レーザーファイブ株式会社 様のご厚意により,
Linux ディストリビューション,
"LASER5 Linux 6.0 Rel.2 デラックス " を
ソフトウェアレビューコーナーあて ご提供いただきました.
この製品のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
において公募を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々に書いていただいたレビュー記事を公開します.
レーザーファイブ株式会社 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
- Linux の使用歴
- 2 年 (+ 3 年のブランク)
- UNIX の使用歴
- 2 年 (+ 3 年のブランク)
- Linux Box の主な用途
- 暇つぶし?
- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- MS Windows98
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux : Windows98 = 3 : 2
- 評価に利用した Linux Box のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- Toshiba DynaBook SS 3010
CPU : MMX-Pentium 266 MHz
Memory : 64 MB
HDD : E-IDE 4 GB (うち Linux native 900 MB, swap 64 MB)
PCMCIA : corega PCT-T Ether card, SII MC-6550 PHS Card
ここ 3 年間, すっかりベタな MS Windows ユーザと化していた私が, なんの気の迷いか, 書籍の RedHat 5.2 のインストールにチャレンジしてみた. Linux Kernel が Ver.2 になったことも知らない素人だったが, 一応 Slackware の FD インストール経験はあるので, と安易な気持ちで取り組む. しかし, 手持ちの DynaBook SS では CD ブートはおろか, CD ドライブ認識さえできない. 頼みの HDD インストールも, インストーラがわがままなようで進まない. あぁ, \3,500 も払ったのに. . . と嘆く私に, LASER5 Linux 6.0 Rel 2 (以下 LASER5 Linux) レビュー担当 というラッキーなお知らせが. そして重量感たっぷりの LASER5 Linux パッケージが届いた.
すでに手持ちの純正 CD は Linux で使用不可との情報を手に入れていたので, 素直に HDD インストールを行うことにした. DOS の XCOPY コマンドで, バイナリ CD のファイルを HDD にコピーし, CD インストール用ブートディスクで PC を再起動する. これで LASER5 Linux の HDD インストールができる.
最近は CD インストールができない場合は NFS インストールが定番なようだが, 個人レベルでは HDD インストールの容易さは魅力的に感じる. しかし, LASER5 同梱のインストールガイドでは, HDD インストールについての説明はなかった. せっかくだから, と, 試しにインストールサポート権を行使する. 日曜の夜 (週末はサポートもお休み) に Web 上から「CD インストールができません!」と ぶしつけなメールを送ったが, 丁寧なインストール方法説明メールが来た. 回答を得たのは火曜の昼だった (月曜はメールが溜まって忙しいのだろうか).
インストール種別は, ディスク容量の制約があることと, 自分の性格的なものからカスタムを選択. パッケージ選択時の説明は日本語化されていなかったので, 付属のインストールガイドの rpm パッケージ一覧の説明文 (日本語) と見比べながら作業を進める. このパッケージ一覧には, ワークステーションインストールや, サーバインストールで展開されるパッケージも示されているので, 取捨選択の際になにかと参考になった.
インストールガイドについては, 画面イメージを示しながらの説明ではあったが, 上手くいかない場合の対処法などの記述が不足している気がする. もっとも, その不足分をカバーする意味で, インストールサポート権がついてくるのだろう. 初心者にとっては, こうしたサポートは安心感があってありがたいものだ.
LASER5 のロゴも鮮やかな gdm の画面が立ち上がった. これで晴れて LASER5 Linux user, というわけにはいかない. なぜなら, 製品版の特権として, いろいろなオマケ? が同梱されているからだ. 最新カーネルや収録に間に合わなかった rpm パッケージの Contrib CD, Wnn6 や AcrobatReader 4 などの商用アプリケーションを収録した Product CD などがある.
残念なことに, インストールガイドにはこれら製品版特有のパッケージについて 記述がない. 個々の CD, パッケージごとにマニュアル・ガイドが分散していて, インストールガイドとしては不満が残る気がする. これらのパッケージも LASER5 Linux としての大事な特色ではないのだろうか. デラックス版という名称が単なるパッケージの寄せ集めを意味するのでは 少々さびしい.
私の Note PC では PCMCIA もすんなりと認識してもらえなかったので, HOWTO や Web-site から情報を集めて, 格闘することになった. 手持ちの PCMCIA カードが比較的新しいものばかりなので, 付属のマニュアルやドキュメント CD (若干情報が古い気がする) は役に立たなかった.
