日本語版 Professional が無いのが残念です.


Reviewed by 椎野 裕樹 (shiino.yuki@be.to) さん

レビューしていただいたモデル: 無刻印モデル (墨)

「ハッカーを目指す人にこそ使ってほしいキーボード」

Linux の使用歴
6 年半
UNIX の使用歴
7 年
Linux Box の主な用途
開発環境, デスクトップ用途
Linux 以外に利用している OS
AIX, Solaris, Mac OS X, Microsoft Windows
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
19:1

打鍵感

深く軽いキーストロークが心地よいキーボードです. 少し試し打ちしただけでは, やや軽すぎるのでは? と感じる打鍵感ですが, 長時間使い続けるにはこれくらいの軽さがよいようです. 一日中プログラミングや原稿書きをしても, 指に負担が掛からず疲れません.

キーを打ち抜く快感はタイピングに欠かせない要素ですが, それにはストロークの深さが必要です. Happy Hacking Keyboard Professional (以下 HHKB Professional) は深いストローク感を実現しています. 同社の Happy Hacking Keyboard (以下 HHKB) と比べても, ストロークが 2 倍近く深くなったように感じます(*1).

(*1) 仕様上のキーストロークの深さは HHKB = 3.8 mm, HHKB Professional = 4 mm とほとんど差がないのですが, キー押下時の抵抗感も関係しているのでしょう. 体感上は倍近く差があるように感じます.

タイプ音はコトコトといった感じで小気味よい音が響きます. 音が高いのか, あるいは音質が独特であるためか, 他のキーボードよりもタイプ音が目立つようです. 静音に対する配慮はなく, 寧ろ軽快な音が響くように設計されているようです.

キートップは微かにざらつかせてあります. 指先に感じるさわり心地がよく, 筆者は滑らかな仕上げよりもこちらの方が落ち着きます.

携帯性

接続ケーブルはキーボード本体から取り外せるようになっており, 持ち運びの邪魔になるような突起はありません. バックパックにノートブック PC と HHKB Professional を入れて持ち歩きました(*2)が, 持ち運びに不便は感じませんでした.

(*2) 同社から携帯用ケースが販売されています. 筆者はケースを使わず, そのままバックパックに入れて持ち運びました.

但し, いざ使おうという時にはキーボードの分のスペースが余分に必要になります. 自宅や職場などスペースを確保できる所では困らないのですが, 喫茶店のテーブルや列車の中などでは HHKB Professional を置くスペースがなく, 結局ノートブック PC 本体のキーボードを使うことになるでしょう.

持ち運び自体に支障はないので, キーボードだけ持ち歩き, 自宅と職場の両方の PC で一つの HHKB Professional を使うといったことは十分可能でしょう. (もちろん, あなたがそれを面倒に思わないのなら, ですよ?)

「設定禁止」

PFU 社のウェブページでは HHK モード, Lite 拡張モード, Macintosh モードの 3 つのモードを紹介していますが, 実は第 4 のモードがあります. DIP スイッチを SW1 = ON, SW2 = ON (設定禁止状態) にすることで第 4 のモードを利用できます(*3).

(*3) もちろんメーカー無保証です. 筆者も一切の責任を負いません.

このモードは基本的に Lite 拡張モードと同じですが, Fn キーと組み合わせ可能なキーが増えます. Fn キーと組み合わせ可能になるキーと組み合わせた時のキーコード (10進) は以下の通り(*4)です: ESC(222), q(232), w(122), e(108 = KP_Enter), r(140), t(134), y(245), z(135), x(188), c(248), v(109 = Control_R), b(133).

(*4) このモードでは a, s, d, f キーを Fn キーと組み合わせて使うことはできません.

あなたは Happy Hacking Keyboard Professional を買うべきか?

実用本位で作られた飾り気のないキーボードです. 快適な打鍵感を味わいたい方, 長時間タイプする方にお薦めです. 一日の大半を Emacs や vi と過ごす方はキーレイアウトにも満足されると思います. キーボードがコンパクトなため, ホームポジションとマウスが近くなるのも特徴です. マウスからキーボードに手を戻すのも楽です.

