ターボリナックス ジャパン株式会社
様のご厚意により,
ディストリビューションパッケージ
"Turbolinux Workstaion 7" を
ソフトウェアレビューコーナー にご提供いただきました.
このソフトウェアのレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて
公募
を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
ターボリナックス ジャパン 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
- Linux の使用歴
- 4 年
- UNIX の使用歴
- 10 年
- Linux Box の主な用途
- インターネット・サーバ用途
- Linux 以外に利用している OS
- Win9x/NT/2000, MacOS
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux 40% : 他 60%
- 評価で用いたハードウェア
IBM Aptiva 24J CPU: AMD K6-2 450MHz MEM: 128MB PC100 SDRAM (うち 8MB はビデオ用) HDD: 6GB NIC: Netgear FA-310TX マウス: Microsoft IntelliMouse PS/2 モニタ: IBM 2237-3DN (Aptiva 付属モニタ 17")
筆者は普段, Linux を主にサーバ用途として使用している. 先だって, CodeRed や Nimda といった, Microsoft Windows ウェブサーバ・プラットフォームに感染するワームが猛威を振るったが, そうした問題に悩まされることが比較的少ない Linux サーバには, 大きな恩恵を感じている.
さて, 今回はクライアント OS 市場をターゲットとした Linux ディストリビューションのレビューである. 筆者自身, 前述の通り, サーバ OS として Linux に親しんできたため, クライアントとしての利用経験は極めて少ない. 逆に言えば, それだけ機会がなかった分, 過去においてマスコミ等でも喧伝されたように, 日常的な使用頻度の高い Windows プラットフォームのオルタナティブ (取って代わるもの) という立場に Linux が本当になり得るのかということについて, 強い興味を抱いていた.
今回のディストリビューション Turbolinux 7 Workstation は, ターボリナックスが採ってきたマーケティング戦略である 「サーバ OS とデスクトップ OS の棲み分け」 に基づいて作られた最新のソフトウェア・パッケージである. カーネル 2.4.5, glibc-2.2.3, XFree86-4.1.0 という意欲的なパッケージ構成からもそれを伺い知ることができる.
とはいえ, ライトブルーのイメージで統一されたデザインのパッケージ・ボックスを 手に取って感じる印象は, そうした, 最新ソフトウェアを意欲的に取り入れた多機能クライアント OS というアピール度にいささか欠ける気がする. このあたりは, パッケージ・デザインも含めて もう少し工夫が必要なのではないだろうか.
これは何も Turbolinux に限った話ではなく, 海外のディストリビューション, 例えば Red Hat を例にとってみても同じことが言える. しかし, 商業的なデザインに凝ることは, 無償の貢献によって発展を遂げてきた Linux そのものの倫理観に必ずしも合致するものではないのかもしれない. ただし, 前述の論理を再度持ち出せば, Windows のオルタナティブとしての立場を得るべき製品としては, もう少し凝ったマーケティングがやはり必要なのではないだろうか.
さて, 早速インストールしてみることにする. くどいようだが, 筆者の興味はやはり Windows のオルタナティブとしての Linux という位置付けにある. よって, インストール, あるいはユーザビリティの難易度は, Windows と同程度, あるいはそれよりも優れていることが期待される.
冒頭でも触れたが, 筆者は Linux をサーバとして使用してきたため, インストール経験は豊富であると自負している. IBM Aptiva 24J という, 極めてコンシューマ市場寄りの PC の電源を投入し, CDROM ドライブに Turbolinux 7 Workstation のインストール CD をセットする.
boot: プロンプトが表示された時点で, テキスト・モードもしくはグラフィカル・モードのインストール・モード選択が行える. 普段サーバ OS をインストールする場合, 筆者はテキスト・モードを選択するのだが, 今回はあえてグラフィカル・モードを選択することにした.
そうすると, やがて Mongoose (マングース) という, グラフィカル・インストール・ソフトウェアが起動する. ここまでの流れは極めてスムーズである.
Mongoose は, Red Hat の同機能ソフトウェア「Anaconda」の流れを汲むものだが, ネーミングに「負けん気」が現れていて興味深い. しかし, 筆者はこの傾向については実はあまり快く感じていない. というのも, 同じような機能のソフトウェアが違う名前で 市場あるいはコミュニティの間に出回ってしまうのは, 混乱の元になりこそすれ, オープン・ソース・ソフトウェアの健全な発展に寄与しないと考えるからである. どうせ負けん気を発揮するのであれば, 名前だけではなくて, 例えば Turbolinux 以外のディストリビューションに Mongoose が採用される, つまり, オルタナティブとなるようなケースが出てこなければいけないだろう. そうでなければ, コンパイラは gcc, ライブラリは glibc というふうに ネーミングの統一があった方がやはりありがたい.