幸い, Linux の情報は Web や ML, ドキュメント群などかなり豊富だし, 必要な人には, 若干の追加料金でテクニカルサポート権が得られるようなので, 金かヒマのどちらかあれば, これもまた安心ということだろうか.
普通にインストールしたので, LASER5 Linux は GNOME の画面になっている. 大昔は, まず twm + xterm のさびしい画面だったが, すっかり派手になったもんだ. ちょっと MS Windows 風のデザインは気にいらないが, デザインの変更は容易にできるので まぁよしとしよう.
しかし, B5 Note の SVGA 画面で GNOME は, 画面が狭苦しくていやになる. XGA, いや SXGA 級の画面が欲しいところだ.
さぁ, これから何をしようと考えると, やはり最初はインターネット (なんだか恥ずかしい響きだ). ブラウザはばっちり日本語化された Netscape が入っている. これがごくたまに落ちるのは御愛敬として, やはり日本語フォントが読みにくい. IE 5.0 と同じ HTML ファイルを表示させて比較すると, 差が歴然としてしまうのは残念だ.
Linux といえば, 開発環境がそろっていることが昔からの大きなウリだ. Sun の JDK 1.2 が入っていないか期待していたが, 時期尚早だったか, 収録されていたのは JRE だけだった (Java2 と書いてあったので期待してしまった). 代わりに Java のフリーの開発環境として有名な, Kaffe や Guavac が収録されているが, いずれも JDK 1.1 互換なので, 次のリリースで JDK 1.2 が収録されることを期待したい.
ちなみに, 製品にはユーザ活用ガイドと システム管理ガイドの 2 つのマニュアルがある. 前者は 事実上 GNOME 入門, 後者も半分は Linuxconf 解説書のようになっているが, 世間には Linux の入門書も数多くなっているので, これはこれでよいのだろう.
本屋にいけば \1,000 〜 1,500 程度で各ディストリビュータの ftp 版 CD 付雑誌が 手に入るこの御時世, 果たして \10,000 近いお金を払ってわざわざ LASER5 Linux の パッケージを買う必要があるのか? 私自身の気持ちとしては, 買って損はない, といえる.
LASER5 Linux の売りは, 初心者には安心なインストールまでのサポートがあること, 有償でテクニカルサポートが受ける権利を得られること, 豊富なパッケージがあるのでしばらくは飽きがこないことといったあたりか. もちろん, Wnn6 や ATOK などの優れた日本語 FEP が手に入ることもその理由である.
ただ, 1 ヶ月ほど LASER5 Linux を使って, LASER5 Linux の製品としての魅力を見つけることができなかった. 強いて言えば, ユーザサポートの存在が一つあげられるかな, というくらい. Red Hat と別れてすぐの製品だから仕方ないかもしれないが, もう少し, LASER5 の独自色が強くなるとさらに魅力的なものになると思う. 次の Version は Linux 2.4 ベースになるのだろうか, その時にはお金を払って買いたくなるような特徴を何かもって欲しい. 個人的には, Note PC 向けエディションを出して欲しいのだが.
- Linux の使用歴
- 約 6 年
- UNIX の使用歴
- 7 〜 8 年前に, MINIX を少々かじった
- Linux Box の主な用途
- プログラミング, ネットワークの勉強
- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- Windows98 (但し, Linux とは別の HDD にインストールしてある)
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux : Windows = 4 : 6
- 評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- 自作 PC/AT 互換機
マザーボード EPoX KP6-BS
CPU Celeron 300A (450MHz 駆動) x 2
Memory 128MB
HDD Maxtor 91360U4 (13.6GB)
NIC 3Com 3c905-TX
Video Card Matrox Millennium G200 8MB
SCSI Adaptec AHA-2940AU
Sound A-Open PCI Audio AW744S (Yamaha YMF744 chipset)
CD-ROM drive PIONEER DVD-103S (ATAPI)
DDS IBM model 3510 (SCSI)
Linux との出会いは SLS や Yggdrasil といったディストリビューションが有名だった頃で, LASER5 関連では, 最初の Linux + JE に遡る. Linux はプログラミングやネットワークの勉強用に使っており, ディストリビューションに関してはサーバ機, クライアント機共に Slackware ベースのシステムを使っている. 素直で使い慣れた Slackware も, 最新のバージョンでは日本語環境構築に手間がかかるようになり, クライアント機用に他のディストリビューションも考慮している矢先に LASER5 Linux の評価に参加できるという僥倖に恵まれた. 以下はそのまとめである.
