株式会社 IDGジャパン 様のご厚意により,
書籍 "シェルの基本テクニック" を
ブックレビューコーナー にご献本いただきました.
この本のレビューをして頂くべく,
Linux Users ML
や本サイトにおいて
公募
を行い,
これにご希望頂いた方々より感想などをレビュー記事にまとめていただきました.
ここに, レビューアの方々から寄せられたレビュー記事を公開します. (原稿到着順)
IDGジャパン 様および レビューアの皆様のご厚意に感謝いたします.
なお, 以下のレビューは初版を対象としています.
まず, この書籍の帯を見て驚いた. 最近の書籍は帯が当たり前のようについているのだが, 私はこの帯が苦手で, なんか捨てるのももったいない気がするし (貧乏くさい?), かと言ってつけたままにしておくと本棚にしまったり出したりしてるうちにどんどん汚くなって 端は切れてきてどんどん邪魔になってくる.
ところがこの書籍では帯はカバーと一体化していた. これなら帯の本来の目的である書籍の簡単な説明, 宣伝を載せることができるし, 買った後でも邪魔にならない. この方法は他の出版社様もどんどん真似して頂きたいと思う.
書籍のサイズは気軽に持ち歩けるほど小型軽量なものではないが, キーボードの横に置いておき, 必要なときにコマンドなどを調べたりするような使い方には良いサイズではないかと思う. 判型がそんなに大きくなく手に当たって邪魔になることは無いし, 総ページ数も 320 ページ程度なので軽く, 膝の上にも乗せやすい.
後に書くように書籍の内容はコマンドリファレンス的なものではないので, 内容にちょうど合ったサイズでは無いだろうか.
まず登場人物の紹介でシェルに詳しいペンギンくんと, めんどくさがりやでシェルの使い方をほとんど知らない鯨津 (ゲイツ) くんの組み合わせがもう「そのままやないか!」という感じで笑わせてくれ, 先を読むことを楽しみにしてくれた. なかなか良い掴みではないか.
まず目次を見てみると, シェルとコマンドの基本操作からパーミッションやシンボリックリンク等の基本的なファイル管理に必要な一通りの説明があり, シェルスクリプトも基本的な事から引数の指定やランレベル, 正規表現の使い方まで詳しく書かれており, この本一冊あればシェルに関することに限ればほとんどの事はマスターすることができるだろう.
ただちょっと問題なのは, 目次を見ると分かるのだが全体的な説明の順番が悪いのではないかということである.
シェルとコマンドの基本操作が最初に説明され, その後にシェルプログラミングの基礎が書かれているのだが, その後にファイル管理の方法が説明されている. そしてまたシェルスクリプトの説明がされている. その後またプロセスに関しての説明がされ, その後にまたシェルスクリプトについての説明に戻るのだが, シェルスクリプトに関する説明は一つの流れでまとめてくれていた方が読みやすいのではないだろうか.
こんなコマンドがあったらイイのになと思ったらシェルスクリプトを作っちゃおうという章が最後の方にあるのだが, これは逆にシェルスクリプトの最初の方に書き, シェルスクリプトの便利さを紹介するようにした方が良かったかもしれない.
上でいくつかの細かい欠点について書いたが, この書籍はシェルの使い方の初歩から日常使うには十分であろうシェルスクリプトの作り方まで書かれており, 対象となる読者の範囲が非常に広い. そして Linux を覚えたての初心者にとっては書かれているキーワードがちょうど復習に使えるようになっており, 買った人が読んで絶対にタメになる良書だと思う. 上級者の方も書店などで見かけたら是非一度手にとって中身を見ていただきたい. 今まで気づかなかった便利なスクリプトや, あまり使わず忘れていた事など, 初心に戻って基礎が固められるのではないだろうか.
私はこの書籍を見て今までよりシェルを使う回数は増え, テクニックのバリエーションが増えてきた. なんだかちょっと偉くなった気分である. 気分だけかもしれないが…
この本は鯨津くんと言う初心者のシステム管理者とペンギンくんと言う Linux のエキスパートの対話形式で 鯨津くんの疑問を解決しながら進んでいきます. 全体を通して平易な口語で書かれているので非常に読みやすく短期間で読破できます. レッスン形式を取り 1〜7 まであります.