話を戻して, インストールの続きである.
最近のディストリビューションは, ハードウェアをほとんど全て自動検出してくれるため, インストールが非常に楽である. XFree86 のコンフィギュレーションが自動設定されたり, インストール途中にサウンドカードのテストが行えるなど, 以前は考えられなかった. ただし, これが仇となる場合もある. それについては後述しよう.
Linux のインストールの場面で初心者が大概つまずくのは 「ディスク・パーティション設定」のステージである. Turbolinux のパーティショニング・ツールである「TFDisk」は, 使い勝手に工夫がなされており, 大変扱いやすい. また, TFDisk を用いない 「自動パーティション設定」というオプションも用意されている. とはいえ, こちらのオプションは, インストールの熟達者を自負している筆者としては, やはり使用するのにはためらいを感じる.
TFDisk を使用すると, 64MB の /boot パーティションを作成するダイアログ・プロンプトが表示される. これは, デュアル・ブートなどの場合の HDD シリンダ・ポジションに配慮したものであると考えられるが, 1 つの PC に Turbolinux Workstation のみをインストールしようとしている場合は 多少煩雑に感じられるかもしれない.
あとのインストール手順については割愛する. ソフトウェア・パッケージの選択も, サーバを構築する場合はかなり細かい選択をするのだが, 今回は「パワフルデスクトップ」オプションで一気にインストールすることとした.
インストールが終了すると, CDROM がオート・イジェクトされ, Enter キーを押して再起動せよと促される. いよいよ, デスクトップ Linux に触れる機会の到来である.
しかし, 再起動をしてみると, なぜか CUI のログイン・プロンプトが表示されて停まってしまった. ん? どこかインストール・オプションを間違えたのだろうか? とりあえず root でログインし,
telinit 5
をタイプする. すると, GUI の画面に遷移し, ライトブルーが美しい画面が表示される. しかし, ここからログイン・ダイアログが表示されるまでに時間が掛かり過ぎる. おまけに, ディスプレイにかなりひどいフリッカー (明滅, チカチカ) が出てしまった. おそらく, ハードウェアの自動検出と XFree86 の自動設定が適正でなかったのだろう.
やっとログインして, KDE デスクトップが表示されたが, フリッカーのせいでせっかくの美しい背景も台無しである. XF86Config ファイルを修正するのは苦手なので, GUI でそれを行えるツールを探してみたが, メニューからそれを探し出すことはできなかった.
併せて, アプリケーションの起動がひどく遅い. mozilla を試しに起動してみたが, とても Windows 版のそれとは比較にならないくらい遅い. ただし, Konqueror という同梱の別のウェブ・ブラウザは比較的スムーズに起動したが, これとて短気な人が堪え得るレベルではない.
筆者自身もその例に漏れないため, せっかく用意されていたオフィス・ソフトウェア・スイート 「KOffice」を試してみたかったのだが, 残念ながらその意欲も失せてしまった.
同じ PC で Windows 98 を使用していて, 上記のようなストレスを感じたことはなかったのだが, Turbolinux 7 Workstation が Windows のオルタナティブとは未だなり得ないということを 図らずも証明する形となってしまった.
Linux に触れる楽しみというものを考えた場合, いくらインストールが楽になっても, /etc ディレクトリの下に存在する設定ファイルをあれこれモディファイして, オリジナル環境の構築に苦労するという 半ばマゾヒスティックな要素が欠かせないと思うのだが, Turbolinux 7 Workstation は, そうした要素を極力排除しようとした点に関しては評価されるべきである. しかし, その完成度は未だ十分とは言えないだろう.
コンシューマ市場に適合できる OS としては, やはり, イージーな手順で相応のパフォーマンスを得られるものでなければ 受け入れられない. ユーザのスキルと OS の完成度は 反比例の関係にあると言っても過言ではないだろう. 今後の改良に期待したい.
最後に, レビューの機会を与えていただいたターボリナックス ジャパンならびに www.linux.or.jp Webmasters の方々, さらにオープン・ソース・コミュニティ諸氏の各位には心よりの謝意を申し上げたい.