今回の評価の為に HDD を 1 台用意し, 全て LASER5 Linux 用に割り当てた. そのため, System Commander Lite は使っていない. インストールは CD-ROM から行ったが, あっけないほど簡単に終わった.
「ワークステーション」「サーバ」「カスタム」 全てのインストールクラスを試してみたが, 作業は途中で入力を要求される事項を含めて迷うところはなかった. サポートされているハードウェアを使っていれば, 誰でもたやすくインストールできるのではないだろうか.
サウンドカードは Yamaha 製 YMF744 chipset を使ったもので, 標準添付の OSS/Free は対応していない. そこで商用の OSS (http://www.4front-tech.com/) をインストールした (注:これは自分で購入したもの). LASER5 Linux は Red Hat Linux と高い互換性があるということで, OSS に添付されている Red Hat Linux 向けの注意事項に従ってインストールしてサウンド機能を利用することができた.
国産のディストリビューションなので, 期待するのはいかに手軽に日本語環境が構築できるかということである. 結論から言えば, デフォルトで採用されている GNOME を始めとして, 日本語化に関しては特段の支障は感じなかった. 普段私が使っているソフトの範囲では, 日本語化の完成度の高さで定評のある Vine Linux と比べても大差はないように思われた.
日本語入力に関しては ATOK12SE と Wnn6 がバンドルされている. Wnn6 は以前使ったことがあるので, 今回は ATOK12SE を試してみた. Linux ではずっと Canna を使ってきたが, やはり ATOK の変換効率は素晴らしい. 武氏 (http://plaza.harmonix.ne.jp/~redstar/index.html) が開発している「えせかんな」 ( http://esecanna.netfort.gr.jp ) を別途入手して Canna 的に使えるように環境を整えてみたところが, これがまた快適であった.
その他, デラックス版ということで試用版も含めて多数の商用ソフトがバンドルされている. 全てを試してみることはできなかったが, 他の商用ディストリビューションでは見掛けないウイルス対策ツールなど興味深いものもあった. Linux で動作する商用ソフトを使ってみたいという人は LASER5 Linux は検討する価値が充分にある.
パッケージを開けてまず驚いたのは, マニュアルが充実していることである. インストールガイドとは別に, ユーザー活用ガイド, システム管理ガイド, その他のマニュアルやブックレットが付属しており, その豊富さには驚かされる. オンラインマニュアルも便利ではあるが, それを閲覧する為の環境と慣れが要る. また, ML や Web 掲示板, netnews といったネットワーク上のリソースは最新かつ豊富だが, ネットワークに接続できる前に躓いたら意味を為さないし, (質問する側のスタンスにも課題が多いのだとは思うが) 雰囲気や文章がとげとげしい所も少なくないように思える. 従って, 困ったとき, 躓いた時の最初の情報源として, 特別な準備や機材・技能の要らない, 紙の, しかも母国語で書かれたマニュアルが充実していることは大きな魅力である. 勿論, オンラインドキュメントに関しても, インストールされるテキスト形式文書の他, LaserDoc という形で用意されていることを付け加えておく.
無難に, 手堅く纏めてある, というのが使ってみての第一印象であるが, 幾つか要望もある.
まず, インストーラに関しては, 「前画面に戻る」機能があればより便利ではないかと思う. また, 実用上は全く問題はないが, 最近はグラフィカルなインストーラも増えているので, 「見栄え」の点で損をしているかもしれない.
マニュアルに関しては充実してはいるが, いささか GNOME 環境に特化しすぎているきらいがある. 例えば, デスクトップ環境は GNOME がデフォルトで採用されており, ユーザー活用ガイドにも GNOME 環境での操作が詳細に解説されている. その一方で KDE や他のウィンドウマネージャに関しては殆どといって良いほど記述が見当たらない. また, ターミナル (コンソール) 画面での操作と基本的なコマンドについても触れてはいるものの, gEdit があるためか, 他のテキストエディタに関しては名前しか登場しない. 確かに GNOME は素晴らしいデスクトップ環境であるし, 基礎としてひとつの環境をしっかりと解説するというのはひとつの見識だと思うが, Windows とは違って, Linux には様々な選択肢や多様性があることを示す意味で, もう少し網羅的な記述になっていても良かったのではないだろうか.
