Stormix Technologies Inc. 様のご厚意により,
Linux ディストリビューション,
"Storm Linux 2000 スタンダード版 (英語版)" を
ソフトウェアレビューコーナーあて ご提供いただきました.
この製品のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
において公募を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々に書いていただいたレビュー記事を公開します.
Stormix Technologies Inc. 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
- Linux の使用歴
- 5 年
- UNIX の使用歴
- 6 年
- Linux Box の主な用途
- 数値計算と論文作成
- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- なし
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux:Windows98=2:1
- 評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- CPU Celeron 500MHz*2
Memory 256MB
HDD SCSI 4.3GB*2
NIC NE2000 互換
DVD 8 倍速
CD-ROM 40 倍速
MO 640MB
本レビューではインストール, 各種設定 (管理), 商用ソフトウエア等の評価を行い下記のような結果を得た. 特に私の仕事は数値計算とそのデータ整理ならびに論文作成が主であるので, そのような環境に適したハードウエア環境でインストールした. 特にデュアルプロセッサの設定は私にとって重要な要素である. 今回特に初心者が簡単にインストールして, 多数の有益なアプリケーションを利用できるかという視点で報告する.
本来無謀であるが, 今回特に取り扱い説明書を一切読まないでインストールを試みてみた. これは, 既に他の数種類のディストリビューションに関してインストール経験があることと, 初心者にとってインストールが簡単に行えるかどうか試すためである. インストールは 1 回で一応完了したが, 次のような不満の残る点があった.
つまり, インストール時にハードウエアの自動認識を行っているのだが, 完全に全ての機器を自動的に使用可能にすることが不充分であると考える. もちろん, インストール後にカーネルの再構築等の作業によりこれらの機器は使用可能であるが, できればインストール時の設定でこれらの機器を使用できるように設定できればより便利である. 高速パーティションは初心者にとって便利であると思うが, 自動的にハードディスクを認識しているのであれば, その構成に適したパーティションの構成例を数種類提示し, それから選択させるようなオプションも加えていただければ さらに初心者にとってありがたいと考える. また, 数種類の商用アプリケーションもインストールするのが普通であるので, インストールの最後に商用アプリケーションを指定して インストールできるようにした方が便利である.
KDE をインストールして大雑把に使用してみたが, 特に問題となるような点は認識され なかった. X の設定と使用も問題なく行え, 快適に使用できる. ただし, Login セッションで一般ユーザでもシステムをシャットダウン可能であることは問題であると考える. やはりシャットダウンは root のみに権限をあたえるようにすべきで, login セッションにはそのような機能をつけないようにしてもらいたい.
大きな問題ではないのだが, インストール時にタイムゾーンを日本に合わせたがなぜか米国の時間を表示してしまった.
KDE のツールは多数そろっているので一般的な作業で困ることは無い. 特にゲームの種類が豊富でこれらのゲームのみで楽しめる点は Linux の普及に大きく役立つであろう. しかし, ゲームの一部が動作しないのはいただけない.
ソフトウエアの管理には Storm パッケージマネージャが用意されている. これまで Debian 系のディストリビューションではソフトウエアの管理が初心者には難しかったが, GUI を用いた本方式を用いれば簡単にソフトウエアの管理が行えることは評価に値すると考える. また, ユーザ登録・管理やネットワーク設定には Storm 管理システムが採用されている. こちらも GUI を使用して種種の管理が一元化されているので, 管理が一般に面倒である Linux の運用が簡単になると考える. これら二つの管理システムは, Storm Linux の大きな特長であり, 満足できるものである.
商用ディストリビューションの大きな特長は, 豊富な商用ソフトのバンドルである. 本ディストリビューションにも多数の商用ソフトウエアが採用されているが, 一部デモ版であることが残念である. 特に StarOffice の完成度は高く, マイクロソフトのオフィス製品群を意識してか, その使用感もオフィスの製品に近いため, 特にマニュアルを読まなくても簡単に利用できる. 今回は英語版の使用のみであるが, 日本語版を使用してみたいと思わせる製品である. もし, 日本語版が使用できるのであれば個人的にはマイクロソフトの製品を使用しなくてもいいかもしれない.