- Linux の使用歴
- 1 年
- UNIX の使用歴
- 1 年
- Linux マシンの主な用途
- Java による開発やサーバ構築, 及びサーバメンテナンス用端末
- Linux 以外に利用している OS
- Windows 2000, 98se
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- 仕事: 3 : 7
- 自宅: 8 : 2
- 評価で用いたハードウェア (CPU, メモリ, HDD その他)
CPU: PentiumIII 1GHz MEM: 512MB HDD: 20GB NIC: Realtek RTL8139
企業での使用を前提にパッケージの品質, デフォルトインストールの品質, 日本語環境の品質, 価格を評価したいと思います.
5 段階評価にでもしようかとも思いましたが 数値化することの意味が無いのでやめておきます.
製品のケースはおもちゃっぽさがなく, 白と青を基調として清潔感があり好感が持てます. あらゆる意味で会社に置いておきやすいパッケージ. (はやりとも言うか)
マニュアルについては, 一般的に行うであろう事の内容は一通りかかれていました. これはいいなと思った個所は Turbolinux 独自のツールの解説が 50 ページ程用意されていた事ですね. どんな設定項目をどこで行うのか一目で分かります. ただ, KDE2 のデフォルト環境で Turbo ツールを使用すると, 自分のカーソルがどこにあるのか分からないという現象があり, これはコンソールの背景を黒, フォントを白という設定にすることで解決できました.
残念な点は CD です. CD そのものは問題ないのですが, CD ケースはなんとかできなかったのでしょうか. デザインされた物ではありますが, 単なる厚紙の箱というのは扱いにくく思います. できればプラスティックケースなり CD バインダーなりを 用意して頂きたかったところです. でもべたべたで剥がし難いシールで止めてあるよりはマシかもしれません.
グラフィカルなインストーラの出来自体は非常に良いと思いましたが, 設定項目の詳細がタブになっており 他ディストリビューションに慣れていると気がつきにくいのではと感じました. これは, 初心者にやさしい Wizard 形式なのか, 分かっている人用の形式なのか意図が不明です. この辺りは改善の余地ありと思います.
CUI 版のインストールは試していないものの, 完成度は高く感じられます. 惜しまれるのはタブ項目が分かりにくかったのと, インストールパッケージの参照と選択の動きが分かりにくかったことです. 左クリックで参照できるのですが選択, 非選択まで反映してしまいます. 右クリックで参照できますが. 最初気がつきませんでした.
フォントについては, さすがに売り文句にしているだけの事はあります. リコーフォント採用で, 非常に美しいデスクトップ環境が構築できます. KDE の環境をパッと会社の隣の人に見せたところ, 一瞬 Linux と気がつかなかった程です. ちなみに, 私の場合は KDE2 のアンチエイリアスが馴染めず, アンチエイリアスの設定をはずして リコービットマップフォントを使用しています.
ATOK についてですが, これは本当に使いやすい. 正直これほど使い勝手が良いとは思ってもみませんでしたね. 単語の登録から漢字の検索等マニュアルを読まなくても, 一通りの事がツールバーをクリックして, あとは出てきた画面を直感的に触れば出来てしまいます.
Windows 環境に慣れきった私も最近ようやく Canna やら Wnn になれてきた所でしたが, どうもまたそれらから遠ざかりそうです.
やはりフォントが今まで苦になっていて Web をブラウジングしていても我慢するところが大きかったのですが, これでほとんど Windows 並な画質を手に入れたことになります.
正直なところ, 定価 15,800 円は万人にお勧めできる価格ではないと思っています. ですが, 企業ユーザーとなれば話は別で, 逆にお勧め価格と言えます. というのもデフォルトインストールでいきなり綺麗なデスクトップに エディタ等日本語が問題なく使える環境ができあがります. インストールして即座に日本語による文章入力, プログラムのコメント等と業務を問題なくこなすことができます.
結論から言えば, 買い! です. デフォルトインストール + αで自分の業務の ほとんどの作業をこなせる結果となりました.
とは言うものの, 自分の開発で使用するツールしか使用していないので 本当に細かい点までは評価できていません. ただ, その自分が開発で使用するツールの類は 問題なくインストール, 実行ができ ATOK による日本語入力ができています.
設定すれば動く, とか, 設定次第ではフォントも綺麗・・・では これから先一般受けはして行かないでしょうから, そう言った意味で今回の Turbolinux は 非常に優れた製品となっていると思います.