各レッスンの始めには前回のレッスンで学んだ内容のちょっとした復習があったり, あるいは簡単な導入があり, 読み進む上で無理の無い内容です.
鯨津くんへ問題を出したり, 考えさせたりする事で単なる知識の押し付けのような形を取らず, 読み手にもある程度考えさせる形になっています.
レッスン 1 ではエイリアス・補完・ワイルドカード等の Unix を便利に使う為の機能に触れ, レッスン 3 ではファイルの種類, リンクに触れ, レッスン 5 ではプロセスについて触れています. しかもそれらはただその内容の表面だけをなぞるのでは無く, その事自体もきちんと解説し, また途中疑問点があれば多少の話の脱線があり, 周辺の知識も得る事が出来るような内容となっています.
対話形式なので, 確かに非常に読みやすく分かりやすいと言う点はあるが, 本当に要点を知りたい人がちょっと見て理解したりするような類の本ではないと思います. また無駄な二人の会話も若干見られるのが少し気になり, うるさく感じました.
また無駄な二人の会話も若干見られるのが少し気になる.
全体を一読して思ったが, 扱っている内容は非常に良いと思うし分かりやすくも書かれている. 初心者には非常にお勧め出来ると言えると思います.
恐らく 1, 2 回読んで書かれている内容を実際になぞってみればこの本の役割は十分では無いだろうかと思います.
多少なりとも Unix を扱った事がある, あるいは今後扱って行く人間の中で基礎からしっかり短期間で学びたい際の「きっかけ」になりうる本だと思います.
しばらく前までは DOS (Windows) のバッチや自作アプリを使用することがほとんどだったのですが, 最近業務上の作業で cygwin や Linux を扱う場面が出てきて, bash シェルの利用や, シェル・スクリプトを作成する機会が増えてきており, 現在は web 等から情報を検索して事足りるところにいますが, 一度きちんと理解したいと思い, この本のブックレビューを申し込みました.
会話形式になっていて, すらすら読め, また挿絵の 4 コマ漫画などもふんだんに入っておりすごく分かり易いと思いました.
コラムが本文に割り込むように入っており, 本文の読破を妨げるような構成となっているように感じました.
シェル・スクリプトの使い方だけでなく, Linux (UNIX) での標準的なフィルタコマンドなどの基本的な使い方までと, 本のタイトルからは想像できないレベルまでの Linux 内部のスクリプト使用例 (rc.d) やプロセス, ジョブと言った内容までの説明があり, 最初に思っていた以上に当初の目的だった基本的な知識を得ることができました.
またレッスン形式の構成の中で忘れてしまいそうな細かな文法などについては 繰り返し思い出させるような会話 (話題) を挿入し, しっかりと知識を身につけることができる構成となっているように思え, 非常に好感が持てました.
章立てがレッスン形式で 1 〜 7 までありましたが, それぞれのレッスンが独立している様に感じられ, 全体としてのまとまりに欠けるような気がしました.
これは, 元が雑誌の長期にわたる連載記事で, それを改めて 1 冊の本に仕上げたためにこのような雰囲気を持つ本の仕上がりとなってしまったのでしょう.
また連載開始が 2001 年 7 月とかなり昔だったためだと思われますが, 話題に出てくる Linux 自体もちょっと古いものとなっているところも, 気になりました (できれば, 出版時点の最新の Fedora Core 2 あたりでの内容にメンテナンスした上での出版という方が良かったかもしれません).
最後に, 読み終わった後のこの本の使い道ですが, スクリプト作成時のリファレンスとして手元に置いておく本としてはちょっと物足りないかなと思います. 索引や Appendix, もう少し突っ込んだ一覧表, コラムなどがあれば, いつも手元に置いておく本として十分な存在価値も出ると思います. これは次回以降の改訂での対応を期待します.
本自体は非常に読みやすかったのですが, なかなかまとまって読破する時間が取れず, 朝晩の電車通勤の中 (片道 15 分ぐらい) で少しずつ読み進めました. このため, 読み終えるだけでレビュー提出の締め切りをすぎてしまいました.
この本はこんな細切れに読み進めてもタイトル通りに確実にシェルを使用するテクニックを身につけられる良書だと思います.