Official Red Hat Linux 6.1 改訂 日本語版 レビュー記事

[ ソフトウェアレビューコーナー 目次 ]

レッドハット株式会社様のご厚意により, Linux ディストリビューション, "Official Red Hat Linux 6.1 改訂 日本語版" を ソフトウェアレビューコーナーあて ご提供いただきました. この製品のレビューをして頂くべく, Linux Users ML において公募を行い, これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.

ここに, レビューアの方々に書いていただいたレビュー記事を公開します.

レッドハット株式会社様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.


Reviewed by 馬場慎一(mu-mu-@pop01.odn.ne.jp) さん

「インストールは簡単だけど、設定の簡便さや設定失敗の際の再設定に不満」

Linux の使用歴
1 年半
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
UNIX system の勉強
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows95OSR2.5
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Windows : Linux:Mac = 10 : 2 : 1
評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
1. Mother Board P6SBA (440BX) SuperMicro
2. Pentium II / 400MHz Memory 128MB
3. CD-ROM CD-1632 (32 倍速) TATUNG
4. HDD WDC AC36400L (6.4GB) WESTERN DIGITAL
5. VGA AGP V2740 ASUS SOUND SB16 CT4170 CREATIVE
6. SCSI ReX-PCI130 RATOC

以前 Slackware を入れていたんですが, RedHat5.2 の頃から RedHat にうつりはじめ, 去年の年末, 雑誌付録の RedHat FTP 版を入れてから本格的にデスクトップ使用に向け勉強し始めました. 実際にはまり始めたのは最近なので, あまり詳しくはありません. i740 が XFree86 に正式対応するのが遅れたため, いままでは X の設定に手間取り vi や mule や Netscape などのアプリケーションを少し使っただけで, 終わってました. というわけで, 評価の基準は, 日本語版 RedHat6.1 (FTP 版) の first edition との使い心地の違いを,

という点から行っていこうと思います.

まず, インストールですが, グラフィカルなユーザ・インタフェースを用いてかなり簡単に行えると思います. ウィザード形式でインストールが進み, 以前のバージョンで正しく認識されなかった, キーボードや日本語 locale の選択もバグフィックスされているようで, 初心者でも問題なくインストール可能だと思います. また, 最初から日本語キーボードやタイムゾーンが選択されていて, 選ぶ手間がいらずインストールは簡単に行えると思います. しかし, キーボードに関しては下に書きましたが問題があり, 結局エディターを用いて設定ファイルを変更する必要があります.

次に日本語環境についてですが, 以前のバージョンでは .emacs ファイルによる設定が全くなく, 自分で書く必要がありました. ですが, このバージョンでは .emacs ファイルがあり, 日本語入力は設定されているようです. ただ, かな漢字変換ができませんでした. 初心者の立場から言わせていただけば, Canna や Wnn, ATOK に対応もして欲しかったです.

使ってみた感じではあまり負荷をかける様な処理をしてないため GNOME はきわめて安定かつ高速に動いてくれました. ただ, Linuxconf などの GUI は日本語で書いてあるのでわかりやすそうに見えるんですが, どう使っていいのかわからないので, マニュアルを充実させてほしいです.

ネット接続するのに初心者 (と言っても私がですが) 使いやすいそうに思えた Dialup Configuration Tool を使って PPP の設定をしたんですが, このツールを使って設定をしている最中 一カ所間違えただけでクラッシュしましたという表示が出たまま PPP 接続はできませんでした. 再インストールして, 今度は慎重にウィザードに従って設定したところつながりました. クラッシュ後に Linuxconf の方で設定してもよくわからない英語のエラーメッセージがでて, 変更できませんでした. 初心者には再インストールしか道がありません. 英語は読めるんですが, Linux の知識が足りなくてエラーメッセージも何のことを言ってるのか分からないということが多々あります. この辺は以前のバージョンと何ら変わりありません (私が成長してないともいえますが). もうちょっと日本語化していただきたいところですね. この辺がクライアントとして使うにはまだまだ敷居が高いと考えられます. たとえ間違った操作をしてもクラッシュしないように作る, またはクラッシュしても元に簡単に戻せるなどの処置が行われないとライトユーザーが多い Mac や Windows などのクライアント OS の代わりとして使われることはないと思います.

