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Webmasters コラム (2000/7/17)

www.linux.or.jp とは何か?

はじめに

この文書の目的は, http://www.linux.or.jp/ の管理者・編集責任者・現状を解説することにあります. 歴史的な経緯 からやむを得ないとは思うのですが, この文書の執筆時点においては, 本 web サイトに対する多くの誤解が巷間に見受けられます. 「それは違う」と言いたいことも良くあるのですが, その際のリファレンスになるような情報がこれまでになかったため, この文書を書き起こすことにしました. この文書の内容が広まることによって, この文書そのものが早期に不必要になることを願っています.

筆者の立場について明らかにしておきます. 筆者は 「日本の Linux 情報」管理グループ (以降 Webmasters) の一員であり, かつ 日本 Linux 協会システム管理部会 のメンバーとしての作業も行っています. なんだかコウモリのようで恐縮ですが, 双方の立場から事態の推移を眺めることができた立場でもあるので, 執筆役を買って出ることにしました.

なお, この文書は筆者 (=中野武雄) 個人の私見であり, 文書に関する責任はあくまで筆者に帰するものです. ただし事前に Webmasters や JLA システム管理部会のメンバーに この文書に目を通してもらい, いただいた意見を反映していますので, それぞれのグループでの共通認識と 大きな隔たりはないと受け取っていただいて良いかと考えます.

www.linux.or.jp の現状

まず www.linux.or.jp の現状を説明し, 当事者達から見た「正しい姿」を示したいと思います. 端的に言えば「www.linux.or.jp は空き地であり, JLA はその 空き地の管理人 である」ということになるでしょうか. その空き地で「遊んでいる :-)」のが, 我々 Webmasters や 他のプロジェクト というわけです.

www.linux.or.jp と JLA

JLA と www.linux.or.jp, および Webmasters の関係について述べます. 以下からおわかりいただけると思うのですが, http://www.linux.or.jp/ を「JLA のサイト」「JLA のページ」と呼ぶのは Webmasters としては本意ではありません. http://www.linux.or.jp/ を紹介するときには 「日本の Linux 情報」という呼称を使っていただくようにお願いします.

www.linux.or.jp は JLA のホームページではない

現在の JLA のホームページは http://jla.linux.or.jp/ です.

JLA は www.linux.or.jp の「管理者」である

jp ドメインを管理している JPNICwhois の結果をみるとわかるとおり, linux.or.jp というドメインの管理組織は JLA です. 従って www.linux.or.jp という Domain Name の管理者も当然 JLA になります.

また JLA システム管理部会では スポンサー各位 から受けたマシンや回線の管理も行っており, www.linux.or.jp の実体であるマシンもその中に含まれています.

www.linux.or.jp は, JLA がボランティアプロジェクトに貸与している「リソース」である

JLA は 公益性 を重視している団体です. JLA の紹介文書 の「活動内容」に

Linux 環境で活動するプロジェクト, グループに対して必要な助成, 支援を行います.

とあるとおり, 管理しているリソースを積極的に配分することもその目的のひとつです.

これを受けて, JLA システム管理部会ではボランティアプロジェクトに対する リソースの提供 を行っています. 「日本の Linux 情報」は, この提供を受けて活動している ボランティアプロジェクト (=Webmasters) の成果なのです.

「日本の Linux 情報」の Webmasters は, JLA に属する組織ではない

上述のように Webmasters は「ボランティアプロジェクト」です. 「日本の Linux 情報」の web コンテンツの編集は, すべて Webmasters の裁量に任されています. JLA 側から Webmasters に対して特定の指示がなされるようなことは, 現在のところ一切ありません. JLA の主催・共催する会合などの広報が依頼されることはありますが, その場合でも, それを掲載するかどうかはあくまで Webmasters の判断になります.

www.linux.or.jp を利用している他のプロジェクト

www.linux.or.jp 以下には Webmasters 以外のプロジェクトが作成したコンテンツも含まれています. 以下利用状況について紹介します.

http://www.linux.or.jp/JF/
このサブディレクトリ以下のコンテンツは JF Project によって管理されています.
http://www.linux.or.jp/JM/
このサブディレクトリ以下のコンテンツは JM Project によって管理されています.
http://www.linux.or.jp/rc5/
このサブディレクトリ以下のコンテンツは JLUG RC5 cracking team によって管理されています.

これ以外のコンテンツは Webmasters の守備範囲です.