Slackware に慣れきった身には SysV Init の仕組みや chkconfig, ntsysv などの管理ツール, rpm の厳格なパッケージ管理には戸惑うこともあったが, じっくり取り組んでみると便利なものであることは感じられ, 良い勉強になった. 最後に, このような評価の機会を与えて頂いた関係各位に感謝の意を表して終わりとしたい.
- Linux の使用歴
- 4 〜 5 年
- UNIX の使用歴
- 10 年以上
- Linux Box の主な用途
- サーバ (mail, news, web, samba)
X server
client (mail, news, web)- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- FreeBSD, WindowsNT (両方共 VMware 上で動作)
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux:other = 90:10
- 評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- 自作 ATX 機 (M/B: ABIT BP6)
CPU celeron400 Dual (450MHz 動作)
Mem 192MB
HDD 20.2GB (SCSI) + 4.3GB (SCSI)
NIC バルク (DEC 21140AF)
私が初めて買った Linux パッケージは LINUX+JE4 で, 横浜の LASER5 (既に無い…) にて購入しました. これは LASER5 が出していたパッケージで, Slackware 3.0 と JE 0.9.x が入っていました. そのパッケージを見ると 1995/12 と書いてあります. もう 4 年になるのですね. \6,800 でした.
LASER5 Linux 6.0 スタンダードが \6,800 ですから, 当時の事を考えるとかなり安く Linux が手に入るようになったと思えます. しかも, 当時はペラペラのインストール説明書しか付いていなかったのに, 現在は立派なマニュアルが付いていて驚かされます.
さて, 私は現在会社で TurboLinux 4.2J (雑誌版), 自宅サーバにいただき物 [*1] の LASER5 Linux 6.0 Rel.1, ノート PC に Vine 1.1 を使っています. そう, 全てタダの物です. 今回のレビューはこんな私が, 製品版とはそんなにイイ物なのか, そして配布版がインストールされた状態から, 製品版への移行がスムースに行えるかという観点で実施しました.
*1: ylug の中華街宴会にて LASER5 の方より配布されました. 多謝.
アップグレードに関する情報は, 「LASER5 Linux 6.0 Rel.2 リリースノート」に載っていました. これによると「基本的にアップグレードは推奨されない」との事です. いきなり躊躇してしまいました. しかしそれは無いでしょう. 営業努力のかいあってか, 雑誌はおろかマザーボードにまで LASER5 Linux が付いて来る時代です. それらを試して, 「では製品版に移行しよう」などと考える人を受け入れる事ができないではありませんか.
推奨しないとはされていますが 2 種類のアップグレード方法が用意されています. 一つはインストーラからのアップグレード, もう一つは手作業によるアップグレードです. (マニュアルではほんの半ページで紹介されている程度です)
手作業によるアップグレードは, rpm でパッケージをアップグレードする - つまり, 通常のパッケージ単位でアップグレードを行う方法と同じです. (パッケージの管理方法を rpm にしているディストリビューションでは, バグやセキュリティホールに対するパッチが出たり新しいバージョンが出たソフトウェアの更新用パッケージが ftp などで提供されます. それを Down Load して自分でアップデートします. また, 私のサーバも割りと更新してありました) しかし LASER5 Linux 6.0 Rel.1 から LASER5 Linux 6.0 Rel.2 への場合, それだけでは正しくアップグレードできないらしく, 整合性を取るためのスクリプトが用意してあります. これが手作業でのアップグレードにおけるキモのようです. それにしても, 膨大なパッケージの中から LASER5 Linux 6.0 Rel.2 で更新され, しかも自分が入れた覚えのあるものだけを手作業でアップグレードするなんて, 一体誰が行うというのでしょう. また, LASER5 Linux 6.0 Rel.1 のインストールでワークステーションとかを選択して, 何が入ってるかわからない人はどうすればいいのでしょう. そんなわけで, 多くの人が選択するであろう (推測) インストーラからのアップグレードに挑戦することにしました.