最後に, このすばらしい製品のレビューをさせていただく 機会を与えて下さった全てのスタッフの方々へ, そしてこのレビューを読んで頂いたすべての皆様へ感謝致します.
- Linux の使用歴
- 3 年
- UNIX の使用歴
- なし
- Linux Box の主な用途
- 趣味
- Linux 以外に利用している OS
- FreeBSD, NetBSD
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux9:その他 2
- 評価で用いたハードウェア
CPU: PentiumIII (450MHz) MEM: 128M HDD: 40G Video: MGAG450 (16M) 拡張 IDE カード: PromiseUltra100
今回のリリースには商用オフィスソフトが付属しない. 本体価格のわりに ATOKX と商用のフォントだけでは物足りない気がする. 別にオフィスソフトが欲しいわけじゃないが, ftp 版との区別を示すものがバンドルソフトであると思うのだが.
残念ながら, 最近はやりの Wireless, ADSL, NotePC, USB 機器等の環境がないので, それらへの導入の感想はありません. そういう環境でこそ最新の LINUX を評価できるだろうとは思いますが, ご了承下さい.
簡単なことは良いことだ. 特にインストールに関しては. CDROM から起動し GUI でのインストールを行った. 簡単である. マングースの完成度はかなり高いようだ. RedHat のアナコンダベースとのことだが, LINUX 導入への敷居をかなり低くしている. インストールにつまずいている人, 全くの初心者でもガイドを片手に, 一発インストールできそうである.
タブを利用した設定画面は, 少し気になった. タブを押し忘れた場合, デフォルトの設定で問題はないのだろうとは思うが, 改善の余地はありそうである. これからはジャーナリング機能をもつファイルシステムも 自由に選択できるようになればと思う. ループバックインストールがサポートされていることは評価したい. さらなる進化を望む.
CUI でのインストールは行わなかった. ガイドも付いていることだし, GUI で不具合がない限り, 使うことはない.
インストール CD が 2 枚になっている. 多少の時間と手間が増えたが, 最近のアプリケーションの進化と複雑さを考慮するとしかたないと言えるだろう. なにしろ KDE と GNOME という両横綱をインストールするのだから.
多くのディストリビューションが GNOME + Sawfish をデフォルトにしているなかで, KDE を採用することは, 多少のインパクトがある. 既に雑誌等で紹介され, ご存じの方も多いだろうが, 目玉は, KDE 環境での Truetype フォントのアンチエイリアスに尽きる.
普段ビットマップフォントに慣れている目には, 初めは, Truetype フォントには違和感を覚えた. 1024x768 の画面で, デフォルト 10 ポイントの設定では見にくいだろうと +1 ポイントと設定を変えてみるがしっくりこない. ガイドにもそのような説明がある. 慣れからだろうとそのまま使用している内に小さな文字も見やすく, 次第に, その視認性に圧倒されていた.
Windows キラーと称される KDE, 操作については誰にでも問題ないだろう. マウス操作でメニューから選択するだけである. KDE 自体の起動は遅いが, 起動後は, 重いと感じるようなことはない. Turbolinux はバイナリが pentium 向けに最適化されている. 去年は,「486 マシンを捨てたな」と思っていたが, 今は「やはり最適化してなきゃなー」と LINUX の進化と共に感想も変わるものである.
Konqueror はファイルマネージャーとしてはもちろん WEB ブラウザーとしても申し分ない. Netscape に比べるとまだまだかなと思っていたが, 良質の Truetype フォントを利用している環境では, 十分に使用できる.
KDE 環境では表示等で特に気になるようなことはない. 日本語環境がどうか, メッセージが日本語化されているかということより, 見やすさ, 使いやすさ, で特徴づけられるようになったことに感慨が深い.
個人的なのか一般的なのか判断しかねるが, Emacs20.7 がなく少しあわてた. XEmacs に比べて見栄えはよくないがまだまだ Emacs 20.7 を捨てるには時期尚早だろう. 共存させて欲しかった.
初めて KMail を試した. 設定は難しいことはなく, ガイドにも説明があるので問題なかった. Truetype フォント (明朝) で読むメールは, 綺麗で新鮮だった.
Linux のアプリケーションには, RC, pre, alpha, beta 等のリリースが多い. ここで不具合の有無は, 問題ではない. 精力的に開発が行われていることの証だろう. 気になった点は, ユーザーガイドの KOffice の説明の冒頭で 「β版の為, 動作が不安定な場合があります.」との記述である. 商用版に不安定なアプリケーションは要らないので, この記述は省き, どこか別に, アップデートについて分かり易く記述した方が良いのではと思う.