上記使用感ならびに商用アプリケーションの部分で述べたように, Storm Linux の使用感は上々であり他の商用ディストリビューションと比較しても大きな問題は無いと考える. しかし, インストールの部分で多少工夫をさらに加えてもらえると初心者にとってありがたいといえる. また, 今回日本語版ではないので, 日本語環境を評価することができなかった. 日本語に関しても何の設定も無く問題なく直ぐに使用できることが望ましいので, 商用ソフトウエアの日本語対応と併せて日本語環境を整備したディストリビューションを出荷していただければ, 日本での普及も可能であると考える.
- Linux の使用歴
- 4 〜 5 年位
- UNIX の使用歴
- 10 年位
- Linux Box の主な用途
- 趣味のプログラミング, その他
- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- 無し
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- 職場 Linux : WindowsNT 4:6
自宅 Linux : Windows95 9:1- 評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- 自作機 CPU: PentiumPro 150MHz
Memory: 96MB
Video: CreativeLab 3D Blaster Banshee
HDD: 3GB
NIC: 3Com 3c509b
顧客先に Linux をサーバとしてシステムを提案しても, 「Unix (Linux) は管理が難しい. WindowsNT Server にしてくれ」と言われる事が有ります. 「WindowsNT だと, 設定しようとするサービスが良く解っていなくても, ウイザードに従いパラメータを入力していけば, とりあえず設定出来, 正常動作する」.しかし Unix (Linux) だと, 「英文マニュアルを熟読し, vi エディタでパラメータを入力しなければならない」と思っている人もいるようです. 本質的には OS が何であろうが, サービスを理解・設定する事には大差無いと思います. しかし設定・管理を支援し, ミスを少なくするための仕掛けは有った方が良いと考えます. そこで今回は, システム設定・運用管理を行なう為のツールを念頭に置きレビューを行ないました.
StormLinux2000 standard edition (英語版) のパッケージ内容は以下の通りでした.
インストール自体は非常に簡単で, ハードウェアも自動検出するようです. まるで Windows をインストールしているような感覚で行なえました. しかし, 今回レビューに使用した環境では, インストール後に以下の設定が必要でした.
XFree86 3.3.5 では Banshee をサポートしていたように記憶していたのですが, Card List に載って無いので, インストール後に XF86Config を修正することにより対応しようと考えていました. しかし, SVGA サーバをインストールする為に適当なカードを選択し, [Test Display] を実行すると, 何事もなかったかのように X が起動してしまいました. 一応 インストール後, Banshee に合わせて XF86Config を修正しました.
ネットワークカードは 3Com の 3c509B なので, 当然自動認識するだろうと思っていたのですが, うまく認識してくれませんでした. これに関しては, /etc/conf.modules へ alias eth0 3c509 を追加することで解消しました.
また, インストール後に気がついた点としては,
Time Zone を Japan/Tokyo と設定したにも拘らず,
時間が 9 時間進んで表示されてしまいました.これは,
/etc/default/rcS の GMT="-u"
を GMT=""
へ修正することで正常に表示されました.
Storm Linux 独自のシステム管理ツールには, SAS (Storm Administration System) と Storm Package Manager が有ります.
SAS は 各管理モジュールと SIL (Simple Interface Language) を使い MID (Module Interface Deamon) を介して SAT (Storm Administration Tool) で操作を行なうものです.
現在 SAS の管理モジュールには,
の 3 種類が用意されています.
このツールの使用感は, Windows でネットワークの設定をしたことの有る人なら, 問題なく使用できると思います. しかし何故か今回の環境では SAS のヘルプが表示されず, 空のダイアログだけが表示されるような状況でした. また, 現在は管理モジュールの数が少なく, SAS で管理する項目を増やす必要が有ると感じました. この問題に関しては, 今後 SIL を使ったモジュールの作成方法や SAS の情報は公開されるそうなので, 管理モジュール数が増えて行くと思われます.
Debian で余り評判の良くなかった dselect に, GUI インターフェースを付加した様なツールです. Debian のパッケージを GUI インターフェースで追加・削除が行なえる様です. しかし理解が浅いまま操作していたら, 画面のパッケージ一覧に何も表示されなくなってしまいました. このあたりは日本語化されると理解しやすくなると期待しています.
SAS や Storm Package Manager 以外にも Debian (KDE?) のシステム管理ツールと思われる物が多数インストールされていました. いくつか目についたものは,
起動時に PC 内蔵スピーカから「Storm Linux 2000」と喋る事や, ログイン画面が kdm で背景が非常に綺麗であったりと非常に「使ってみたくなる」ディストリビューションだと思います. しかし Storm Linux の特徴であると思われる SAS の管理モジュールが現状では少なく, 早急に増やしていく必要を感じます.