まず,アップグレードの事前作業として以下を行いました.
そして後は通常のインストール手順でブートします. インストールするパスの選択で, 「アップグレード」を選びます. しばらくして画面の右上のメッセージが, 「インストールファイルの検索」になり, そして「アップグレードパッケージの選択」に変わり, GNOME をインストールするか否かの選択画面となりました. 私は GNOME を入れている状態からのアップグレードなので, 勝手にアップグレードしてもらっても構わなかったのですが, とりあえず「はい」を選択しました. 次に「既にインストールされているパッケージと, 他に依存関係を満足させるためのパッケージが選択されました. アップグレードするパッケージを変更しますか?」と表示がありましたが, 何の事やらさっぱりピンと来ません. とりあえず, 「はい」を選択してみます. (せめて, 何と何がどうなのか情報が欲しい…) すると「グループの選択」画面になり, 多くのインストールするパッケージのグループが表示されました. 念のため確認すると, 既にインストールされているパッケージが選択された状態になっていません. これでは,アップグレードする必要が無いということなのか, インストールしないということなのかわかりません. 確か TurboLinux のアップグレード作業 (turbopkg) では, 既にインストールされているパッケージは [-] で表示されていた記憶があります. この手のツールは, 元をたどれば RedHat だと思うので同様の機能がありそうなのですが, 実際はどうなのでしょう. この後の作業は初期インストールと大差無いと思いますので省きます. そしてアップグレード作業は完了しました. 「了解」を選択して reboot しました.
reboot 後, 何やら welcome メッセージが出て, Hardware Discovery Utility が起動し, Welcome Sportster 33600 FAX/VOICE PC の設定画面になりました. ここでは Configure を選択しました. (後で調べたら, Checking for new hardware 時に呼ばれる kudzu というツールでした. この結果は /etc/sysconfig/hwconf に保存されるようです. LASER5 Linux 6.0 Rel.1 ではこのようなチェックはありませんでした)
そして動作確認をしました. 長くなるので, 以下にまとめます.
無事だったものは, どうやらこのあたりは今回のアップグレード対象では無かったようです. ざっと確認したところ, ほとんど変化は感じられません. おかげで, 「アップグレードした〜!」という充実感はありませんでした.
それにしても, 消え去った設定ファイルはどこへ行ったのでしょうか. インストーラからのアップグレードでは変更済ファイルの保存は行われなかったようですが, 以前 rpm -U で個別にパッケージのアップグレードを行った時は自動的に拡張子 (.rpmsave) 等を付けて変更済ファイルを保存した後, ファイルを更新していました. このあたりは統一して欲しいと思います. 統一できなくとも, どういったファイルをどこまでバックアップしておけば, アップグレード後の更新が素早く行えるのか, 明記して欲しいです.
そんなわけで, LASER5 Linux でのアップグレードは Unix 系のソフトウェアに知識の無い人にとっては, かなり注意が必要と感じました. ただし, 私は linuxconf をほとんど利用していませんし, linuxconf を利用した場合については検証していません. linuxconf を使う人は問題なくアップグレードできるのかも知れません.
商用パッケージのインストールは, パッケージ毎に個別にインストールすることになります. 設定方法や使用方法のマニュアルが個別にあるのは仕方無いとしても, インストールぐらいは統一して欲しいと感じました. 理由は最後にまとめます.
Wnn6 について, インストールした時はマニュアル通りに作業できず, インストールは終了したものの, ドキュメントの不備だなぁと感じていたのですが, 気づいた事があったため, 補足します. えせかんなを使おうと思いコンパイルを始めてから気づいたのですが, 添付されている Wnn6 のパッケージには libwnn6 が付属していませんでした. えせかんなを使いたいがために, それを求めオムロンソフトウェアのサイトにアクセスして気づきました. 製品ごとのバンドル版の対応状況を見るとわかるのですが, 注意事項がこんなところに存在するのです. この情報にたどり着くための情報は, LASER5 Linux のマニュアルからも, Wnn6 のマニュアルからもみつけられませんでした (じっくりさがせばみつかるのかも知れませんが). かろうじて Wnn6 のインストレーションガイドの「営業窓口」の URL に記述があるのを発見しただけでした. その上オムロンソフトウェアのサイトから libwnn6 はみつからず, 検索の結果 LASER5 のサイトで提供されているという情報をみつけましたが, 既にその情報にある LASER5 の ftp サイトには libwnn6 は存在しませんでした. (未確認ですが FreeWnn や Wnn4 などのライブラリを使用して作成すれば使えるかも知れません.) なお ATOK に関しては, やはりドキュメントには記載されていませんが, ATOK総合ページ より必要な情報にアクセスする事ができます.