インストーラ, KDE 環境, 付属アプリケーションを考慮すると, 現時点ではまさに初心者に最適のディストリビューションだろう. 既に自分の辞書を鍛え, フォント等の設定も苦にならない中級以上の方々は, 簡単に入手できる ftp 版の導入を是非検討してもらいたい (宣伝のようだが, 関係者ではありません). なんとゴシック版のみだが商用の TrueType フォントが付属するとのことである. 気軽にアンチエイリアス環境を体験できるわけである.
全体的な印象として,「遊び心」がない気がしてならない. ゲーム, 壁紙, それとも KDE のテーマだろうか? はっきりしないが, +αの部分が足りないような気がする. パーソナルユース, WorkStation を謳うなら, もっと遊んでも良かったのではというのが, 正直な感想である. 統合デスクトップ環境は, 今後の LINUX 普及のキーだろう. しかし, 使用するアプリケーションが決まっているユーザーには, KDE も GNOME も要らない. 定番のウィンドウマネージャーを大盛りにして, 選択の幅を拡げても良いかもしれない.
精力的にバージョンアップがなされる KDE や GNOME はなるべく最新を使いたいものだ. 自分でソースからコンパイルしての導入やアップグレードは非常に大変なことである. 素早いアップデート情報は, もちろんセキュリティ情報も, ディストリビューターの実力を示すものだろう.
最後に, TurboLinux の ftp サーバーに KDE2.2 を見つけたので思い切ってアップデートした. 若干だがきびきびとした動作を示し, 結果良好である.
- Linux の使用歴
- 本格的には約 1 年
- UNIX の使用歴
- なし.
- Linux Box の主な用途
- 趣味
- Linux 以外に利用している OS
- WinNT
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Linux:WinNT 4:6
- 評価で用いたハードウェア
CPU: MMX Pentium-200 MEM: 128MB HDD: 40GB
皆様初めまして. 今回ソフトウェアレビュー記事を書く事になりました石井という者です. Linux の使用歴はまだ浅いですが, Turbolinux7 とはどのような物なのか, 今回私はその使用感をレビューしてみようと思います.
パッケージが届いてさっそく予定していたコンピュータに インストールする段階になってふと気づいた事がありました. 「このビデオカード X でサポートされてない……」 青いパッケージの箱の横には, 対応するグラフィックカード一覧が記載されているので 皆さんはできれば購入時に確認するのがよいと思います.
インストール自体は難なく出来ました. 私は Text モードを利用しましたが, 全くの初心者は除いて Windows を CD-ROM からインストールした事のある方ならば, 容易に出来ると思います. 今まで Slackware を使ってきた私ですが, 昔 linux 本を見ながら Slackware をインストールした経験のある方ならば インストール自体は簡単なのではないでしょうか. 注意点としては, サウンドカードでしょうか. インストール時にサウンドカードを設定出来るようになっているのですが, もし設定が自動で上手く行かない場合は, インストール後に, alsaconf を実行して設定をされるのがいいと思います. マニュアルにもありますが, 私が手動で設定してみた時は /proc の中にある ioport interrupt などの情報を見ながら, I/O ポートアドレスや割込みなど他に使われていないかな, などと確認しながら設定してみました. この辺りは Winows で追加したカードを手動で認識させる作業と似ているので, Windows で苦労した事がある人ならばすぐにできるかと思います.
さっそく, コンピュータを再起動して, KDE を使ってみました. さすがに MMX Pentium-200 では動作がちょっと遅いですね……. 軽快に, そして安定して KDE を使うには, やはり速いコンピュータが必要でしょう. これからハードを選ぶという方は, 「操作性」と「安定性」を考えてなるべく速いものにした方が良いと思います.
さて, KDE の使い勝手の方ですが, 第一印象は殆ど Windows と違いはないな, という感じがしました. 今まで twm を主に使ってきた私からすると, とても不思議な感じなのですが, Linux 上で ATOK X を使って Windows ライクな漢字入力が出来たり, mp3 を聞けたりするのがとても不思議でした. 最初のうちは「あれ, これ Windows だっけ, Linux だよな」 など勘違いしてしまうほど, 漢字表示や入力, ウィンドウ画面などが自然に出来ています.