- Linux の使用歴
- 6 〜 7 年
- UNIX の使用歴
- 13 年
- Linux Box の主な用途
- ・家庭内および職場のサーバ用途
・手元のノート PC での利用 (メール/ドキュメント作成ほか)- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- 現在は無し
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- 自宅では Linux:Windows=100:0
会社では Linux:Windows=20:80- 評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- [box1]
・ベンダ名 自作 (マザーは tekram)
・ CPU Intel Celeron 300A Dual
・ MEM 256MB
・ HDD EIDE 9GB + SCSI 2GB
・ NIC Intel EtherExpress Pro 100B
・ VGA NVidia Riva TNT
・ SCSI SymBIOS 53C875 互換
・ SOUND Sound Blaster 16
・ CD-ROM Hitachi GF-1000 (ATAPI DVD-RAM)
[box2]
詳細仕様はhttp://www.hitachi.co.jp/Prod/soft1/linux/r52/mac7.htm
・ベンダ名 Hitachi FLORA 220FX
・ CPU Intel PentiumIII/450
・ MEM 128MB
・ HDD 6GB
・ NIC Intel EhterExpress Pro100
・ VGA Trident Cyber 9525DVD
・ SCSI なし
・ SOUND 内蔵 YMF744
・ CD-ROM 内蔵 ATAPI
私は Slackware (Plamo) と Vine を主に使用している. Slackware は昔から使って慣れ親しんでおり, 主にサーバ用途のマシンで使っている. Vine はほとんどの環境が楽にキチンと揃うことで主にクライアント用途として選択している.
今回, 以前トライして断念した Debian GNU/Linux の新星である, Storm Linux のレビューをさせていただく機会を得た.
2 台のマシンで動作確認を行った. 最初にインストールしたのはもともと redhat6.0 をインストールしてあった Celeron Dual SMP マシンである. このマシンは一般的な CD-ROM ドライブではなく,ATAPI DVD-RAM ドライブを搭載しているが, 難なく CD-ROM メディアからブートさせてインストールを開始することができた. グラフィックスカードは少し前までメジャーであった Riva TNT だが, 3 回試したグラフィックスインストールでは, CD-ROM からのファイルコピーの途中でハングアップしてしまった. そこでテキストインストールを選択してインストールを完了した. インストール直後の状態では Dual CPU の認識ができていないこと以外は, 各種インタフェースボードの認識は自動で行われている. 当然ではあるが, カーネルの再構築を行うことで Dual CPU は正常に動作した.
もう 1 台のマシンは, 最新仕様の Note PC である. こちらも内蔵 CD-ROM ブートで, 最初からテキストインストールを行ったが, 正常にインストールが完了した. Storm 標準の環境でサウンドデバイスだけは正常に動作させることができなかったが, X/NIC は問題なく動作している. 尚, 有償 OSS のお試し版 (連続 3 時間のみ無償で使用可能) では,サウンドデバイスも 正常に動作した.
インストール後のディスク使用量は, フルインストールでも redhat6.0 (英語版) と比較してかなり少ないものであった. 実際に, 普段自分で使用しているアプリケーションソフトウエアのコンパイルを試みたが, redhat のデフォルトではほぼ必要なライブラリがあるのに対し, storm 標準セットアップ状態では私が必要な各種ライブラリが入っていないという状況であった. これはディストリビューションの配布方針の問題であり, 悪いと言うわけではないが, デフォルトをどこに落ち着かせるのかという点で, アプリケーションソフトウエアの選択肢が多いことが特長である Debian GNU/Linux ベースでの悩みかも知れない
インストールしてしまえば, 当たり前であるが普通の Linux box である. デスクトップ環境は KDE と GNOME (Enlightenment) が選択でき, 主に使っている Vine との違和感はない.
過去に dselect で疲れはてた経験があったので, Storm の謳い文句の一つである Storm Package Manager に期待して, 不足しているソフトウエアの インストールを行ってみた. dselect が GUI になった程度であるが, 確かに直感的に分かりやすくなっている. インターネット接続環境で何をインストールしたいかが明確な場合は Debian のメリットが享受できる非常にありがたい環境であると感じた.
しかしながら, アプリケーションソフトウエアの選択肢が豊富すぎる上に, 「こういうソフトウエアがある」 というつくり手側から見た分類/ 知っている者向けの作りになっているという印象を受ける.