X の設定は XF86Setup が日本語化されたことにより難なく設定できます. 私の環境ではなぜか XF86Setup の「キーボード」の設定の「レイアウト (言語)」のところで Japanese を選ぶと XF86Setup が強制終了してしまうという現象が起きました. 結局 XF86Config をエディターで修正する必要があります. またインストールの際の X の設定で高解像度を選んでインストールしても反映されないため XF86Setup などで解像度を変更する必要があります. これも解消してほしい問題です.

総評

オンラインマニュアルが日本語化されてない点が気になりました. Linuxconf などには日本語版の詳細なマニュアルを付けて欲しいものです. マニュアルはついていますが, 英語版を日本語で解説したマニュアルですし, まだ整合性がとれてないという感じです. 感じとしては初心者にはまだまだ敷居の高いディストリビューションだなという 印象を受けました. 何となく使って使えてしまうようなものを求めている人, 最初からある程度設定ができている環境を望む人にはまったく向かないと思います. 別売りでもいいから, オフィシャルの解説本が欲しいところですね. クライアントレベルで使うであろうソフトと 設定に関する詳細な解説本があればいいと思います.


Reviewed by 福島貞男 (sadao.fukushima@nifty.ne.jp) さん (HomePage)

「大変扱いやすくなったと思います」

Linux の使用歴
ほとんど無し. 以前 FreeBSD 2.2.x を半年ほど.
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
自宅での個人用ファイルサーバー, 趣味のマシン
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows 98 とデュアル 1 台, Windows NT4 とデュアル 1 台, Windows 2000 とデュアル 1 台
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Win NT4 : Win9x : Linux = 5:3:2
評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
自作マシン 3 台 (詳しくは上記 URL に書いておきました)
Cyrix M2-433 + Mem128MB + HDD はいろいろ + Planex FNW9700
Cyrix M2-300 + Mem128MB + HDD はいろいろ + AI.Blain FEPCI-RX
Cyrix M2-233 + Mem32MB + HDD はいろいろ + corega PCI-TX

1, インストール

標準サポートのデバイスも多くなったため, インストールは非常に楽です. 結構マイナーな Initio の SCSI H/A とか, Mylex DAC960 なんていう RAID カードまで標準でサポートされていますし, NIC に関しても DEC21x4 は当たり前として, VIA VT86c100A, RTL8139 なんていう安いカードによく使われるチップまでサポートになってます.

製品版は CD-ROM 3 枚と, 起動用 FD が付いてきますが, 私の環境だけの話かも知れませんが, 付属の FD で起動してインストールしようとすると上手く行かないことがありました. 新たに CD-ROM 内のイメージからインストールディスクを作ると問題ありませんでした.

2, 全体の第一印象

以前 FreeBSD をいじってたことがあるんですが, 設定が大変だった記憶があります. それに比べると, XFree86 上で MS DOS の FD がマウントできたり, CD-ROM を入れると勝手にマウントしてくれたりで, ずいぶん親切になりましたね. もっともこれは XFree86+GNOME の機能なんでしょうけど. RedHat6.1 も改訂版になって, インストール初期状態で 106Key 選択が無効になるトラブルも解決されてました. 残念ながら X では, 初期状態で 101Key になってしまいますので, 手作業で修正しないといけません. どうせなら, ここも直しておいてくれるとありがたかったですね.