インストールした時点でサウンドカードが認識されていれば, mp3 も再生できます. パッケージには CD-ROM が沢山入っていますが, その中には, RealPlayer や freeamp などの再生ソフトがあるので, 好きなものを選ぶと良いと思います. 私は xmms を使ってみました. 「K メニュー」から「マルチメディア」の中にあるので一番分かりやすいと思いますが, Windows にある色々な mp3 プレイヤーと比べても中々の出来です. 私は PC からの音声出力をオーディオアンプに繋げて聞いていますが, こうすると CD の様にとても良い音が聞けます. 皆さんも, ぜひ Linux で mp3 を聞いてみてください.
実を言うと, このレビューに応募した時に 「ユーザーとして Linux と Windows の共存……」 などととんでもない事を書いてしまったのですが, Turbolinux7 が届いていざ使ってみると, 「サーバー」というよりは, 「クライアント」としてまとめられている, という事に気が付きました. Linux と Windows の共存と言う事で, Samba を使ってファイル共有や, Web/CGI の実験, KDE で漢字が扱えるので, 結構面白い事できるかなと想像していたのですが, どうもクライアントとしてのデザインが強いのか, httpd, ftpd, samba などはデフォルトでは使えないようです. この辺りが使いたいならば, 手動で設定なのかな? と思ったのですが, 全般的な印象としては, Windows で言うと NT 系というよりは, Win95/98 に近い構成かなと思います. NT でしたら, httpd, ftpd, gopher などのサービスがありますし, Win95/98 ならデフォルトでそういったデーモンは無いですから, Win95/98 に近いな, という印象を持ちました.
Office ソフトとして, ワープロ, 表計算, 数式エディター, プレゼンテーションソフト, 表計算とは独立したグラフ作成アプリ, フローチャートエディター, 非ビットマップ系グラフィックソフトなどあります. 少し使用した感じでは, ワープロと表計算は日常的に使っても良いな, という印象をもちました. 表計算の方は, グラフの編集機能にやや不満があるものの, 趣味としてならある程度まで応用も可能ではないかと思います (例えば工学系などの計算など). Windows などとテキストファイルを共有する時は, 文字コードなどの違いが出るので, その辺りのツール, Konqueror か, エディターなどにそういった変換機能があると良いなぁと思いました.
やはり, Web ブラウザ 3 種, ワープロ, 表計算, AcrobatReader, 漢字表示 + フォント, ATOK, mp3 プレイヤー 3 種, などが入っている, という事はクライアントとして使う事を強く意識しているようです.
以上, 簡単ではありますが, Turbolinux7 のデスクトップとしてのイメージを紹介しました.
Turbolinux7 はサーバーと言うよりは デスクトップ OS に近い構成になっていると書きました. デスクトップらしい使い方というと, インターネットやメール, プログラミングなどを思いついたのですが, Web サーフィンやメールなどは問題なく出来る範囲ですし, プログラミングなども付属の CD-ROM には色々な言語が入っていますので, 色々と試せるのではないかと思います.
Turbolinux7 は各種設定やインストールにはコンソール指向のツールを使うようですが, これを使って, gcc や Perl, Ruby (これは私が初めて basic に触れて以来久しぶりにハマった言語ですが) などの言語系から, ATOK X, RealPlayer などまでを比較的簡単にインストールする事が出来ます. 付属の CD-ROM には Java (Forte, JDK 1.3) もありますので, Readme にしたがってインストールし, path を設定すれば インストール後すぐ使えるようになるでしょう.
付属の CD-ROM には英語版 Kylix もあります. 私の場合インストール後上手く起動できなかったので 日本語版の Kylix OpenEdition をインストールして使ってみましたが, Turbolinux7 + 日本語版 Kylix OpenEdition という組み合わせは, 問題ないようです.
これら以外に, 付属の CD-ROM には PDF の印刷されていない各種マニュアル類や, Web の掲示板, メーリングリストなどのアーカイブが収められているので, インターネットに接続せずに過去の記録を参照することができます.
以上, 簡単ではありますが, Turbolinux7 とは どの様な OS であるのかを紹介してみました. 本格的に Linux を使い始めて約一年. 途中, 使用していたコンピュータのグラフィクスカードが対応していないという事で 苦労しましたが, このレビュー記事が皆様のお役に立てれば幸いです.
最後に, このソフトウェアレビューの機会を与えていただいた関係各者様に, 今後の Linux の発展を願いつつ, この場を借りてお礼申し上げます.