Linux をとりまく世界は急速に進化しています. しかし, 商用ディストリビュータとして提供する側は, その状態に追従しきれていないのではないでしょうか. 今までは「それで良かった」ものが, そろそろ「それでは不足」になって来ていると思えます. 例えば商用パッケージと雑誌付録との差は一体どの程度かと言うと, 結局はマニュアルの付属と商用アプリケーションの付属でしかありません. 今まではこれで良かった (というか, がんばってるなぁと感じてた) のですが, これからはきっとそれだけでは足りないと感じられるはずです. LASER5 Linux 6.0 Rel.2 は, 現時点で十分な製品であると感じましたが, 今のままでは近い内にもの足りなくなる恐れがあるとも感じたのでした. というわけで, 私としては今後の課題として, 「商用アプリケーションとの親和性」そして「アップグレードに対する保証」が今後の課題であると考えます.
とは言え私的には, LASER5 Linux 6.0 Rel.2 は個人向けのミニサーバも兼ねられる究極のデスクトップ構築を目指すには最適であると感じました. LASER5 と他の商用ディストリビュータとの大きな違いは, デスクトップタイプとサーバタイプとの力の配分であると考えています. どういう事かと言うと, 現在サーバタイプの Linux がぐんぐん進化しつつあり, ビジネス分野でも注目を集めています. そのためか, サーバタイプに重きを置くディストリビュータはデスクトップ環境が手薄になっているように感じます. (サーバタイプの方が会社としては儲かるのでしょうから…) そんな中で LASER5 は, 現在一番デスクトップに力を配分しているディストリビュータであると感じるのです. LASER5 殿にはデスクトップ指向な商用ディストリビュータとして, 究極のデスクトップへ向け (笑), 引続き頑張っていただきたいと考えます.
- Linux の使用歴
- 4 年
- UNIX の使用歴
- なし
- Linux Box の主な用途
- 家庭内 LAN のファイルサーバ
ISP のサーバで公開している WWW サイトのテスト
いじること自体が主な目的
- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- なし
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux : Windows98 = 2 : 8
- 評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- IBM AptivaB95
MMX-Pentium 200MHz
Memory 64MB
Video ATI 3D RAGE
HDD 28GB
NIC Corega Ether PCI-T
おそらく, レビューアの中で, 私が一番初心者であろうと思われる. そこで, このレビューでは, 初心者の目から見て「どれだけ楽にインストール・運用できるか」ということを主眼においている.
割としっかりしているな, という印象のある, それなりの厚さのインストールガイド. 親切なのは, 付録 (Appendix). Appendix:A では, カーネルコンフィグの際のモジュール名とパラメータの (一般的な) 一覧が紹介されている. Appendix:B では, (おそらく) RPM ディレクトリにおいてあるパッケージの, パッケージ名, カテゴリ, インストールクラス, サイズ, バージョンの各事項を書いてある. 簡単な説明が付いているが, これが結構便利なような気がする.
システムの設定についてのガイド. WindowsNT からの乗り換えを意識した作りで, わかりやすく, 好感が持てる. 同時に, 個人の趣味として購入したユーザへの配慮もなされている. 基本的にはタイトル通り管理サイド向け.
少し厚みのあるガイド. こちらは完全に一般ユーザ向け. ログインのしかたからはじまり, GNOME 関連の設定のしかた, CD プレーヤ, エディタの使い方・・・などと来て, なぜか最後に日本語入力がある. この構成は頂けないように思う. パネルを追加したり, エディタを使ったりするときにも日本語入力機能は使うわけだから, この項目はもっと前にあってもいい. 希望としては, ログインのしかたの説明が終わったあたりにあったらいいと思う.
ハードディスクのパーティションの説明については, 同じ様な図が続くので若干冗長な気もしないでもないが, イメージとしてはわかりやすいと思う. 動的なパーティションの切りつめについても記述してあり, Windows と共存させようと思っている人には便利だと思う.