Linuxconf も日本語化されてわかりやすくなりました. 私のような Linux 初心者はコマンドもろくにわかってませんので, X 上で色々設定できるのは非常にありがたいです.

samba についても, 日本語改訂版から samba-2.0.5aJP2 が標準になり, 設定から各種説明に関しても日本語になりましたので, わかりやすくなったと思います. 基本的なネットワークの設定さえできる方なら, 個人使用のファイルサーバー程度なら, インストールから始めて 1 時間もあれば仕上がってしまうのではないでしょうか. つい数年前から見ると, 隔世の感がありました.

3, ちょっと困ったこと (1)

マニュアルが寂しいですね. 有償でも良いですから, もう少し詳しいマニュアルがあると助かります. 本屋さんで売ってる本は RedHat5.2 までなんですよ. 大して変わらないのかも知れませんが, 初心者にとっては違いがあるのかどうかさえわからないですから. また, 日本語化されているとは言っても, 細かいところでは英語になってしまいます. だいたい理解できる部分は英語でも良いんですが, Linux 独特の機能に関しては英語だとわかりにくいと思います. 私がメインに使ってるのは NT4 なんですが, 商用 OS だけあって, NT のほうがこの辺りはわかりやすいですね. エキスパートな方は, 逆にマニュアルいらないから安い方がありがたかったりもするでしょうから, マニュアル別売ってのがありがたいかも知れませんね. あるいは, 詳細なマニュアルをディストリビューターのサイトに置いてくれ てもありがたいですね. 雑誌の付録でなく製品版を買う意味って, おまけのソフトとかマニュアルが欲しいとかいう動機しか思い当たらないのは, ちょっと情けないかな….

4, ちょっと困ったこと (2)

ATI Rage128 が XFree86 3.3.5 で動きません (サポートしてないんだから当たり前). 色々試行錯誤の末, 何とか動きました. 詳しくは私のホームページに書いておきました. 実はフレームバッファを使う方法とか, XFree86 3.3.6 へのアップデートとかも試したんですが, 初心者の悲しさか, ことごとく失敗し, 唯一この手だけ成功したんです. 動いたときには嬉しかった〜. X が動いてしまえば, あとは内蔵モデムの設定も簡単にでき, あっさりとインターネット接続できました. 自宅のマシンの方は, ルーター経由ですので NIC さえ認識してもらえれば, 何も考える必要無くインターネットに繋がりました.

5, ファイルサーバーを立てる

Linux 導入の, 元々の目的は個人用ファイルサーバー作りなんです. クライアントマシンでは, 色々事情もありまして MS-Office が動かないとまずいんで Win 系 OS を動かさざるを得ないんです. ところが, パソコンの自作が趣味ですから, しょっちゅう組み替えしてますので, データー類だけは物理的にクライアントから分離して置ければ便利なんです. samba の設定ツールの SWAT が動いてしまえば, 実に簡単にファイルサーバーが構成できました. 昔の FreeBSD で作った時は大変だったんですけどね…. そういう意味で初心者にも扱いやすい仕組みになったんだと思います.

6, 感想

ファイルサーバーとして使うのを考えると, 圧倒的に Linux が有利だと思います. マシンパワーを要求されないし, クライアントから Telnet 接続すればほとんどの設定ができてしまいますので, モニターもキーボードもいらないですし. クライアントとして使うとなると, やっぱりソフトの問題が出てきますから Win 系 OS って事になるんでしょうね. 会社が標準の文書フォーマットを HTML とかにしてくれれば, Linux で困ること無くなるんですけどね….

おかげさまで, 最近の Linux は初心者にも扱いやすくなっていることに気が付きました. 関係各位の方に感謝いたします. どうもありがとうございました.