ちょっと本題からは離れますが, ご覧の通り, 各プロジェクトへのリソース提供は ホスト名レベルではなくディレクトリレベルで行っています. これは www.linux.or.jp のコンテンツが ミラーされている のが理由で, http://[ミラーサーバ名]/[プロジェクトディレクトリ]/ という構造が, なにかと便利だろう, という判断によります.

www.linux.or.jp の歴史

ここでは, 現状に至るまでの www.linux.or.jp の歴史を紹介したいと思います. 筆者の私見が入っている部分も多いので, もし誤りと思われる部分やご意見がありましたら Webmasters 宛にご連絡 をお願いします.

linux.or.jp の取得と JLUG

linux.or.jp ドメインが JPNIC によって承認されたのは, 1996 年 2 月 14 日 のことでした. この申請は現 JLA 会長の生越さんを中心に行われたもので, 組織名は Japan Linux Users Group (JLUG) となっていました. ただし JLUG という組織は (現在の JLA のような意味では) 存在しておらず, linux.or.jp ドメインを取得するためのいわば 「方便」に当初はすぎませんでした.

その後 www.linux.or.jp は「JLUG のサイト」として 日本の Linux 情報を集積する役割を担うようになりました. また linux-users MLニュースカテゴリ jlug.*, JLUG RC5 cracking effort などを通して, JLUG という (本来実体がなかったはずの) 存在は, 日本の Linux ユーザコミュニティに重要な位置を占めるようになりました.

"Webmasters" の結成

1998 年ころになると, 国内の Linux 熱がだんだんヒートアップしはじめ, Linux に関連するニュースやインターネットのリソースが 爆発的に多くなりました. 当時の www.linux.or.jp はこれらに追随できるような編集体制に なっていなかったため, 1998 年 4 月〜 5 月 の linux-users ML での議論をきっかけに, 新たな管理チームが結成されました.

ML での議論や CVS の導入 を経て, ほぼ現状に近いかたちの www.linux.or.jp が公開 されたのは 1998 年 10 月 21 日 のことでした. この新しい「JLUG のサイト」は, 幸いなことに好評をもって迎えられました. その後 Webmasters への参加者も増え, CVS の効果もあって, ニュースやリンクを効率的に収集・公開できる体制になりました.

JLA の設立〜 URL 分離

1999 年 4 月 1 日には, JLA が設立 されました. 筆者の個人的な意見になりますが, JLA 設立の主要な動機のひとつは, JLUG のような緩やかな枠組ではできない活動を行うため, 責任を取れる団体が必要であった, というところにあると思っています.

www.linux.or.jp も 1999 年 4 月の段階では「JLA のホームページ」 となりました. Webmasters のメンバーは, そのまま JLA のコンテンツを編集していくかたちになりました.

(以降は筆者の私見が特に多く含まれます.) しかし, JLA の「責任の取れる団体」という立場と, ボランティアプロジェクトである Webmasters の「気楽さ」 (あるいはポジティブに表現すれば「フットワークの軽さ」) との間に相容れない部分があることは, すぐに明らかになりました.

直接的な引き金になったのは JLA のロゴを公募した際のことでした. JLA 側の確認を充分には取らないまま Webmasters で公募・投票を開始してしまったため, 投票募集で採択されたロゴが 不採用になる という, 各方面に多大なご迷惑をおかけする結果となってしまったのです.

これを機にさまざまな議論がなされ, 結局一番スマートな解決策は, 現状のように 「ボランティアプロジェクトである Webmasters を JLA がリソース的に支援する」かたちであろう, という合意に達しました.

これを受け, Webmasters の管理するサイトと JLA の公式サイトとはホスト名のレベルで分けることになりました. www.linux.or.jp を育ててきた Webmasters の努力や, ユーザにとっての利便性を考え, JLA 側が http://jla.linux.or.jp/ に引っ越しをするかたちが良かろう, と言うことになりました. これが行われたのが 1999 年 7 月 7 日 のことでした. (→ "http://www.linux.or.jp/" 運営主体および内部構成の再編成のおしらせ)

終わりに 〜 www.linux.or.jp のこれから

現在の www.linux.or.jp の管理体制に落ち着いてから丸 1 年が過ぎました. いまのメンバーが集まりはじめた JLUG 時代のリニューアルから数えれば 2 年近くになります. 「インターネット時間」で数えれば, 随分長いことになりますね. 嬉しいことに, アクセス統計 を見てみると, 国内の Linux ユーザーの情報源として, 「日本の Linux 情報」は広く利用され続けていると言って良いかと思います.

これがボランティアプロジェクトとして存続していることに, 大きな意味があると筆者は考えています. Linux ユーザによる, Linux ユーザのためのサイトが, これからも続いていって欲しいと願っています. そのためにも, このプロジェクトに積極的に参加してくださる方が, 今後ますます増えることを期待しています.

(中野武雄 = nakano@apm.seikei.ac.jp)

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