X Window System の設定では, PCI バスに接続されているデバイスを勝手に検出してくれる. これは, 確か以前のバージョンでは自動検出ではなかった. 初心者には嬉しい機能である.
さすがにモニタは自動検出されない. 『サポートご利用ガイド』の方で書いてある「水平周波数・垂直周波数」と, インストーラの方の「垂直同期」との関係について触れていないのは, 初心者にとって不親切ではないだろうか.
インストール終了後, CD-ROM からの起動をサポートしているマシンで FD からのインストールをした場合, 最後の表記が「フロッピーディスクをドライブから抜いて, リターンキーを押すとリブートします」と表示されるが, これでは不足ではなかろうか. 「フロッピーディスクと CD-ROM を〜」とすべきであろう. CD-ROM はマウントされっぱなしなため, この時点で Eject しようとしても出てこない. 最後の画面が出たところで, CD-ROM ドライブをアンマウントする必要があると思われる. 当然のことだが, この状態で CD-ROM ドライブに CD-ROM を挿入したままリブートするとインストーラが立ち上がってしまう.
また, インストールクラスごとに表示され"ない"入力画面があるが, これがマニュアルでは正常に反映されていない. 例えば, 全くの初心者がマニュアルと首っ引きでインストールしていると, 思っていた画面と違う画面の説明が始まり, 驚くのではないだろうか.
なお, 索引は, インストールガイドとしては少し物足りないような気がする. インストール時に, わからない言葉がでてきたとしたらインストールガイドの索引を調べるだろうから, もっと索引がしっかりしていてもいいと思う.
全体にマニュアルを真っ正直に読んでどの程度使えるか, という趣旨でレビューをすすめたが, 若干の誤植が気になった. 誤植と思われる部分は, 全般的に旧バージョンからの情報の更新がうまくいっていない印象がある. また, ProductCD からインストールするものの場合, CD-ROM に含まれているドキュメントとマニュアルの記述が異なることが多く, 中途半端に Linux をいじっている人間にとっては混乱のもとになるように思われる.
売りの一つになっている日本語環境の充実については, 100 点満点で 70 点, という印象である. ATOK12SE は非常に使い勝手がいいし, インストールも容易である. ライセンス上の問題かもしれないが, できれば, デフォルトでインストールされていると楽だと思う. 一太郎 ARK に関しては, 期待していたのだが, 残念ながら期待とはほど遠い出来であった. Technology Preview だからしかたがない, とも思うが, 起動にかかる時間が半端ではないし, インストールも到底初心者向きとは思えない.
感想と重なってしまうが, ざっと見れば良くできているが, もう一つ詰めが甘いように感じられる. 比較的初心者が購入しやすいディストリビューションであるだけに, マニュアルの表記, 日本語環境の充実など, もっと初心者に優しくてもいいと思う. とはいえ, ある程度 Linux をいじっている人間にとっては, インストールも非常に容易であり, 使いやすいディストリビューションである. 数年前の Linux が, インストールの時点で躓いてしまうものであったことを考えると, 非常に進歩している. 繰り返すようだが, インストールし終わったあとの, ProductCD からのインストールなどについて, 次バージョンではもう少し詰めをきちんとして欲しい.
最後に, このような貴重な機会を与えて下さった Linux コミュニティに関わる全ての方々に深く感謝する.
- Linux の使用歴
- 3 ヶ月
- Linux Box の主な用途
- 勤務先サーバー (Web,mail,File) 構築
- Linux Box に載っている Linux 以外の OS
- なし
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux:Windows:MacOS=5:3:2
- 評価に利用した Linux BOX のハードウェア (ベンダ名, CPU, Memory, HDD, NIC etc.)
- BTO (Built To Order) 機
CPU Celleron400,
Memory128MB,
HDD 24G (ハードウエア RAID1 (IntelliMirror IM-7500),
NIC 不明,
ビデオカード不明
FTP 版の Linux が雑誌の付録等で氾濫する中, 有償の Linux の存在意義とはなんだろうか. FTP 版と有償版の違いは何か. 1 万円程度の費用に見合う価値があるかどうか. このような点について, ユーザの立場に立ち, 辛口に評価を行おうと思う.