筆者は 2 年半 HHKB Professional を使い続けていますが, レビュー用に頂いた新品と変わらぬ打鍵感を保っています. 経年変化による劣化の心配は無用でしょう. 定価 24,990 円と高価ですが, 2 年半使うと 1 箇月当たり 833 円の計算です. 快適なキーボード生活を思えば, 決して割高とは言えないでしょう.

外観を気にされる方は, 墨/無刻印モデルだけロゴがないことにご注意ください. PFU 社のウェブページの写真からも確認できますが, 墨/無刻印モデルはまったく何もプリントされていません. 白/無刻印モデルや標準モデルには右下に HHKB Professional のロゴがあります.

高い価格に見合うだけの価値があるキーボードですが, 誰もがその真価を引き出せる訳ではありません. キーマップを自由に再定義できる, UNIX 文化 (e.g. Emacs, vi) に馴染んでいる, 英語配列に慣れている, タッチタイプができる, キーボードにこだわりがある, といった資質を持った方は, その価値を十分味わえるでしょう.

PC 付属のキーボードをデフォルトの設定でしか使ったことがないという方は, 先ずキーマップの再定義の仕方と英語配列を覚えましょう. これらは短期間で学習できます(*5). また普段からキーボードを使っていれば, 英字すべてとよく使う記号はタッチタイプできるようになるはずです. それから購入を考えても遅くはないでしょう. その頃にはキーボードへの思い入れも深まっているはずですしね.

(*5) 英語配列は日本語配列よりも規則性が強く覚えやすいです.

Reviewed by 上林ひろゆき (hkan256@yahoo.co.jp) さん

レビューしていただいたモデル: 標準モデル (墨)

「理想の具現化 - UNIX/Linux 使いのための, 本物のキーボード」

Linux の使用歴
1997 年に Slackware, のち Debian へ移行
UNIX の使用歴
1987 年から使いはじめたが最近は疎遠
Linux Box の主な用途
ファイルサーバなど
Linux 以外に利用している OS
Windows 9x/2000
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
素で GNU/Linux を使うことはほとんどなく基本的に裏方になってもらっている

まずはじっくりと見る - そのサイズに改めて感動

これは小さい! -- 実物は何度か目にしていたものの, 今まで使っていたキーボードと並べて愕然とする. 同じキーピッチなのに半分以下のサイズで, 邪魔になれば片手でヒョイと移動できるコンパクトさが嬉しい. 机も随分と広く使えるようになるだろう. またマウスも近くなり嬉しさ倍増である. 極限まで絞られた姿は洗練された機能美にあふれ, グッドデザイン賞を受賞しただけのことはある.

色は墨という名前から深い墨色を想像していたが, 実際には限りなく黒に近い灰色という感じだ. 刻印は更に濃い黒で, 遠目に見ると無刻印と間違えそうではあるが, 近くからの視認性は考えるほど悪くはない. うるさくなりがちなキートップ側面の刻印は自己主張が少なくいい感じである.

全体的な作りはしっかりしており, フレームをひねってもミシリとも言わない堅牢さがある. 可搬性という観点では少し重い気もするが, 軽すぎると打鍵時の安定性に欠けるため, トレードオフが難しいところだろう. 個人的にはもう少し重くてもよかったのではと思う. チルトスタンドは二段階あり, 好みの傾斜を選べるのが嬉しい.

コンピュータとの接続は着脱可能な USB ケーブルを使うのだが, 実はこれがクセモノで固くて取り回しが悪く, しかも背面からしか出せないので結構邪魔になる. ぜひとも左右からも出せるようにして欲しい. 保証外だが, 全結線された標準 USB ミニ B コネクタの市販ケーブルで問題なく動くようだ. なおコネクタは小さく不安を感じる.

GNU/Linux Box に接続すると製造者として Topre Corporation とあり, Realforce シリーズでその筋には絶大な人気と信頼がある東プレの OEM 製品だと思われ る. Happy Hacking Keyboard のキー配列を静電容量無接点方式で実現した本機は, 理想のキーボードを具現化したひとつの形であると言えるだろう.

打ち心地はどうだ? - これが一番大切なこと

キーボードの評価は難しいものだ. 慣れや好みに大きく影響されるため, 少しぐらい触っても本当の姿が見えてこず, 第一印象と最終的な評価が異なることもありがちな事である. このキーボードも最初は違和感を覚えたのだが, 慣れると今まで常用していたキーボードすら打ちにくく思うようになった.