- Linux の使用歴
- 2 年 4 ヶ月
- UNIX の使用歴
- 10 数年以前に数年間
- Linux Box の主な用途
- 趣味 (メール, ネットサーフィン, Linux の勉強)
- Linux 以外に利用している OS
- Windows98
- Linux と Linux 以外の OS の使用頻度の比
- Windows:Linux = 8:2 (但し会社では WindowsNT/98/95)
- 評価で用いたハードウェア
Fujitsu: FMVS-7265 CPU: Pentuim II 266MHz MEM: 192MByte HDD: IDE 4GB+8GB,SCSI 40GB NIC: 3Com 3c905-J-TX , Melco LGY-ISA-TR Video: ATI RagePro Turbo 2X SCSI: Adaptec AHA-2940U Sound: Crystal CS4236B+CS4611 MO: OLYMPUS 640MO その他: CATV用ケーブルモデム
Linux は, 趣味としておもにデスクトップ環境で利用している. 今まで, 自宅, 会社のマシンを通じて, Linux を slackware3.6 から始めて RedHat 系, Debian 系あわせて 10 種類近くインストールしてきたが, 最近は Laser5-6.4 ベースに落ち着いている. 現在のカーネルは 2.2.18 なので, これを 2.4系に上げるのを含めて新しい日本語が使えるデスクトップ Linux としての観点で評価を試みた.
インストール作業は, フロッピーから起動し, GUI モードと CUI モードの両者が選択できるうちの, より初心者向きと一般にされる GUI モードで実施した. 各ステージともメッセージは初心者にもわかりやすい日本語表示で おおむね指示通りで, 大きな問題もなく実行できた.
最近の Linux インストールについて大容量ディスクの特に 1024 シリンダー問題がある. これを検証すべく, 外付の SCSI HDD の内の, 最初 1 パーティション 2GByte, そして後からは, 1 パーティション 2.5GByte と 2 回全ディレクトリ一括のインストールをおこなった. インストールシリンダー位置は 1 回目が 1023 以内 (但し, 一括インストールのため /boot が 1023 以内かは不明), 2 回目は HDD の後半で, 全エリア 1024 シリンダー以降であったが, いずれも, 起動 FDD, LILO からの起動とも問題なく実行でき, インストーラの完成度を実感した.
既存の複数の Linux, Windows, 混合システムのうえに 新たに Linux をインストールしたという特殊性もあるが, 気づいた点, 問題点をのべたい.
インストールクラスの設定で, 標準のインストールがデフォルトで選択されるが, 画面上で TurboInstall の色が強調され, しかもこのモードでは Linux パーティションが全て削除されるというのは, おもわずギクリとくる. サーバ用途や新規インストールの分には問題無いのだろうが, より間違いのないようにしてもらいたい.
X はカードの認識等は自動で問題なく行えたが, サイズについて自動設定で試したところ 1152x864 となってしまった. テストで表示すると画面が歪むので, 手動で 1024x768 に変更した.
うまく認識できなかったのが, ISA のサウンドカードと NIC (ne2000) である. サウンドカードは誤認識し, また, 手動で修正したが動作しなかった.
ブートローダの設定では, LILO のインストール先を SCSI (/dev/sda) ディスク上にしたにもかかわらず, IDE のディスク (/dev/hda) のアクティブパーティションまで変更されてしまった. そのため 2 段 LILO が機能せず, 最初の HDD からの起動では Windows が立ち上がってしまった. 手持ちの rescue フロッピーの fdisk で, アクティブパーティションを元々の 1 段目の LILO のあるパーティションに変更することで対処した. また, 書き込まれた LILO には, /dev/hda 上の Windows も自動的に設定されていた. 想定する使われ方として, Windows との Dual Boot が多いので, 初心者には便利かと思うが, これらが SCSI 上のディスクであっても標準設定するのは少々やりすぎだろう. なお, インストールされる LILO による起動画面はグラフィカルな画像で, 必要の有無は意見が分かれるかも知れないが, 中途半端な絵と比べると好感が持てる背景であった.
インストールタイプの設定では, インストールサイズについてのチェックが厳しく 2GB のパーティションに対し, 1.3GB の「標準デスクトップ」までしか選択できず, また 2.5GB のパーティションに対しては, 1.7GB の「パワフルワークステーション」までしか選択できなかった. 一方, インストーラの中で引き続いて追加パッケージのインストールでは, 事前のチェックもなく, 追加の途中で ディスクフルとなってダウンしてしまった. 思想の統一性が欲しいところである.