Reviewed by 池田智子 (i_mama@par.allnet.ne.jp) さん (HomePage)

「ドキドキして楽しかったです. Linux は思っていたほど難しくない!」

Linux の使用歴
1 年
UNIX の使用歴
飛び石で 2 年
Linux Box の主な用途
仕事
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Solaris Windows95/98 WindowsNT
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux:Windows = 1:2 徐々に増えています
評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
マウスコンピュータージャパン AMDK6 2-380 13G

1.導入

redhat Linux のレビュー記事を書かせて貰える. という話を頂き, 早速レビュー用に専用コンピューターを注文した. 現在自宅には Windows 用のパソコンが 2 台あるのだが, やはりやった事の無いことをするのだから, 失敗の可能性もあるし, 今後の勉強の意味も含めて折角の機会であるから, というのが購入を決断した理由である.

本屋にて"7 万円で組み立てる Linux サーバー"という書籍が売られていたが, 今回はもっと安い. 300 ドルパソコンを選択し注文を出した. マウスコンピュータージャパン (http://www.mouse-jp.co.jp/) にて販売されているパソコンを選択した. 注文してから納品まで 40 日以上かかり, 何とレビュー記事締め切り 4 日前にてギリギリ到着. OS も何も入っていないシンプルなコンピューター. 箱を開け, 早速インストールを開始した.

2. インストール

何しろ Linux のインストールは生まれて初めての事であるから, 一つ一つ, インストレーションガイドを指さしながら進める. 心配していた様なことは全く無く, Windows のインストールの様に全部リターンを押していれば終了する. というまでの手軽さでは無いが聞かれる質問, 質問に落ち着いて答えていけば問題はありませんでした.

インストール時の大きな決定として, ワークステーションとしてインストールするか, サーバーとしてインストールするかがありますが, 筆者は折角ですので両方やってみました. ワークステーションの方は全く問題無かったのですが, サーバーの方が, 今回使用したマシンのメモリが 32M であった為, メモリ領域が足りず, "スワップエリアを作成します" というメッセージが出力されて来ましたが, それ以上変わったメッセージは出力されず, インストールは完了しました.

又何も知らず Windows マシンと同居して サーバーマシンの設定を行った場合, ハードディスクのパーティションを全て削除して領域を確保するというから, インストールを終え, 解説を読んだ後で, 専用マシンを買っておいてよかったと思いました.

2.1 パスワード設定

うっかり引っかかってしまったのがパスワード設定でした. 6 文字以上という事を知らなかった為, 何度も入力し直してしまう事がありました. 常識的な事なのかもしれませんが, インストールガイドなどにも一言書いておいていただけたらなと思いました.

3.システム設定

あっという間にインストールが終了したので, 今度はシステム設定へ, Linuxconf を起動してユーザーアカウントの追加や削除を行った. GUI であるため Linux という気がしない. そして簡単でした.

4.商用アプリケーションのインストール

redhat Linux のパッケージを見て驚いたのは, 同梱されている商用アプリケーションの多さである. 日本人には毎度おなじみ ATOK12 SE Linux 版, 一太郎 Ark for JAVA, dp /NOTE for Linux, など初心者にとてもありがたいソフトが並んでいる. これはお世話にならなくては・・・と早速インストール. これらのソフトのインストール方法も インストレーションガイドに説明されているので非常に便利でした.

5.今後

折角専用マシンを購入したのであるから, 今後は自分で Internet Server を立ち上げ, 現在レンタルサーバーに置いている自分のドメインを移動させたり, 折角環境ができたのだから, Linux ベースのソフトウエアの開発などもやってみたいなと思いました.

又クライアントバージョンとサーバーバージョンが同梱されている為, 別に購入する手間が必要ないこと, ソフトウエアが充実していること (何と 100 本も格納されているという!) など, もっと使いこなして行きたいと思います.

Linux のインストールは初めてであったので, パッケージを開け, ブートディスクを入れるまで "本当に私に出来るんであろうか" と心配でした. インストール本なども一切購入せずに 付属のインストールマニュアルのみで大丈夫なのだろうか? と. インストールしていくうちにそれが杞憂と分かり, 感動でした. 初心者が書く物であるので, 上級者の方には全く参考にならないレビューであったかもしれませんが, その点最後にお詫びしておきます.