キー配列

Control キーが A の横にある UNIX/Linux 使いには嬉しい配列だ. 英語配列とはいえ, 俗にいう 101 キーボードとも少し違いがあるので注意が必要である. 使用頻度の低いキーは限界まで削り, Fn キーとの併用で入力するようになっている. Fn キーに慣れるのにそれほど時間はかからなかったが, 多用するのは厳しいだろう. 設定スイッチにより Delete キーを BS キーとしたり, 左◇キーや左 Alt キーを Fn キーとして使用できる.

打鍵感

すばらしいキータッチであり, 軽いタッチながら入力したという感触 (タクタイル) はしっかりとある. キートップに力をかけると少し抵抗したのち, スッと力が抜けたように沈んでゆき, そのまま滑らかに底まで着く感じで, 押し込んだときのグニュッとした感触もなく, 全体的に自然でキレがある. しかもキートップのどの場所を押してもガサツキ感はなく, キーがスムーズに沈み込んで気持ちいい.

しかしながら Control キーと右 Shift キーにスタビライザがないため, 端を押した場合に少し重くなり, 押下した状態での安定度もグラグラして良くないのが気になる. 特に Control キーは使用頻度も高い上に無理な体勢での押下により偏った力がかかりがちなので, ぜひ改善してもらいたいところである.

非常に良いキータッチではあるが, 強くタイプする人にとっては軽すぎて物足りなさを覚えたり, 底打ち感ばかりが強調され違和感があるかもしれない. このキーボードは底打ちまでガシガシと叩くようにタイプするのではなく, 優しく触れるようにタイプするのが向いているように思う.

打鍵音

クリック音はなく, 底まで打ち込んだときの音はコトコト, 連打するとストトトッという感じで静かだ. 特に Return キーの落ち着いたコトッという音が心地よい. しかし勢いよく指を戻すと, キーの戻り音がカチャカチャと少し耳障りである. 机の上にそのまま置くと音が反響して大きく聞こえたが, 雑誌を敷くことでかなり抑えることができた.

仕様詳細

押下圧 45g と仕様にあるが, 硬貨を使った原始的な手段で測定したところ, レビュー対象のロットには 45g 未満のキーもあるように思えた. ほとんどのキーは 45g, 特殊キーや右小指の一部のキーは 40g, 左 Shift キーや Fn キーは更に軽い 40g 未満になっているようで, 小指の負担軽減に貢献している.

ストロークは 4mm とやや深めではあるが, 約 2mm 押し込むことでキー入力されるため, 押下時の反応は速く, 底打ちする必要もない. また, 確実なスイッチ動作のために, 物理的な接触のない静電容量無接点方式のスイッチが使われ, 接触不良による故障やチャタリングも発生しない.

公表されてないが N キーロールオーバーであり, 高速入力はもちろん点字入力も確実にできる. ただし同時に押下されていると認識できるキー数は, Shift キーなどの修飾キーを除いて, 最大 6 個までとなっている. この制限は USB の仕様上からくるものかもしれない.

ちょっとしたヒント - より快適に使うためのソフトウェア

左右◇キーを使うためにはキー配列の定義が必要である. また便利なソフトウェアもあるので, 以下のリストを参考に調べて欲しい.

まとめ - UNIX/Linux 使いのための, 本物のキーボード

コンピュータと長くつきあう人なら, マンマシンインタフェースとなる重要なデバイスとして, キーボードは特にこだわりを持って選びたいものだ. 高価であり万人に薦められるわけではないが, 本物の UNIX/Linux 使いなら, ぜひこのキーボードを選んで欲しい. このキーボードは UNIX/Linux 使いの理想のキー配列と, 理想のキータッチを具現化した, 本物のキーボードである.


Reviewed by 多田 雅一 (tadam0001@yahoo.co.jp) さん

レビューしていただいたモデル: 標準モデル (白)

「期待を裏切らない使用感」

Linux の使用歴
約五年
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
個人用のクライアントとして
Linux 以外に利用している OS
Windows
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
1:9 くらい

はじめに

現在, 同じ PFU さんの Happy Hacking Keyboard Lite2 (PD-KB200W/U) (以下 Lite2) とぷらっとホームさんの FKB8579 を所有しており, 主に FKB8579 を利用しています. 届けていただいた Happy Hacking Keyboard Professional (以下 Pro) の第一印象は 一層コンパクトであるという感じです. Lite2 や FKB8579 と異なり矢印キーがないことや, FKB8579 の上部が緩い弧のあるフォルムであるのに対して, Pro の上部は直線であることからそう感じたのかもしれません.