今回のパッケージで私がもっとも魅力すなわち購入価値を感じたのは (株) ホライズン・デジタル・エンタ-プライズの HDE Linux Controller 1.0 がバンドルされてきたことだ. このソフトを使うことで, ネットワーク上の他の PC の Web の画面上から管理・運用を視覚的に行うことができ, 容易になった. また, UNIX を全く使ったことのない者に, 運用を一部依頼することができるようになった. 購入すれば 3 万円はするとのことで, これだけで十分に有償版の LASER5 Linux6.0 を購入する価値がある.
当然であるが, 紙のマニュアルは FTP 版にはついてこない. 初心者が Linux を少しでも理解しようと思えば, 別途解説本を購入する必要があるが, LASER5 Linux のパッケージを購入すれば, マニュアルが 5 冊ついてくる. この中で, 特に, インストールガイド (121 ページ) ・ユーザー活用ガイド (192 ページ) ・システム管理ガイド(126 ページ) は, 役立つであろう. 別途購入したり, 雑誌を買いあさったりすることを思えば, 結局安上がりである.
1 万ページ以上に及ぶ JF, JM, Xjman, LDP などのリファレンスマニュアル的な要素をもった CD が添付されてくる. これは, Windows マシンからも Web ブラウザ上から検索・閲覧でき, 非常に便利である.
実は, 最初は今回の有償版パッケージの評価で最も期待していたのは, サポートセンターである. しかし, この期待はいい意味でも悪い意味でも裏切られた.
いい意味の方は, インストーラーのできが良く, サポートセンターに頼る必要がなかったことだ. 特に Rel.2 になって, ビデオドライバの適用範囲が増え, 以前は 640x480 の解像度でしか使えなかった X Window System だが, 今回は, 1024x768 ですんなり認識された.
悪い意味の方は, サポートが「標準」すなわちX が起動するまでであり, Samba や Apache などの質問は範囲外であることである. これは, ある意味仕方のないことであろうが, すんなりとインストールができてしまう状況の中では, ユーザーサポートの意味があまり感じられなかった.
このパッケージの裏面には, 「安心のユーザーサポート」という欄があり以下のような記述がある. (原文のまま)
ただ, ここにあったように, 別途費用さえ出せば答えてくれる口があるというのは, サーバーの設定に孤軍奮闘していた者としては, 利用することはなかったが, 心強かった.
次に, 期待外れだったのは, マルチブートが可能であるというバンドルソフト「System Commander Lite」である. 別の自宅の PC で Win98 と LASER5 Linux のマルチブートを行うためにインストールを試みたがうまくいかなかった. 多分, ソフトが悪いのではなく, インストールの仕方が悪いからであろうが, うまく使えなかった. このソフトについては, 別途 16 ページのマニュアルが添付されてくるのだが, 説明不足である. 私には理解できなかった. ただ, このソフトに関してはハードディスクのパーティションを切りなおすものであり, 設定を失敗すれば既存のデータを消失することになる, 非常に危険度の高いものである. もう少ししっかりしたマニュアルを付けるか, 最初からバンドルしないかのどちらかにすべきではなかろうか.
前述したように, インストールはすんなりうまくいった. しかし, メモリに関しては 128M 搭載しているにも関わらず, 自動では 64M しか使用するように設定されなかった. 後程手動で設定する必要があり, 改善または手動設定方法のアナウンスを要する.
私は, このパッケージに <紙のマニュアル> <CD 上のマニュアル> <バンドルソフト>の点で非常に魅力を感じた. 3 ヶ月前に Linux をサーバーとして使えるかどうかの可能性を探りはじめた当初から, このパッケージを購入しておれば, 無駄にマニュアルをプリントアウトすることもなく, また, いろいろな参考書を探り歩く暇も少しは軽減できたであろう.
例えば, あなたが学校の先生で, Microsoft の NT Server のライセンス料の高さや, 納入業者のシステムの説明に対して非常に不満をもっているなら, このパッケージと, 夏休みなどの長期休暇を利用してシステムの入れかえを検討してみてはどうだろう.
ライセンス料の軽減だけでなく, 自由で柔軟なシステムが構築できるだけでなく, ネットワークに関する知識もつけることができると思う.
KDE の中には, 「倉庫番」というゲームが入っている. これは, 私が中学生の頃 PC-6001mkII で熱中したゲームの一つで, 懐かしかった.