例えば, 各種ソフトウエアが Optional, Required, Important, Standard, Extra, No priority と言うように分類されており, さらにその中に games, x11, libs, web, admin...などと 細分化されているが, 初心者はこれをみても何を入れれば目的が達成するのか, 見当がつかないような気がする.
これは Storm の問題ではなく, Debian のパッケージ分類の問題である. 非常に難しいと思うが 「これがしたいときにはこのソフトウエア」 と言う目的指向の分類ができればかなり取っつきやすいものになると考える. また, 今後裾野を広げていくことを考えるのであれば, 初心者がみて良くわからないパッケージの細分化をやめて (デフォルトで見えなくすることでもいいと思う), 大分類にすることでもかなり改善できるのではないかと考える.
自分でインストールすることを習慣にしているソフトウエアに関しては /usr/local 配下に配置することで問題なく使用できた. 今回, このレポートを書いているのも Note PC にインストールした Storm Linux 上に Xemacs と Mew をインストールした環境である.
日本語版 Storm Linux が出荷されたときには, 日本語関係の アプリケーションソフトウエアがインストールされており, すぐに使用できる 環境になっていると期待している. その上で更に, Vine の X 環境のように, 各種環境に関しても 日本語環境向けにカスタマイズされて出てくれば私のデフォルト 環境として使えるなと感じた次第である.
- Linux の使用歴
- 1 年半
- UNIX の使用歴
- 5 年
- Linux Box の主な用途
- Storm と KDE の評価 (ほか特に無し)
- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- FreeBSD 3.3R
- 評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- Pentium 166MHz
ASUS P55TP4N (Triton)
64MB memory
S3 968 videocard
Tekram DC-390U SCSI interface (SYMBIOS 53C875)
Dec DC21140 based FastEther Netcard
1GB SCSI HDD
x4 SCSI CD-ROM
No IDE disks (kill IDE port on BIOS)
ぱっと見た所, まずパッケージがかっこいいと感じました.
中の Document はそこそこ当たり障りのない内容ですが,
デバイスに関することや,
ファイルの格納位置についての説明があれば良いと思いました.
次はインストーラーです. 前評判が高いので, ここを楽しみにしておりました.
インストールは CD-ROM 起動で進行しました.
途中, マウスの自動認識をするところがあり, それは良いと思います.
インストーラーはそつ無く作られてはいるが,
見た目が良い以外はあまり見所のない物でした.
graphicmode に入ると, 質問は最少で,
標準の物はわずらわしい設定無く入る様に
なっておりました.
これは賛否両論ある所ですが, 私はこのパッケージの位置づけとして,
良いことではないかと思います.
apt-get があることでその後の自由度を確保しているように見えます.
他の Dist にない拡張性など良い所は, apt-get で賄っていて,
それ以外は他とあまり変わらないように見えました.
この度, Storm のインストーラーの出来が良いという事で,
Caldera の対抗馬として見ていたのですが,
ストレスの無い進行をする Caldera の方が良いと思いました.
ところで, 私の環境では, インストール後の再起動で,
SCSI デバイスを全く認識しないため, マウントが出来ずにストップしました.
ここでさっそくサポートを受ける事になってしまいました.
Stormix 社さんの,
国際電話とカスタムカーネル送付という非常に献身的なサポートのおかげで,
なんとか SCSI デバイスが扱えるようにはなりました.
βを扱った他の方々の話ですと,
IDE のシステムではこれといった異常はないとの事で,
SCSI での利用に限った話だと思います.
特に, Adaptec78xx 系と SYMBIOS53c8xx 系ぐらいは,
代表的な SCSIコントローラですので,
ノントラブルで扱えるようにして頂きたいと思います.
FrameBuffer 利用のオープニング画面や,
スピーカーより声がするのはかっこいいのですが,
もう少しドライバ周りの点検を行って欲しかったと思いました.
今後は, この点を踏まえて, 起動時に SCSI ドライバの選択,
付け外しが出来るように改良したいというお話でしたので,
次回作は是非ともそうして頂きたいと思いました.
全体的には, 凡庸に見えるが実は拡張性がありトータルバランスがよく取れた OS との印象を受けました. もっと基本ドライバの選定をしっかり行って頂ければと思うと残念に思います. 次回作に期待しています.
今後気になる点としては, Storm オリジナルなパッケージが増えるなどした場合, Debian パッケージとの棲み分けはどうなるか, というのがあります.
最後になりましたが, 中島さんをはじめとする Stormix 社の皆様, 大変お世話になりました. 今後ともよろしくお願い致します.
原稿未着