設定

現在使用している FKB8579 と比較しながら使用したいと思ったので, DIP スイッチにより Delete キーを BackSpace キーに変更しました. Alt キーと◇キーはすでにキーマップを変更してソフト的に入れ替えてありますが, Pro ではこれらもハードで切り替えできるので便利だと思います. チルトで傾きも三段階から選べるので, これまでの FKB8579 と同じ高さに調整できました. PC との接続は持ち運びも考慮されているとのことで, 本体直付けではなく, 付属の USB ケーブルで接続するように工夫されているのは便利だと思いました. ただ, 背面にコネクタがあるのですが, そこにケーブルを差し込むと 3cm くらいの出っ張りが生じます. これがちょっとジャマに感じることがありました. 切り込みを作るなどしてコネクタ接続部を奥にもっていくなど もう一工夫あればもっと喜ばれたかもしれません.

キータッチ

キータッチは FKB8579 が「押す」という感じならば Pro は「触れる」という感じで軽やかに入力が進みます. 最初の一週間くらいは打鍵がこれまでと同様に強かったせいか, はっきり言って少し頼りない感じがしたのですが, 打鍵の加減がわかってくると しっくりと馴染んだ万年筆で書類を作成していた感じが思い出されるような 気持ちのよい感覚で入力することができるようになってきました. ただ, 自宅で使っているときは大丈夫だと思うのですが, 少し打鍵の際に発生する音が大きいような気がするので, 静かな仕事場などでは周りの方に気を使わなければならないかもしれないと感じました. もしかすると, まだ私の打ち方がキーボードに合っていないために 大きめの音が発生しているのかもしれませんが.

また, Control キーなどの形状が大きなキーを打つ際に, 私があまり上手でないので中心を外してしまうことがよくあるのですが, そのような場合に少し違和感を覚えました. 打ち方が悪いと言われればそれまでですが, せっかくの大きなキーなので 少し外れた位置であっても同じキータッチであればと思います.

矢印キー

これまで使用してきた FKB8579 や Lite2 には矢印キーが付いており, 利用していたので, これらの専用キーがない Pro でストレスなく操作ができるのかが気がかりでした. Linux では特に問題はありませんでしたが, やはり Windows 環境では意識していた以上に矢印キーを利用していました. 最初は Fn キーとの組み合せにより矢印キーを使用してみました. 私の方法がまずいのだと思いますが, なかなか Return キーの隣のダイヤモンド配列に馴染めませんでした. そこで, 自分の常用のエディタが Emacs でありその操作に慣れていることから, XKeymacs (http://www.cam.hi-ho.ne.jp/oishi/) を利用させていただいたところ, 実用上ほぼストレスのない操作性を得ることができました. また右 Alt キーと vi のカーソル移動である 「 h, j, k, l 」の組み合せであれば使い易くなるのではないのかと考えながら, 現在のカーソルキーの位置はどのような理由で決められたのか とても興味が沸きました.

それと右下の矢印キーがなくなったので 小指の付け根で間違って押してしまうことがなくなったのは とても精神的に楽になりました.

まとめ

UNIX ライクな OS での使用では, みなさんの噂に違わないすばらしいコンパクトタイプのキーボードであると, 実際に使用させていただいて実感しました. キータッチには好みが大きく影響するので万人が満足するものは難しいと思いますが, 私にとってはその「軽やかさ」がピッタリで これまでで最も気持ちのよいキーボードだと思います. Windows での使用では, 「矢印キー」を多用する場合は少しそのままでは使いにくいと感じましたが, 今回使わせていただいた XKeymacs をはじめとしたソフトなどを利用して調整することで, 十分対応できると感じました.

最後に, この機会を与えていただいた, 株式会社 PFU 様, および www.linux.or.jp Webmasters ハードウェアレビュー担当の方々に感謝いたします.


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