2 枚の NIC を実装してのインストールであったが, この場合どのカードが eth0 に認識したのかわからない. 同一カードなら仕方が無いが, 種類が違う場合は自動認識した型番表示等があると, 設定しやすい.
システム設定用ツールが TurboTool であるが, CUI モードである. 別に CUI が悪いわけではないが, インストーラがわざわざ GUI となり, 他のディストリビューションの Control-Panel をはじめとして, Tool 類が GUI するなか, ちょっと時代に退行しているような感もする. TurboTool 全般に言えることであるが, X 上で開いた場合, キー入力のカーソルがどこにあるのかわからない. コンソール上ではカーソルが正しく変わって色が表示されるのでわかるのだが, 改善して欲しい. また, 細かいところであるが, turbofscfg では, ファイルシステム mount option が記述できないので, Windows 領域の日本語ファイル名を表示するため codepage や iocharset の指定ができなかった. これらは Tool を作る場合にどこまで実装するのか問題であるので 考慮して欲しいところである. また, turbofscfg で「記憶領域情報」では, SCSI の拡張領域が表示されなかった.
このパッケージの主要有償部の日本語変換システム ATOK も RICHO FONT も, 最初はあとから追加し, 2 回目は追加パッケージとして同時にインストールしたが, 再起動後, 一発で動作した. プリンター設定も TurboTool で簡単に設定でき動作した. このあたりの完成度は高い. ブラウザ等の日本語入力も問題なかったが, kterm は日本語入力できなかった. rxvt を標準としているので問題ないが, 同時にインストールされるのであれば考慮して欲しい.
ウィンドウマネージャは KDE と GNOME が選択できるが, 基本は KDE のようで, アプリの日本語化の対応状況も KDE に比べて GNOME は少々手抜きのような気がした. よくウインドウマネージャーの切替えが問題になったことがあったが, 今回は TurboTool の利用で簡単に, KDE←→GNOME 双方向切替えでき, 初心者でも間違うことはなかろう.
OfficeTool はどうしても Windows との比較および互換性について述べねばならない. KOffice は MSOffice と比べるとやはり見劣りは否めないが, 入力を含め日本語化対応できており, 一般的な使い方であれば問題はない. 互換性の面では, まず KWord で Windows の Word 文書を取り込むと, 白紙に文字がぼつぼつという状態となったが, font を日本語フォントに指定しなおしたところ, 文字に関しては読むことができた. 一方 KSpread では, ファイル読み込みメニュー上は Excelの xls 形式ファイルが読めるように見えるが, 実際に読み込んでみると途中でフリーズしてしまい, キーボードもマウスも使えなくなりしかたなく電源を落すはめになった. もっともこれらは, Turbolinux の問題というより KOffice の問題であるので, ディストリビューションに文句をいうのは筋違いかもしれない.
マニュアルは同梱の 4 冊の他, CD-ROM のドキュメントが付属する. インストール作業は同梱の紙のマニュアルで対応できた. CD-ROM には pdf と namazu を利用した FAQ の検索システムが入っているが, 初期インストールの状態のままで, 両者とも参照できシステムとしてクローズしていた. (acrobat reader のインストールはマニュアルに別途記述されているが, 付属ドキュメントの参照のためには必要なかった) これらを合わせると ドキュメントとしては満足できる量である.
Linux の初心者が苦労するのは英語のメッセージ, パーティション, LILO を含む既存 Windows との並立, アプリケーションの日本語化と思われる. 今回の製品のこれらの問題への対応は, インストーラの容易さと日本語環境の整備のセットアップ状況はまずまずといえ, 特別なことをしない限り, 初心者にも十分対応可能である. ちなみに, 問題点を一度経験したあととはいえ, 2 回目にインストール開始からインターネットにアクセスできるまでの時間は 1 時間もかからず,Windows より短かった.
従来 Turbolinux製品版は Applixware とか VMware など バンドルしているソフトで売っているようなところがあったが, 今回は日本語環境のためのフォントと変換システムだけとなり, ディストリビューションの本質で勝負となった. また, Turbolinux はディレクトリ構成にくせがあったが, 今回はより標準的なものに変更されているので, ある意味特徴がなくなってきた. 今回の定価はやや高いかなという気もするが, Windows と同程度の日本語環境が容易に手にはいるという点で, 初心者のかたに薦めたい.