このような機会を与えて頂いた関係者の皆様本当にありがとうございました. やっていて本当にドキドキ楽しかったです.


Reviewed by 中野潤也 (emuaru@sol.dti.ne.jp) さん

「細かいが, 気になる点が多数ある. 全体としてはそれなりに良い」

Linux の使用歴
1 年
UNIX の使用歴
なし
Linux Box の主な用途
プログラミング
ネット
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows98
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Windows98 : Linux = 5 : 5
評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
CPU:K6-2 (300)
メモリ:96M
ハードディスク:4.3G (Windows) + 3.2G (Linux)
ビデオカード:Spectra 3200R2 (RivaTNT) + Video Port 600
LAN:LGY-PCI-TR (MELCO) + NetGenesis4 (マイクロ総合研究所)
モデム:外付けモデムを NetGenesis4 のシリアルポートに接続している

Linux を使い始めて 1 年くらいしか経過していない私がレビューをするのは, 少々偉そうな気がしますね. 素人っぽい考えがあるかもしれませんがご了承ください.

インストール

いままで Vine Linux を使っていたので インストールに関しては問題なく行けるだろう, と考えてインストール作業を進めて行きました. マニュアルと見比べつつ順調に作業をしていたのですが X の自動認識でビデオカードが「Riva128」と認識されました. 「手動設定」の項目もないしマニュアルにも載ってない. ちょっと途方に暮れましたが X の設定を無視してそのまま次に進みました. あとのハードウェアは問題もなく認識されインストール終了.

再起動後, コンソールで「Xconfigurator」を使って無事 「RivaTNT」の認識に成功したのですがマニュアルには「Xconfigurator」 なんて一言も書いていないし, もし「Xconfigurator」の存在を私が知らなかったら, そこでレビュー終了・・・なんて事態になっていたかもしれません. 知っていて当然の事なのかもしれませんが, せめてマニュアルに「設定ツールコマンド集」でも書いておいてほしいと考えました.

あとは, X のキー配列が 101 配列だったのを修正して問題クリアー.

使い心地

インストールが終了し, まず「Update Agent」を試してみようと考えて RedHat の HP からユーザー登録をして「Update Agent」を立ち上げて 設定をしていると, ふと「マニュアルと画面が少し違う」事に気がつく.

多分マニュアルの修正が間に合わなかったんだろうと思い, 素直に画面の要求通りに入力をする. そして, 無事アップデート終了. 手動でアップデートする事に比べて実に便利で楽だったので, この機能は素晴らしいと思いました. (マニュアルの不備さえなければ完璧だったのに残念)

次に「ATOK12 SE」のインストールを試す. マニュアルに書いてある指定の場所には「.tar.gz」ファイルなんて存在せず, その代わりに「.rpm」があった.

「.rpm」を使って簡単にインストール出来るのは実に嬉しいのですが, こうもマニュアルと実際とで差があると納得がいきません.

ただ, 実際問題として「改訂版」ということで, それ以前のバージョンに比べて作業的に楽になったのは評価出来ることと思います.

以前使っていた「Vine Linux」では「kernel」と 「glibc」のバージョンが 古いと思い試していなかった「Video for Linux」を使ってみたいと思い, HP の情報を見つつ試していたのですが見事に出来なかった. これは別に「RedHat」が悪いわけではなく私の持っている 「Spectra 3200R2 (RivaTNT) + Video Port 600」 というビデオカードでは無理という結論に達した次第です.

この辺は, 勉強不足の自分を恥じるばかりという結果でした.

あと, JDK の最新版を使えるようになったのも嬉しい. プログラムに関しては「emacs」が使えればそれでいいので, 全然問題は発生しなかった.

全体的な感想

いままで「Vine Linux」を使っていたので, どうしても「Vine Linux」と「RedHat」を比べてしまうのですが, 日本語化という点においてはまだまだ「Vine Linux」が上だと思いますが, 最新のライブラリを使用している点においてはすごく嬉しいです.

現状では私のような初心者が「RedHat」をサクサクと使うには短時間では無理で, 時間をかけて試行錯誤しつつ試さないとなかなか使えないので, その辺が辛いと言えば辛いです.

それでも, 細かい点に関しては多々不満がありますが, 設定等に時間がかかるだけでおおむね普通に使うことが出来たので, あとはマニュアルや日本語ドキュメントがしっかりしていれば 十分に使いやすくなると感じました.


Reviewed by 永安 悟史(snaga@oak.forus.or.jp) さん

「商用であることを活かしきれていない」

Linux の使用歴
約 4 年
UNIX の使用歴
約 4 年
Linux Box の主な用途
研究, プログラミング, 日常作業 (メール, Web), 他
Linux Box に載っている Linux 以外の OS
Windows2000 Professional RC3
Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
Linux : Windows2000 = 99 : 1
評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
Celeron 400MHz, RAM 128MB, HDD 21GB, NE2000互換

私の場合, Linux を初めて使ったときから, Slackware, RedHat, Vine, Laser5 と使ってきましたが, 既にディストリビューションをいろいろ試す時期は終わり, 不便がない限り乗り替えないようにしています. というのは, 自分の今使っている環境を白紙に戻してまでディストリビューションを入れ替える意味は, 私にはないからです. 日常的に使っているので, この環境が使えなくなるのは非常に困るのです.

今回, 日本語 RedHat6.1 を試したのは, glibc 2.0.7 ベース (英語版 RedHat5.2) である自作 AT マシンをそろそろアップグレードしないと, 自分の中で若干面倒なことになりつつある (VAIO N505EL には glibc 2.1 の Laser5 Linux 6.0 が入っている) からで, 実に二年ぶりのアップグレードでした.

ですので, ディストリビューションを入れた後, いかにすぐに自分のワークマシンとしての環境を整えられるか, 自分で入れるものが少なくてすむか, を中心に評価しました (特に日本語アプリケーションの完成度).

インストールは極めてスムーズに進みました. 基本的な流れは今までの RedHatLinux と変わりませんし, 日本語化されたグラフィカルなインストーラは, 見ていて安心感があります.

インストール後, サウンドカード (SoundBlasterPro 互換. もちろん ISA)を認識させるのに手間取りました. RedHat だけの問題だけではありませんが, このようなデバイスのリソースを GUI で編集できるようなツールが付属していると便利なのではないでしょうか. また, 設定作業が必要である, との記述がマニュアルにまったく無いのは初心者には辛いでしょう.

いくつか気がついた点を列挙します.

全体を通して気になったのは, 「商用版」であるメリットを活かし切れていない, という点です. 商用のディストリビューションであれば, 商用のアプリケーションを最初からインストールしてセットアップする, ということも可能だと思うのですが, このパッケージでは, ユーザーがマニュアルを見ながら自分でインストールしなければなりません.

今まで, 商用のアプリケーションを含んだディストリビューションを使ったことがなかったので, 商用のアプリケーションを含んだディストリビューションであれば, 商用のアプリケーションもデフォルトで完璧にセットアップされ, あたかもプリインストールマシンのように利用できるものと思っていたのですが, 商用とフリーの CD-ROM が分かれていて, 商用アプリケーションを自分でインストールしなければならない, というのは, 少々拍子抜けでした.

また, RedHat6.1 のオフィシャル版を購入する動機としてサポートが挙げられると思いますが, 今回, サポートの出来を評価するまでには至らなかったのが悔やまれます. 上記に挙げられた個々の不具合は, サポートの出来次第で緩和されるかもしれないからです.

さらに求めるならば, ユーザーからの質問や回答を KnowledgeBase として Web 上で公開していただけると, マニュアルに書いてないことがあっても自分で調べられるので, ユーザーとしてはありがたいのではないでしょうか.


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